ICTとは?活用が進むICTと具体例

ICTとは?活用が進むICTと具体例
2024.01.31更新(2021.06.14公開)

現在、さまざまな場面で耳にする「ICT」という言葉。デジタルを活用した技術やコミュニケーションにかかわる用語であると想像できる方は多いでしょう。
この記事では、現在国策としても急ピッチで活用が進められている「ICT」について、その言葉の意味と代表的な活用事例などをご紹介します。

ICT(情報通信技術)とは

ICTとは、「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の頭文字を取った略称です。これと似た言葉で、「情報技術(Information Technology)」を意味する「IT」は多くの方がすでにご存じかと思います。また近年は、モノとインターネットのかかわりにおいて「IoT(Internet of Things)」という考え方も広く知られつつあります。
ここでは、ICTとIT、IoTの違いをくわしくご説明しながら、今後さらなる活用が進むとされるICTの意味をご紹介します。

ITとICTの違い

ITとICTの2つの言葉が持つ意味には違いがあるものの、それほど大きくは異なりません。従来広く用いられてきたITという言葉は、「情報に関する技術(テクノロジー)そのもの」を指す意味合いが強いものでした。しかし現代では技術の活用目的や方法に主眼を置く機会が増え、「ICT=情報技術を使ったコミュニケーション(使い方)」が重要視されています。
同義といっても良いITとICTですが、ITは「技術を取り入れること」自体を表しています。それに対しICTでは「情報や知識を共有することにより、世の中を豊かにすること」を示す意味合いが強まりました。

IoTとICTの違い

IoTとは「モノがインターネットとつながること」を指す言葉です。家電店などで商品が「IoT家電」と紹介されているのをご覧になっている方も多いと思います。
IoTは、携帯電話やパソコンなどインターネット接続が主目的の製品ではない、さまざまなモノをインターネット接続で便利にする技術や仕組みを指します。具体例として、声で家電の操作や情報の取得ができる「スマートスピーカー」が挙げられます。また、スマートフォンと連動して体調やスケジュール管理、キャッシュレス決済などが行える「ウェアラブル端末」も普及が進んでいます。

ICT・IT・IoTの関係

上記はICT・IT・IoTの関係を図で示しております。
ICTは「情報技術を活用したコミュニケーションを図り、世の中を豊かにすること」、ITは「情報に関する技術」、IoTは「IT(ICT)のあらゆる物品への応用」を指すと考えると、その違いが分かりやすくなるでしょう。

ICTの活用が進んでいる例

日常生活のなかで、ICTが身近に感じられる機会も増えました。ここでは、ICTの活用が進められている日常的なシーンや事例についてご紹介します。

教育現場での活用

現在、ICTの積極活用が報じられる機会の多い場所といえば、学校など教育の場です。2021年度からは文科省による「GIGAスクール構想」に基づき、小中学校では「1人1台端末環境下」での学習が始まりました。これは児童・生徒1人あたり1台のPCやタブレット端末を導入し、それらを教材の一環として授業や実習などに活用するものです。

GIGAスクール構想は、当初もっと長期的に進めることが考えられていました。しかし、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、オンライン授業の実施など教育現場も急激に変化が求められたことで前倒しされ、すでに本格運用が始まっています。

介護現場での活用

現在の日本は、高齢化率が21%を超え「超高齢化社会」と呼ばれています。団塊の世代の高齢化にともない2030年には高齢化率が30%を超えると予想されており、高齢化が急速に加速しています。そのため、要介護者の増加とそれにともなう人手不足を解消する有効手段として、介護の現場でもICT化が進められています。
介護のICT化といえば、「介護ロボット」など先進的な事例を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし施設で介護を受ける高齢者や、自宅で介護や介助を要する人の様子を確認する「みまもりシステム」の活用も、介護のICT化の一環といえます。
また、介護事務のネットワーク化による一元管理が進むことで、施設と医療機関が適正な連携を図れるなど、実務以外でのICT化も進められています。

総務省では、あらゆる業界におけるICT利活用促進を推奨しています。国によるICT活用促進の取り組みに関しては、以下もぜひご参照ください。

ICT利活用の促進|総務省
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/index.html

ICTのこれまでの歴史

ここでは、日本におけるICT化の歴史を振り返ってみます。

【~1980年代末期】
平成初期ごろまでは、一般家庭で通信回線につながった端末は固定電話だけでした。固定電話ではFAXが使えたため、FAXがあれば文字や図画による情報の送受信も可能だったという状況です。
【1990年代前半~2000年代前半】
個人使用に適したパーソナルコンピュータ(パソコン・PC)の普及にともない、データ通信やインターネットが一般化した時期です。ほぼ同時期に携帯電話も急速に普及しましたが、当初は音声通話に特化した機能のみを備えたものでした。
1990年代後半からは家庭用のデジタル回線が広く普及し、PCでの常時接続による高速通信が可能となります。同時期に、携帯電話でも限定的ながらインターネットへの接続ができるようになりました。
【2000年代後半~現在】
2000年代後半には、大画面を持ち多機能・高性能化されたスマートフォンが普及し、インターネットのモバイル化が進みます。2020年からは、大容量データの送受信もスムーズな5G通信網が実用化されました。現在では、モバイルインターネットが生活インフラの1つとして、人々の日常生活へ完全に定着しています。

今後のICTの動向

今後のICTの動向

ICTの活用が進むことで、生活や仕事などの環境も大きく変化しました。今後ICTはどのように活用が図られ、どのような形で人々の暮らしを豊かにしていくのでしょうか。

ビジネスのグローバル化・リモート化

ICTの普及で、人の移動をともなわない情報交換・情報共有が進み、ビジネスにおいては「新しいグローバル化(国際化)」がさらに進みました。
現在では、国を跨いだオンラインでの会議や打ち合わせなどを取り入れることも標準となりつつあります。この傾向は国内ビジネスにも影響を与え、テレワーク・リモートワークの一般化による勤務地を問わない就業形態を可能としました。昨今の情勢変化を機に、さらに進んでいくことが予測できます。

ライフスタイルの変化

ICT化は生活様式や働き方など、人々のライフスタイルにも変化をもたらします。GIGAスクール構想やテレワークの推進も、生活様式に直結する大きな変化といえます。今後は、家事に用いられる一般家電類や住居設備など、生活に密着したツールや設備のIoT化も進むでしょう。

これから注目・重要視されるICTとは?

先にもご紹介したスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスは、今後も多機能化・高性能化が進み、普及が加速するでしょう。また、情報通信機能を備えた自動車「コネクテッドカー」や、センサーや情報技術を活用した自動走行車「オートノマスカー」の本格的な実用化も期待されています。ひいては、人と家族のように共生する「パートナーロボット」のさらなる実用化が図られることも予測できます。

政府推進のSociety 5.0とは?

経済産業省は、2018年に発表した「DXレポート」の中で企業に対し、DX推進の必要性を訴えました。「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、デジタルによる変革を指し、AIやIoT、ICT、クラウドサービスなどを含む総合的なテクノロジーを活用し、企業がビジネスを創出したり、消費者の生活を向上させたりすることをいいます。ITの導入により作業プロセスを自動化するなど、ICTは企業の「DX」を成し遂げるための手段の1つです。
このようにICTの活用が進み、各国で官民協力のもとに産業界で新たなイノベーションが創生されています。例には米国の「先進製造パートナーシップ」や中国の「中国製造2025」などが挙げられますが、日本の「Society 5.0」もそれに準じた考え方といえます。

Society 5.0の基本的な考え方は、以下のように内閣府で定義されています。

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
引用:https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

個別に機能していたモノ同士がICTによってシステム化し、その個別システム同士が連携して自律化・自動化されることで、社会に新たな価値を創出するというものです。

以下は、総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)における、各国のICT導入状況をグラフにしたものです。

各国企業のICT導入状況(%)

日本企業のICT導入率は約7割と、他の主要国よりも低いという結果が出ています。なかでも、特に英国やドイツなど欧州企業でICT導入が広く図られていることが分かります。日本でも、先にご説明したSociety5.0の実現が視野にあることを考えると、9割程度の水準まで導入率を上げることが急務と考えられるでしょう。

ALSOKのICTを活用した取り組み

ALSOKの提供サービスはICTの発展に伴い大きく変化してきました。ICTの活用事例でもご紹介した、介護現場での「みまもりシステム」など、警備や介護などさまざまな事業分野でICTを活用しており、以下のような商品・サービスを展開しています。

・機械警備
従来は人が常駐をして提供していた警備サービスも、ICTの発展により、センサーやインターネットを活用した機械警備がうまれ、現在はリアルタイムで画像や動画で監視をする警備サービスを提供できるようになりました。

・店舗の現金管理や入金作業の自動化を可能とし、省人化による業務負担の軽減や売上データの集約による業務効率化を図っています。

・工場・建築現場でドローンの活用による外壁調査を行い、業務の効率化と作業員の安全確保を実現しています。

・商業施設への警備ロボット「REBORG-Z」を導入し、警備業務の負担低減と正確化を図っています。

・警備ロボットやドローンによる巡回・警備で、省人化と効率化を実現しています。

まとめ

ICTという用語だけでは難しく感じますが、「スピーカーに話しかけて天気予報を聞くこと」や、子どもの「オンライン授業」など生活に密着したさまざまな場面でICTは用いられています。現在、農林水産業やサービス業でもICT化が進められており、デジタル活用が図られた環境は特別なものではなくなっています。身の回りの多くにICTが活用され、さらにその数は増えていくことでしょう。