野菜や果物の盗難を防ぐには?大切な農作物を守る畑の泥棒対策

果樹園の桃
2024.09.13

野菜や果物など農作物の盗難は、毎年被害が発生しています。大切に育てた農作物が収穫を前に盗まれてしまうのは、農業従事者の方にとっては精神的にも費用面でも大きな負担となるでしょう。果樹園や畑の泥棒対策はどのような方法が有効なのでしょうか。
本コラムでは、農作物や農機具の盗難被害の状況や効果的な泥棒対策についてご紹介します。

目次

農作物の窃盗被害状況

農作物の窃盗

警察庁によると、農作物の窃盗被害認知件数は令和2年が2,789件、令和3年は2,441件、令和4年は2,194件とゆるやかに減少しています。しかし、依然として2,000件以上発生していることから十分な対策ができておらず、被害を防げていない状況といえます。
また、農作物の窃盗被害は認知件数に対して検挙件数が少ないということも分かります。令和4年は認知件数2,194件に対して検挙件数は1,081件で、検挙率は49.3%となっており、検挙されたのは半数程度に留まっています。

出典:警察庁 犯罪統計資料 財産犯被害額・回復額及び被害品別認知・検挙件数(令和2年)
財産犯被害額・回復額及び被害品別認知・検挙件数(令和3年)
財産犯被害額・回復額及び被害品別認知・検挙件数(令和4年)

近年の農作物の盗難事例

農林水産省が作成した啓発資料(令和元年作成)によると、野菜・果物のなかでも、桃・ぶどう・キャベツ・はくさい・りんご・さくらんぼ・いちごなどの被害が多く報告されています。
近年の事例では、次のような盗難被害がありました。

【茨城県】

茨城県鉾田市で令和6年4月にメロン約600玉(60万円相)、5月に別のビニールハウスでメロン約500玉が相次いで盗難被害に遭いました。

【山梨県】

山梨県笛吹市では、収穫間際の桃が令和6年7月に100個(7万円相当)盗まれる被害が発生しました。また、令和4年7月には笛吹市、山梨市で数千個規模の桃の盗難被害が相次ぎました。そのほか、県内ではシャインマスカットなどの窃盗被害も報告されています。

【京都府】

京都府では九条ネギが令和6年6月に100キロ、7月に別の畑で約300キロ(9万円相当)が窃盗に遭う被害が発生しました。

出典:農林水産省 「農作物の盗難の実態と対応策」

泥棒被害に遭いやすいもの

トラクター

畑の作物のうち、泥棒被害に遭いやすいものにはいくつか特徴があります。
また、農地には農作物以外でも盗難への警戒が必要なものもあります。

収穫期の野菜・果物

収穫期の野菜や果物は狙われやすいといえます。茨城県が発表した平成30年~令和4年までの農作物の盗難被害状況によると、9月、10月に被害が集中しています。9月は茨城県内で生産されている桃やメロン、10月までは梨、ぶどう、りんごなど、秋口の収穫時期が重なっているのです。
収穫期が狙われるのは、管理や育成が不要なためすぐに食べられる、転売ができるといった理由が想定されます。特に旬の果物は野菜よりも単価が高いため、転売目的のために大量に盗まれるケースが多いようです。

出典:茨城県警察 農作物の盗難に注意

収穫期前の果物

収穫期を狙った農作物の盗難が多く発生していますが、収穫期前でも油断はできません。令和4年には熟していない桃が大量に盗まれ、その後フリマアプリに出品された事例があります。東南アジアでは青い実の桃を好んで食べる習慣があることから、外国人向けの犯行という見方もされています。
そのため、収穫期前でもあっても盗難対策が必要です。

農機具

農作物だけでなく、農機具・農業機械の盗難も多く発生しています。農業機械には、トラクターやコンバイン、耕運機などさまざまな種類がありますが、特に盗難被害が多いのはトラクター等の特殊自動車です。令和5年には全国で135件の盗難が報告されています。
狙われやすいのは、農地に放置されたままになっているものや、キーがついたままになっているものです。また、施錠をしていない倉庫やハウス内などに置いてある機械も被害に遭っています。日本の農業機械が高品質であることから、近年は盗難車両が不正輸出・転売されるケースも指摘されています。
農機具は高価で農作業への影響が大きいため、十分な対策を打つ必要があります。

出典:農林水産省 トラクター等の盗難について

農作物・農機具の泥棒対策

ビニールハウスとトラクター

農作物・農機具の盗難を防ぐためには、どのような対策ができるのでしょうか。

収穫後の農作物や農機具は鍵のかかる場所に保管

収穫した野菜や果物は果樹園内や畑、ビニールハウス内に放置せず、鍵のかかる倉庫などに保管しましょう。また、収穫に使用するコンテナや脚立も犯行に利用されることのないよう、置いたままにせず片付けましょう。
農機具も、農地に放置されたままの状態は狙われやすいといえます。翌日も同じ場所で作業をするといった場合でも、鍵のかかる倉庫に移動させて保管しましょう。
保管する倉庫の施錠も習慣にする必要があります。

農機具はキーを外し農地に放置しない

農林水産省のデータによると、2021年から2023年にかけての農機具盗難被害のうち27%が農地に放置された状態で発生しました。また、エンジンキーの管理状況の観点では被害の35%が車内にキーを放置した状態のものです。
そのため農機具は、作業の終了時に必ずキーを抜き、農地に放置しないようにしましょう。
ハンドルロックやチェーン、南京錠などでタイヤをロックするなど、できるだけ多くの対策を講じることが盗難防止に効果的です。

出典:R5農機盗難防止チラシ(農林水産省作成)

警戒中の看板を設置

「盗難防止警戒中」「盗難注意」といった看板やのぼり旗を設置することで、泥棒のターゲットになりにくくする効果があります。「立入禁止」「農薬散布直後」などの記載でも良いでしょう。
防犯カメラを設置している場合は、「防犯カメラ作動中」といったステッカーや看板を設置することで、実際のカメラ設置場所がわからなくても抑止効果を発揮できます。

センサーライトの設置

センサーライトは侵入者にセンサーが反応して点灯するため、光で侵入者を威嚇することができます。犯人は人目につきにくい農地を狙う傾向にありますが、明るく照らされることで周辺の住民や管理者の目が向きやすく、闇にまぎれた犯行を防げることができます。また、センサーライトは泥棒だけでなく害獣対策にも効果的です。
センサーライトのなかには、点灯と同時に警告音がなり、より抑止効果が期待できるタイプもあります。

フェンスや柵の設置

フェンスや柵の設置によって、物理的に侵入しにくくなります。フェンスや柵はセンサーライトと同様、害獣の被害も防ぐ効果があります。より突破されにくいものを選ぶなら、乗り越えにくい高さ、形のものや、切断、破損されにくい材質のものがおすすめです。

防犯カメラの設置

防犯カメラを果樹園や畑、倉庫前に設置することで、野菜や果物、農機具の盗難防止に役立ちます。また抑止効果だけでなく、被害発生時の証拠としても活用できます。
農作物の窃盗は作業者がいなくなる夜間から早朝に狙われることが多いため、赤外線機能搭載など夜間の撮影が可能なカメラを選びましょう。犯人は農作物や農機具運搬のために大型車両を乗りつけていることが多いことから、防犯カメラによって車両の特徴やナンバーがわかり、犯人特定に役立つ可能性もあります。
自治体によっては、防犯カメラ設置の補助金を設けている場合もあるため、お住まいの自治体に確認してみてください。

定期的な見回りを行う

定期的な見回りを行うことで、下見を行っている場合も含めて不審者の早期発見や抑止につながります。しかし、農作業の時間以外に見回りを行うことは体力的負担となり、人員が不足している場合や、収穫期など繁忙期であればさらに難しくなります。その場合、見回りは地域の生産者と協力して行う、または警備を依頼するといった方法があります。

地域の生産者やJA(農業協同組合)、警察署、自治体などに相談し、情報共有を行うことで被害拡大の防止にもつながるでしょう。場合によっては、行政や警察がパトロールを強化してくれるケースもあります。

上記でご紹介したいくつかの対策を組み合わせて積極的に自衛していくことで、大切な農作物の盗難被害を防止しましょう。

農作物の盗難対策はALSOK

ALSOKでは、農作物の盗難対策にも役立つサービスをご提供しています。

人物検出に特化したAIカメラで盗難予防

ALSOKでは、クラウド上でAI解析・検知が可能なAIカメラシステムをご提供しています。高精度な人物検出が可能で、映像は最長3年間クラウドに保存できるため犯人の特定や再発防止に役立ちます。また、侵入やフェンス越えを検知して管理者へアラート通知が行われるため、被害発生前に現場に向かい対応することも可能です。

高機能センサーによる24時間機械警備

ALSOKの機械警備は、監視カメラにセンサーとスピーカーを内蔵し遠隔画像・音声監視を行います。センサーが異常を検知すると現場の画像と音声がガードセンターへ自動通報され、ガードマンが現場に急行し、対応を行います。また、監視カメラのライブ画像はご自身でもリアルタイムで確認できるため、天候被害の確認などにも役立てることができます。
また、果樹園や畑にフェンスを設置している場合、フェンスの乗り越えを検知するフェンスセンサーによって、不審者の侵入も警戒できます。フェンスに取り付けられたセンサーケーブルが、フェンスの乗り越えや切断があった際に侵入者を検知し、管理者へ通知される仕組みです。

・従来の監視カメラでは対応できなかった課題を解決する3Dレーザーレーダーセンサー

従来の監視カメラでは、光や夜間、天候の影響を受けて検知能力が低下してしまうという課題がありました。3Dレーザーレーダーセンサーは、物体の3次元画像を取得することで立体的な監視ができ、可視光に頼らない高精度の検知が可能です。車のヘッドライトや太陽光の影響を低減できるため、屋外警備のシーンでも活躍します。
また、人物なら30m、車両なら100m先まで検知が可能なため、果樹園や畑といった広域なエリアでの不審車両の進入などを効率よく監視でき、農機具盗難の対策にも役立ちます。ALSOKの機械警備と組み合わせることで、リアルタイムで異常を検知し、ALSOKの監視員が侵入者に対して音声で威嚇することもできます。

収穫期などにあわせて依頼が可能な巡回警備

ALSOKでは、プロのガードマンが果樹園や畑・倉庫の見回り巡回を行い、不審者の早期発見・被害拡大防止に努めます。農作物の盗難被害が増える収穫期にあわせて巡回警備をご利用いただくことで、繁忙期に見回りのための人員を割く必要がないため、盗難対策と同時に業務効率化も図ることができます。
ALSOKの「ネットdeガードマン」は、Web上で警備のカテゴリー、ご依頼場所、日時などの条件を入力するだけで簡単にお見積りができ、お急ぎの方にも安心してご利用いただけます。

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