事務所荒らし・空き巣に狙われないための対策とは
2024.11.25更新(2017.03.30公開)
警察庁発表の「令和5年の犯罪」によると、侵入窃盗の手口としては「空き巣」が多い傾向にありますが、事務所・オフィスを狙った「事務所荒らし」も5番目に多い手口であり、決して看過できないことがわかります。
では、事務所荒らしや空き巣に狙われないようにするには何をすればいいのでしょう。オフィスの防犯対策についてまとめます。
事務所荒らしとは?
事務所荒らしとは、会社等の事務所・オフィスに侵入して金品などを窃盗する犯罪のことです。「事務所に金目のものは置いていないからウチは大丈夫」と考える方も多くいますが、防犯システムや防犯カメラなどの普及によって被害は減少傾向にあるものの、未だオフィス・事務所は侵入窃盗のターゲットになっています。
事務所荒らしではどんなものが狙われている?
オフィスへの侵入窃盗、いわゆる事務所荒らしではどのようなものが盗まれるのでしょうか。多いのは現金、金庫、OA機器などです。金庫や大型のOA機器は重量もあって盗難されにくいと思われがちですが、台車などを使ってそのまま運び去るケースもあります。
金品は事務所内に置いていないという場合でも、備品、電子機器、個人情報、機密情報などが盗まれてしまうこともあります。パソコンなどは狙われる確率も高く、運び出されると現物を失うだけでなく情報も流出してしまう可能性があるため、特に注意が必要です。
狙われやすい事務所の特徴
侵入窃盗の被害に遭いやすい事務所には共通した特徴があります。まず休日や夜間に無人になるビルやオフィス。加えて、オフィス街などにあって、休日や夜間は人通りが少なくなる場所は、事務所荒らしや空き巣が狙いやすい立地とされています。
また、複数のテナントなどが入っていて、誰でも自由に出入りできるビルも狙われやすい典型です。出入り口に警備員(ガードマン)がいない、照明が暗い、防犯・監視カメラがない、もしくは設置台数が少ないなど、セキュリティが手薄なビルや事務所も当然狙われます。窓から侵入しやすい構造や環境にあるビルも意外に多く、これも危険度が高いと言えます。
事務所荒らしや空き巣の侵入手段とは?
事務所荒らしや空き巣が侵入する手段で目立つのは、サムターン回しや合鍵、特殊な器具の使用によってドアが開錠されるケースです。サムターン回しはドアにドリルなどで穴を開け、金属の棒等を使用して内側のサムターン(つまみ)を回してロックを外す手口です。
ドリルやホールソー(木材や金属板に穴を開けるために、電動工具に取りつけて使われる円状の刃)を使って錠前が壊されることもあります。ドアを開けられれば、容易く事務所内に侵入されてしまいます。
荒っぽい手口としては、ドアそのものを取り外す「戸外し」という方法もあります。また、錠壊しと似ていますが、ドアの隙間からバールなどを差し込んでドアの一部を変形させ、強引に開ける「こじ破り」という方法もよく見られます。ビル内の事務所のドアは、一部ガラスが使われていることが多く、このガラスが破られることもあります。窓も同様です。
また、無締りのドアや窓から侵入されるケースも後を絶ちません。外出時や不在時は必ず施錠するように徹底しましょう。これら以外にも、電子錠を解錠するためのセキュリティカードが盗まれ不正に利用されるケースも考えられます。
事務所荒らし・空き巣の侵入手段についてはこちらも参考にしてください。
事務所荒らしの防犯対策
事務所荒らしや空き巣の被害を防ぐためには事前の対策が重要です。
ドア・窓の鍵や構造を防犯性の高いものにする
ドアや窓には二重ロック、補助錠を備えるのが基本です。ドアの鍵も防犯性の高いタイプに交換したほうがよいでしょう。ピンが1列に並んでいるピンシリンダー錠などはピッキングされやすいため、ピンが複数方向から刺さっている構造のディンプルキーなどがおすすめです。
また、犯人はガラスを破って開錠する手口が多いため、ガラスを防犯ガラスに変更したり、ガラス破りを防止する防犯フィルムを貼ったりすると効果的です。さらに二重窓にすることで容易には侵入できなくなります。ドアについても、壊れにくい頑丈な素材・構造のものにするのもいいでしょう。
防犯カメラ(監視カメラ)を設置する
防犯性と抑止力を高められるだけでなく、万が一異常があった際の映像を記録に残すことができるため、以下に列挙する場所に防犯カメラ(監視カメラ)を設置することが有効です。
- 受付、事務所の出入り口
- 機密書類やデータなどの保管庫、サーバールーム
- 金庫を設置してある部屋
- 侵入経路となり得るビルのエントランスや通用口
- 人目につかない駐車場、そのほか人通りや照明が少ない薄暗い場所
防犯カメラの映像を録画・確認するには以下の方法があります。
・現地に設置したネットワークレコーダーに録画する
ネットワークに接続できるレコーダーを設置することで、現地だけでなく離れた場所からでも録画映像を確認することができます。
・ネットワークカメラ本体のSDカード等に録画する
ネットワークカメラの中にはカメラ本体に内蔵されたSDカード等に映像を録画できるものがあります。レコーダーを設置する必要がなく、また離れた場所からでも映像を確認することができますが、レコーダーに比べて録画可能時間が短いというデメリットがあります。
・クラウドサービスに録画映像を保存する
レコーダーやSDカード等の録画機器を使用せず、クラウドサービスに録画映像を保存する方法です。離れた場所からでもパソコンやスマートフォンなどでいつでも現地の映像や録画映像を確認することができ、証拠隠滅のために保存された映像を不正に消去されてしまうことを防ぐこともできます。
また、防犯カメラシステムでは機械警備と連動させることで、機械警備の各種センサーが反応したら自動録画することができます。機械警備を活用して強固な防犯システムを確立することも検討すべきでしょう。
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金庫を防犯性の高いものにする
金庫は防盗金庫が一番良いのですが、耐火金庫の場合には、複数の鍵があるものや丈夫な丁番のものがお勧めです。床にボルトで固定したり、車止めをつけたりして簡単には持ち出されないようにすると同時に、金庫に振動検知センサー・ショックセンサーなどを設置して、異常時に警報音を発して威嚇したり管理者や警備会社へ通報されるようにしておくと安心です。
機械警備システムを導入する
事務所内に設置した各種防犯センサーの異常や監視カメラの映像を遠隔監視し、異常が発生した場合に警備員(ガードマン)がかけつける機械警備システムも、事務所荒らしや空き巣対策として非常に効果を発揮します。警備員(ガードマン)が現地の状況を確認し、必要な場合には関係機関に通報・連携します。
機械警備システムは事務所だけでなく、店舗のセキュリティ強化にも有効です。
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一方、鍵や警備システムを操作するセキュリティカードの紛失、盗難、退職者による持ち帰りなどに対しては、紛失や盗難が判明した時点で該当する鍵、カードを無効にするなどの対策マニュアルを整備しておきましょう。従業員が退職したら、念のため暗証番号を変更するなどのルールを決めておくことも必要です。
事務所のセキュリティを強化するメリット
ここまで事務所荒らしの実態や対策などについて解説してきました。事務所荒らしや空き巣の被害に遭ってしまうと盗難による損害が生まれるだけでなく、社会的信用が低下してしまったり、情報漏洩などの賠償によって大きなダメージを受けてしまうこともあります。
現代において情報は企業の大きな財産のひとつであり、顧客データなどは売上に直結する重要な情報です。さらに、企業の社会的責任が増大し、個人情報の扱いなどにも厳重な注意が必要となった今、事務所内のデータやパソコン等が盗まれると大きな問題に発展する可能性があります。
情報を含め事務所のセキュリティ対策を万全にしておくことは、企業の貴重な財産を守るという意味だけでなく、顧客信頼度や企業イメージの向上にもつながることでしょう。また、セキュリティがしっかりしていることは従業員の安心材料となるとともに、防犯意識を高めることにもつながるはずです。ぜひこの記事を事務所荒らし・空き巣を寄せ付けない事務所作りの参考にしてください。