緊急事態宣言下での日本・海外の治安情勢の変化
新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大を受け、日本国内はもとより海外においてもさまざまな情勢変化を余儀なくされている2020年。
そこで今回は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言下での日本および海外における治安情勢の変化の状況について紹介します。
目次
緊急事態宣言下における日本の治安情勢について
日本では2020年4月7日から東京都をはじめとする7都府県で緊急事態宣言が発令され、4月17日からは日本全国47都道府県に拡大されました。日本全国における緊急事態宣言は5月26日まで続き、STAY HOMEの呼びかけによる外出自粛、店舗や公共施設の休業が日本国内全域で実施されました。
日本の緊急事態宣言では、米国のロックダウンや英国の非常事態宣言と比較し厳格な指示がなされませんでした。しかし外出自粛の徹底が図られたことで、刑法犯の認知件数は前年同月比より約2割減少したというデータが得られています。
しかし、減少の幅は多くの人が外出を控えた状況下としてはさほど大きくないともいえます。どのような状況下でも、防犯に対する意識を緩めずに過ごすことが大切であると分かります。
新型コロナウイルス感染拡大に関連した治安や犯罪の傾向の変化
新型コロナウイルス感染症の影響による緊急事態宣言や外出自粛の流れにともない、日本国内における治安や犯罪の傾向に変化はあったのでしょうか。ここでは、2020年4月からの日本国内での新型コロナウイルス感染症に関連する犯罪など治安の変化についてご紹介します。
侵入盗
2月から5月頃までは外出自粛でたくさんの人が自宅から出ることなく生活をしていた影響か、忍び込みや空き巣など、住宅侵入盗の総数は減少しています。しかしその反面、事業所(企業や店舗・施設)などへの侵入盗は増加していることが分かっています。ただし緊急事態宣言が解除された6月以降、事業所への侵入盗は減少傾向を見せています。しかし出店荒らしの件数は9月~10月に微増となっており、街頭に活気が戻るとともに店舗を狙う侵入盗も増加に転じたと考えられます。
緊急事態宣言下においては、多くの企業がテレワーク(リモート勤務)を導入して在宅勤務を推進し、あらゆる店舗・施設が長期にわたって休業しました。その影響により、無人となったオフィスや店舗・医療機関などが侵入盗のターゲットとなったことが想定されます。
2020年の「住宅侵入盗以外の侵入盗」の発生件数ですが、新型コロナウイルスの感染拡大が進んだ2020年3月に前月の2月よりも増加しています。また緊急事態宣言が発令された4月も、人出が減った分だけ件数が大幅に減るということはなく、前月比では微減にとどまっています。特に事務所荒らしや出店荒らしの件数は、5月に入っても休業措置が継続された事務所・店舗が多かったことでさらに減少傾向がみられました。6月以降の緊急事態宣言解除後も一時的には減少が続いたものの、9月~10月では再び増加に転じています。
侵入盗以外の傾向
侵入盗以外の犯罪についても見ていきましょう。2020年4月からの大規模な外出自粛で、特に減った犯罪は「住宅侵入盗」や「自動車・オートバイなどの乗り物盗」、「すり・ひったくり」などです。いずれも人出が減り、犯罪自体が発生する条件が整わなかったことで発生が減ったと考えられます。
また特殊詐欺においては、新型コロナウイルス感染拡大にともない公的給付金・助成金に関する連絡を装った新しい形の詐欺が行われるようになりました。
110番通報の動向
警察への110番通報に関しても、新型コロナウイルス感染症の影響で傾向に変化がみられました。外出自粛が推進された結果、交通トラブルや路上・街頭の泥酔者に関する通報が減り、繁華街における喧嘩などのトラブルに関する通報も減少しています。
その反面、緊急事態宣言下では新型コロナの影響にともなうトラブルに関する110番通報もありました。品薄だったマスクの購入に関する対人トラブルや、自粛中にもかかわらず外出して花見をする人がいるなどの苦情による通報が目立っています。
海外における治安の変化
新型コロナウイルス感染症は全世界で猛威を振るっており、日本国内にとどまらず海外でも治安情勢に変化が生じています。
海外との治安情勢比較
緊急事態宣言後の犯罪増減について、主要先進国のなかから米国・英国の例を挙げ、国内の情勢と比較を行った結果が以下のグラフとなっています。
※国によっては一部データなし。
【米国の状況】
米国においては、2020年3月23日からロックダウンと呼ばれる外出禁止措置が採られ、日本よりも厳格に「外へ出てはいけない」という状況が設けられました。その結果、3月12日から3月31日までの犯罪総数は2割ほど減り、なかでも窃盗は4割近く減少する結果となりました。しかしその反面、ロックダウンによって企業や店舗が営業できず留守が増えた結果、窃盗のうち侵入盗は2割近くの増加となっています。
【英国の状況】
英国においても、3月12日から非常事態宣言が発令され経済活動の制限が実施されました。3月16日から4月12日までにおける犯罪総数は3割近く減少し、なかでも万引き犯は約半数の減少となっています。また外への人出が制限された影響か、暴行の発生件数も2割以上減る結果となりました。
【欧州全体(EU諸国)での状況】
EU諸国では、衛生用品や検査キットなどの偽造品、粗悪品の販売が多く発生しました。また日本においても発生している「特殊詐欺」と同形式の組織犯罪が多くみられました。
侵入盗による大規模な被害には、大きく報道もされたゴッホの絵画盗難事件がありました。オランダの美術館が新型コロナによる休館中に狙われたもので、被害額は1.2億円から7.2億円にも上るといわれています。
増加する事務所への侵入対策
現在の日本では経済活動も段階的に再開され、「ウィズコロナ」「アフターコロナ」などと呼ばれる新しい生活様式への対応とともに施設・店舗の営業や企業活動も再開しています。しかし、今後も大規模な感染拡大が起こる可能性はあります。もし外出自粛や営業自粛などの対応を再び採ることになれば、留守の建物を狙った事務所荒らしなどの侵入盗が増えることが考えられます。ここでは、事務所荒らしへの対応策についてご紹介します。
侵入盗対策
事務所荒らしなど侵入盗に有効な対策には、以下のような取り組みが挙げられます。
【防犯カメラの設置】
防犯カメラ設置のメリットは、その場の状況を逐一映像で記録することで万一の事態が起こった際犯人の特定につながるだけではありません。建物内外の目につく箇所に防犯カメラが設置されていることで、不審者に侵入を思いとどまらせる抑止効果にもつながります。また、防犯カメラを事務所内に設置することで、従業員などによる内部不正の抑止にもつながります。
【オンラインセキュリティの導入】
緊急事態宣言解除後も、テレワークを継続している企業が少なくありません。在宅勤務が推進される流れにおいて、企業内のリスク管理も効率化・リモート化が求められています。現場のライブカメラ映像をリモートで確認可能なオンラインセキュリティを導入することで、侵入盗対策もより効率的に行えます。ALSOKのオンラインセキュリティでは複数の事業所の出退勤確認を一元管理したり、施設内の安全管理をリモートで行ったりできるオプションも選定可能。留守中にも事業所をしっかり管理するための、積極的な対策を取り入れることが今後はさらに重要になるでしょう。
【防犯性の高い金庫の設置】
事務所内にどうしても貴重品を保管する必要があるなら、保管場所である金庫も防犯性がより高いものを選定しましょう。破壊されにくい頑丈な蝶番や、複数の鍵が設けられている金庫が適しています。また金庫ごと持ち出されないよう、建物の床や壁に固定しておくなどの対策も有効。さらに、金庫に強い振動や衝撃が加わるとそれを検知して警報を発したり、管理者や警備会社へ通報を行ったりするものであればさらに安心です。
事務所荒らし・空き巣対策については、以下でも詳しく紹介しています。
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まとめ
今回は、緊急事態宣言下での日本・海外の犯罪動向をご説明しながら、今後の新しい生活様式に適したセキュリティ対策についてもご紹介しました。
新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない昨今、密となる空間を設けないために人が分散して業務にあたる働き方がさらに推進されると考えられます。留守を狙った事務所荒らしなどの被害を防ぐため、今後の治安情勢に対応した防犯対策の取り組みが重要になっていくでしょう。