ペイシェントハラスメント(ペイハラ)とは?原因や事例、対策方法

ペイシェントハラスメント
2024.12.25

近年、医療の現場で課題になっていることの一つに、ペイシェントハラスメント(ペイハラ)があります。ペイシェントハラスメントが発生した場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
この記事では、ペイシェントハラスメントとは何か、その原因や事例、対策方法などについて解説します。現在ペイシェントハラスメントに悩んでいる方や、対策方法を考えている方はぜひ参考にしてください。

目次

ペイシェントハラスメント(ペイハラ)とは?

ペイシェントハラスメント(ペイハラ)とは、患者やその家族が医療従事者に対して行う暴言、暴力、理不尽な要求などのハラスメント行為のことです。医療の現場におけるカスタマーハラスメントともいえます。
ペイシェントハラスメントへの対応により本来の医療業務に支障をきたすだけでなく、他の患者にも影響が出る可能性があります。さらに、医療従事者の精神的負担につながり、離職の原因にもなりかねません。

ペイシェントハラスメントの事例

実際にあったペイシェントハラスメントの事例を、院内・院外の場面に分けて見ていきましょう。

【院内】

  • 暴言や暴力行為
  • 性的な言動や行為、いやがらせ
  • 土下座や謝罪の強要
  • 診療費の不払いや金銭補償の要求
  • 無許可での動画撮影

【院外】

  • インターネットやSNSでの誹謗中傷・脅迫
  • 医療従事者へのストーカー行為

具体的な事例を挙げると、物を投げつける・殴る・蹴るなどの直接的な身体的暴力や、「医療はサービス業だから患者が満足のいくサービスを提供しろ」と発言したり、診察順の繰り上げを求めたりするような威圧的かつ不当な言動などです。なかには、患者が医師を刃物で切りつけるなどの重大な行為も発生しています。
また、不必要に身体を触る、性的な言動を繰り返し行うなどのセクシャルハラスメントや、院外での医療従事者への待ち伏せ・付きまといなどのストーカー行為もペイシェントハラスメントに含まれます。

こうした迷惑行為を繰り返す「モンスターペイシェント」も多く、対応する医療従事者のなかには精神的に追い詰められてしまう人もいます。ペイシェントハラスメントは単なるいやがらせではなく、暴行罪や傷害罪、強制わいせつ罪などの違法行為に該当するものもあるため、決して看過できない問題です。

ペイシェントハラスメントが起こる主な原因

診察

ペイシェントハラスメントが起こる主な原因は、大きく分けて患者側の原因と病院・クリニック側の原因の2種類が考えられます。

患者側の原因

患者が理不尽なふるまいをしてしまう背景には、元々の性格や家族関係・人間関係でのトラブル、何らかの病気や障害が影響していること、「サービスを受けている客」という意識が患者側で強くなりすぎたことが考えられます。
また、医療に対する過度な期待や理解不足から、思うような結果が得られないと理不尽なふるまいをしてしまうこともあります。

病院・クリニック側の原因

患者やその家族はけがや病気に対して不安を感じていますが、患者の気持ちに寄り添って適切に対応できなかったために、患者の怒りを買ってしまったというケースもあるでしょう。例えば、長い待ち時間、スタッフの説明不足やオペレーションミス、高圧的な態度、情報共有不足による認識齟齬などが主な原因として挙げられます。なお、病院・クリニックに落ち度がなくてもペイシェントハラスメントが起こることもあります。

ペイシェントハラスメントに遭遇した際の対処法

実際にペイシェントハラスメントに遭遇した場合は、以下のように対処しましょう。

冷静に複数人で対応する

ペイシェントハラスメントが発生した場合は、落ち着いて複数人で対応しましょう。一人で対応するとコミュニケーションがうまく取れず認識の齟齬が生まれ、余計に患者やその家族を刺激する可能性があります。場合によっては、急に暴力をふるうことも考えられるため、暴力や危険行為を制止する効果も期待できます。スタッフの精神的にも余裕が生まれ、状況をより客観的に把握することができ、万が一証言が必要になった場合にも正しい情報を伝えることができます。

相手の話をしっかり聞くように心掛ける

理不尽なクレームや要求を受けても、まずは反論せずに患者の言い分をしっかり聞くことが大切です。途中で否定したり話を遮ったりすると、相手の感情を逆なでしてしまい、状況が悪化するおそれがあります。話を聞くことに徹し、丁寧な説明を心掛けましょう。

何に不満を感じているのか、患者側の思っていることや行動理由を整理していけば、自然と興奮が収まる場合もあります。

毅然とした態度で接する

不当な要求や理不尽な要求に対しては、毅然とした態度で、対等な関係を維持しながら接することも大切です。必要以上に下手に出ると、相手からの要求がエスカレートしてしまうおそれがあります。刺激を与えすぎないよう注意しなければなりませんが、不当な要求・行動に対してははっきりと拒否の意思を伝えましょう。

場所を変えて話し合いをする

相手が感情的になっている場合もあるため、別室に案内するなど場所を変えることも有効です。別室に移動することで、患者の気持ちが落ち着く可能性があり、他の患者の安全確保にもつながります。できれば、後々の対応も考慮して、証拠の確保の観点から防犯カメラが設置してある場所が望ましいでしょう。

なお、場所を変えたとしても相手が感情を抑えきれずに暴力や危険行為を起こす可能性があるため、花瓶など武器になるようなものを部屋に置かないように注意しましょう。また、万が一に備えてスタッフの避難経路も確保しておきましょう。

時間を空けて対応する

まずは相手の話をしっかり聞いた上で、その場で判断せず、時間を空けて対応することも有効です。時間を空けることで相手が冷静になるだけでなく、スタッフが周囲に相談したり対応マニュアルを確認することができ、適切に対処することができます。特に、電話の場合は折り返す旨を伝えて一度電話を切り、時間を空けてからの対応が効果的です。

警察や弁護士などに協力を求める

迷惑行為が長引く場合や、話し合いだけでは解決できない場合は、警察や弁護士など外部機関に相談することも検討しましょう。相談する際は、証拠となる映像や音声が必要になることが多いので、防犯カメラの録画映像やボイスレコーダーの録音データなどを準備しておきましょう。

ペイシェントハラスメントの事前対策

病院内の防犯カメラ

ペイシェントハラスメントを未然に防ぐ対策としては、次のようなものが挙げられます。

病院側の対応方針を明示しておく

ホームページや院内の掲示ポスター、文書などで、ペイシェントハラスメントに対する病院側の対応方針を明確に示しておくことで、ハラスメントの抑止につながります。トラブルを起こす患者に関しては、「強制的に退院していただきます」「診療をお断りします」「警察に通報します」といった内容を明示しておきましょう。

対応マニュアルを作成してスタッフへ共有・訓練を行う

トラブル発生時の対応方法や各所との連携などのルールを事前に取り決め、マニュアルを作成しておきます。作成したマニュアルは誰でも閲覧できるようにしておき、研修や勉強会、訓練などを定期的に行い、スタッフ全員が同じ習熟度を保つことが大切です。

防犯カメラを設置して証拠映像を録画する

トラブルを解決するために重要となるのがハラスメント行為や被害を受けた証拠です。証言だけでは一方的な主張と判断されるおそれがありますが、防犯カメラの録画映像やボイスレコーダーの音声データがあれば証拠となり、円滑な解決へとつながります。また、防犯カメラの設置をアピールすることで、「監視されている」という認識を持たせることができ、抑止効果が期待できます。

ペイシェントハラスメントはいつ何時起こるか分かりません。防犯カメラを選ぶ際は、昼夜問わず高画質の映像を記録できるカメラがおすすめです。

病院・クリニックのセキュリティ対策はALSOKにお任せください

ALSOKでは病院・クリニックのセキュリティ対策に役立つサービスをご提供しています。

防犯カメラ・監視カメラサービス

ALSOKの防犯カメラ・監視カメラサービスは、施設やお客様のご要望に合わせて多種多様なラインナップから最適なプランをご提案します。昼夜を問わず高画質な映像を記録でき、シンプルなオペレーションで誰でも簡単に操作、離れた場所からでも映像を確認することができます。工事費込みのお得なパッケージプランもご用意しています。オプションサービスで、ALOSKのデータセンターで録画映像を保管するクラウドサービスも利用可能です。

病院・クリニック向けセキュリティ

ALSOKの病院・クリニック向けセキュリティは、ペイシェントハラスメントだけでなく、不審者の侵入や薬剤の紛失・盗難など医療機関で発生しうるさまざまなリスクへの備えをサポートします。
ペイシェントハラスメント対策には、ALSOKの機械警備・オンラインセキュリティ「ALSOK-G7」の導入をおすすめします。施設内への侵入を検知した場合や非常押しボタンが押された場合にALSOKが駆けつけ一時対処するだけでなく、施設に設置したカメラのリアルタイム画像を、昼夜問わずパソコンやスマートフォンから確認可能です。施設のセキュリティ管理、スタッフによる不正防止にも役立ちます。また、通話機能を使い、離れた場所などから施設内の確認や指示を出すことも可能です。

病院内を安全に保つためには、防犯カメラの設置や機械警備の導入などのハード面だけではなく、スタッフへの防犯教育などソフト面の対策も重要です。ALSOKでは、施設の状況やお客様のご要望に応じて最適なセキュリティプランをご提案するだけでなく、護身術を含む防犯セミナーも実施しております。

まとめ

暴力・暴言、不当な要求、性的言動などのペイシェントハラスメント(ペイハラ)が行われると、本来の医療業務に支障をきたすだけでなく、他の患者にも影響が出る可能性があります。

トラブル時の対応方針を明示する、対応マニュアルを作成し定期的に訓練する、防犯カメラを設置するなど、事前の対策を十分に行うことで、いざという時にも適切に対応できるでしょう。病院・クリニックの防犯対策についてお悩みの場合は、お気軽にALSOKにご相談ください。