駐車場運営には防犯対策が重要!駐車場トラブルの対処法や防犯カメラの選び方

駐車場
2024.11.19

土地活用の代表的な方法の一つである駐車場運営は、安定的な運営と利用者が安心して利用できるように、防犯対策を講じておく必要があります。

本コラムでは、月極駐車場、コインパーキング等の駐車場を運営している方や、運営を検討している方に向けて、駐車場トラブルの対処法や防犯カメラの選び方等を解説します。

目次

駐車場の防犯対策はなぜ重要なのか

近年、駐車場における防犯対策の重要性が高まっています。その背景について見ていきましょう。

駐車場で自動車盗難や車上荒らし、部品ねらい等が発生している

「自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム」が公表している資料によると、例年駐車場において、自動車盗難や車上荒らし、部品の盗難等が発生しています。狙われやすい部品としては、ナンバープレートやカーナビ等が挙げられます。特にナンバープレート被害の割合は部品ねらいのうち44.1%と、約半数を占めているほどです。

自動車盗難や車上荒らしのおもな手口は、以下のとおりです。

  • 針金等を窓の隙間から差し込み、ドアを解錠して侵入
  • ハンマー等で窓ガラスを破壊して侵入
  • リレーアタックやCANインベーダー等の特殊な機器を使って解錠する
  • レッカー車等で車体をそのままけん引して持ち去る

実は自動車盗難や車上荒らしの多くはキーを差していない状態(施錠されている状態)で起きており、単に自動車のロックをかけるだけでは対策として十分ではない事例が大半といえるでしょう。

また、自動車盗難の発生場所別に見ると、令和5年の認知件数5,762件のうち、駐車(輪)場での発生件数は1,500件で、全体の約26%にあたります。

自転車盗難の発生場所別認知件数
出典:自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム「自動車盗難等の発生状況等について」を基に作成

このことから、駐車場を運営する際は自動車の盗難等が発生するリスクも考慮して、防犯対策も含めた運営体制を整えることが求められます。

駐車場内の自動車盗難や車上荒らしは管理者の責任が問われる?

駐車場内で盗難等が発生した場合、基本的には管理者の責任は問われません。しかし、利用者からの問い合わせは一定数あると想定されるため、適切に対応できるようにしておく必要があります。

駐車場の状態や契約内容によっては、万が一管理者の故意・過失がある場合、管理者の責任を問われる可能性もあります。例えば、防犯設備に関する虚偽の記載がある場合や、鍵を管理者が預かり自動車の管理責任を負っているケース等が挙げられます。

駐車場で発生しやすいトラブル

車上荒らし

ここでは、自動車盗難や車上荒らし以外の駐車場で起こり得るトラブルについて解説します。

無断駐車

無断駐車は、月極駐車場や私有地、マンションの駐車場等、様々な場所で発生しやすいトラブルです。駐車場を契約していないにもかかわらず勝手に駐車場を利用する人が現れると、契約している利用者にも迷惑がかかるうえ、駐車場運営の妨げにもつながります。

民法第601条では、「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。」とあり、賃貸借契約を成立させるため、駐車場の管理者は駐車場の利用者が適切に利用できる状態を維持する必要があります。

参考:e-GOV法令検索 民法 第六百一条

無断駐車によって他の利用者の権利が害されている場合は、管理者は適切に対応しなければなりません。ただし、レッカー車で強制撤去する、タイヤをロックする等の行為は自力救済にあたり違法行為となるため注意しましょう。
※自力救済とは、自身の権利を保護・回復するために、適正な法的手続きを経ずに行う実力行使のこと。

接触・当て逃げ等の事故

利用者同士の車の接触、当て逃げ等の事故が発生した場合は、基本的に当事者間での解決を図ってもらいます。ただし、防犯カメラの映像等があれば事故の早期解決につながる可能性もあり、管理者も捜査協力等に対応する必要があるでしょう。

なお、盗難等のトラブルと同じように、駐車場自体に過失があった場合は管理者側が責任を問われる可能性もあります。

はみ出し

はみ出しとは、駐車場の枠線に収まらない状態で駐車されている状態です。他の利用者が駐車しにくくなるだけではなく、はみ出している部分に他の車が接触するリスクも高くなります。駐車できる台数が少なくなってしまうため、駐車場の面積が小さい場合、はみ出しの影響はより大きくなるでしょう。

精算機の破壊

無人運営のコインパーキング等では、精算機が破壊されて売上金が盗難される事例もあります。バールやドリル等の工具を使って無理やり荒らされるケースや、過去には精算機ごと奪われるケースも報告されています。利益損失に加え、精算機の修理費用、修理期間中の休業等の2次被害が発生することもリスクです。

不正出庫・料金の踏み倒し

駐車料金を支払いたくないがために、精算機に設置してあるバーを無理やり避けて出庫する、ロック板を乗り越えて逃走する等のトラブルも発生しています。バーやロック板が破損した場合、精算機のケースと同様に修理費用や営業できない期間の機会損失が発生します。

駐車料金を踏み倒す人は常習犯の可能性が高いといわれており、一度踏み倒しに成功した駐車場に戻ってきて同じことを繰り返すことも考えられるでしょう。不正出庫を行った人物を特定できれば、踏み倒した分の駐車料金や損害賠償等を請求できるので、防犯カメラを設置する等のセキュリティ対策が重要です。

不法投棄

私有地内の不法投棄は、不正利用や機器の破壊等とは異なり、施設管理者の管理責任になるため管理者側が対処しなければなりません。ただし不法投棄自体は犯罪行為のため、投棄した人物が見つかり次第、法的手段をとることは可能です。

設備不良

精算機や発券機の故障、ゲートが開かず出庫できない等、駐車場の設備に問題が発生することもあります。定期的なメンテナンスや巡回等によって、設備に問題がないかを確認し、万が一設備不良があった場合には早期に対処することが大切です。

駐車場の防犯対策

防犯カメラ

駐車場での事故やトラブル発生のリスクを抑えるには、どうすれば良いのでしょうか。

防犯カメラの設置

効果的な対策の一つが、防犯カメラの設置です。精算機の周辺、出入り口のバー付近等に設置すれば、精算機の破壊や不正出庫等のトラブルを監視することができます。また、駐車場全体を撮影できるようにすることで、車上荒らしの防止につながるうえ、トラブルが発生した際の証拠収集にも役立ちます。

ただし、人の手が届く場所に防犯カメラを設置すると破壊されるリスクがあるため、できるだけ高い場所に設置したほうが良いでしょう。

注意喚起のための看板を設置

防犯カメラを設置していても、利用者がその存在に気が付かなければ抑止力の効果が見込めません。「24時間防犯カメラ作動中」「防犯カメラで監視中」等と表記した看板を目につく場所に設置すると良いでしょう。併せて、「不審者を発見次第すぐに通報します」「不正利用厳禁」等の注意喚起の文言も記載しておきます。

照明、センサーライトの設置

日本損害保険協会の調査によると、自動車盗難、車上荒らしはともに深夜帯(22時~9時)の発生割合が50%以上となっています。深夜帯の犯罪発生を防ぐため、駐車場内に照明を設置することや、人や車が通ったときに点灯するセンサーライトの設置も効果的です。駐車場が明るく照らされていることで、安心して利用できるでしょう。

参考:日本損害保険協会 第25回 自動車盗難事故実態調査結果

フェンス、ゲートの設置

利用者以外の人も簡単に出入りできる駐車場は、自動車盗難や車上荒らしのターゲットにしやすい場所といえるでしょう。フェンスやゲート等を設置することで、不正に出庫しようとするとフェンスやゲートが妨げとなり、自動車盗難に対する抑止力になります。

警備会社へ監視を依頼

駐車場管理サービスを提供している警備会社に監視業務を依頼する方法もあります。警備会社のサービス内容としては、警備員配置に加え、防犯カメラによる遠隔監視や、トラブル発生時の駆けつけサービス等が挙げられます。単に防犯カメラを設置するだけでは不安、プロにまかせたいという場合は警備会社へ相談しましょう。

駐車場の防犯カメラの選び方

駐車場に適した防犯カメラを選ぶ際は、以下のポイントを意識すると良いでしょう。

高画質

駐車場内のトラブルを解決するためには、人物や車種、ナンバープレートが鮮明に映る高画質のカメラを選ぶことが重要です。高画質かどうかを判断するには、画素数をチェックしましょう。画素数がフルHD(1920×1080)のものや、4K(3840×2160)のものがおすすめです。

赤外線機能

自動車盗難や車上荒らし等の犯罪は深夜帯に起きやすいため、暗所での撮影が可能な赤外線機能や、デイナイト機能のあるカメラを選びましょう。夜間や逆光でも鮮明に撮影できる防犯カメラを選ぶことで、人物の特定やトラブルが発生した際に状況把握しやすくなります。

防塵・防水機能(IP規格)

駐車場は屋外にあることがほとんどです。駐車場に防犯カメラを設置する際は、ほこりや塵の侵入を防ぐ「防塵」機能や、雨水等の侵入を防ぐ「防水」機能を備えているカメラを選ぶようにしましょう。防塵・防水機能は、国際的な規格であるIP規格によってその等級が定められています。
防塵機能が6等級(粉塵が入らない)、防水機能が6等級(あらゆる方向からの強い噴流水から保護できる)である「IP66」以上の防犯カメラを選びましょう。

画角の広さ

広い駐車場では死角ができやすいため、防犯カメラを設置しても死角に隠れて犯行に及ぶ可能性もあります。できるだけ死角をなくすためにも、画角が広いものや画角の調整ができるカメラを選ぶことをおすすめします。
駐車場の面積や状況によっては防犯カメラ1台ではカバーしきれない場合もあるため、面積や状況に応じて複数台設置することも検討してください。

駐車場の防犯対策はALSOKにお任せください

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ALSOKの防犯カメラ・監視カメラサービスでは、多種多様な機種の防犯カメラを取り扱っており、お客様のご要望や駐車場の状況に応じて最適なプランをご提案。カメラの設置から運用、メンテナンスまでトータルでサポートします。

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さらに、オンラインセキュリティシステム「ALSOK-G7」との併用も可能です。

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まとめ

駐車場で発生するトラブルは自動車盗難や車上荒らし、無断駐車、精算機の破壊等さまざまで、どれも駐車場運営における損害につながります。トラブルの発生を未然に防ぐだけでなく、万が一事故やトラブルが発生した場合に被害を最小限に抑え、二次被害を防止するため、防犯カメラやセンサーライトの設置、セキュリティサービスの導入等、防犯対策を講じるようにしましょう。駐車場の防犯対策でお悩みの方はお気軽にALSOKにお問い合わせください。