店舗で売上金管理をする際のリスクと対策を解説

店舗で売上金管理をする際のリスクと対策を解説
2024.11.29更新(2020.03.25公開)

小売やサービス業に従事する方は、日々の売上金管理のためにさまざまな工夫をしていると思います。特に店舗で売上金を管理する際は盗難や内部不正といったさまざまなリスクがあるため、管理体制を綿密に整える必要があるでしょう。
そこで今回は、小売店や飲食店、サービス業、商業施設など、現金を取り扱う店舗における売上金管理の注意点や、安全に管理するポイントなどを解説します。

侵入強盗の4割近くは店舗で発生している

侵入強盗の認知件数は、防犯対策が取り入れられ、年々減ってきています。しかし、警察庁「令和5年の犯罪」の侵入強盗の発生場所別認知件数を見てみると、商店が44.4%と最も多く、お店が狙われやすいことが分かります。侵入強盗は侵入窃盗、いわゆる泥棒に比べると件数が少ないものの、ひとたび発生すると従業員の身も危険にさらされる犯罪です。さらに、発生頻度の高い侵入窃盗に関しては商店で年間2,800件近く発生しています。侵入強盗、侵入窃盗を合わせると年間で3,000件近くの犯罪被害が発生しており、店舗の安全管理では強盗、窃盗などの盗難対策が重要だと言えます。

侵入強盗の発生場所別認知件数
出典:警察庁 犯罪統計書 令和5年の犯罪

売上金を自社や自店舗で管理するリスクとは?

売上金を自社や自店舗で管理するリスクとは?

売上金を自社・自店舗で管理することにはさまざまなリスクがあります。ここでは、自社・自店舗に大量の現金があることによるリスクについてご紹介します。

盗難

店内に現金を保管しておく限り、窃盗犯などに売上金を盗まれるリスクがあります。従業員が目を離した隙に現金を盗まれるケースや、夜間など従業員がいない間にレジや金庫ごと売上金を盗まれるケースもあり、防犯面での不安があります。

内部不正

店内に現金を置いておくことで、従業員による窃盗や横領など、内部不正のリスクも高くなります。従業員は最も現金に近い存在であり、安心して管理を任せていたらいつの間にか不正を働いていた、ということもありえます。従業員自身が窃盗するだけではなく、セキュリティ情報や現金の保管場所などの情報を従業員が外部に漏らし、強盗や侵入窃盗の被害にあう可能性もあります。

人為的ミス

犯罪や不正による被害ではなく、単純な人為的ミスが発生する可能性もあります。人間が現金を扱っている以上、ヒューマンエラーのリスクはゼロにはできません。例えば、営業締め時の売上金の確認漏れや現金の数え間違い、保管ミスなどが起きる場合も考えられます。また、売上金は全ての従業員が扱える訳ではないので、時間帯や曜日などで管理担当者が固定され管理業務が属人化すると、従業員ごとに作業方法や認識に齟齬が出てしまいます。その結果、安定した現金の管理ができなくなり、トラブルが発生することもあるでしょう。

管理における人件費

現金を多く扱う店舗では人件費の増加が避けられません。高額の現金を管理するには通常1~2人の従業員だけでは難しく、現金の管理をしている間に他の従業員が日常の業務を担う必要があり、売上と現金の照合にも時間と労力が割かれます。さらに、内部不正や盗難を防ぐために従業員数を増やすと人件費もかさむため、結果として利益を圧迫することにもなり得ます。

従業員の安全に関するリスク

日々の売上金を銀行窓口やATM、夜間金庫に入(出)金する作業を従業員が行っていると、そのルーティンを外部から覚えられ、強盗に狙われる可能性があります。また、店舗に多額の現金を保管していることが知られると、店舗自体が標的となり、強盗に押し入られるリスクが高まります。場合によっては従業員が怪我を負うことも考えられるでしょう。
このように「店舗で多額の現金が保管されている」という情報が外部に知られてしまうと、従業員の安全を脅かす可能性にもつながってしまいます。

代表的な売上金の管理方法

代表的な売上金の管理方法

日々の売上金を管理するための手段としては、以下に紹介するような方法が挙げられます。

銀行入(出)金

銀行入(出)金は、毎日の売上金を銀行の口座へ都度預ける方法です。銀行営業時間外に預ける際は、夜間金庫やATMを活用している方も多いでしょう。売上金が少額の場合は手軽で簡単な方法ですが、窓口で発生する待ち時間や、従業員が入(出)金に行っている間の生産性低下が課題です。さらに、最近ではコスト削減の目的で夜間金庫を閉鎖する金融機関も増えています。

コンビニATMでの入金

銀行が開いていない深夜まで営業している場合には、コンビニATMを利用する方法もあります。コンビニATMは24時間365日利用できることが大きなメリットで、運営している店舗の業態を問わず利用しやすいでしょう。また、銀行窓口のように、受付をしてから実際に対応してもらえるまでに時間がかかることもありません。ただし、コンビニATMでは基本的に紙幣しか取り扱いができないため、硬貨の管理は別途考える必要があります。

金庫に保管

店舗内の事務所やバックヤードに金庫を設置していったん保管する方法もあります。釣銭が不足した場合に両替が可能な場合もありますが、ある程度まとまった金額を店舗内に保管しておくため、万一窃盗事件が起こると被害が大きくなる危険性があります。

専用の入金機を使用

多店舗展開している企業の多くが導入している方法で、店内に警備会社が提供する専用の入金機を設置して管理する方法です。入金機に現金を投入した時点で現金は警備会社の管理下となり、金融機関への振り込みも警備会社が実施。従業員が直接振り込みを行う必要がないため、夜間金庫などに現金を持ち運ぶリスクや店舗内に現金を保管しておくリスクが低減されます。また、入金に関するデータもすぐ抽出できるため、日々の会計処理などの手間も最小限に抑えられます。ただし、出金機能が無い入金機ではいったん入金した現金を手元に戻せないため、店内で使用する両替金などのための現金は別途用意しておく必要があります。その場合、入金機とあわせ、両替金を運んできてもらうサービスを追加したり、出金や両替の機能がついた入出金機を導入するといった対応があります。

売上金を安全に管理するポイント

売上金を安全に管理するポイント

売上金をより安全に管理し、金銭だけではなく店舗全体の安全安心を保つために、どのような対策をすればよいでしょうか。
売上金管理の方法として、先にいくつかの管理方法をご紹介しました。店舗の安全対策として盗難や内部不正などのリスクを低減させたり、店舗をトータルに監視するためには、防犯カメラの設置や機械警備の導入が有効でしょう。そのうえで、多額の現金を取り扱うのであれば、専用の入(出)金機の導入が、店舗の売上金を守るための対策として有効です。

売上金はその日のうちに入金処理をする

不要なトラブルや心配をなくすためにも、日々の売上金はその日のうちに銀行などに入金しましょう。店舗内で管理している現金をできるだけ最低限にすることで、万が一トラブルが発生したとしても被害額を抑えられます。店舗の責任者が数日分をまとめて運び、入金するよりも安全な管理が可能です。

夜間まで営業を行っている店舗の場合、銀行の夜間金庫、コンビニATMで入金処理も選択肢の一つです。ただし、入金処理のために現金を持ち運ぶ際にひったくりなどの被害にあう可能性もあるため、複数人で対応する、窃盗犯に狙われにくいよう時間帯を分散させるなど、できる限りリスクを低減させるような対策が重要です。

売上金管理のルールを作成する

売上金管理に関するルールが作成されていない場合は、この機に作成しましょう。例えば、開店時にレジ内に保管しておく現金はいくらまでにするか、といったルールを決めておくことが大事です。1万円札が何枚、5,000円札が何枚か、硬貨もそれぞれ何枚かなど細かく設定することで、より厳密な管理ができるようになります。
また、レジの締め作業時に売上を確認する際は従業員2人で行う、店舗責任者と一緒に行うなどダブルチェックの体制で実施してください。また、入金処理も可能であれば2人体制で行う方が良いでしょう。
このような売上金管理のルールを作成したら、従業員に周知し徹底させるよう教育することが重要です。

現金回収サービスを利用する

毎日の売上が比較的大きい店舗は、現金回収サービスの利用も検討してみてください。現金回収サービスは、専門業者が店舗のニーズに合わせて売上金などの現金回収するサービスです。費用はかかるものの、現金の回収・輸送を委託することで、トラブルのリスクを大幅に減らすことができます。

防犯カメラや機械警備を導入する

防犯カメラや機械警備などを導入し、店舗内のセキュリティを強化するのも、有効な方法の一つです。侵入や強盗などが発生しても、防犯カメラの映像があれば犯人を特定する重要な手がかりになります。また、防犯カメラをレジや金庫の近くに設置することで、現金管理を担当する従業員の緊張感を高め、横領などの不正防止になるでしょう。
また、より強固なセキュリティにするには、センサーが侵入などを検知し警備会社へ通報、ガードマンが現地に駆けつける「機械警備」の導入が効果的です。夜間の侵入者対策など、従業員が誰もいない時間帯の防犯はもちろん、非常押しボタンによる通報も可能なため、日中に多額の現金があるような業種などでは、強盗の対策としても有効です。

入出金機オンラインシステムを活用する

従来の現金管理方法に不安を感じている場合は、入出金機オンラインシステムを活用してみてはいかがでしょうか。専用の入出金機を設置することで、両替・出金・売上金の計算・小口管理・口座振込なども便利に行えるようになります。人為的ミスの軽減や、管理業務の効率化、安全性の強化にもつながるため、売上金管理におけるトラブルをできるだけなくしたい場合は、ぜひ入出金機オンラインシステムを活用しましょう。

安全・効率的な売上金管理を実現する「入(出)金機オンラインシステム」

ALSOKでは、店舗内で24時間365日現金処理が可能な入(出)金機オンラインシステムをご提供しています。ALSOKの入(出)金機には機械警備が標準セットされ、投入された現金はALSOKの責任のもとで管理され、万一盗難等が発生しても全額補償対象となるため安心です。さらに、投入された金額や金融機関への振込み状況もWEBで確認でき、経営実態の把握を素早く行うことが可能です。翌日の釣銭も準備できるなど、入出金機オンラインシステムは多くのメリットがあるサービスです。売上金管理に関するお悩みがあればこの機会にALSOKの入(出)金機サービスを検討してみてはいかがでしょうか。

設置から運用までトータルサポートする「防犯カメラ・監視カメラ」

ALSOKの防犯カメラ・監視カメラシステムは、カメラシステムのベストを追求し、ローカルカメラ、ネットワークカメラの設置から延長保証サービスまで、ALSOKだからできるトータルサポートを実現しています。
夜間や逆光にも強く、高画質な映像を記録できるもの、外出先から室内の様子を確認できるものなど、施設・建物および個人の方のニーズに合わせた多くの種類の防犯カメラを取り揃えています。

最先端の機械警備・オンラインセキュリティ「ALSOK-G7」

ALSOK最先端の機械警備「ALSOK-G7」では、24時間365日ALSOKガードセンターがお客様の店舗を見守ります。企業や店舗の無人時にもセキュリティ対策を行いたいという場合は、防犯カメラと連動したALSOKの機械警備システムによって安全安心なセキュリティ対策が可能です。各種防犯センサーの異常を検知するとガードマンが現地に急行し、一時対応するだけでなく、店舗の状況をどこからでもリアルタイムに確認できます。お客様ごとのニーズに合わせたカスタマイズで効率的にセキュリティ強化を実現します。

まとめ

今回は、店舗や企業での売上金の管理について、想定されるリスクや適した売上金の管理方法などをご紹介しました。
現金は管理や運搬に際して大きな人的・物的リスクがあり、万が一の際の損失は企業の安全配慮義務の観点からも計り知れません。現金管理マニュアルを作成する、入(出)金機オンラインシステムや防犯カメラサービスを活用するなど、今一度適した管理方法について見直しやリスク対策を検討されてみてはいかがでしょうか。