企業における防災備蓄品の管理方法やよく起こる問題などを解説

企業における防災備蓄品の管理方法やよく起こる問題などを解説
2024.11.25更新(2019.03.29公開)

日本は地形や地質などの条件から自然災害が発生しやすく世界でも有数の災害大国です。近年では、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震、富士山の噴火など大規模災害の発生が懸念されています。企業はそのようなリスクを想定して防災備蓄品を事前に準備しておく必要があります。
条例等では企業に対し従業員1人当たり3日分の備蓄を推奨している自治体もありますが、発災直後は行政からの支援の手が行き届かないことから、食料や飲料水は1週間分を用意したいものです。しかし、いざ準備しても、消費期限や在庫などの管理方法で悩むこともあるのではないでしょうか。

今回は、企業における備蓄品の管理方法や防災備蓄の重要性、管理する中でよく起こる問題などをご紹介します。

目次

企業において防災備蓄が重要な理由

災害が発生すると、建物の倒壊や公共交通機関の停止などの影響で、従業員やお客様が帰宅困難になる可能性があります。また規模の大きい建物では周辺にいた人々が建物内に避難してくる可能性も考えられます。そのため企業には、災害の発生時などには行政機関と連携し、従業員や周辺住民の安全確保に努める社会的責任があります。災害時にオフィスが一時的な滞在場所として機能できるようにするため、十分な防災備蓄が必要です。

内閣府「令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によると、「被害を受けた際に有効であった取り組み」は、「備蓄品(水、食料、災害用品)の購入・買増し」と回答した企業が大企業で45.9%、全体でも35.3%を占めていました。
日頃から備蓄品を用意しておくと、いざという時に役立つことがわかります。

被害を受けた際に有効であった取り組み(上位5項目)
出典:内閣府 令和5年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査

企業の防災備蓄品管理でよく起こる問題

企業の防災備蓄品管理においてよく起こる問題として、次のようなものが挙げられます。

防災備蓄品として準備すべき適正量がわからない

災害発生時、自宅に戻れるまでの期間は予測できません。そのため「防災備蓄品はあればあるほど安心」と考える方もいるでしょう。しかし、従業員の安全を確保できる量の防災備蓄品を大量に用意するとなると、それだけ保管スペースも必要です。やみくもに大量の備蓄品を用意しようとせずに、まずは水や食料、医薬品など最低限必要な備蓄品から準備しましょう。その他の備蓄品についても計画的に見直しや入れ替えを行うことで、限られたスペースを有効活用し、従業員の安全を確保する体制を整えることができます。

条例等では企業に対し従業員1人当たり3日分の備蓄を推奨している自治体もありますが、発災直後は行政からの支援の手が行き届かないことから、食料や飲料水は1週間分を用意したいものです。

防災備蓄品がいつのまにか消費期限切れになっている

備蓄品は普段から使用するものではないため、管理が疎かになりやすいものです。特に防災用の食料品などは消費期限が長めに設定されていますが、長期間保管であるがゆえに、気づかぬうちに消費期限を過ぎてしまうケースもあります。消費期限は「安全に食べられる期限」を意味し、消費期限を過ぎた食料品を食べると体調不良を起こす恐れがあるため注意が必要です。
そのため、定期的に備蓄品の期限を確認し、必要に応じて早めの入れ替えを行いましょう。また、後述するローリングストック法を実践するのもおすすめです。

保管場所や在庫数を正しく把握できていない

備蓄品を保管するスペースが複数箇所に分かれていたり、備蓄品の消費期限を定期的に確認したりと、管理が煩雑になりがちです。さらに、担当者が異動になった、業務が忙しいなどの理由で、保管場所・在庫数を正しく把握できないという課題もあります。備蓄品の入れ替え作業や棚卸時に人手が足りず、頭を悩ませることも多いでしょう。

備蓄品は一度購入したら終わりではないため、管理をプロにまかせるのもおすすめです。

災害対策用品(防災備蓄品)の種類と分量

何を用意すればいい?災害対策用品(備蓄品)の種類と分量

企業防災には、災害時の被害を最小化する「防災」の観点からアプローチする場合と、災害時の企業活動の維持または早期回復を目指す「事業継続」の観点からアプローチする場合があります。

ここでは、事業継続に必要な従業員の安全を確保するために、企業が用意すべき災害対策用品の種類と量を解説します。

災害対策用品(防災備蓄品)の種類

保存水や食糧(アルファ化米、クラッカー、乾パンなど)は主要アイテムとして、多くの企業で準備していますが、さまざまな場面を想定してその他の備蓄品を備えておくことで、いざという時にも安心して過ごすことができるでしょう。

  • 滞留生活の寒さ対策として
    …毛布、保温シートなど
  • 避難時の安全対策として
    …ヘルメット、防災頭巾など
  • 救出や避難脱出時の対策として
    …救助工具、救急用品、拡声器など
  • 断水時の対策として
    …ウェットシート、水が不要なシャンプーなど
  • 停電時の対策として
    …ライト、ラジオ、蓄電池など

災害対策用品(防災備蓄品)の分量

では、従業員1人当たりの1週間分の備蓄量はどのぐらい必要なのでしょうか。

  • 水:従業員1人当たり1日3リットル×1週間分=21リットル
  • 主食:従業員1人当たり1日3食×1週間分=21食
  • 毛布:従業員1人当たり1枚
  • 簡易トイレ:従業員1人当たり1日5回×1週間分=35回

これらを参考に備蓄品の適切な管理を行う必要があります。

防災備蓄品の主な管理方法

防災備蓄品の管理に悩んでいる場合は、次の管理方法を利用することも検討しましょう。

防災備蓄品管理代行サービス

防災備蓄品の管理をアウトソーシングする方法です。防災備蓄品管理代行サービスは、初回の備蓄品調達の段階から消費期限の管理、入れ替えや廃棄など、管理に関するさまざまな業務を依頼することができます。従業員数が多い大企業やホテルのように、非常事態に多くの人の安全を確保しなければならない場合におすすめです。

防災備蓄品管理システム

防災備蓄品専用の管理システムを利用する方法もあります。水や乾パンなどの食料品を種類ごとに管理でき、消費期限切れを起こしそうなものについてアラートを出してくれるものもあります。専用の管理システムを導入すれば、チェックのし忘れや、備蓄品の入れ替え忘れなどのミスを防止できます。

物品・在庫管理システム

専用のシステムではなく、一般的な物品・在庫管理システムを活用するのも一つの方法です。管理する規模によっては、一般的な管理システムのほうがコストを抑えられる場合もあるでしょう。備蓄品以外にも、オフィスで使用する備品、文書、消耗品なども一括で管理できるようになるため、通常業務の効率化にもつながります。アラート機能による期限管理、リアルタイムでの在庫把握なども大きなメリットです。

備蓄食料の管理はローリングストック法を取り入れよう

ローリングストック法とは備蓄している食品や日用品を定期的に消費し、使った分を新たに買い足していく管理方法です。ローリングストック法により、常に一定の備蓄品の量を保てるメリットがあります。また、非常食に食べ慣れておくことで、万が一の際の安心にもつながるでしょう。

企業で備蓄している水や食料品は賞味期限(3~7年程度)が定められていますが、適切に期限管理・入れ替えをしないと、災害発生時に役に立ちません。備蓄品管理代行サービスなどを利用することで賞味期限切れを防ぎ、廃棄による食品ロス削減にもつながります。

企業の防災備蓄品管理もALSOKがサポート

ALSOKでは機械警備サービスだけでなく、企業の防災備蓄品管理、BCP(事業継続計画)策定の支援、災害時に活用できる安否確認といったさまざまな災害対策をご提供しています。

災害対策用品(備蓄品)

ALSOKでは災害備蓄品の販売だけでなく、備蓄品の期限管理や棚卸し、回収調整を行う「災害備蓄品マネジメント支援サービス」をご提供しています。適切な備蓄品管理に加え、担当者の負担を軽減します。

BCP(事業継続計画)対策 (「ALSOK BCPソリューションサービス」)

「地震」「盗難」「情報漏えい」「感染症」など、企業を取り巻くリスクは、数え切れないほどあります。こうしたリスクに直面した時、いかにビジネスを止めず迅速に復旧するか、企業の力が試されます。ALSOKでは、BCP対策マニュアルの作成からリスクアセスメント、対策の実施、講習、訓練を通じた定着までBCP(事業継続計画)対策の一貫した支援を行っています。

安否確認サービス

災害発生時には、まず従業員の安否を迅速に把握することが、BCP対策のうえでも重要です。ALSOKの安否確認サービスを導入することで、非常時における企業と従業員とのスムーズなコミュニケーションルートを確保できます。

まとめ

近年、災害の発生が増加しており、自治体でも備蓄に関する条例を定めるケースが増えています。企業防災の基本として水や食料などの備蓄が挙げられますが、食料品の場合は賞味期限・消費期限があることから、管理方法において課題を抱えている企業も少なくありません。
保管スペースの問題や、管理にかかる人手不足、賞味期限切れなどの課題を解決するためにも、備蓄品管理代行サービスなどを利用して備蓄品の管理をしっかりと行い、もしもの時に備えましょう。災害対策についてご不明なことがあればお気軽にALSOKにご相談ください。