BCP対策とは?事業継続計画の策定手順や運用のポイント
近年、自然災害の発生や感染症の流行によって業務を制限されることがたびたび発生しています。万一企業が被災しても事業継続を図るためには「BCP対策(事業継続計画)」が必要です。
この記事は、BCP対策とは何かを紹介し、必要性や策定手順、運用のポイントを解説します。
目次
BCP対策とは?
BCP(事業継続計画)とBCM(事業継続マネジメント)の違い
近年BCP(事業継続計画)という言葉を聞く機会が増えていますが、それと類似した言葉として「BCM(事業継続マネジメント)」も同時に聞くことがあるのではないでしょうか。ここでは、BCPとBCMの違いについてご説明します。
まずBCPとは、「事業継続計画」を指す言葉で、具体的には災害やテロ、サイバー攻撃、感染症など緊急を要する事態が発生した際に、事業を停止させないための対策やその計画を指す言葉です。万一事業が停止してしまった場合も、早急な復旧を図るための対策も盛り込まれています。
その一方でBCMとは「事業継続マネジメント」を指す言葉です。こちらは、BCPで策定したさまざまな対策や計画を実行するために立てる「運用計画」を表すものです。
「BCPを適切に運用するための計画がBCM」と考えると、分かりやすいでしょう。
BCP(事業継続計画)と防災の違い
BCPをご存じであれば、BCPと防災を結び付けて考えることが多いのではないでしょうか。BCPと防災には深い関わりがあります。
防災とは、災害が起こっても被害を最小限に抑え、被害からの復旧を可能な限り早期に進めるための計画や予防措置を指します。それに対しBCPは、被害が発生した状況下でも事業を継続することを念頭に置いて行う施策です。ただしBCPに明確な定義はなく、防災(予防措置等)を含む場合もあります。
防災は「万一の災害に備えて被害を最小限に防ぎ、人命や企業を守ること」、BCPは「事業活動をおびやかす事態が起こった際も、事業の停止を極力回避すること」を、それぞれ主眼に置いています。
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従来のBCP対策とその課題
2011年の東日本大震災以降、多くの企業にBCPは認知され普及が進んでいます。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、従来のBCPでは十分に対策できていない可能性があります。ここでは、従来のBCP対策とその課題についてご紹介します。
テレワークの推進
新型コロナウイルス感染症の影響で急増したテレワークも、リスクを分散できるためさまざまな事態に対応可能なBCP対策の1つです。BCPの一環として、台風等の災害のリスクに備えテレワーク環境を整備していたタイミングで新型コロナウイルス感染症に直面し、その対策が役立った企業もあります。
ただし、テレワークを実施するとさまざまなリスクも発生します。従業員の所在がバラバラになる、停電等によりインターネットが切断された場合コンタクトが取りづらくなる、周りに人がいない環境で体調不良を起こすなどのリスクがあるため、従業員の安否確認の重要性が高まっているといえます。また、情報漏えいなどのリスクもあるため、どのように安否確認するかが課題です。
そのため、従業員の状況を確認する安否確認システムの導入や自宅で使用するパソコンのセキュリティ強化、アクセス制限、クラウドサービスなどの利用による対策が必要です。
テレワーク対応のために、現在運用しているBCP対策の改訂をご検討中の方もいるでしょう。ALSOKでは、テレワークにおけるリスクにも対応可能なBCP対策「BCPソリューションサービス」を展開しております。
BCP対策の策定を目指している方はもちろん、今後に備えてBCP対策の改訂を考えている方も、ぜひALSOKまでご相談ください。
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BCP対策のメリット
企業がBCP対策を整えておくことのメリットには、以下のようなものがあります。
災害時などの早期復旧
災害や火災、テロ、サイバー攻撃、感染症蔓延などの緊急時に、事業停止の回避・事業継続を図りやすくなります。また、万一事業が一時的に止まってしまった場合も早期復旧を目指して対処することができます。
自社における強み・弱みの可視化
BCP計画を立てる場合、緊急時にどの業務を優先すべきか洗い出すことになります。それにともなって、その業務が自社に与える影響度が推し量られることにもつながるでしょう。必然的に自社が持つ強みや、抱えるリスクを可視化することができるのです。
企業としての信頼性向上
しっかりBCP対策を講じている企業は、他社や地域からも緊急時への備えが整っているという認識を持ってもらえます。取引先からも「万一何かあっても取引継続に際して安心感がある」と信頼度が上がるでしょう。
BCP(事業継続計画)の策定手順
BCP策定の目的を明確にする
まず、自社が何のためにBCPを定めるのか、その目的をはっきりさせましょう。多くの企業では「事業の継続」や、それにともなう「地域社会への貢献」などが明確化されることと思います。
自社の重要業務を選定する(ビジネス影響度分析)
次に、自社のコア業務(中核業務)を選定します。ビジネス影響度の高い業務を絞り込んで、その優先順位のもとに事業継続を図るための計画が必要となるためです。
リスクを洗い出して復旧優先度を決める
緊急時に自社で生じる可能性のあるリスクを洗い出し、それが重要業務にもたらす危険度を想定します。それに基づき、復旧の優先度を決定していきましょう。
戦略・立案を行って計画書を作成
おおまかなプランがまとまったら、事業継続・復旧計画のための具体的な戦略を立てます。どのようなリソースが必要か、それらを用いてどの程度の期間での復旧をめざすかなど、具体的に実現可能な案を出していき、それらを計画書にまとめます。
BCP対策の運用ポイント
BCPは、非常時に備えて平時にも対策をとっておく必要があります。BCPに基づいた定期的なテスト・訓練の実施や、従業員へ自社のBCPを周知し理解を図るための啓蒙活動といった取り組みが必要です。書類を用意しておくだけでなく、日常的に運用サイクルを回して非常時に備えましょう。
策定後の定期的な見直しと改善
BCP策定後も、社内訓練の結果や災害事例などを考慮し、内容の見直しを定期的・継続的に行います。適切なアップデートを図り、いつ不測の事態が発生してもその状況に適した対処ができる状態にしておかなければいけません。
テレワーク環境下における参集方法の周知
テレワーク環境下では就業中に災害が発生しても全員が参集することは難しく、通信手段が確保される前提のもと、リモートでの災害対策本部を設置することが考えられます。
災害対策本部要員が、社内で被災した場合はこれまで通り災害対策活動を行い、社外で被災した場合は、リモートで活動可能であると考えられる役割(安否確認・広報対応など)についてはリモートでの対応を行います。特に大規模地震発生後は、道路にガレキがあったり、交通網がまひしていたり、参集するための移動が危険で困難が伴います。
一方で、現場での情報収集や被災者支援といった役割は、場合により参集が必要です。情報収集は現場周辺の状況確認を早急に行わなければなりません。また、現場に従業員が残っていて帰宅困難者となっている場合、現場指揮や備蓄品・必要物資の運搬などのために集まる必要性があります。そのため、参集が必要な役割においては事前に「誰が、どのような状況の際に、どこに集まるか」を明確に決めておくことが重要といえます。
社内への共有と対応訓練の徹底
緊急時に計画通り円滑に行動して、BCP対策を生かすためには平時からの取り組みも大切です。社内向け研修や訓練などを定期的に実施し、すべての従業員にBCP対策とその重要性の周知を図りましょう。
また、テレワークに従事する従業員のために、「オンライン避難訓練」というユニークなサービスもあります。
SNSを活用したオンライン避難訓練では、従来の避難訓練とは異なり、訓練通知がいつ届くか予告されず、災害発生通知を受け取ると始まります。SNSに届くメッセージに従いながら避難訓練に参加でき、実際の災害同様に自分の身を守るための動きを学ぶことが可能です。
ライブ配信などを活用したオンライン配信では、ハザードマップの見方を学んだり、自分の住む地域にどのようなリスクがあるかを調べ、参加者同士で考えを共有したりすることができます。他にも、気象庁では大雨による災害のリスクや避難ポイントなどについて説明した動画を動画投稿サイトに公開し、活用を呼び掛けています。
ALSOKのBCPソリューションサービス
ALSOKでは、BCPの策定にあたる企業をサポートする「BCPソリューションサービス」をご提供しています。
ALSOKで日々活動しているガードマンの知識や経験を踏まえ「現場で必要なBCP」をご提案できることが、本サービスの大きな特徴です。災害をはじめ、犯罪や情報セキュリティなどあらゆるリスクに対し、ワンストップで対策をご提案できる点もALSOKならではの強みです。
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まとめ
企業のBCP対策は、今後さらに推進されていくでしょう。いざという時の備えとしてBCPを策定するだけでなく、その時々の状況にあわせて内容を見直し、アップデートさせることも必要不可欠といえます。
また、不測の事態においても従業員の安全を確保し、適切な事業継続や早期復旧を図るためには、平時の備えも重要です。BCP対策の新規策定や既存計画の全面的見直しでお悩みの方は、ぜひALSOKまでご相談ください。
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