小売店におけるアルバイトの労務管理の注意点:シフト管理、不正打刻防止など
これまでアルバイトの労務管理はシフト管理や勤怠管理が中心でしたが、「内引き」などの内部不正や外国人労働者の増加などに伴い、雇用側が対応すべき課題は増えてきました。
小売店がアルバイトの労務管理で抱えている課題を解決する方法として、採用基準の見直しや採用後の教育といったソフト面の改善はもちろんですが、防犯カメラ・監視カメラの設置や勤怠管理システムの導入など、ハード面の強化も必要です。
目次
労務管理とは
労務管理とは従業員(アルバイト、パートも含む)を管理することです。
労働法(労働基準法、労働組合法、最低賃金法、労働安全衛生法など、労働に係る法律を含む総称)にもとづいて労働契約を締結し、労働条件(時間、賃金など)や労働環境を整える必要があります。
これらの労働法は労働者を守ることが目的のため、雇用者が違反した場合は罰金や懲戒が科されます。一方、従業員が不法行為に及んだ場合、就業規則を作成して懲戒処分の条件などを定めておけば、雇用側が一方的に不利になることは避けられます。
ただし、周知義務があるため、労働契約を締結する際、労働者に就業規則を明示することが必要です。
アルバイトの労務管理における課題
厚生労働省の「一般職業紹介状況[実数](パート)」によれば、令和4年度における有効求人数(平均)が970,560人であるのに対し、求職者数(平均)は738,249人と、アルバイト・パートが不足していることがわかります。
また、コロナ禍における人件費の削減などが影響して、令和2年度は有効求人数が減少しましたが、その後は右肩上がりで増加しています。有効求人数は有効求職者の数値を依然として上回っており、グラフからもアルバイト・パート不足の恒常化が見受けられます。
以前はアルバイト・パートというと学生や主婦が多かったかもしれませんが、現在は人手不足ということもあり、採用するアルバイトの人材が多様化しています。その結果、アルバイトの労務管理にもさまざまな課題が見られるようになりました。
シフト管理
雇用しているアルバイトの人数が多い場合、シフト管理が煩雑になります。シフト変更があった場合の連絡も含め、効率的に行いたいものです。
不正打刻防止
早退・遅刻を隠蔽するため、タイムカードを同じシフトのアルバイトに打刻させる「不正打刻」への対処も必要です。
内引き対策
内引きを防止するためには、内引きをしにくい環境づくりが必要です。商品の実際の在庫数とデータ上の在庫数を定期的に確認し、商品管理を徹底しましょう。
在庫数のズレは、レジ打ちのミスや廃棄登録ミス、万引きなどによる可能性もありますが、いつ、どの商品がどれくらい減っているかを毎日チェックすることにより、特定の人が出勤している日に高頻度でズレが発生していることが把握できます。
商品がなくなっている情報をスタッフ間で共有することにより、内引きをしていると考えられる人に警告を与えることができ、内引きをしにくい環境をつくることができます。
接客トラブル対策
クレーマーの増加に伴い、厚生労働省ではこれを「カスタマーハラスメント」と位置づけ、2022年2月に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を作成しました。
接客業において、お客様とのトラブルをゼロにすることは難しいものです。しかし、接客をするアルバイトがトラブルに巻き込まれないよう、雇用側も対策をとることが必要です。
※参考:厚生労働省ホームページ
外国人労働者の雇用
人手不足が続いている状況から、外国人を雇用する小売店は増加傾向にあります。外国人を雇用する際、言語や慣習の違いによるトラブルを避けるためにも、雇用側・被雇用側の双方にとって納得できる合理的な労務管理が求められています。
職場環境を整備して労務管理を効率化
労務管理の基本は、従業員が働きやすい条件や環境を整えることです。さまざまなトラブルを未然に防ぐ対策として、防犯カメラ・監視カメラの設置や出入管理システムの導入が挙げられます。
防犯カメラ・監視カメラで安全管理
小売店で防犯カメラ・監視カメラを設置した方がよい場所は、駐車場、出入り口、レジまわり、商品の陳列棚付近、ATMの周辺、バックヤードなどです。
防犯カメラの設置によって万引き・いたずらに対する抑止効果があるほか、内引きなどの内部不正の抑止効果、接客の様子の確認、お客様とのトラブルが発生した際にカメラ映像によって検証できるというメリットもあります。
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出入管理と組み合わせた勤怠管理
バックヤードや事務所等、外部からの出入りを制限したい場所に電気錠を操作できるICカードリーダー等を設置し、出入管理を行うことで、不審者の侵入を防ぐことができ、従業員の安全確保につながります。
また、LANに接続することで、カードの操作履歴や在室状況などを簡単に確認することができるだけでなく、社員証等のICカードを利用して勤怠管理システムと連動させた出入管理も可能です。
まとめ
一部の従業員による不正打刻・内引きを防ぐには、本人への注意だけでなく、不正行為をしにくくする環境づくりも大切です。
バックヤードなどの従業員エリアに防犯カメラ・監視カメラを設置することを躊躇するケースもみられますが、問題が発生した際、防犯カメラ・監視カメラの存在が従業員の安全確保につながることもあります。
労務管理の基本は、一人ひとりの従業員が働きやすい条件や環境を整備することです。人材の多様化に伴い、これまで以上に効率のよい労務管理が求められるようになるでしょう。