フリーアドレスとは?メリット・デメリットと導入の失敗を防ぐポイント

フリーアドレスとは?メリット・デメリットと導入の失敗を防ぐポイント
2024.10.30更新(2022.03.17公開)

昨今、新しいオフィスの形の1つとして「フリーアドレス」と呼ばれる、固別のデスクをつくらずオフィスの好きな場所で仕事ができる働き方が広がっています。
本コラムでは、働き方改革により、今後も注目を浴びていくフリーアドレスの概要やメリット・デメリット、導入を成功させるポイントをご紹介します。

目次

フリーアドレスとは?

フリーアドレスとは、社員それぞれの固定席を持たず、都度自由な席を選んで働くワークスタイルのことを指します。従来のオフィスでは社員に個別のデスクが定められていましたが、フリーアドレスは無線IP電話や携帯電話、無線LAN、Wi-Fi環境、ノートパソコンなどを導入することで可動性の高いワークスタイルでの業務が可能です。また、基本的にデスク周辺に荷物ワゴンや収納スペースがないため、代わりとして専用のロッカーが割り当てられ、荷物や書類は個々のロッカーに保管します。

フリーアドレスが注目されている背景

ここからは、フリーアドレスが近年大きく注目され、急激に浸透している背景や、各社がフリーアドレスを導入する目的についてご紹介します。

ICT(情報通信技術)の発展

日本のフリーアドレスの歴史は、1980年代までさかのぼります。1987年に清水建設技術研究所で、実験的に導入された事例が日本で最初のフリーアドレス導入例とされています。ICT(情報通信技術)の発展により、無線LANやWi-Fi環境の整備、クラウド管理によるペーパーレス化などの技術が取り入れられ、遠隔でのスムーズな業務が可能となりました。このようにオフィス業務のデジタル化が進んだことで、一般的なオフィスにおいてもフリーアドレスの導入が実現されています。
また、2010年代後半からの働き方改革により、テレワークやフレックスタイム制など働き方の多様化もフリーアドレスの普及を後押しすることとなりました。

テレワークの促進

働き方改革や感染症対策の一環として多くの企業で急速にテレワークの導入が進み、働き方の選択ができるようになりました。場所を選ばずに仕事するという働き方が注目されたことで、柔軟な働き方を実現できるフリーアドレスの普及をさらに促進していると考えられます。

フリーアドレスを導入するメリット

オフィスにおいてフリーアドレスを導入することで、どのような利点が得られるのでしょうか。ここでは、フリーアドレス導入のおもなメリットをご紹介します。

スペースの有効活用とコストの削減

固定のデスクを用意しないことで、空いている座席を臨時の打ち合わせスペースとして活用したり、休憩スペースとして利用したりとその時オフィスにいない人の分のスペースを有効活用できます。またテレワーク導入によってオフィス在室者が減り、ペーパーレス化で保管する書類も減ります。使用するスペースの縮小に繋がり、賃料や電力コストの削減も実現可能です。

情報漏えいリスクの低減

各自のデスクに格納していた書類などをキャビネットに保管し、データ化して適切に整理整頓することで、物理的なインシデントによる情報漏えいリスクを軽減できます。また、個別のデスクを持たないことにより、資料や私物をデスクに置きっぱなしにすることがなくなります。さらに、専用キャビネットで保管することで、個人の荷物の紛失や盗難も防止できます。これにより、職場全体のセキュリティが向上し、より安心して業務に集中できる環境が整います。

社内コミュニケーションの促進

席が固定されないことで、部署やチームの垣根を越えたコミュニティが広がり、社内コミュニケーションの活性化につながります。普段あまり話すことがない部署の社員と隣り合うことで各部署が持つ知識や情報の共有が可能となり、部署同士のスムーズな連携や新しいアイデアの創出、生産性の向上なども期待できるでしょう。

社員の生産性向上やモチベーションアップ

フリーアドレスでは、その日の気分や業務内容によって就業環境を自分で決めることが可能です。仕事のしやすさ・集中しやすい環境は人それぞれ異なるため、自分で好きな席を選ぶことで仕事に対するモチベーションがアップし、業務効率化や生産性向上が期待できます。また、毎日違う席で仕事をすることはマンネリ化の解消にもつながるでしょう。

フリーアドレス導入のデメリット・失敗例

フリーアドレス導入には多くのメリットがありますが、導入にあたり注意しておくべき点もあるため、それらについても見ていきましょう。

フリーアドレス導入のデメリット

フリーアドレスを活かせない可能性がある

フリーアドレスを導入しても、社員が毎日同じ座席に座ってしまうと、座席が固定されていた頃と変わらない可能性があります。その状況を招いてしまうとフリーアドレスのメリットを最大限に活かすことは難しくなり、導入した意味があまりなくなるでしょう。そのため、定期的に席を替えるように促す、プロジェクトごとに席を移動するルールを設けるなど、柔軟な活用方法を取り入れることが重要です。

部署・グループ内の連携が取りづらい

席が固定されていないと、特定の社員の居場所を探すときに手間がかかります。上司もメンバーを管理しにくくなると、作業の進捗状況の把握が難しくなる可能性があります。他部署とのコミュニティが広がったとしても、部署内のコミュニケーションが薄くなってしまうことは避けなければなりません。
メール・チャットツールの積極活用や、週で曜日を決めて部署ごとに集まって作業するなど、部署やチーム内の連携を意識した体制作りが重要です。

集中しづらくなる場合がある

業務に無関係な会話が耳に入りやすいことや、毎日の環境変化がストレスになってしまうことも予測されます。集中して作業を行いたい人たちにとっては、フリーアドレスが生産性低下につながってしまう可能性もあるでしょう。
必要に応じて集中して作業できる空間や、専用の打ち合わせスペースを設けることも検討しましょう。

フリーアドレス導入を成功させるポイント

フリーアドレス導入の際は、そのメリットと注意点を意識する必要があります。ここでは、フリーアドレス導入時のポイントをご紹介します。

導入目的を明確にする

フリーアドレスを導入する前に、導入の目的やメリットを明確にしましょう。新しいことを取り入れる際は、目的を理解したうえで社員との目線を合わせることが重要です。目的が曖昧で、社員が理解・納得しないままでは、期待していた効果を得られないこともあります。
まずは複数の社員と協議して導入の目的を明確にし、社内で必要性の高い部署について導入を判断するなど、適材適所を意識して導入の計画を立てましょう。

業務マニュアルの作成

フリーアドレス化を進める際、従来のオフィス運用とは異なるルールや管理方法が必要です。特に社内情報の取り扱いやオフィス設備の利用方法、私物の管理方法などを見直しましょう。社員が快適かつ効率的に働ける環境を作るために、社内アンケートなどで社員の意見を取り入れながら業務マニュアルを作成し、作成後は全社員へ共有します。

部署ごとに運用体制を整える

フリーアドレスの導入が向いている部署があれば、適していない部署もあります。たとえば、専門的な業務においては隣席のメンバー同士で連携する必要があり、上司と部下、先輩と後輩が相互にフォローすることが頻繁な場合は座席を固定化した方が良い場合もあります。またコールセンターのような在席率が高く、自席のみで業務が完結する業種に関しても同様でしょう。
導入に適している職場においても、業務に集中できる空間や打ち合わせ用のスペースを両方設けておくなど、適宜環境を整備しておくことは重要です。

デスクや周辺環境の整備

フリーアドレス導入を成功させるには、デスクや周辺環境の整備が重要です。複数人で利用できる大型デスクや集中したいときに利用できる個別スペースの設置のほか、通信環境の整備、ロッカーの設置などフリーアドレス導入に必要な環境を整え、導入の目的に合わせたレイアウト設計を行いましょう。

サポートツールや管理システムの導入

フリーアドレスは、毎日決まった席に決まった人が座っているわけではないため各社員の状況把握が難しく、出退勤の確認が取りにくいというデメリットがあります。このため、どこにいてもスムーズに連絡がとれるよう座席管理システムやチャットツールを導入したり、勤怠管理の方法を見直したりする必要が出てくるでしょう。

業務のペーパーレス化を進める

紙の書類を扱うことが多い場合、書類の確認や受け渡しの度に相手がどこに座っているかを探して移動するのは手間がかかるうえに、紛失トラブルにつながる恐れもあるでしょう。ペーパーレス化を進めることで、書類業務にかかるコストが効率化され、紛失防止や保管スペースの削減が可能となります。デジタル化すればいつどこにいてもその場で書類を確認できるため、社内だけでなく顧客や取引先に対しても迅速に対応することができるようになります。

セキュリティ管理の強化

部署の規模が大きいと社員数も多いため、フリーアドレスによって顔ぶれが毎日変わり、外部の人がいても気付かない可能性があります。防犯カメラやセキュリティシステムの導入なども検討し、物理的なセキュリティインシデントを想定した対策を行いましょう。

働きやすいフリーアドレス環境の整備もALSOKがサポート

フリーアドレスにはメリット・デメリットが存在し、適した環境に導入することで効果を発揮します。また、導入する場合、フリーアドレスによって顔ぶれが毎日変わるため、入室制限を設けていないオープンスペースなどでは内部と外部の人の見分けがつかなくなることも想定し、防犯カメラやセキュリティシステムの導入も必要です。
ALSOKでは、フリーアドレスにも適した各種セキュリティサービスを多数ご提供しています。

監視カメラ・防犯カメラサービス

不審な人物の入室があった場合の証拠映像として入退室時の映像を録画しておくことはBCPの基本です。ALSOKの監視カメラ・防犯カメラは多彩なカメラを揃えており、さまざまな環境に対応できます。

顔認証システム・入退室管理システム

外部の人の入室制限をするだけでなく、勤怠管理システムとの連携も可能です。顔認証による出入管理で、非接触での入退室・なりすましの防止も実現できます。

PCマネジメントサービス

離れた場所からでも、社内パソコンの操作ログや外部デバイスの制御が可能です。また、ALSOKの情報警備監視センターが24時間365日監視を行うため、システム管理者の手間を削減できます。

まとめ

フリーアドレスは単に個別デスクをなくせばよいというものではなく、その目的を明確にし、メリット・デメリットを意識しながら導入の計画を立てることが重要です。働き方を見直すときには、社員の勤怠や情報セキュリティに関する手法の見直しも行わなければなりません。フリーアドレスの導入に際し、快適な職場環境作りや管理体制の刷新にお悩みであれば、ALSOKまでお気軽にお問い合わせください。