飲食店での迷惑行為対策とは?効果的な予防策と発生時の対応方法

悩む店員
2024.10.25

近年、飲食店での来店者による迷惑行為がニュースでよく取り上げられるようになりました。テレビの報道だけではなく、SNSで拡散された動画を目にしたことがある方も多いでしょう。迷惑行為を受けることで、その場面での対応以外にもさまざまな被害につながる可能性があるため、あらかじめ適切な予防策を講じる必要があります。
本コラムでは、飲食店での迷惑行為の事例や効果的な予防策、迷惑行為発生時の対応方法についてご紹介します。

目次

なぜ飲食店での迷惑行為が増えているのか

近年飲食店での迷惑行為が増えているのはなぜなのか、考えられる主な要因について見ていきます。

SNSの普及

大きな要因として挙げられるのが、SNSの普及です。SNS上では投稿内容への評価や拡散などの反響が分かりやすいので、承認欲求を満たすために、他の人がしない(できない)ことをしている様子を動画に撮り、アップロードする人が増えました。人が真似できない特技などで注目を浴びる人もいる一方で、迷惑行為の動画を投稿することで「目立つことができる」「SNSで有名になれる」などと短絡的に考える人が後を絶ちません。
また、友人など範囲を限定して動画を投稿したものの、それを見た人が他のSNSに転載されて批判を集めたケースもありました。SNS上での友人とのふざけあいがエスカレートし、度を越した行為につながっていると考えられます。

機械化などによる従業員の減少

近年はさまざまな業務の機械化が進み、従業員の数が減少している飲食店も増えています。例えば、オーダーは従業員が受けるのではなくタッチパネルからお客さま自身で行う、という飲食店は多いでしょう。店舗からすれば人件費などのコストを削減できるために効果的な施策ですが、裏を返せば人の目が届かない場所が増えることにもつながります。

このような機械化の影響もあり、従業員が見ていないところならバレないだろう、という軽い気持ちで迷惑行為をする人が多くなっていると考えられます。

迷惑行為に対する意識の低さ

迷惑行為を行う人のなかには、自身の行為による影響を軽視している人が多くいると想定されます。例えば、店の備品を壊したり、備品にいたずらをしたりすることで店がどのような損害を被るかを想像していないのです。また、飲食店があまりに身近な場所であることから、衝動的な行動に自制心が働きにくく、安易に迷惑行為を行ってしまう側面もあるかもしれません。

迷惑行為が増加している前提には、このような意識の低さもあると考えられます。

迷惑行為の事例・傾向

調味料のイメージ

ここからは、実際にあった迷惑行為の事例や傾向についてご紹介します。

迷惑行為の事例

大きな話題になった事例の一つでは、男性客がテーブルに置いてある共用の醤油差しや湯呑を舐める行為を撮影し、その動画がSNS上で拡散されました。友達同士でふざけて撮影した動画が拡散されたことで企業の株価下落や損害賠償問題にまで発展するなど、大きなニュースになりました。
また別の事例では、卓上で提供される付け合わせを、取り分け用のトングを使わずに直箸で取って食べる様子が動画に収められ拡散されました。

迷惑行為の傾向

前述の事例のように、衛生面が重視される飲食店では、衛生を損ねるような行為が迷惑行為として話題になりやすいといえます。

迷惑行為の対象としては卓上の調味料や付け合わせなど、気軽に手を出しやすいものに対する不衛生な行為が発生しやすいようです。また、卓上に限らず、共用スペースでお客さま自身が取り分ける薬味やトッピングなどで迷惑行為が発生したケースもあります。

こういった提供形態をとる店舗は、迷惑行為を行いやすい環境ともいえるため、特に迷惑行為への対策が必要と考えられます。

迷惑行為によって店側が受ける影響

無責任な迷惑行為が起こると、店側は以下のような影響を受けることになります。

信用・イメージの低下

口に直接入るものを扱う飲食店では、衛生管理が非常に重要です。しかし、前述の例のように共用の醤油入れなどを他人が舐めている様子などが拡散されると、仮にその後備品の入れ替え・清掃などを行ったとしてもイメージの悪化は避けられません。店側に非がないにもかかわらず、心理的に衛生面で信頼できないと感じる人が増え、客足が遠のく可能性は十分にあるでしょう。

売り上げの減少

店舗や企業のイメージが低下し、衛生面でも信頼できないと感じる人が増えれば、自然と客数は減り、当然売り上げの減少につながります。チェーン展開している場合、迷惑行為が行われたのが1店舗だけだとしても、グループ店舗全体の売り上げ減少を招く可能性もあります。
また、事業規模の大きくない個人経営店などの場合は、迷惑行為によって売り上げが減少したことで廃業にまで追い込まれるケースもあるでしょう。

事後の対応にコストがかかる

迷惑行為によって備品の損壊などがあった場合、店舗全体の備品交換が必要になります。また、衛生面に影響を与えるような迷惑行為であればクリーニングも行う必要があるでしょう。このような事後の対応には費用だけではなく、時間の面でも人的リソースの面でも相応のコストがかかります。一定期間休業することになれば、その分売り上げも見込めなくなってしまいます。

従業員の確保が難しくなる

間接的な影響とはなるものの、店舗・企業の信用が低下したことにより、アルバイトや社員を募集しても人が集まらなくなる可能性が考えられます。新しい従業員を確保できなくなると人的リソースがひっ迫し、将来的に営業が難しくなるかもしれません。

迷惑行為への対策方法(予防)

レストランの防犯カメラ

悪質な客の訪問を予期することはできませんが、過去の事例を参考にして迷惑行為自体ができるだけ起こらないようにする対策方法はあります。

卓上の備品・調味料などの見直し

卓上の備品や調味料での迷惑行為が多く発生していることを考えると、そもそも卓上に調味料などを置かないことで同様の被害は防げます。別途で調味料がほしい場合は従業員に声をかけてもらうなど、共用のものを減らす方法が効果的です。

また、卓上に置いておく場合に、調味料やお箸などは個包装にして個別に提供するなど提供方法を見直すのも良いでしょう。共用のものを減らすことで、衛生面でお客さまに安心感も与えられます。

防犯カメラの設置

忙しい営業時に、店内の隅々まで人の目で監視することは困難です。防犯カメラを設置することで、人の目が届かないところをカバーできるうえ、防犯カメラの存在自体が悪質な迷惑行為の抑止力にもなります。また、仮に迷惑行為が発生したとしても、防犯カメラの映像があれば重要な証拠になるでしょう。

ガイドラインの設定・周知

利用時のガイドラインを策定し、お客さまに周知しておくことも効果的な対策の一つです。例えば、客席に動画撮影やSNSのルールを明確に記載したガイドラインを貼っておくなども良いでしょう。具体的な禁止事項の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 「客席を故意に汚す食べ方」
  • 「大声を出す・無駄にスペースを確保するなど、他のお客さまに迷惑をかける行為」
  • 「動画の撮影およびSNSへの投稿」 など

ガイドラインと併せて、禁止事項に違反した場合の店側の対応方針も明記しておくとより効果的です。

従業員教育

迷惑行為の予防策とともに、発生時の対応を従業員に教育するなど、経営者だけではなく店全体が一枚岩となって対策を行うことも重要です。経営方針や迷惑行為に対する対応方針を設定しただけで、従業員がその内容を理解していなければ、実際に迷惑行為が発生した際にスムーズな対応が取れません。

迷惑行為への対策方法(発生後)

では、実際に迷惑行為の被害に遭ったことを把握した際にはどのような対応をすれば良いのでしょうか。

被害に遭った備品の交換や店内のクリーニング

まず行うべきことは、被害に遭った備品の交換や店内のクリーニングです。たとえ直接被害を受けた備品が一つであっても、同様のものはすべて交換することが望ましいです。店内もくまなく綺麗にしたうえで、衛生的にも心理的にも安心できる環境にすることが大切です。

店側が行った対応や再発防止策を周知し信用の回復を図る

先述のとおり、迷惑行為が発生した際には店舗や企業自体のイメージの低下が危惧されます。信用回復のためにも、備品の交換や店舗クリーニングなどを行った旨や、今後の対応、再発防止策などについての方針をHPやSNSなどで可能な限り早く発表しましょう。

法的措置を取る

迷惑行為によっては違法行為にあたる可能性があるため、警察や弁護士にも相談したうえで適切な法的措置を取ります。迷惑行為の内容次第では、威力業務妨害罪、偽計業務妨害罪、器物損壊罪、暴行罪、名誉毀損罪などに該当する可能性があります。

このような犯罪行為によって損害を受けた場合、損害賠償を請求できるケースもあるでしょう。ある飲食チェーンが、迷惑行為を行った加害者に対して、7,000万円近い損害賠償を求めた事例もあります。

迷惑行為を行った客を入店拒否する

同じ加害者が再度来店し、同様の事態にならないように迷惑行為を行った客は入店拒否しましょう。ただし、入店拒否の旨は伝え方次第では「不誠実な対応をされた」などと騒がれ、問題がさらに大きくなるリスクもあります。新たなトラブルの火種にならないよう、入店拒否の対応は慎重に行いましょう。

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