開業資金は?資格は?飲食店開業準備のポイント

開業資金は?資格は?飲食店開業準備のポイント
2023.10.05更新(2020.08.21公開)

さまざまな理由で、飲食店の開業を検討している方は数多くいらっしゃるでしょう。しかし同時に、飲食業を新規開業し長く継続していくことは大変だと聞いたことはありませんか。
早々に店をたたむような事態を避けるために、開業前には入念に準備を行いましょう。

そこで今回は、飲食店を開業する前にはどのような計画を立てるべきか、またその際どのような点に注意を払って計画すべきかについてご紹介します。

目次

ステップ①どのような店を作るかを決める(事業計画を立てる)

どのような店を作るかを決める(事業計画を立てる)

コンセプト設計を行う

コンセプト設計とは「ビジョンに沿う店舗にするため『何』を『どんな場所』で、『誰に』『どのくらいの費用で』提供するか」など、お店の概要を具体化することです。

まず、飲食店の新規開業準備に取り掛かる前に、開業する店舗のコンセプトや経営理念などを明確にしておく必要があります。経営理念とは「飲食店を開業すると決めた理由」です。たとえば、「食で地域を豊かにしたい」「お客様がくつろげる場所を作りたい」など、飲食店を始めるきっかけや始めようと決めた理由を簡潔にまとめると良いでしょう。その上で、経営理念に沿って継続的にどのような経営を行っていきたいかを「ビジョン」としてまとめます。
店舗コンセプトの設計において前提となる経営理念やビジョンをしっかり立て、それに沿って店舗のコンセプトを練っていくことで、店舗の特徴や経営にも一貫性が生まれます。
たとえば、高級感をイメージするのであれば内装に費用をかけるなど、コンセプトによって開業資金も変わってきます。必要となる資金やその内訳も、あらかじめ打ち立てておいたコンセプトに基づいて設定することで現実的な具体化が可能となるでしょう。

ステップ②必要な開業資金を試算する

新たに飲食店を始めるためには、開業資金が必要です。しかし、開業当初は事業が安定するまでリスクもあるため、どこにどのくらい投資するかを適切に判断することが大事です。それをどのような手段で調達し、自身でもどのくらい準備しておくべきかきちんと計画を立てましょう。では、開業にあたってどのような資金が必要となるかを見ていきましょう。

必要な開業資金

店舗を開業する際は以下のような用途で資金が必要となります。

  • 物件取得費
  • 内装費
  • 厨房機器・什器・備品
  • 運転資金(※保険料・釣銭・スタッフ人件費・賃料・生活費含む)

開業時に必要となる資金として、お店の場所を確保する費用(物件取得費用)や、設備の設置・改装の費用(工事費)をイメージできる方は多いでしょう。また、飲食店であれば冷蔵庫や製氷機、食器洗浄機などの厨房機器、什器・備品も必要となります。そのほかにも、経営を軌道に乗せるまでの運転資金として家賃や人件費、必要経費なども余裕を持って用意しておく必要があります。

開業資金の目安

日本政策金融公庫が発表した「2022年度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均値は1,077万円でした。10坪(約33m²)ぐらいの小規模店舗でも、ローコスト住宅の建物部分を1軒新築するぐらい(約1,000万円)の開業資金が必要と言われています。もちろん、立地や店内設備などにこだわればそれ以上かかる場合もありますし、居抜き物件などで費用を抑える工夫をすればもう少し抑えられる場合もあります。

融資を受けることで開業資金を調達する方法はありますが、その場合も自己資金(手持ちのお金)はある程度準備しましょう。自己資金が少なすぎると、融資の審査をクリアできない可能性が高くなってしまいます。可能であれば開業資金の総額のうち、半分から3分の1ぐらいは自己資金とすることが望ましいでしょう。

飲食は少人数で夜間閉店作業を行うこともあるでしょう。少人数での閉店作業は強盗に狙われる可能性もあります。そのため、開業時には万が一に備えて安全対策も必要です。
ALSOKでは異常が発生するとガードマンが現場に急行し、適切な処置を行うガードシステム「ALSOK-G7」をご用意。警備の制御、出入管理・勤怠管理まで一元管理できるため、効率的な防犯対策が可能です。

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ステップ③事業計画を立て資金を調達する

詳細な事業計画を立てる

店舗に限らず何らかの事業を始める際には、詳細な事業計画を必ず策定しましょう。開業後の事業を円滑に進めるために必要であることは勿論ですが、開業前の費用の調達手段としても事業計画書を立てることが非常に重要となります。

資金調達の方法

開業で必要となる資金を全額自分で用意できれば、返済する必要がないためトラブルに発展する心配も減らすことができます。しかし、生活費などを考慮すると現実的に難しい場合が多いため、あらゆる方法で資金を集めることになるでしょう。そのような場合は自己資金のほかに、外部の金融機関から資金を調達することができます。
開業費を自己資金だけではなく、外部の金融機関からの資金調達を組み合わせて賄うことを検討している方は多いでしょう。なかでも、日本政策金融公庫の創業融資は純粋な開業資金として「前払い」で受け取れるため、その活用を考えている方はかなりいらっしゃるのではないでしょうか。

創業融資を受ける際には「事業計画書」を必ず提出する必要があります。その審査内容に応じて融資の可否および金額が決定されますので、開業費調達のためにも事業計画書の作成は必ず実施しましょう。日本政策金融公庫の創業融資を申し込む場合は、専用の事業計画書フォーマットに記入のうえ提出します。

もちろん資金調達のためだけではなく、開業後の事業をスムーズに進めるためにも事業計画書は開業に備えて必ず作成しましょう。

ステップ④必要な事前準備を整える

必要な事前準備を整える

コンセプトが明確になり資金計画が定まったら、具体的に開業に向けて行動すべきことをまとめておきましょう。

利用できる補助金・助成金について調べ、必要なら申請を

飲食店の開業にあたり利用できる資金には、先にもご紹介したように日本政策金融公庫が取り扱う創業融資などがあります。それに加え、開業する地域によっては補助金や助成金の制度を設けている場合もあります。

日本政策金融公庫では開業時期から資金調達のサポートをしてくれます。ただしこの場合は、金融機関から一時的にお金を借りる方法となります。「ローン」や「キャッシング」とも呼ばれ、融資を受けた分は返還しなければなりません。一方で補助金や助成金は、融資と異なり返還の義務がありませんが、受給には一定の条件をクリアすることが必要です。開業に際しそれらの条件を満たせるかどうかを確認し、目処が立つなら申請をしましょう。

助成金は比較的受給のハードルが高くないと言われていますが、助成金より金額が高いことの多い補助金は、受給条件が複雑で審査に通る確率も低めです。特に補助金の場合は、事業計画書の内容が審査通過に大きく関わるため、現実的かつ独自性の高い事業計画書を作成し提出することが求められるでしょう。

開業時に必要な資格を取得しておくこと

飲食店を開業する際には、2つの資格が必要となります。1つ目は「食品衛生責任者」、2つ目は「防火管理者」です。
食品衛生責任者とは、安全な食品の提供や衛生管理を行うための正しい知識を持つ者です。飲食店を経営するにあたって、食品衛生責任者を配置することは食品衛生法によって義務付けられています。食品衛生責任者資格は、開業する都道府県で実施している講習を受講することで取得が可能です。ただし、調理師または栄養士の有資格者の場合は受講免除で取得できます。

防火管理者資格も、開業する地域で消防署が行っている防火管理講習を受講することで取得できます。なお、防火管理者資格が必須となるのは、30人以上の収容が可能な飲食店に限られます。とはいっても、将来的に移転などによる規模拡大の可能性を視野に入れているなら、取得しておいた方が良いでしょう。

保健所・消防署への届け出

税務署への開業届や、社会保険・雇用保険・労災保険の加入といった諸手続きは、どのような業種においても開業時に必要です。これらに加えて飲食店の場合は、保健所での「食品営業許可申請」と、消防署での「防火管理者選任届」の手続きが必要となります。また、防火管理者選任届は、30人以上を収容できる店舗を開業する場合には必要です。

保健所への届け出は店舗が出来上がる10日前ぐらいまで、消防署への届け出は営業を始める日までに済ませましょう。
また、深夜(0時以降)に酒類の提供を予定している場合は、警察署に「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を出します。こちらは、営業を始める日の10日前までに提出が必要です。

飲食店を開業するにあたり必ず行っておきたい準備について、以下の記事で具体的に解説しています。

店舗開業のポイント

ここまで、店舗開業にあたって必要な準備について説明しましたが、物件探しも非常に重要です。物件を探す際は立地の良さや交通の利便性などに気を取られがちですが、それ以外にも見ておきたいポイントがあります。まずは店舗のコンセプトを振り返り、そのコンセプトにマッチした集客を行える環境かどうかという点です。たとえばコンセプトがビジネスマン向けの店であれば、ランチタイムや仕事帰りに通りかかる場所など、集客が見込める環境であるかということです。

また毎月かかる経費として、家賃も慎重に考慮の上物件を探さなければなりません。飲食店を経営する上で理想的な家賃比率は、一般的に「売上の10%未満」といわれています。事業計画を策定する際に「1日あたり10万円の売上」を予想した場合、ひと月の営業日数を25日とすると1か月あたりの売上は「250万円」となります。この場合、家賃「25万円未満」の物件を検討することが適切と言えるでしょう。

開業資金を抑えて設備の整った物件に入居したい場合は、始める業態に合う設備や内装がすでに揃った「居抜き」として活用できる物件を探すことも1つの手です。

居抜き物件の注意点について以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

今回は、飲食店を開業する際にどのような計画や準備が必要で、どのようなポイントを押さえると良いかについてご紹介しました。「飲食店を経営してみたい」と、多くの方が1度は思い描いたことがあると思います。しかし、長く続けにくい業種の代表的存在としても挙げられやすいのが飲食店です。開業後早めに経営を軌道に乗せ、長続きさせるためには入念な準備と綿密でぶれない事業計画の策定が重要です。今回ご紹介したほかにも、売上金管理やキャッシュレス決済への対応、セキュリティ対策など導入すべきシステムについて検討する必要が出てくるかと思います。きっちりと事業計画書を作っておき、それを自身で理解した上でビジネスを実践することは必須とも言えるでしょう。

開業に際して国や自治体からの助成金や補助金を受給したい場合にも、事業計画書は受給審査に大きく関わります。
「経営理念」「コンセプト」「資金や収支計画」が具体化できたら、それらを盛り込んだ事業計画書を作り、その内容を自身の言葉で説明できるようにしておくと良いでしょう。

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