セキュリティワイヤーを導入して盗難防止強化を
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施したアンケートによると、中小企業のサイバーセキュリティに関するトラブルのうち、10.5%が「IT機器・端末等の盗難や紛失」です。もし第三者によってパソコン等が外部に持ち出されれば、個人情報や機密情報の漏えいにつながり、多大な損失が生じる可能性があります。そこで有効なのが、パソコンを物理的にロックすることで、第三者による外部への持ち出しを防ぐ「セキュリティワイヤー(ワイヤーロック)」です。
本記事では、セキュリティワイヤーの重要性や、企業のセキュリティ対策の一環として導入するメリットについてわかりやすく解説します。
出典:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)セキュリティセンター「NEWS LETTER」
目次
セキュリティワイヤーとは?ノートパソコンを物理的にロック
セキュリティワイヤー(ワイヤーロック)とは、ノートパソコンを物理的にロックし、盗難・紛失を防ぐためのツールです。ノートパソコンの側面には、「セキュリティスロット」と呼ばれる小さな穴があります。セキュリティワイヤーを使用する際は、ワイヤーの先端部分をノートパソコンのセキュリティスロットに差し込みます。そして、机や椅子を巻き込むようにワイヤー/ケーブルを通し、南京錠(パドロック)やシリンダー錠などで施錠。そうすることで、鍵を持たない人間や暗証番号を知らない人間による情報端末の持ち出しを効果的に防止できます。
セキュリティワイヤーの装着によるハード面の防犯対策と、ウイルス対策ソフトの導入等のソフト面の対策を組み合わせることにより、高いセキュリティ効果を得ることが可能です。
セキュリティワイヤーはなぜ重要?個人情報の漏えいを防ぐ
セキュリティワイヤーは、会社の情報資産や個人情報の漏えいを防ぐという重要な役割を果たしています。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の調べによると、2018年に個人情報漏えいインシデントは443件発生しており、漏洩した個人情報は561万3,797人分に達しています。マイナンバー制度・マイナポータルの導入や、改正個人情報保護法により企業の情報管理がより厳しく問われる中、個人情報漏えいインシデントを予防する体制づくりの重要性が増しています。
同調査によると、個人情報の漏えい原因の第1位は、外部への持ち出し許可を得た情報端末・媒体等の「紛失・置き忘れ(26.2%、116件)」です。しかし、決して無視できないのが、車上荒らし・事務所荒らし等の「盗難(3.8%、17件)」と、パソコン・タブレットなどが第三者によって不正に持ち出された「不正な情報持ち出し(10件、2.3%)」の2点です。[注1]ヒューマンエラーによるセキュリティ事故と違い、この2つのインシデントはセキュリティワイヤーを装着し、ノートパソコンロックすることで物理的に対策可能です。自分以外の人間による情報持ち出しを効果的に防ぐことができるという点で、セキュリティワイヤーは企業の情報資産管理に大きな役割を果たしています。
[注1] 日本ネットワークセキュリティ協会:2018年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書 【速報版】
セキュリティワイヤーを導入する2つのメリット
セキュリティワイヤーでノートパソコンをロックすることによって、具体的にどのような導入効果が得られるのでしょうか。ここでは、2つのメリットを紹介します。
個人情報漏えいによる経済的損失を防ぐ
個人情報の漏えいが起きると、企業イメージが損なわれるだけでなく、損害賠償請求により多大な経済的損失が発生します。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の調べによると、2018年の個人情報漏えいにともなう想定損害賠償総額は2,684億5,743万円で、インシデント1件あたりの損害賠償額は6億3,767万円、被害者1人あたりの損害賠償額は2万9,768円でした。[注1]とくに事業規模の小さい中小企業にとって、莫大な損害賠償のリスクを抱えることは大きなリスクであり、セキュリティワイヤーによる持ち出し防止対策が欠かせません。
従業員のセキュリティ意識を高める
セキュリティワイヤーの使用を従業員に徹底させることで、社内のセキュリティ意識の向上にもつながります。大企業であれば、情報セキュリティ教育により、従業員の防犯意識やセキュリティ意識の向上に努めるケースが少なくありません。しかし、事業規模の小さい中小企業では、情報セキュリティ教育にかける予算がなかったり、そもそも明確なセキュリティポリシーを設けていなかったりするケースもあるため、従業員のセキュリティ意識が大きな課題となっています。ワイヤーロックでノートパソコンをきちんとロックする習慣を積み重ねることで、防犯対策だけでなく、従業員のセキュリティ教育としても役に立ちます。
4種類のセキュリティワイヤーの違いを解説
セキュリティワイヤーには様々なメーカーやブランドの商品があります。ここでは、4種類のセキュリティワイヤーの違いや特徴を解説します。
薄型のノートパソコンやタブレットに適したシリンダー錠
シリンダー錠(シリンダーロック)タイプのセキュリティワイヤーは、コンパクトな見た目が特徴で、とくに薄型のノートパソコンやタブレットをロックする場合に適しています。鍵を差し込む部分が円筒状であるため、衝撃によって破損しづらく、頑丈なのも大きなメリットです。
4桁の暗証番号で解錠するダイヤル錠
ダイヤル錠タイプのワイヤーロックは、シリンダーロックと違い、4桁の暗証番号(ダイヤルナンバー)によって解錠します。物理的な鍵を使用しないため、鍵の紛失により解錠できなくなるリスクがありません。ダイヤルナンバーさえ覚えていれば、いつでも簡単に取り外し可能な点がメリットです。
ピッキングに強い南京錠(パドロック)
南京錠(パドロック)タイプは、セキュリティワイヤーの中でももっとも盗難防止効果が高い製品です。とくにディンプルキータイプの南京錠は構造的に複雑なため、ピッキングされるリスクが低いのが特徴です。錠前の輪の部分に別のワイヤーを引っ掛けられるため、1本のワイヤーロックで複数の情報端末を同時にロックすることも可能です。
セキュリティスロットがなくてもパソコンの盗難を防げるものも
上述の3つのワイヤーロックと違い、セキュリティスロットがない情報端末の盗難防止にも効果を発揮するワイヤー状の鍵もあります。
このようなワイヤーロックには、ワイヤーをくくりつけるタイプのほかに、貼り付けタイプがあります。貼り付けタイプであれば、椅子や机にくくりつける必要がないため、出先で作業する際におすすめです。
ワイヤーが切断されたり外れたりした際にアラーム音が発生し、盗難を知らせてくれるのもこのタイプの特長です。
まとめ
セキュリティワイヤーの導入でノートパソコンの盗難を防ごう
セキュリティワイヤーはノートパソコンを物理的にロックし、効果的に盗難を防ぐことができる防犯グッズです。ノートパソコンの紛失・盗難が発生すると、機密情報や個人情報の漏えいにつながり、企業にとって多額の経済的損失が生じるリスクがあります。セキュリティワイヤーは1個数百円~数千円で購入できます。送料無料で大量に購入できる商品も多く、セキュリティ対策に多額のコストをかけられない中小企業でも容易に導入可能です。企業の情報資産を守るため、まずはセキュリティワイヤーの導入から始めましょう。
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