会社の情報漏えいのリスクを防ぐ盗聴・盗撮器対策

2018.07.03

盗聴や盗撮は、情報漏えいをはじめとするさまざまなトラブルの原因となります。業種や会社の規模に関係なくどんな企業でもターゲットになる可能性があり、場合によってはそれが企業の存続危機に発展するケースさえあります。

まずは盗聴・盗撮が決して他人事ではないことを正しく認識し、しっかりと対策を行っていかなければなりません。近年の盗聴・盗撮がどのように行われているのかを学びつつ、リスクを最小限に抑えるにはどうするべきか考えていきましょう。

企業が盗聴器・盗撮器への対策を行う必要性

知らぬ間に自分の言動が監視されていた、という事実だけでも恐ろしい盗聴・盗撮。その対策は、事業継続に対してどのような意味を成すのでしょうか。

1. 企業内のあらゆる情報を保護するため

盗聴・盗撮への対策が不可欠な理由として、「情報を守るため」というものが第一に挙げられます。

企業内では顧客情報や技術情報などの営業秘密はもちろんのこと、財務状況や経営計画、従業員の個人情報など、あらゆる情報を取り扱っており、それらが流出することのないように管理することは事業継続における重要な要件のひとつです。

企業外部への情報漏えいも脅威ですが、同時に内部で起こりうる問題にも注意が必要。私的な事由で盗聴器・盗撮器が仕掛けられ、その情報が元でトラブルが起きたり、プライバシーが侵害されたりする場合もあります。

2. 顧客からの企業のイメージ・信頼性を保持するため

盗聴器や盗撮器の存在は、企業のイメージや信頼性にも悪影響を及ぼします。盗聴器・盗撮器が見つかったことが公になれば、少なくとも良い印象は持たれません。

情報の流出による直接的な被害はなくとも、取引先との関係に亀裂が入ったり、風評によって業績が悪化したりする可能性が十分にあるのです。外資系の企業などにおいては、取引契約の条件として相手の企業に盗聴器・盗撮器の探索調査を課す場合も多くなっています。

3. 従業員や利用者からの企業のイメージ・信頼性を保持するため

盗聴・盗撮は、取引先だけでなく従業員の信用を失うことにもつながるでしょう。自分の言動が監視されているかもしれないという環境の中で、はたして安心して過ごせるでしょうか。一般の利用者が出入りする店舗や商業施設などにおいても、同様のことが言えます。

以上のリスクを持つ盗聴・盗撮ですが、現在の日本では特に盗聴に関する明確な法律が定められていないのが実情。企業にとっては、自分の身を守ること・信頼を得ることの両面において盗聴・盗撮への対策が非常に大切なのです。

盗聴器・盗撮器はどんなところに仕掛けられる?

盗聴器・盗撮器はそもそも「集音マイク」や「防犯カメラ」として発売されたもの。最近は値段も安く容易に入手することができ、盗聴器・盗撮器として悪用されるケースがかなり増えています。ここでは、実際どのように盗聴・盗撮が行われているのかを説明していきましょう。

盗聴器の場合

盗聴器は、会話による情報の収集が目的。盗聴者は外部と内部の両パターンがありますが、従業員や業者などによって設置されていることがほとんどです。

事例1:重要な情報が盗聴される例

機密情報など、企業内の価値ある情報を掴むことが目的の場合、会議室や応接室・役員室といった場所に盗聴器が設置されます。紙媒体やデータ、口頭などによる情報漏えいに最新の注意を払っていたとしても、重要な話をする場所に盗聴器が仕掛けられていれば情報は筒抜けになるでしょう。

盗聴器が設置される場所はさまざまで、なかには社長室にある電話の床下のケーブルに盗聴器が設置されていたという報告もあります。この盗聴器は、受話器を持ち上げたときのみに電波を発する高度なものでした。

つまりこれは、通常時は盗聴器の探索装置に感知されず、社長が電話を利用したときのみピンポイントで会話を盗聴できるということ。会話の内容によっては、経営に関わる重要情報やインサイダー情報が流出してしまった可能性があります。

そして、このようにして入手された情報は、相手にとって有利に運ぶように利用、または外部に売られることになるのです。実際に、その情報をもとに告発されたり、盗聴器があったこと自体が明るみになったりして、倒産にまで追い込まれるケースも決して少なくありません。

事例2:私的な情報収集のために盗聴される例

従業員個人が、自分の不在時に行われている会話や、自分が他人からどのような評価を受けているのかなどを盗み聴きしようと盗聴器を設置する場合もあります。

最近の盗聴器は入手しやすく、誰でも簡単に設置できるため、日頃から使用しているデスクの周辺など、かなり身近な場所に盗聴器が仕掛けられる可能性があります。まさか盗聴器があるとは思いもよらない場所で、あなたの何気ない会話が盗み聴きされているかもしれません。

この場合は、外部への情報漏洩のリスクは少ないものの、知らぬ間に社内で重大なプライバシーの侵害が起きていたり、従業員同士のトラブルに発展したりする恐れがあります。さらに、従業員によって盗聴器が発見されれば、騒ぎはより大きくなってしまうでしょう。

盗撮器の場合

盗撮器は、女性が主なターゲットとなっており、更衣室やトイレなどで撮影された映像を売ることが目的としている場合がほとんど。これらの映像は非常に高額で取引されることもあります。

盗撮器は、最近実行犯グループに女性が加わっていることが特徴的。お小遣い稼ぎ感覚で盗撮に加担し、女性専用の施設に出入りできる女性自らカメラを仕掛けるケースが多くなっています。一般的には盗撮=男性というイメージが浸透していますが、実際は女性専用の場所も決して安全ということはないのです。

事例1:社内の従業員が狙われる例

盗撮映像の中でも、例えば「〇〇会社の受付の女性」というように個人が特定できるものや、制服などから会社や所属が特定できるようなものは特に高額で取引されます。

しかし、そういった場所は基本的に出入りできる人が限られており、社内にいる女性従業員や清掃などで出入りする業者などの手によって盗撮機器が仕掛けられている可能性が考えられます。もしそういった場所に盗撮器があった場合、社内に根深い問題が潜んでいることを認識しなければなりません。

また、盗撮器は巧妙に仕掛けられているものの、レンズを通して対象を撮影するという特質上、注意深く探せば素人でも発見できてしまうことがあります。それはつまり、盗撮器があったという事実が周辺の従業員に知れ渡る可能性も含んでおり、さらに誰かがSNSなどでその事実を拡散することで、風評被害につながる場合もあるため注意が必要です。

事例2:不特定多数が狙われる例

近年は盗撮器が小型化し、簡単に仕掛けられるようになったこともあり、不特定多数が出入りする更衣室やトイレなどにカメラが仕掛けられるケースが多発しています。

喫茶店や駅、トレーニングジムなどの更衣室、海の家といった、誰でも出入りできる場所が特に狙われやすいポイント。カメラが設置されていることに気づかなければ、従業員はもちろん、たくさんの利用者・お客様が被害に遭うことになります。

中にはモバイルルーターなどのWi-Fi環境を利用し、インターネットを介して盗撮映像を入手する手口も起きています。

手口が巧妙化。盗聴器・盗撮器の種類

最近の盗聴器・盗撮器は高性能化・小型化され、発見が難しくなっています。ここでは、実際にどのようなものが使用されているのか説明していきましょう。

盗聴器・盗撮器の種類は、大きく分けて以下の2タイプがあります。

・ ACタイプ…建物のコンセントなどの電源を利用して駆動するもの
・ 電池タイプ…乾電池やバッテリーを使用して駆動するもの
盗聴器や盗撮器といえども電化製品の一種ですので、電源や電池がなければ駆動することはありません。

また、最近は盗聴器や盗撮器の値段も安くなっており、一般の人でも3万円程度で容易に購入することが可能。こういった入手のしやすさも盗聴・盗撮が増える原因のひとつとなっているようです。

盗聴器の場合

盗聴器は、離れた場所でも電波を受信することで会話を盗み聴きできる無線式(電波を使う)が多く使用されます。

見えない場所に隠されているケースもありますが、電源タップやPCのマウス、ボールペンなど、身の回りのアイテムに擬態している場合もあり、気づかないうちに重要な会話が盗聴されている可能性があるのです。

また、無線式の盗聴器は電波を測定する機材を用いることで発見できますが、なかには微弱電波や一般的な盗聴電波と異なる周波数を使うことで発見されにくくなっている盗聴器などもあります。

盗撮器の場合

盗撮器は、有線式(電波を使わず記録する)で高画質の映像・音声を撮影できる一般的なビデオカメラに近いものが主流。カメラのレンズは小さいものでは0.8mmと小型化しており、ほんのわずかなスペースであっても盗撮機が仕掛けられる可能性があります。

盗撮器の形状もさまざまで、火災報知器や時計、ハンガーフックなどの設備にカメラが取り付けられていることもあれば、ライターやネクタイピンなどの身近なアイテムがカメラとして機能しているケースも。近年はモバイルルーターなどを利用してインターネット経由で盗撮映像が見られる盗撮器などが設置されていることもあります。

このように盗聴器・盗撮器にはさまざまな種類があり、場合によっては多くの例に当てはまらない特殊な盗聴器・盗撮機が使用されることもあります。日々進化している盗聴器・盗撮器を排除するためには、最新の正しい知識を持って意識的に対策をしていかなければならないのです。

もし盗聴器・盗撮器を見つけたら

巧みにカモフラージュされていることが多い盗聴器・盗撮器ですが、時には発見し、ほかに隠されたものがないか業者に探索を依頼するというケースも少なくありません。もし盗聴器や盗撮器を見つけた場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。

電源を抜く・電池を外すことで無力化する

盗聴器・盗撮器は先にも述べた通り、あくまでも電力がなければ駆動することはありませんので、怪しいものを発見したら落ち着いて電源を抜く・電池を外すことで無力化できます。カメラであれば、レンズを塞げばそれ以上撮影されることもありません。

証拠保全のため、破壊せずに保管する

見つけた後、破壊してしまうのはNG。仕掛けた犯人の指紋が付いていたり、証拠となる重要なデータが入っていたりすることもあるため、証拠保全がとても大切です。ハンカチなどで包んで保管するとよいでしょう。

風評被害を防ぐため、外部への情報拡散に注意する

風評被害を防ぐために情報規制を行うことも大切です。従業員や利用者にはなるべく知られないように注意し、見つけた人に対しても情報を拡散することのないよう協力してもらう必要があります。

盗聴器・盗撮器を見つけた場合は、以上のように対処することで被害を最小限に抑えることができるでしょう。しかし一方では、素人が見つけられる盗聴器・盗撮器には限界があり、発見したものに対処するだけでは根本的な解決にはならないのも事実。

そこで利用したいのが、ALSOKの「盗聴器・盗撮器探索サービス」です。最低でも1年に1回は盗聴器・盗撮器のチェックを行うことをおすすめします。

ALSOKの「盗聴器・盗撮器探索サービス」でリスクを減らそう

ALSOKの「盗聴器・盗撮器探索サービス」では、専門員が最新の特殊機材や経験・知識をフル活用して盗聴器・盗撮器の有無を調査します。

一般的な発見器では電波を発信しない有線タイプや、微弱電波を使用する高性能なものは感知することができません。しかし、ALSOKはそういったものまで発見できる独自の技術を持っており、盗聴器や盗撮器を徹底的に排除することができます。

広範囲に渡って飛んでいる電波をキャッチするため、建物の外から効率的に不審な電波を見分けることも可能。業務やセキュリティの都合上、部屋の中に入って調査ができないという場合でも盗聴器・盗撮器の正確なチェックができます。

調査後は、詳細な結果報告はもちろんのこと、情報漏洩を防止する方法も可能な限り提案します。また、自身でできる盗聴器・盗撮器の対策、仕掛けられる可能性のある場所などについても納得のいくまで解説。決して盗聴器・盗撮器の発見・撤去だけで終わらず、今後のコンサルティングまで受けられるのがALSOKの「盗聴器・盗撮器探索サービス」の強みのひとつです。

企業においては、重要な情報や誰かが求める情報がある限り、盗聴・盗撮に遭うリスクは避けられません。しかし、定期的にプロによって盗聴器・盗撮器のチェックを行い、意識的に対策を打っていくことで、情報漏えいなどの大きなリスクを限りなく減らしていくことができるでしょう。