機械警備とは?機械警備の仕組みやセンサーの種類・活用のメリット
「警備」と聞くと、警備員が施設や敷地内を巡回している姿を想像するかもしれません。しかし、近年ではセンサー技術の向上により、センサーが異常を検知し警備会社へ通報、ガードマンが現地に駆けつける「機械警備」が実用化されています。これにより、警備員が現地に常駐・巡回することなく、より効率的なセキュリティ対策が可能になっています。
今回は、機械警備の概要や仕組みをご説明しながら、機械警備を導入するメリットや実際に活用できる機械警備ソリューションについてご紹介します。
目次
機械警備とは
機械警備とは、センサーなどの警報機器を活用して、建物や施設を無人で警備するシステムのことをいいます。警備員を常時配置する「有人警備」とは異なり、センサーなどの警報機器が建物への侵入や火災の発生を検知し、警報を発したり警備会社に通知したりします。
機械警備の仕組み
機械警備の仕組みは、警備員の代わりに設置されたセンサーなどの警報機器が中心となり、建物の異常を検知するシステムです。具体的には、ビルなどの警備対象施設に設置したセンサーが建物への侵入や火災等の異常を検知すると、ガードセンター(監視センター)に警報が届きます。ガードセンターでは受信した警報を確認し、必要に応じてガードマンが現場に急行、一次対応を行います。
これにより、万が一建物や施設内に異常が発生した場合に迅速に対応でき、被害を最小限に抑えることが可能です。センサーには、人感センサー、熱感知センサー、ガラス破壊センサーなどの種類があり、設置場所や用途に応じて使い分けます。この仕組みにより、夜間等の無人となる時間帯でも警備員に代わって監視を行い、異常が発生した場合には迅速に一時対処できるため、効率的な防犯や安全管理が可能です。
機械警備は機械だけに頼るわけではなく、センサーとガードセンター(監視センター)、ガードマンが連携することで、より効率的な警備体制をとることが可能です。
年々増加する機械警備の需要
出典:警察庁生活安全局生活安全企画課「令和5年における警備業の概況」
警察庁「令和5年の刑法犯に関する統計資料」
警察庁の調べによると、機械警備の対象施設数は2005年から右肩上がりとなっています。
これは、機械警備が手ごろな価格になり導入しやすくなったことが理由の1つとして挙げられ、多くの施設で機械警備が導入されるようになりました。
また、機械警備の導入数が増加するにつれて侵入窃盗の認知件数は減少傾向にあることが分かります。
2023年の機械警備の対象施設数は3,231,699施設となっていますが、今後も機械警備の需要はますます高まっていくといえるでしょう。
機械警備を導入する目的とメリット
機械警備は業種を問わず多くの施設や企業に導入されています。ここでは、機械警備を導入するさまざまな目的とメリットについてご紹介します。
人件費を削減できる
広範囲にわたる施設や建物を警備する場合、通常であれば多くの警備員を配置する必要がありますが、機械警備では警備員を機械に置き換えることができるため、管理の手間や人件費などのコストを抑えることができます。
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見落としや人為的ミスを防ぐことができる
センサーによって目視では分かりにくい状況下でも正確に異常を発見できるため、見落としや人為的ミスを防ぎます。特に警備が広範囲に及ぶ場所では、機械警備を導入することで警備員の業務負担を軽減し、効率的に対策することが可能です。
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夜間・人がいない時間帯もセキュリティ対策ができる
有人による警備は、休日や夜間などでも警備員を配置しなければなりません。しかし、社会全体の課題となっている人手不足によって、警備員の数も不足し、必要な人数を配置できず警備が手薄になる、あるいは長時間労働が常態化することが懸念されるでしょう。24時間の警備体制を万全に整えたい場合、機械警備を取り入れることで終日セキュリティ対策の強化が可能です。
機密情報・個人情報などの管理を厳正に行うことができる
企業では、機密情報や個人情報などを取り扱う場合もあり、情報漏えいを防止するために厳正に管理する必要があります。情報漏えいの防止対策は、サイバー攻撃への対策だけではなく、情報の不正持ち出しや不法侵入による盗難といった物理的な攻撃への対策も必要です。そこで、機密情報や個人情報を管理する場所に機械整備を設置することで、効率的にセキュリティを強化できます。24時間365日警備会社が監視し、いざというときは警備員が現場に急行し一時対応してくれるので安心です。
防犯カメラを併用することでどのような人物が出入りしたかも記録することができ、万が一トラブルがあった場合の証拠として役立てることもできます。また、出入管理と併用することで警備状態を解除しないと入室できないようにすることも可能です。
記録としてデータに残すことができる
機械警備のメリットとして、センサーログや監視カメラの映像がデータとして記録されることが挙げられます。これにより、何か異常が発生した際に、その時点の状況を後から詳細に検証することが可能です。侵入のタイミングや異常の発生時刻、場所などが正確に記録されているため、原因の特定や対応策の検討にも役立てられます。
セキュリティ強化を行い取引先や顧客の信頼性向上につながる
セキュリティ強化は、取引先や顧客との信頼関係を築き上げるためにもとても重要です。セキュリティを怠り、上述した情報漏えいなどが発生してしまうと、自社だけでなく取引先にも多大な迷惑をかけるだけでなく、損害賠償やブランドイメージの低下、世間からの信頼を失うなど、企業にとって大きな損失となりかねません。
顧客との信頼関係を構築できるよう、機械警備を導入してセキュリティ意識の高さを示すことが大事です。
機械警備に用いるセンサーの種類
機械警備にはさまざまな種類のセンサーがあり、ここでは代表的なものを紹介します。(センサーの写真は一例です)
空間センサー
屋内への侵入を警戒するセンサーです。人体から放出される赤外線による温度変化を捉えて、監視エリア内に人や動物がいることを検知します。オフィス、廊下、階段や天井に設置することで、室内全体を監視します。
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ガラス破壊音センサー
窓やドアなどのガラスが割れた時に発生する音を検知するセンサーです。窓から侵入する手口の一つに窓ガラスを破壊する「ガラス破り」があります。窓ガラスの近くにガラス破壊音センサーを設置し、警備システムと連動することで、すぐに異常を検知して警備会社に知らせることができます。
マグネットセンサー
ドアや窓の開閉状態を知らせるセンサーです。警戒中にドアや窓が開いて磁石とセンサー部が離れると異常として検知します。ドアや窓は最も狙われる侵入経路なので、マグネットセンサーを設置することで侵入者の監視に有効です。
熱感知センサー
火災の発生を知らせるために用いるセンサーです。センサー周辺が高温になると異常として検知します。各室内や廊下に設置することで火災による熱をいち早く感知し、素早く対応することができます。
シャッターセンサー
ガレージや倉庫などのシャッターの開閉状態を監視するセンサーです。警戒中にシャッターが開け閉めされると異常として検知します。夜間に無人となる建物や工場などで多く利用されています。
画像センサー
空間センサーと画像による複合処理で侵入者を検知するセンサーです。カメラとマイクが内蔵されており、侵入者を検知した場合、画像と音声を記録し、警備会社へ送信します。外付けスピーカーでライブ画像を見ながら音声通話が可能なため、現地と通話することや侵入者への威嚇が可能です。
その他の機器
上記センサーのほか、カメラ付きのセンサーと連動して、遠隔操作で不審者の視界を遮ることを目的に霧を発射する装置もあります。異常を検知するだけでなく威嚇により犯行を防止することも可能です。
このように、機械警備にはさまざまなセンサーや機器が使用されています。
防犯センサーの選び方や効果的な設置場所については次のコラムをご参照ください。
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機械警備を導入する際の注意点
ここからは機械警備を導入する際の注意点を紹介します。
所在地によっては導入が難しい場合がある
警備業法施行細則によりセキュリティが異常を感知したときに、25分以内に警備員が到着することが義務付けられています。規定を満たすエリアが限られるため、会社の所在地によっては導入が難しいことがあります。
誤報が発生する場合がある
機械警備では、センサーや警報機器が異常を検知して警報を発する仕組みのため、センサーの設置場所や周囲の環境によっては誤報が発生することがあります。たとえば、小動物や風で動く物体、自動で動く掃除機、さらには天候や温度変化が原因でセンサーが反応してしまうことがあり、ガードマンが現地に急行したものの、確認してみたら誤報だったという場合もあります。
定期的なメンテナンスが必要になる
センサーや警報機器は機械であるため、故障や経年劣化が発生する可能性があり、定期的な点検が不可欠です。そのため、初期費用に加えて、メンテナンス費用が継続的にかかる点も考慮する必要があります。万が一、機器の不具合が発生した場合、警備機能が一時的に低下するリスクがあるため、メンテナンスを怠らず、常に良好な状態を保つことが重要です。
ALSOKの機械警備の特徴
ALSOKでは、長年の警備業務で培った知識やノウハウを機械警備にも取り入れています。ここでは、ALSOKの機械警備のおもな特徴をご紹介します。
遠隔画像・音声監視
カメラを内蔵したセンサーとスピーカーを組み合わせ、センサーが異常を検知すると現地の画像と音声がガードセンターへ通報され、音声によって警告すると共に、最も近くにいるガードマンが現場に急行し一次対応します。複数拠点がある企業であれば、各拠点に設置されたカメラの画像を一括監視・管理を行うことが可能です。また、オフィスに設置した非常押しボタンとも連動させることができ、非常押しボタンが押されると現地の画像と音声がガードセンターへ通報されます。画像と音声で状況を確認・警告し、緊急を要する場合には関係機関に連絡するため、従業員が1人になってしまう場面でも安心です。
警備セット忘れ通知/遠隔警備セット・解除
予定時刻を過ぎても警備が開始されない場合にはメールでお知らせします。警備がセットされているか、オフィスに人が残っていないか確認でき、パソコンやスマートフォンから警備を開始することが可能です。警備セットを忘れてしまった場合や、管理者が不在でも遠隔で操作することができるので安心です。
ライブ画像確認
施設内のリアルタイムの様子を、遠隔地から確認することができます。オフィスが無人の状態で災害や窃盗被害などに見舞われた可能性がある場合も、離れた場所からすぐに内部の様子を確かめることが可能です。また、誰かが長時間残業をしていないかなど従業員の安全や勤務状況の管理にも役立ちます。
入退館時画像確認
建物などへの入退館時、外の様子をALSOK画像情報センターへ確認依頼することができます。入退館する際に発生しやすい押し込み強盗などの被害を防止するとともに、自身が外出するタイミングで外が安全な状態であるか確認することも可能です。特に人目につきにくい場所に出入口がある場合、セキュリティ強化のため機械警備を導入しておくことがおすすめです。
出退勤情報管理・入退室管理
従業員が事業所などに出入りする際、カメラ付き遠隔操作器と社員証等のICカードを利用して従業員の顔や氏名を記録します。電気錠と組み合わせることで出入管理や出退勤管理ができるとともに、操作履歴もWebサイトから確認できます。さらに、抽出した履歴は給与管理システムと連携することも可能です。建物内部の部屋も同様の方法で出入管理が可能なため、セキュリティレベルに応じて設定を変更することができます。
タイムカードが不要になるため打刻ミスや不正操作を防ぎ、効率化に役立つことでしょう。
タブレット表示
専用のタブレット端末から、建物全体の警備図面で警備状況を一括確認できます。離れた場所からでもすべてのフロアの施錠状況や窓・扉の開閉状況、センサーの状態、カメラの映像などをどこからでもすぐに確認できるため、業務効率を向上させることが可能です。
また、確認作業のみならず、警備の開始や解除の操作も専用タブレット端末から遠隔で操作することができます。
画像蓄積
IPカメラの映像をALSOKのサーバに送信し、クラウド上で保存します。ご自身でレコーダーを用意する必要がなく、クラウドに保存された映像はいつでも、どこにいてもパソコンやスマートフォンなどから閲覧することが可能です。録画した映像を手元に保存すると紛失や盗難のリスクがありますが、クラウドに保存することで紛失や盗難の心配がないことに加え、機器の故障によるデータ喪失や誤消去のリスクもありません。
そのほか、顔認証による出入管理システム、また画像認識技術を使用して人物や物品を検知するサービスなども展開しています。
まとめ
機械警備は効率的なセキュリティ対策を導入したい時、夜間や人がない時間帯もセキュリティ対策したい時などに有効です。ALSOKの機械警備では、各種センサーによる24時間365日体制のセキュリティ対策を提供しています。これにより、常に途切れることなく施設を守ることができます。
さらに、警備だけでなく出入管理や出退勤管理、損害保険などのサポートもオールインワンで提供するため、導入コストを抑えながら施設全体のセキュリティを強化できます。施設のセキュリティをご検討している場合は、お気軽にALSOKにお問い合わせください。