飲食店など店舗の保険の種類や選び方を解説!被害のリスクを軽減しよう

飲食店など店舗の保険の種類や選び方を解説!被害のリスクを軽減しよう
2024.11.20更新(2019.03.29公開)

飲食店や小売店などの店舗経営にはさまざまなリスクがともなうため、保険加入が必要です。盗難や火災のほか、近年では大雨や地震などの自然災害によって、想定外の被害に見舞われるケースも増えています。被害の内容によっては、営業が再開できるまで長い期間を要することもあるでしょう。
飲食店や小売店などが損害保険に加入する際は「火災保険」に加入することが一般的ですが、加入する保険や契約内容によって補償範囲が異なります。この記事では、飲食店など店舗向け保険の種類や選び方を解説します。

目次

店舗向けの保険とは?

店舗向けの保険とは、飲食店などの店舗がさまざまなリスクに備えるための保険です。
例えば飲食店で火災が発生した場合、建物や設備の修繕費用などがかかります。また、修繕のために店舗を休業する必要があり、休業期間中の利益損失も大きな影響が出ます。
そこで、店舗向けの保険に加入することで、修繕費用や休業中の売り上げが一部補償されるため、安定した店舗経営や予期せぬ事態へのリスク回避・軽減につながるのです。

店舗経営で起こり得るリスク

店舗経営で起こり得るリスク

飲食店や小売店などのオーナーが保険に加入する際、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。火災、盗難、お客さまとのトラブルに加え、地震や水害などの自然災害の発生など、店舗経営にはさまざまなリスクがともないます。特に、飲食店の場合は調理の際に火やガスを取り扱うため、火災やガス漏れ、水漏れの被害には注意したいものです。
その他、近隣の店舗を休業させてしまうような賠償事故を起こした場合に、休業補償を請求されることもあります。また、建物オーナーの場合には建物修理等の補償が必要です。
ここでは、店舗経営上の被害リスクとなり得る具体的な項目を「損害リスク」「賠償責任リスク」「休業リスク」に分けて解説します。

損害リスク

火災のほか、水害、落雷などの自然災害、盗難や店舗への自動車衝突事故など、予期せぬ事態が要因となり損害が発生するリスクがあります。

事例1:水害被害に遭った場合の補償

国土交通省の水害統計調査によると、平成20年~令和4年の水害被害額の合計は増加傾向にあります。

水害被害額の推移
出典:国土交通省「令和4年水害統計調査」

また、気象庁の調査によると、1時間の降水量が80㎜以上の「猛烈な雨」の年間発生回数も増加傾向にあります。統計期間の最初の10年(1976~1985年)の平均年間発生回数と比較して、直近10年(2014~2023年)の平均年間発生回数は約1.7倍に増加しています(1976~1985年の年間平均回数は約14回、2014~2023年は約24回)。局地的豪雨(ゲリラ豪雨)の発生回数も増加傾向にあり、水害リスクが高まっているといえるでしょう。

参考:国土交通省気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」

路面店やテナントの1Fにある店舗の場合、水害などによって床上浸水の被害に見舞われる可能性が高いと考えられます。火災保険に加入していれば、暴風雨や豪雨などによって引き起こされた洪水や土砂崩れによる被害は補償されます。ただし、支払い要件があることが多いため、注意が必要です。

火災保険の場合の補償例

  • 損害割合が建物・家財の30%以上である場合
  • 床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水被害を受けた場合

実際は、上記を満たさない45cm未満の床上浸水であっても、店舗の什器や商品が浸水被害を受けることは少なくありません。上記いずれの要件にも満たない場合は保険金が支払われないため、自費でまかなわざるを得なくなってしまいます。
また、一般的に水害の場合の補償内容は最大で損害額の70%であることが多く、保険金が支払われたとしても、一部の実費負担が発生するかもしれません。

事例2:窓ガラスが破損した

  • 強風で飛ばされた看板がぶつかって窓ガラスが割れた
  • 泥棒の侵入によって窓ガラスが割られた
  • 盗難被害はなかったものの、窓ガラスが破損した
  • 店舗のショーウィンドーに自動車が突っ込んだ

上記のように、ビルの1Fにある店舗は特に窓ガラス破損のリスクが高いといえます。

加入する保険によっては、破損した窓ガラスの費用だけでなく加工されていた文字入れ費用も対象となります。加入している保険を変更する際は、補償内容を確認すると良いでしょう。

賠償責任リスク

店舗にはお客さまも来店します。建物や財産に関する保険に限らず、お客さまに対する賠償事故の補償も考える必要があるでしょう。

飲食店で起こりうる事故例

  • ノロウイルスなどの食中毒が発生した
  • 商品提供時のミスによってお客さまがやけどを負った

小売店で起こりうる事故例

  • 陳列棚が倒れてお客さまが怪我をした
  • スタッフが買い物中のお客さまにぶつかり、お客さまの持ち物を壊した

そのほか、「店の看板が落下して通行人に怪我を負わせた」、「店の設備不良が原因でお客さまが怪我をした」など、さまざまなリスクも考えられます。お客さまに損害を与えてしまった場合を想定し、各種賠償責任保険に入っておくことも必要です。

休業リスク

上記のような損害や賠償責任リスクが発生した場合、店舗の休業もやむを得ない状況になることもあるでしょう。休業期間が延びるほど、利益獲得機会の損失に繋がります。また、休業期間中の食材を仕入れていた場合にはその分の損害や処分費用、従業員への給与の補償なども発生するでしょう。
休業リスクは休業期間が長くなるほど影響が大きくなるため、保険による対策が重要です。

店舗向け保険の種類

店舗向け保険にはさまざまな種類があるため、それぞれの保険の特徴をご紹介します。
なお補償範囲の詳細は保険会社や商品ごとに異なるため、よく比較してから契約することをおすすめします。

火災保険

火災や風水害・落雷などの自然災害による建物や店舗内の設備、什器への損害を補償する保険です。自然災害だけでなく、失火による火災事故や盗難、店舗への自動車の衝突などの損害も補償されます。
特に飲食店においてはガスや火を扱うため火災のリスクが高く、火災保険には必ず入っておきましょう。

施設賠償責任保険

施設賠償責任保険とは、店舗・施設の過失によって顧客や通行人に損害が発生した場合に補償される保険です。
例として、飲食物をこぼして顧客の衣類を汚してしまった際のクリー二ング代や、やけどを負わせてしまった際の治療費、店舗の看板が倒れて通行人がケガをした際の賠償責任を補償します。
従業員の過失や設備の不備などは発生リスクが高いため、飲食店などの店舗は施設賠償責任保険への加入をおすすめします。

PL保険(生産物賠償責任保険)

PL保険は、Product Liabilityの頭文字で、生産物賠償責任保険といいます。製造業者などが製造・販売した製品が原因でケガを負わせたり、他人の物を壊したりした際に、1995年に施行された製造物責任法(PL法)に沿って損害を補償する保険です。
飲食店の場合は提供する料理が製造物に該当するため、食中毒が発生した場合などにPL保険による補償を受けることができます。

店舗休業補償保険

火災やガス爆発などの破裂・爆発、自然災害、盗難などにより休業となった場合に、休業した間の損失を補償するための保険です。
保険商品によっては、隣接店舗や公共施設の事故、食中毒による業務停止期間の損失を補償できるものもあります。
毎月の賃料や社員への給与など、店舗が休業となっても経費の支払いが必要になる場合は、店舗休業補償保険への加入がおすすめです。

労働保険

労働保険は、労災保険(労働者災害補償保険)、雇用保険の総称です。従業員を雇っている場合は、労働保険への加入・保険料の支払いは雇い主の義務です。事業主は必ず労働保険に加入する必要があります。
労災保険は、業務中・通勤中の負傷・病気に対して保険給付が行われる制度で、正社員・パート、アルバイトなど雇用形態は関係なく適用されます。
雇用保険は、従業員が働けなくなった場合や失業した際の給付支給制度です。雇用保険は、正社員のほか労働時間などの条件を満たしたパート・アルバイトへも適用となります。

店舗総合保険

上記の火災保険、施設賠償責任保険、PL保険などをひとまとめにした、さまざまなリスクの損害補償を総合的にカバーできる保険です。それぞれの保険に個別に加入するよりも手続きをまとめられ、コストも抑えられるという特徴があります。
店舗総合保険は保険会社や保険商品によって補償範囲が異なるため、補償内容を確認して自店舗の特徴に合うものを選ぶと良いでしょう。
飲食店などではさまざまなリスクが想定されるため、補償内容が充実している店舗総合保険への加入が安心です。

店舗向けの保険の選び方

店舗向けの保険はさまざまな種類があり、どれを選べばいいか迷うこともあるでしょう。ここでは保険を選ぶ際の注意点、選び方についてご紹介します。

自店舗の業態・業種に合わせて選ぶ

店舗向けの保険は、自店舗の業種や業態、立地などに合わせて必要なものを選ぶことが大切です。路面店の場合、水害による損害が発生しやすいといえるでしょう。店舗が交通量の多い通りに面している場合は、自動車の衝突などのリスクも考えられます。また、建物の2階以上に店舗があるのであれば、排水設備が故障した場合階下に被害が及ぶ可能性があります。
飲食店であれば飲食物の提供形態、内容によってもリスクが異なるため、自店舗のニーズに合うものを選びましょう。

補償範囲をきちんと確認する

店舗向け保険は、保険会社や商品の種類によって補償範囲が異なります。トラブル発生時に補償範囲外だったことが発覚し慌てることのないよう、補償範囲をきちんと確認しておきましょう。補償範囲に含まれていない内容は、特約・オプションをつけることでカバーできる場合があります。
商品によっては保険金を支払えない場合も詳細に決められているため、複数の商品を比較検討しましょう。

上限額や自己負担割合も把握しておく

毎月の保険料や、保険金支払いとなった際の上限額についても把握しておきましょう。保険商品は損害金・賠償金のすべてを保険金でカバーできるわけではなく、上限額を越えた場合は自己負担額が発生します。自己負担割合は保険料に比例するため、経営の負担にならない程度に毎月の保険料とのバランスを見て決めると良いでしょう。

保険などの店舗経営の見直しもALSOKにお任せください!

店舗経営の際には、さまざまなリスクに備えて保険に加入するだけでなく、不審者の侵入や火災が発生した際にいち早く対応して被害を最小限に抑えるため、防犯対策を講じることも必要です。ALSOKでは、店舗の保険や防犯対策などをトータルでご提案、事前の対策から万が一の補償まで支援いたします。

損害保険

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ALSOKが損害保険代理店としてお客さまのニーズに合った保険商品をご提案します。
業務用現金等に生じる損害を補償する「ALSOKコーポレートマネーガード保険」、事業の早期復旧を支援する「ALSOKガードシステム総合保険」や「セキュリティユーザー火災保険」、サイバー攻撃による損害に備える「ALSOKサイバーリスク保険」等、さまざまなリスクを補償いたします。

機械警備:オンラインセキュリティガードシステム

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ALSOKの機械警備をご契約いただいている場合「セキュリティユーザー割引」が適用されます。もし、「現在の保険料が高い」、「補償内容を見直したい」などのお悩みをお持ちでしたら、防犯対策と一緒に保険も見直してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

店舗の損害保険はさまざまな補償内容の商品が販売されています。自店舗の業種や業態、立地条件などに合わせて、保険料の負担を考慮しつつ、自店舗に起こりうる損害リスクをカバーできる最適な保険を選びましょう。