入退室管理・出退勤管理システム導入のメリット・デメリットを解説
入退室管理というと、建物の警備室や守衛室、受付などで台帳へ記入し入館証を受け取るなど、おもに人による管理を想像する方も多いでしょう。しかし現在では多くの企業で、駅の改札でも使用されているようなICカードリーダーなどでカードを読み取ることで機器が入退室を記録する「入退室管理システム」の導入も一般化しています。
今回は、入退室管理システムと出退勤管理の違いや、システム導入のメリット・デメリット、導入時の注意点などをご紹介します。
目次
入退室管理とは?
入退室管理とは、建物に関係者以外の人が立ち入ることを防ぎ、どのような人物が、いつ、建物のどこに立ち入ったかを管理することを指します。
従来は警備員による目視や署名などの確認で入退室管理していましたが、近年では、情報技術を活用した入退室管理が一般化してきています。
ICカード認証や生体認証(顔・指紋など)、IDコードの入力、QRコードの読み取り、暗証番号の入力などによって一元管理する仕組みを「入退室管理システム」といいます。関係者以外の人の立ち入りを防止することにとどまらず、機密情報の持ち出しを防ぐことにも役立っています。
次のコラムでも入退室管理システムについて詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ALSOKの関連コラム
出退勤管理との違い
出退勤管理とは、従業員や職員の勤務状況を把握するために出勤と退勤の時刻を記録し、勤怠を管理することです。一方、入退室管理とは、従業員や職員に限らずすべての入室者・入館者(顧客や取引先などを含む)の施設への出入りを管理することを指し、管理する対象が異なります。
入退室管理システムの機能には、出退勤管理に必要となる入退室の履歴を記録する機能も組み込まれています。従業員に関する入退室の記録を人事部門や総務部門などに共有すれば、それをそのまま出退勤管理に用いることが可能です。
入退室管理システム導入のメリット
入退室管理システムを導入することで、どのようなことに有効なのでしょうか。ここでは入退室管理システムを導入するメリットをご紹介します。
セキュリティ対策の強化
不審者の侵入を防ぐだけでなく、機密情報の持ち出しを防ぐため、限られた従業員しか立ち入ることができないようにすることでセキュリティ管理のレベルをより強化できます。
NPO日本ネットワークセキュリティ協会が2018年に行った調査報告書「情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」によると、紙媒体での情報漏えいは約30%となっており、入退室管理を徹底することで情報漏えいを防ぐことにも繋がるため、重要性が増していることが分かります。
入退室管理の工数削減
これまで警備員によって入退室を管理していた場合も、入退室管理システムを導入することで警備員が常駐せずともシステムによって人の出入りを管理できるようになります。夜間や休日など従業員が不在となる時間帯に人的リソースを割く必要がなくなり、働き方改革にも繋がります。また、新たに入退室権限を付与したい人に対しても、システム上で権限を与えることが可能です。また、なりすましによる第三者の侵入も防止できます。
労働状況の把握が24時間可能
企業の場合、従業員がどのくらい社内に滞在し、どれほどの時間働いているか、入退室管理システムを通じて把握することができます。Web上で入退室状況を確認できるものもあるため、離れた場所からでもその時点の現地の入退室状況をつねに確認できます。管理者の退勤後に社員が残業をする場合にも、退勤時刻の誤りや改ざんを防ぎ、正確な勤怠管理が可能です。
入退室状況の正確な記録
入退室管理システムは、誰が、いつ、どの部屋に入退室したのかを記録に残すことができます。入退室状況を正確に記録することで、万が一トラブルや不正行為が発覚した場合の検証に活用することが可能なため、迅速な対応と解決に繋げられます。
特に、機密情報を保管しているエリアに侵入されてしまうと企業の社会的信用の低下にも繋がるため、セキュリティの観点からも入退室管理システムを導入するメリットは大きいといえるでしょう。
ISMSや機密情報管理体制の整備
ISMSとは、情報セキュリティマネジメントシステムの略で、機密性・完全性・可用性維持・改善し、リスク管理に関する信頼を社外に与えるための取り組みです。入退室管理システムを導入することは、ISMSや機密情報管理体制の強化にも繋がり、企業全体で情報管理を徹底していることのアピールになります。
災害時の対策への活用
入退室管理システムは、災害が起きたときにオフィス内に取り残された人がいないかを把握するのにも活用することができます。特に、規模の大きいオフィスだと誰が避難できていないか、どこに取り残されているかを把握することは非常に困難です。しかし、入退室管理システムを活用すると、まだ退室していない従業員・関係者を確認することができ、迅速な救助活動を行うことができます。
万が一、停電によりシステム自体の電源が落ちてしまうと正常に作動しなくなる恐れがあるため、停電時も一定時間操作が可能な機能を備えているシステムだと安心です。
ALSOKの関連商品
入退室管理システム導入のデメリット
次に、入退室管理システムを導入するデメリットについても見ていきましょう。
導入までの準備に時間がかかることが多い
会社の規模や導入するシステムなどにもよりますが、入退室管理システムを導入する際は手続きや設置工事、勤怠管理システムとの連携といった準備が必要です。特に、会社の規模が大きく従業員数が多いほど会社全体で連携を取る必要が出てくるため、ICカードなどの手配や運用方法の共有などに時間がかかることが多くなります。
トラブル発生のリスクも考慮する必要がある
入退室管理システムは導入して終わりではなく、導入後も会社全体で適切に運用していかなければなりません。ICカードの盗難・紛失や暗証番号の流出、機器故障による認証不備などさまざまなリスクが発生する可能性があるため、これらのトラブル発生時の対処方法についても事前に決めておく必要があります。
入退室管理システムを導入する際の注意点
入退室管理システムを導入する際は、次の注意点を考慮して導入することがポイントです。
自社の課題に合わせて選ぶ
入退室管理システムを導入する際は、自社の課題を解決できるシステムを選定することが大切です。設置場所によって必要な機能や認証方法、連携させたいシステムが変わってくるため、さまざまな種類から自社に適切な入退室管理システムを選ばなければなりません。設置場所ごとに導入の目的を明確にしたうえで、自社の課題に合っているシステムかどうかを判断しましょう。
従業員への運用説明をきちんと行う
入退室管理システムをスムーズに導入・運用していくためには、事前に従業員へきちんと説明しておく必要があります。どのような目的で導入するのか、どのように運用していくのかを理解してもらうことで、従業員の防犯意識の改革にも繋がります。運用方法やルールに関しては、マニュアルを作成して全員に共有すると良いでしょう。
維持管理コストまで考慮して検討する
入退室管理システムの導入においては必ず初期費用がかかり、システムによっては運用コストも必要になります。初期費用の額が大きくなったとしても長期的に判断すれば人件費削減や業務効率化による経費削減で全体収支としてコストを軽減させることができるため、自社に合ったシステムを選ぶようにしましょう。
企業ニーズに合わせた入退室・出退勤管理が可能な「ALSOK-G7」
入退室管理システムは会社の課題や予算に合わせて、最適なものを選ぶことが大切です。
ALSOKの機械警備・オンラインセキュリティガードシステム「ALSOK-G7」は、入退室管理と出退勤管理を兼ね備えたセキュリティシステムです。ここでは、「ALSOK-G7」のおもな機能をご紹介します。
入退室管理に関する機能
入退室管理に関する機能は次のようなものがあります。
出入管理情報
入退室管理を行いたい部屋に電気錠と出入管理装置を設置し、該当の部屋への入退室履歴を管理することが可能です。カメラ付遠隔操作器を組み合わせることで、操作者の画像も併せて確認できます。
出退勤管理に関する機能
出退勤管理に関する機能は次のようなものがあります。
従業員の出退勤情報
入退室した従業員の画像や氏名、出退勤時刻などを正確に把握できます。常時Web上で確認が可能で、なりすましによる不正侵入の防止にも有効です。入退室の履歴はCSV形式で抽出することができ、給与システムなどとの連携も可能です。
その他の便利な機能
入退館時の画像による確認
建物に出入りする際に、外の様子を画像で確認することができます。人目のつかない場所からの退館時や押し込み強盗など防犯対策に有効です。
ライブ画像確認
カメラを内蔵した画像センサーを活用することで、画像センサーを設置した部屋の画像を常時確認できます。離れた場所からでもパソコンやスマートフォンなどで確認でき、残業している従業員がいないか確認するなど、管理者が不在の場合でも効率的に管理することが可能です。
新たに入退室管理システムの導入やセキュリティの強化をお考えの場合は、施設やオフィスの入退室管理から警備まで一括管理できる、ALSOKの機械警備・オンラインセキュリティ「ALSOK-G7」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ALSOKの関連商品
まとめ
今回は、企業や施設のセキュリティ管理を強化・効率化でき、正確な入退室の記録で働き方改革にも役立つ入退室管理システムについてご紹介しました。入退室管理システムは、セキュリティ強化のほかに業務効率化や災害時の活用など、企業にさまざまなメリットをもたらしてくれるシステムとして多くの企業で導入が進んでいます。
コストのかかるイメージが強い入退室管理システムですが、今回ご紹介した「ALSOK-G7」は企業のニーズに合わせて必要な設備を選ぶことができるため、ご予算やご要望に応じた最適な組み合わせをご提案いたします。