話題のQRコード決済の仕組みと端末導入のメリット

話題のQRコード決済の仕組みと端末導入のメリット
2022.03.07更新(2021.09.14公開)

2018年から2019年にかけて「○○ペイ」などの名称で呼ばれるQRコード決済が普及し、話題を呼びました。さらに2019年10月からの消費増税に伴うキャッシュレス決済のポイント還元キャンペーンも追い風となり、いまや多くの方がQRコード決済を利用しています。
そこで今回は、QRコード決済の仕組みや、QRコード決済用端末を導入することのメリットについて、くわしくご紹介します。
なお、2021年秋ごろから一部のQRコード決済サービスについて決済手数料が有料化されています。それを踏まえた上で、店舗がQRコード決済を取り入れる有用性もご説明します。

目次

QRコード決済の仕組み

ここでは、QRコード決済の基本的な仕組みについてご紹介します。
QRコード決済で支払いが実行されるパターンには2通りあり、クレジットカードと連携して、支払いは登録したクレジットカードで行うものと、プリペイド方式であらかじめ決済システムにチャージした金額から決済額を差し引くものがあります。

また、レジでの決済手順も2通りあり、店舗側がお客様の提示したスマートフォンからQRコードを読み込む「ストアスキャン方式」と、お客様が店舗のレジに表示されたコードをスマートフォンの決済アプリで読み込む「ユーザースキャン方式」があります。

ストアスキャン方式

お客様側のスマートフォンなど各種端末のアプリ画面に表示されたQRコードを、店舗レジ担当者がレジの読み取り機器や決済専用端末で読み取って決済を行う方式です。

ユーザースキャン方式

店舗レジ担当者がお客様にQRコードを提示し、お客様側のスマートフォンなど各種端末内アプリのリーダー機能で読み取ります。その後端末画面の指示に従ってお客様自身が金額を入力し、決済を行う方式です。

ストアスキャン方式の場合は、店舗レジに決済を行うための読み取り機器や専用端末の設置が必要です。ユーザースキャン方式では店舗側がQRコードを提示する必要があるため、QRコードを掲載した印刷物の掲示か、QRコード表示専用アプリを入れたタブレット端末などが必要です。

いずれも、スマートフォンにアプリをインストールして、決済手段を登録することによりワンステップで支払いが簡単に行える仕組みとなっています。

飲食店や小売店での導入が進むQRコード決済サービス

以下は経済産業省の資料より、業種別のQRコード決済導入状況に関する最新(2021年前半)の結果を表にまとめたものです。

参照:経済産業省キャッシュレス決済実態調査アンケート

業種 飲食店 食品小売業 その他小売業 観光系サービス業 公共機関 その他サービス業
導入済み 68.40% 62.50% 71.00% 67.50% 41.50% 46.00% 22.30%
未導入 31.60% 37.50% 29.00% 32.50% 58.50% 54.00% 77.70%
合計総数 247 80 290 83 65 213 211

注釈:上記表の合計総数とは、経済産業省が実施したキャッシュレス決済導入状況を業種別に調査した総数のうち、回答のあった事業者数。

特に「導入済み」の回答が多く得られた業種は「その他小売業」です。次いで「飲食店」、「観光系サービス業」、「食品小売業」となっています。
小規模事業者が多い飲食店や観光業でも7割に迫る導入率で、急速にQRコード決済が普及・拡大していることがうかがえます。
「QRコード決済は便利」という印象が全国的に定着し、店舗にとってもあれば助かるものという認識が広まっていることが分かります。

QRコード決済サービス導入のメリット

QRコード決済サービス導入のメリット

急速に普及しはじめたQRコード決済ですが、ユーザーと店舗にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここではユーザーと店舗、それぞれの立場におけるQRコード決済サービスの導入メリットをご紹介します。

ユーザー側のメリット

・スマートフォンさえ持っていれば現金がなくても買い物ができる

QRコード決済が利用できる店舗が増えることで、現金を持ち歩くことなく買い物やサービス利用料の支払いができます。

・外国人も店員との煩雑な会話をせず、簡単に買い物ができる

外国人が来店した際、現金支払いでは日本円の取り扱いが難しいことに加え、言葉も通じにくく困りごとが増えるでしょう。QRコード決済を取り入れることで、簡単な会話だけでスピーディに買い物ができ、お札や小銭の数え間違いなども防ぐことができます。

・小銭のやり取りなどでレジでの決済に無駄な時間を使わずに済む

コンビニなどのレジで、お財布から小銭を取り出すうちに他のお客様が後ろで行列になっていた経験のある方も多いでしょう。QRコード決済ならスマートフォンを取り出してQRコードを読み取るだけ、もしくは金額を入力するだけなので、支払い時にレジ前でもたついてしまうことを防げます。事前に決済アプリを開いておけば、より支払いがスピーディになります。

・キャンペーンなどによるポイント還元率が高い

QRコード決済を提供する会社がキャンペーンを実施する機会もあるため、それらを活用すると還元されるポイントが2倍、3倍などお得になることもあります。ポイントを貯めている方にとっては、還元率が有利になる機会がある点もメリットです。

店舗側のメリット

・集客につながる

QRコード決済の利用可否で訪問店を決めるお客様もいるため、QRコード決済可能店舗であることをアピールする(店頭にステッカーを掲示したり、広告に記載したりする)だけで集客につながります。

・インバウンド効果が見込める

訪日客のなかには、既に現金よりQRコード決済のほうが身近になっている方も少なくありません。QRコード決済のマークを見て入店する外国人も多いため、QRコードを導入することで訪日客の集客が見込めます。周囲の店舗がまだQRコード未導入であれば、ライバル店との差別化も図れるでしょう。

・決済手数料がクレジット決済より安め

キャッシュレス決済の利用に伴い、導入店には決済手数料が課されます。ただしクレジット決済を導入するよりも、QRコード決済のほうが手数料を抑えられるケースが一般的です。システムや決済代行会社、業務形態などによっても異なりますが、クレジットカードの決済手数料は3%~6%前後です。対して、QRコードの決済手数料は2%前後で、決済代行会社がキャンペーンを行っている間は無料の場合もあります。このため、お得にキャッシュレスを活用したい場合はQRコード決済が比較的有利といえるでしょう。

・顧客の購入情報や購入履歴の確認が容易にできる

QRコード決済は、専用アプリ内にお客様の購入履歴や売上データが記録されます。データを確認するだけで売上状況や売れ筋や売れ行きなどを分析することが可能です。また、履歴のデータ化などもできるため、経理業務の効率化も期待できるでしょう。

・利用者が増えれば店頭で多額の現金を管理せずに済む

店舗で多額の売上金や釣り銭を管理することには、さまざまなリスクが伴います。
例えば、店舗に1日売上金を一時的に保管しておくと、紛失や盗難のリスクを高めてしまうことになります。レジに入れっぱなしの場合、店舗に泥棒が入ったり、従業員が売上金を持ち出してしまったり、トラブルに発展することも考えられるでしょう。そのため、現金での管理はセキュリティの面で注意しなければなりません。
QRコード決済利用者が増えてキャッシュレス化が進めば、管理する現金が減って店舗側のセキュリティリスク低減にもつながります。

・ユーザースキャン方式の場合、店側の手間がかなり省ける

お客様が店舗側のQRコードを読み取るユーザースキャン方式で決済する場合、レジ担当者がすべきことはQRコードの提示と入力金額の確認だけと、簡潔な対応で済みます。

上記のように、QRコード決済の導入には利用者側にも店舗側にも数々のメリットがあることが分かります。

QRコード決済の導入に伴う問題点

QRコード決済の導入に伴う問題点

非常に便利で今後のさらなる普及も期待されているQR決済ですが、このサービスにもいくつかの問題点があることが指摘されています。ここでは、QRコード決済導入の問題点(デメリット)についても、現在分かっているものについてご紹介します。

1. QRコード決済サービスの選択肢が増えすぎている

こちらは報道などでもたびたび指摘されていますが、「○○ペイ」などのQR決済サービスが多岐にわたりすぎてどれを選べばいいか分かりにくい点があります。

2. QRコード決済導入で店舗側の負担が増加している

サービスの数が多いため、複数の決済サービスを導入するとなれば店舗の負担が大きくなります。また、一部の決済サービスでは2021年秋から決済手数料無料キャンペーンが終了しており、2022年秋に決済手数料を有料化する予定のサービスもあります。今後は手数料による店舗負担も、本格的に考慮する必要が出てくるといえるでしょう。

3. QRコード決済のセキュリティリスクが指摘されている

大規模な不正利用の例もあり、QRコード決済にはセキュリティ面でのリスクがあることも分かっています。そのため現在では、二段階認証や本人認証などに対応したサービスがほとんどとなっています。

問題解決のためにマルチQR決済端末のサービスが拡大

問題解決のためにマルチQR決済端末のサービスが拡大

QRコード決済導入のデメリットを払拭し、メリットを可能な限り享受するためにも、店舗においては「マルチQR決済端末」の導入がおすすめです。
マルチQR決済端末サービスとは、多くのQRコード決済サービスの導入を1つの端末で行える仕組みを備えたソリューションサービスです。QRコード決済サービスブランドの判別やご利用控えの印刷なども、1台の端末があればまとめて行えます。

海外で提供されているQR決済サービスも利用できるため、外国人観光客による決済にも幅広く対応できるのもメリットです。個別の会計から最終的な集計までの処理を効率化できるものも選べ、QR決済サービス導入に伴う数多くの問題を解決できます。端末自体のトラブルにも素早く対応するサービスを付加したものもあり、その場合は万一の故障にも即日対応が可能になります。

ALSOKのマルチQR決済端末

ALSOKでも、QR決済ソリューションを取り扱っています。
ALSOKのマルチQR決済ソリューションの特徴は、数多くの決済ブランドに対応している点です。PayPay、d払い、au Pay、メルペイ、はまPay(銀行Pay)、LINE Payの国内サービスをはじめ、Alipay、WeChat Payの海外大手サービスにも対応しています。
端末1台でさまざまなQR決済に対応し、トラブルがあっても即日対応が可能な保守体制も完備。導入コストも抑えられて、店頭で使用する端末は小型の1台だけ。便利で簡単、安心なQR決済ソリューションをご用意しています。
※LINE Payは2021年9月30日を以って、加盟店新規お申込み受付を終了いたしました。

よくある質問

QRコード決済サービスの導入について、現在迷っているという方から多くのご質問が寄せられています。それらのなかから、特に多いご質問について以下にご回答します。

クレジットカード決済との違いは?

クレジット決済を導入する際には、決済のための専用端末を店舗レジに設置する必要があります。この専用端末を含めた初期費用が比較的高めになってしまいますが、QRコード決済の場合は初期費用が低く済み、ユーザースキャン方式の場合は専用の決済端末が不要です。
また、決済手数料もクレジット決済のほうが高めで、例えば個人店であれば1会計あたり3%~6%ほどが目安です。QRコード決済の場合は、決済手数料有料のサービスでも1会計で2%前後と抑えられます。

QRコード決済サービスの種類が多すぎて導入手順が分かりにくい

1サービス毎に契約するのではなく、最近は「マルチQR決済端末」の導入が一般的です。ALSOKでもマルチQR決済端末をご提供しております。国内で利用できる多くのQRコード決済サービスを一括で導入、管理が可能です。

まとめ

今回は、国内・海外で急速に普及しているQRコード決済の仕組みやメリット・デメリット、ALSOKでご提供しているQR決済ソリューションなどについてご紹介しました。
QRコード決済に関しては決済手数料有料化も話題に上っていますが、それでもクレジット決済と比較するとかなり決済手数料を低く抑えられます。これからは、クレジット決済が主流だったキャッシュレス決済のもう1つの手段として、QRコード決済の普及が引き続き加速していくでしょう。
これまでスマホ決済に馴染みがなかった方でも簡単に導入・活用でき業務も効率化できるため、話題の「○○ペイ」を導入したい中小企業・個人商店の方にもおすすめです。ぜひ、この機会に導入をご検討ください。