小学校の不審者侵入対策!防犯教室や訓練で子供を守る
小学校への不審者侵入による事件が、後を絶ちません。1999年の京都市立日野小学校、2001年の大阪教育大学附属池田小学校の事件をはじめ、幸い被害者は出なかったものの2011年の愛知県一宮市立神山小学校の事件、2022年の大阪市立茨田北小学校の事件があり、最近では2023年の宮城県栗原市の小学校で児童4人が軽トラックにはねられけがをした事件など、不審者の学校侵入は相次いで発生している状況です。
子供の安全を守るために、登下校時の見守りや来訪者の管理を行っている小学校は数多くありますが、いざ緊急事態が発生したときの準備は整っているでしょうか。
小学校での不審者の侵入を想定したケースにおいて、事前に備えられる有効な対策についてご紹介します。
目次
子供(13歳未満)の被害件数と被害状況
各地の警察署では、通学時間にパトロールを実施したり、管轄地域の教育施設へ不審者情報を通知したりするなど、子供が被害者となる犯罪を防ぐさまざまな取り組みを行っています。
取り組みの甲斐もあってかここ10年(平成26年~令和5年)のデータを見ると13歳未満の子供が被害者となる事件は減少傾向にあったものの、令和4年から上昇しています。また、略取誘拐と傷害の件数についても上昇傾向にあります。
学校で実践的な防犯訓練が必要な理由
小学校における防犯対策で大切なことは、まず「子供の安全確保」、その次に「教職員の安全を守ること」です。また、実際に不審者が侵入した際に教職員はどのように行動するか、子供をいかに安全な場所へ避難させるかなど、考えるべき事項は数多くあります。
危機管理対策マニュアルを作成しても、不測の事態が発生した場合にはマニュアルの通りに行動できないことも予想されます。万一の事態が発生した際にも行動できるよう、実践的な防犯訓練を行う必要があるといえるでしょう。
学校施設における安全確保の3要素
警察の取り組みだけでなく、学校施設においても、子供の安全を確保するためには以下の3つの要素が必要です。
防犯教育の実施
まず挙げられるのが、先生方など大人だけではなく子供にも防犯教育を施すことです。日常生活においてどのような部分に危険が潜んでいるのかを子供に理解させ、防犯意識を底上げすることで、犯罪に巻き込まれるリスクを軽減できます。学校防犯教室、防犯訓練などを定期的に実施し、日常的に防犯意識を高められる体制づくりをしましょう。
安全管理体制の整備
2つ目に挙げられるのが、安全管理体制の整備です。具体的には、以下のような面を充実させることでより安心できる環境に近づくでしょう。
- 不審者監視設備(防犯カメラ等)の設置:不審者の検知・確認、犯罪抑止
- 来訪者管理システムの導入:不審者を施設内に入れないようにするため
- 護身道具(さすまた等)の拡充:不審者に直接対応するため
など
危機管理体制の確立
3つ目が危機管理体制の確立です。いざ不審者を発見し、問題が発生した場合の対応方法やフローが体系的に決まっていなければ、被害を必要以上に大きくしてしまう可能性があります。本当に不審者かどうかの確認、被害状況の確認、警察や病院など関連機関への連絡など、緊急事態の発生時は行うべきことが数多くあります。冷静に対処するためにも、事前にマニュアルを策定しマニュアルに基づき訓練するなどの体制づくりが重要です。
なお、文部科学省の「学校の危機管理マニュアル」では、学校で不審者が発見されたとき、また緊急事態が発生したときの対応方法が具体的なフローチャートにまとめられています。ぜひ、マニュアル作りの参考にしてください。
学校施設に防犯カメラ・監視カメラを設置して、来訪者の入校管理や生徒の登下校管理を強化するなど、安全管理対策を実施している小学校は増えてきました。
しかし、万一の事態を想定してマニュアルを策定していても実践的な取り組みは手薄になりやすく、「緊急事態が発生した際に対応できるかどうか不安」という声は少なくありません。
上に挙げた、防犯教育の実施・安全管理体制の整備・危機管理体制の確立などが重要だとわかっていても、現実的にはリソースの課題などにより実現が難しい学校も多いでしょう。そのような場合は、防犯システムの構築や防犯訓練の実施などを外部に委託するのも選択肢の一つです。
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出典:文部科学省「学校の危機管理マニュアル -子どもを犯罪から守るために-」
防犯訓練や防犯教室で学べること
防犯訓練や防犯教室は「教職員を対象としたもの」、「教職員と児童を対象としたもの」、「児童のみを対象としたもの」などがあります。いずれも、防犯の専門家から指導を受けることで、それまで知らなかった防犯に関する知識や、具体的な対策を学ぶことが可能です。
防犯の考え方が分かる
防犯の基本は「犯罪の機会をなくすこと」です。近年は、犯人の人格などに原因を求める「犯罪原因論」から、犯罪の機会があって犯罪が発生するという「犯罪機会論」へ考え方もシフトしており、犯罪が起きる場所やきっかけを与えないことが重要とされています。
防犯教室では、犯罪発生の機会を作らないようにするためのハード面(学校施設の防犯対策)やソフト面(学校内の体制づくりや子供や教職員への防犯の意識づけ)それぞれの対策について学ぶことができます。
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さすまたや防護盾など護身用具の使い方が分かる
小学校の現場からは「さすまたを準備しているが、使ったことがない」という声をよく聞きます。一度も使ったことがないものを、緊急時に効果的に使うことはできません。不審者が侵入したときに、さすまたを利用し相手の動きを封じ込めて反撃を防ぐためには、やはり防犯の専門家から指導を受け、定期的に実践訓練をしておくと良いでしょう。
護身術を習うことができる
不審者が侵入した際、どのような状況に陥るかは分からないものです。いざというときに備え、相手の動きを利用して逃げるための護身術を覚えておくと安心です。
実際に不審者に遭遇した際、思ったように体が動かないことがあるかもしれません。そのためにも防犯教室・防犯訓練を定期的に受け、日頃から繰り返し練習し、身につけることが大切です。
文部科学省が不審者の学校侵入防止対策の強化について発出
文部科学省は、2023年3月に不審者の学校侵入防止対策の強化について、以下の旨を各教育委員会等に向けて発出しました。
- 各学校の設置者において危機管理マニュアルの総点検を行うこと
- 防犯カメラ・オートロックシステム・非常通報装置等の整備について、国の支援内容を拡充するので活用すること
2については、令和5年度~令和7年度において、防犯設備の整備支援の内容が以下のように変更されることが発表されています。
- 補助割合:3分1→2分の1へとかさ上げ
- 補助下限額:400万円→100万円へと引き下げ
不審者の侵入を防ぎ被害を未然に防ぐためにも、この機に国の支援事業をぜひ活用して、防犯カメラ等の設備を整備しましょう。
まとめ
各地の警察署では、不審者情報や不審車両情報を提供しています。学校側では不審者情報をチェックするとともに、学校施設の外周や通学路にも十分注意を払い、犯罪の機会をつくらないように対策を行いましょう。また、緊急事態の発生に備えて普段からさすまた教室や護身術教室などを受け、実践面の強化に努めることをおすすめします。
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オンラインセキュリティシステム
侵入者や火災などの異常を感知する各種センサーを設置し、異常が発生すると24時間365日、訓練を受けたガードマンが迅速に駆けつけ、適切に対応します。ガードマンが駆けつけるまでの間も、オンラインで監視している監視員が現地のスピーカーを遠隔操作し、威嚇音声を流すこともできます。
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