小売店(雑貨・コンビニなど)の開業時に注意したいポイント7選

小売店(雑貨・コンビニなど)の開業時に注意したいポイント7選
2023.08.23更新(2020.10.07公開)

小売店を開業する際に、事業計画や店舗物件の確保などの準備を期間に余裕を持って行うことは何よりも大切です。その際、開業に備えて注意したいポイントやリスク管理に関することも忘れず確認しておきましょう。
今回は、小売店を開業する際の7つの注意点についてご紹介します。

目次

従業員の管理

従業員の管理

実店舗を設ける場合には、従業員を雇う方も多いでしょう。経営者としては売上のために一生懸命働いてもらいたいと考えるのは当然といえますが、過重労働などが発生してはいけません。
過重労働とは、時間外労働・休日労働が月100時間を超えることもしくは2~6か月平均で月80時間を超えることを指します。このような状況は、さまざまな健康障害を引き起こす危険性があります。時間外・休日労働が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強まります。また、心身ともに疲労が蓄積されて集中力を欠く状態になると、業務中のケガにつながるおそれもあります。そのため、長時間労働をなくし、従業員の能力を最大限に活かす労務管理が必要です。

労務管理とは、従業員の勤怠や福利厚生といった労働に関することの管理をいいます。管理する具体的な項目は、労働期間や労働の対価、業務内容、というような雇用契約内容です。そのほかに、従業員の健康やハラスメントを守る対策も行います。つまり、労務管理は従業員が安心して働くための環境を作ることでもあります。企業の大小に限らず、すべての企業に労務管理の業務が必要です。
ALSOKの「入退室管理システム」では、店舗への通用口などに電気錠を設置し、営業時間外の店舗への立ち入りを制限するだけでなく、スタッフが残っていないかも確認可能。不審者対策などのセキュリティ強化に加え働き方の見直しにも役立ちます。
また、2015年12月よりストレスチェック義務化法が施行され、経営者は定期的に従業員のストレスチェックを行う必要があります。ストレスチェックとは企業で働く従業員のストレスレベルを測定するための取り組みのことで、従業員のストレスレベルを把握し、必要な対策を講じることで従業員の健康や働きやすさを向上させる目的があります。
ALSOKでは、はじめてでも安心して取り組めるストレスチェックサービスをご提供しています。従業員の働き方の適正な管理に、ぜひご活用ください。

顧客や従業員の安全

顧客や従業員の安全

店舗内で急病人や怪我人が発生することを想定し、いざというときに救命措置が行えるよう備えておくことが重要です。人命を守る取り組みがなされていることで、店舗への安心感や信用にもつながります。実際に急病人が発生した際、周囲の方がAED設置のステッカーなどを頼りに店舗を訪問し、AEDによる救命措置と救急搬送で回復につながった事例があります。AEDに関する訓練や指導を事前に受けていた従業員が適切に対応し、人命が救われた好事例と言えるでしょう。

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また、企業や経営者には、従業員が健康と安全を保ち、働きやすい環境で業務に従事できるように配慮する安全配慮義務があります。

安全配慮義務について詳しくはこちらを参考にしてください。

仕入れ・商品の管理

仕入れ・商品の管理

適切な在庫管理と万引きの防止

小売店では在庫を明確にするために棚卸を行い、在庫を管理します。棚卸とは、月末や年末などの決算日に在庫の数量を確認することです。帳簿やシステム上の理論在庫数と現物の商品数との差異がないか確認し、過不足あれば原因を突き止める必要があります。
このように、棚卸を行うことで、在庫の正確性を確認すると同時に、盗難や破損などの問題が発生しているかを確認することができます。そのため、万引きなどによる損失があった場合も、素早く把握することが可能です。万引きなどによる損失があった場合は、迅速に対応し損失を防ぎましょう。万引きも件数が多ければ、重大な損失を招く事態に発展します。
国内の万引き被害の年間総額は「4,615億円」と言われていますが、これを1日当たりの被害額にすると「12.6億円」です。1件当たりの被害額は少なくても、1日に12億円の商品が盗まれていると考えれば深刻です。

また、下記のグラフは、警察庁のデータによる平成20年~令和3年における万引きの検挙人数の推移を表したものです。万引きによる検挙人数は微減が続いているものの、先に述べた被害額を考慮するとこの数をゼロにする努力が必要であることが分かります。

万引きの検挙件数の推移

出典:[警察庁]令和3年の刑法犯に関する統計資料「図表:1-2-4-3(非侵入窃盗の認知・検挙状況)」

万引き防止のためには、私服警備員を巡回させる手段も有効ですが、防犯カメラを取り入れることで万引きだけでなく従業員による内引きを防ぐことにも繋がり、さらに効果的な対策を行えるでしょう。

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備品の管理

開業当初など、特に資金がまだ潤沢にない段階で備品が盗難に遭うと、経営面で致命的な損害を負う可能性があります。備品も重要な店舗の資産ですから、適切な管理・盗難対策を必ず行いましょう。たとえ外部からの被害を防げていても、従業員による盗難など内部におけるリスクも存在します。

特に小売店の内部不正の事例では、初めは小さな物品などの盗難から始まりそれがたまたま見つからなかったことで次は売上金を盗むなど悪質化していくことが多いようです。
防犯カメラなど外部からの侵入防止に加えて入退出管理も導入し、店舗への出入りについて入念にチェックできる状態にしておきましょう。

売上金の管理

売上金の管理

売上金を守る積極的な対策を

小売店では多くの場合、日々の売上金を銀行に入金する必要があります。売上金の入金は夜間もしくは日中に銀行へ入金するのが一般的です。入金処理には時間や手間がかかり、入金手数料などの費用もかかるため、スタッフや店舗の負担となります。また、入金に行く際にひったくり盗に遭う危険性もあります。そのほかにも、小売店での売上金は、現金として管理されることが多いため、盗難や紛失、誤計算などのリスクがあり、従業員に対応させるのは危険です。売上金が盗まれてしまうと、その後の事業継続に大きな影響を与えてしまうことになります。開業した時点から、積極的な売上金の防犯対策が必要になるでしょう。

現在は、クレジットカードや電子マネーといった現金以外の決済手段も多様化しています。できるだけ店舗内に自由に持ち出せる現金を置かず、従業員が売上金を持って夜間金庫などに出向く機会を減らす必要があります。キャッシュマネジメントサービスや売上金管理サービスなどを取り入れると、効率的な会計処理と厳重な売上金管理が可能です。ただし、これらの決済手段には、不正利用やシステム障害などのリスクがつきものです。これらのリスクに対する対策も考慮しておく必要があります。セキュリティリスクの対策も備えたサービスを選択すると良いでしょう。

売上金の盗難事例では、盗難対策が甘い店舗を狙って次々と少額の窃盗を繰り返すケースも少なくありません。2012年に発生したある連続窃盗事件では、対象は同県内の店舗ばかり。逮捕後に犯人は「警備機器などが付けられていない店だけを狙った」と供述しています。

迅速なキャッシュレス化への対応を

今後さらに進むと想定されるキャッシュレス化。現金のやり取りがなくスムーズな会計が可能で店舗内の現金を減らすことにも効果的です。また、キャッシュレス化が進むことで、現金しか使えない店舗が敬遠されることもあるかもしれません。売上機会の損失を防ぐためにも、キャッシュレス対応はできるだけ早く実施しましょう。

キャッシュレス化には、会計処理をミスなく簡略化できるメリットもあります。また小売業の場合は、顧客データを収集できる点が商品展開など今後の経営戦略に役立つという点も有用でしょう。ALSOKのマルチQR決済ソリューションでは1台の端末で複数のQRコード決済に対応、プリンター一体型で決済からお客様控などの印刷までカバーいたします。また、各端末で簡単に返金処理や過去の取引照会、集計ができ、専用クラウドでは全端末の取引履歴をエクスポート可能。現金の管理に伴うリスクを低減し、店舗運営の効率化を実現します。

多店舗展開のメリット

多店舗展開のメリット

飲食店などでは、1号店が好評を博すと2号店、3号店と多店舗展開していく事例が多くみられます。当然、小売店にも多店舗展開におけるメリットがあります。

売上の底上げが可能

こちらは小売業に限らないメリットですが、売上を確保できる場所が増えるため単純に底上げが可能です。

認知度を高めブランディングに役立つ

店舗数が増えれば、店舗の名前や特徴を知ってもらう機会も店舗の数だけ増えます。そのため、地域や顧客層を広げることにつながります。また、多店舗展開することで認知度向上とともに、顧客からの評判や口コミが増え、ブランドのイメージをより良くすることが可能です。さらに多店舗展開によって、ブランドイメージの統一を図ることができます。
店舗の外観や内装、広告宣伝物などを統一することで、ブランドイメージを確立し、顧客に強くブランドイメージを浸透させることにつながります。よって、多店舗展開は、店舗のブランディングにも役立ちます。

仕入れや物流のコストを抑えられる

店舗を増やすことで販売数も増加させられるため、仕入れや物流におけるスケールメリットを得ることが可能となります。規模拡大により、仕入れや物流にかかわるコストを抑えることもできるでしょう。

小売業の個店と多店舗展開時の違いと注意点

小売業の個店と多店舗展開時の違いと注意点

多店舗展開を考える場合、メリットも多数ありますが気をつけるべき点もあります。多店舗展開によって生じる問題点を知り、注意点を把握しておきましょう。

管理が煩雑化する

個店や少数店舗の場合は拠点と言ったら店舗のみですが、出店が大規模化すると物流センターなど店舗以外の拠点も増えます。その分さまざまな管理が煩雑になるため、業務量も増え複雑化するでしょう。

複数の拠点を効率的に管理するため、遠隔監視などのサービスを活用して効率化を図る必要が出てきます。

管理職の負担増加

店舗数が増えても、管理職の数が同じだけ増えるということはあまりありません。管理職が少ない場合、多店舗化を進めることにより少人数で複数店舗をカバーすることが必要になります。

通常の売上など実績の管理にとどまらず、物品の盗難や不正会計など内部不正の防止、各店でのトラブル発生時の対処など、イレギュラー対応ができるよう体制を整えなければならなくなります。

多店舗の状況管理

多店舗の状況管理

多店舗化にともなう業務の複雑化や業務量の増加に対応し、適切な状況管理を行っていかなければなりません。ここでは、多店舗化する際に有効な効率的な状況管理の手段についてご紹介します。

売上金管理を効率化する方法

先に「売上金管理」の項目でもご紹介している、売上金管理サービスの活用が有効です。会計処理の負担は、日々の通常業務に追われがちな店舗での仕事のなかでも早急に効率化を図りたい部分でしょう。
各店舗に売上金管理サービスを導入することで、業務効率化に加えて売上金の盗難防止や安全性の向上にもつながります。

各店舗の業務状況を適切に把握する方法

飲食店において、「バイトテロ」と呼ばれるアルバイト従業員による不適切な動画投稿が事件に発展したケースがありました。小売店でも、同じケースが発生しないとは限りません。

また、少人数の従業員に店舗運営を任せる場合は、時間帯次第では責任者が不在となり安全管理の強化が必要になることもあり得ます。これらの問題への対処法としては、防犯カメラを活用した遠隔監視が有効です。

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内部スタッフや外部取引先の入退室を管理する方法

複数の店舗を運営していると、各店で内外から出入りする人をチェックすることは大変です。

そこでおすすめの対処法が、先にもご紹介している「入退室管理サービス」を活用することです。納品や営業で訪れる外部事業者の入退室を管理するだけでなく、スタッフの労務管理にも役立ちます。

まとめ

今回は、小売店開業の際に気をつけたい点を「人」「モノ」「お金」「多店舗展開」の項目別に分け、計7つご紹介しました。
開業直後にトラブルなどに見舞われると、その後の経営に大きく悪影響を及ぼしてしまうことも少なくありません。開業準備をするなかで万全なリスク管理についても意識し、金銭・物品の管理や安全対策などを積極的に検討していきましょう。