入退室管理システムとは?認証方法の種類や選び方
セキュリティの観点からオフィスに欠かせなくなっている入退室管理システムは、物理的に人の出入りを制限します。不審者の侵入を防ぐだけでなく、部外者の不正な入室・入館や機密情報の持ち出しを防ぐことにもつながります。現在、入退室管理システムにはさまざまな認証方法があり、幅広い業界で導入されています。
今回は、入退室管理システムの必要性やメリット、認証方法などについてご紹介します。
目次
入退室管理システムとは
入退室管理は、人の出入りを制限することで、建物や施設、部屋などへ関係者以外入室できないようにし、部外者や許可されていない人の不正な入室を防ぐことが目的です。
入退室管理システムは、従来の物理的な鍵ではなく電気錠(鍵を操作するため、電気的に施解錠する仕組みの錠前)を使用し、認証システムやカメラを用いて本人確認を行うことで解錠できます。こうした電気錠や認証システム、入退室履歴などを一元管理するソフトウェアやシステムを「入退室管理システム」と呼びます。
入退室管理はオフィス以外の多くの場所でも取り入れられています。例えば、病院では厳正な管理が必要な薬品・物品が保管されていますが、不審者の侵入や内部犯行によって、薬品に異物が混入されたり、物品・薬品を外に持ち出されたりすると大変危険です。そこで、薬品を管理する部屋に入退室管理システムを導入し、いつ・誰が部屋にいたのかを管理しているケースがあります。また、幼稚園や保育園でも、園児の安全を守るため不審者の侵入を防ぐ目的で入退室管理システムを導入し、施設関係者や保護者の入室を制限しているケースもあります。
他にも、研究データや教授・学生の個人情報など守らなければいけない情報が保管されている大学で入退出管理システムが導入されています。
入退室管理システムの必要性
オフィス内は、個人情報や企業の機密情報を扱い部外者の侵入を避けたい場所があります。人の出入りを制限したい場所に、入退室管理システムを導入することで、関係者や入室を許可された人以外は入退室できないようにすることが可能です。
また、夜間帯などオフィスに人がいない時間をねらった、侵入窃盗が発生する恐れもあります。入退室管理システムは、警備会社の機械警備システムなどと連携させて、無理に解錠しようとすると防犯システムが作動し、警備員が駆けつけるようにすることも可能です。オフィスのセキュリティ強化に入退室管理システムは非常に有効といえます。
他にも、従業員の入退室履歴が確認できることから、正確な労働時間の把握に役立ちます。
入退室管理システム導入のメリット
ここからは入退室管理システムのメリットを4つご紹介します。
部外者による不法侵入の防止
入退室管理システムの最も大きな役割は「部外者の侵入防止」です。関係者以外は入室できないように制限することで部外者を立ち入らせないようにします。
企業には、従業員や取引先、清掃員、配達員などさまざまな人が出入りしますが、それぞれに入室可能な部屋やエリアを限定することで不要な立ち入りや不法侵入を防ぐことができます。また、入退室の履歴を保存できるため、情報漏えいや盗難といったトラブルが発生した場合は、入退室の履歴を確認し出入した時間帯や人物を追跡することができます。
警備コストの削減
施設の出入口に入退室のチェックのために警備員を配置している場合、入退室管理システムを導入することで警備員を配置せずともセキュリティを強化することができます。入退室管理システムは社員証などのICカードや関係者のみが知っている暗証番号、顔認証で本人確認を行うため、厳正な入退室を可能にするだけでなく、警備コストの削減とセキュリティ強化を実現します。
情報漏えい対策の強化
従業員や顧客の個人情報・機密情報などの情報は、厳重に管理しなければなりません。それらの情報が漏えいしてしまうと、罰則や損害賠償、企業イメージの悪化につながる可能性があり、企業にとって大きな脅威となってしまいます。
入退室管理システムを導入し許可された人以外は立ち入れないようにすることで、部外者の不法侵入や内部不正の防止に役立ち、情報漏えい対策の強化に繋がります。
勤怠管理・労務管理の効率化
入退室管理システムは、従業員がオフィスに出入した時間帯も把握することができるため、勤怠管理に役立てることが可能です。最初に入室した時間を出勤時間、最後に退室した時間を退勤時間とみなせば入退室するだけで勤怠管理が可能です。また、タイムカードを使用しなくても勤怠管理ができるため、勤怠管理システムや労務管理システムと連携させることで、勤怠管理・労務管理の効率化を図ることができます。
入退室管理システムの主な確認方式
暗証番号
暗証番号による入退室管理システムは、数字・文字をテンキーで入力し、ドアを解錠するシステムです。入退室の履歴までは記録できないことが多く、認証だけに特化したシンプルなシステムとなっています。低コストで設置できますが、暗証番号を盗み見られてしまう危険性があるため、入力する際には周囲に不審な人物がいないか注意が必要です。
また、認証の際にテンキーに触れるので、感染症が流行している場合や集団感染が起きた場合には感染のリスクがあります。
ICカード
ICカードによる入退室管理システムは、設置されたリーダー(認証ツール)にICカードをかざしてICカードのIDを読みとる方法です。社員証と兼用することが多く、情報漏えい防止の観点からパソコンやプリンターの認証デバイスとして利用されていることもあります。しかし、ICカードの紛失リスクがあり、カードの管理には注意が必要です。
QRコード
利用者ごとに発行されたQRコードを認証端末のカメラにかざし、読み取ることで入退室を管理する方法です。社員証やカード、印刷紙にQRコードが印字されているものや、スマートフォンの画面にQRコードを表示するものがあります。低コストで設置できますが、カードやスマートフォンの紛失リスクがあります。
生体認証・バイオメトリクス認証
生体認証・バイオメトリクス認証は、人がもつ生体的な特徴(指紋や顔など)を利用した認証方法です。認証の精度が高いだけではなく、カードやスマートフォンの紛失リスクやなりすましが困難なため、セキュリティレベルが非常に高い入退室管理システムとなっています。種類も豊富で、指紋認証や静脈認証、虹彩認証、顔認証、声認証などがあり、用途によって選択することができます。
認証を正確に行えることは重要ですが、それと同時にプライバシー保護の観点にも配慮しなければなりません。生体認証などで得た情報を悪用しない・されないための仕組みや取り決めを設けておく必要があります。
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入退室管理システムを比較する際のポイント
自社のニーズに合ったセキュリティ強化や業務効率化が可能か
入退室管理システムを導入する際に大切なことは、自社のニーズに適したものを選ぶことです。どういった用途で使用するのか、どのような認証方法にするのかなど、目的によって適した入退室管理システムが異なります。さまざまな種類の入退室管理システムから、自社のニーズに合ったセキュリティ強化や業務効率化が可能なものを選択するために、目的や導入箇所を決めることが重要です。
認証方法が自社に適しているか
ICカードや生体認証・バイオメトリクス認証といったさまざまな認証方法から、自社に適した認証方法を選びましょう。
例えば、非接触型のシステムを導入したい場合は、セキュリティレベルの高い顔認証システムやICカード認証が適しています。コストをできるだけ抑えたい場合は、暗証番号方式による入退室管理を利用すると良いでしょう。
「セキュリティレベルの高いもの」「コストを抑えることができるもの」といった企業側のメリットも重要ですが、従業員の利便性を考えることも大切です。
具体的には、「資料等で両手がふさがっている場合でも入室できるよう、タッチレスの認証システムを利用する」「なりすましを防ぐため、生体認証システムを活用する」など、現場の働き方を想定して、自社に最適な認証方法を選択しましょう。
他システムと連携できるか
入退室管理システムは他のシステムと連携させることで、より便利に活用することができます。例えば、勤怠管理システムと連携すると、正確な労働時間を把握することができ、勤怠管理の強化・働き方改革を推進することが可能です。また、入退室管理システムとオンラインセキュリティシステムを組み合わせることで、セキュリティレベルを高めることもできます。
入退室管理システムを選ぶ際には、さまざまなシステムと連携できるかどうか確認しておくと良いでしょう。
オフィスの防犯強化や業務効率化を促進するALSOKの入退室管理システム
入退室管理システムは会社の課題や社会情勢に合わせて、最適なものを選ぶことが大切です。
ALSOKの入退室管理システムは、1扉の簡易な出入管理システムから大規模ビルに対応したシステムまで豊富なラインナップを揃えております。お客様のニーズやご予算、施設規模に応じて最適なプランをご提案します。
さらに、ALSOKの機械警備オンラインシステムと連動させることで、セキュリティを解除しないと入退室できないようにする設定も可能です。万が一、施設内・構内で異常事態が発生した場合には、ガードマンが駆けつけ適切に対処します。
新たに入退室管理システムの導入やセキュリティの強化をお考えの場合は、施設やオフィスの入退室管理から警備までを一括管理できる、ALSOKの入退室管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
入退室管理システムを導入することで、セキュリティの強化や勤怠管理・労務管理の効率化を図ることができます。入退室管理システムを導入する場合は会社の課題やニーズに合わせて、最適なものを選ぶことが大切です。認証方法や他のシステムとの連携など、自社のセキュリティ対策の現状を確認し、適切な入退室管理システムを導入しましょう。