無人販売所は従業員を常駐させる必要がないため、人員の有効活用や人件費の削減の観点から、近年全国的に増加している店舗形態です。しかし、従業員による監視の目がないことから万引きや盗難被害に遭うリスクが比較的高く、安全に運営するためには防犯対策が必要です。

この記事では、無人販売所を運営している方や、今後運営しようと考えている方に向けて、無人販売所で万引き・盗難が起きる理由と対策について解説します。

進む店舗の無人化・省人化

近年は人手不足から無人販売所の店舗形態が注目されており、全国的に店舗数が増えています。

無人販売所が注目される背景

無人販売所が注目されている背景には、労働人口の減少や人件費の高騰といった社会課題や、非接触型ニーズの増加などが挙げられます。少子高齢化社会が進む中、労働人口の減少により人手を確保できない状態が多くの企業で問題視されています。また、最低賃金が引き上げられたことで人件費も増加し、従業員を配置する必要がない無人販売所が注目されています。
さらに2020年以降に感染症対策の重要性が高まり、非接触型の接客ニーズが増加したことも無人販売所の需要を高めた要因です。
その他、決済の自動化やキャッシュレス決済の普及も無人販売所増加の一因といえるでしょう。

無人販売所の例

現在、国内に普及している無人販売所には以下のような種類があります。

• 餃子などの冷凍食品
• 肉専門店
• スイーツ販売所
• 古着

この他、コンビニや書店、トレーニングジムなども主に都市部で増加しています。
将来的に少子高齢化や人件費の高騰は加速するといわれていることから、無人販売所は今後も増え続けていくことが予想されます。

無人販売所のメリット・デメリット

無人販売所の運営には、さまざまなメリット・デメリットがあります。

メリット

無人販売所を運営する最大のメリットは、人件費を大幅に削減できる点でしょう。店舗に従業員を配置する必要がないため、給与・交通費・各種手当の他、採用や教育などさまざまな人材コストを抑えられます。また、人手を確保することが難しい夜間・早朝の時間帯も運営が可能です。人件費を抑えながらも24時間営業を実現できると、さらなる収益向上へと繋げられるでしょう。
無人販売所は新たに従業員を雇う必要がないため、本業と両立しながら副業として経営を始めたい方にも注目されています。

デメリット

無人販売所は従業員が常駐していないため、万引きや盗難のリスクが高くなります。近年では無人販売所を狙った窃盗事件が相次いでおり、手口としては、代金を支払わないまま商品を持ち去る、両替機や料金箱を破壊して現金を盗むなど、さまざまなケースがあります。窃盗被害に遭った際、事態を把握するには責任者やスタッフが店舗を訪れる必要があります。被害発生から詳細を把握するまでに時間がかかると、その後迅速な対応がとれないこともあるでしょう。
また、店舗や設備什器の故障、破壊などのトラブルが発生した場合も、従業員が常駐していないため細かな配慮や早急な対応が難しく、顧客離れに繋がる可能性がある点もデメリットです。
したがって、無人販売所を安全に運営するためには、十分なセキュリティ体制を整える必要があります。

無人販売所で万引き・盗難が起きる理由

無人販売所で万引き・盗難が起きる理由としては、以下の2つが挙げられます。

スタッフがいない

万引き犯・窃盗犯は、セキュリティや監視体制が不十分な店舗を狙う傾向にあります。無人販売所ではスタッフが常駐していないため、有人店舗と比較すると人目が少なく万引きしやすい環境です。「万引きをしても気付かれない、逃げられるだろう」と思われやすいことが、万引き・盗難が起きやすい理由の一つといえます。

24時間営業であることが多い

無人販売所は24時間営業をしていることが多く、24時間営業の店舗はいつでも店内に入ることができるため、万引きや盗難のリスクが高くなる傾向にあります。また、昼間よりも人の出入りが少なく視認性の低い夜間・早朝が狙われるケースが多いです。実際、近年ニュースなどで報道のあったスイーツや餃子の無人販売所でも、深夜や早朝に犯行が行われていました。
夜間の巡回やセキュリティシステムの導入といった対策が施されていなければ、簡単に商品・現金を盗まれてしまい、被害発生を把握するまでに時間がかかってしまうでしょう。

出典：警察庁 犯罪統計書 令和4年の犯罪

無人販売所の万引き・盗難対策

無人販売所での万引きや盗難を防ぐためには、どのような対策が必要となるでしょうか。

防犯カメラの設置

万引き・盗難対策としてまず挙げられるのが防犯カメラの設置です。

防犯カメラの効果

防犯カメラの設置によって犯罪の抑止効果を期待できるため、万引き・盗難の未然防止に繋がります。また、万が一万引き・盗難被害に遭っても、万引きした人物の顔や服装、動き、手口、万引きされた商品などを映像で残すことが可能です。

防犯カメラ設置のポイント

防犯カメラを設置する際は、設置場所に合わせて撮影範囲や必要な機能を考慮しましょう。設置場所としては出入り口やレジ回り、バックヤード、外から死角になりやすい場所がおすすめです。

防犯カメラを設置していることを周知する

防犯カメラの設置をアピールすることで、「監視されている」という認識を持たせることができ、防犯効果が期待できます。
防犯カメラによる監視を周知するときは、「防犯カメラ作動中」といった文言のポスターやステッカー、POP、ホームページへの記載といった方法があります。店内へポスター・POPを掲示する場合は、目に留まりやすい場所に設置し、ステッカーを設置する場合は入口扉に貼るのがポイントです。

出入管理・入退室管理システムの設置

万引きや現金の不正な持ち出しを防止するには、出入管理・入退室管理システムの設置が効果的です。

出入管理・入退室管理システムの効果

店舗入り口に出入管理・入退室管理システムを設置し、ICカードなどで認証された人物のみ通行できるようにすることで、万引き目的の来店を防ぐことに繋がります。万が一、万引き・盗難被害が発生した場合にも出入管理・入退室管理システムの入退室履歴を確認できるため、万引きした人物の特定に役立ちます。

出入管理・入退室管理システム設置のポイント

出入管理・入退室管理システムは、店内の出入り口に設置するのが基本です。防犯カメラと組み合わせることで、店舗に出入りした履歴と防犯カメラの録画映像を照らし合わせ、迅速に被害の把握、不正を行った人物を特定することが可能です。

万引き防犯対策のポスターやPOPの設置

万引き防犯対策のポスターやPOPの設置も、万引き・盗難の抑止に繋がります。

設置の効果

万引き防犯対策のポスターやPOPを店内に設置し、万引き・盗難対策を強化していることを認識させます。防犯意識が高い店舗であるとアピールすることで、犯行を抑制する効果が期待できます。

設置のポイント

万引き防犯対策のポスターやPOPは、店内の目に留まりやすい位置に掲示します。剝がれていたり破れたりしていると防犯意識が低いと思われるため、定期的に確認しましょう。

キャッシュレス決済の導入

　　　　　

現金盗難対策として、キャッシュレス決済の導入もおすすめです。

導入の効果

店内に置いてある両替機やセルフレジ、料金箱などを破壊し、現金を盗む事案はよく発生しています。キャッシュレス決済を導入することで、店内に現金を保管する必要がなくなり、現金の盗難被害を防ぐことが可能です。

導入のポイント

キャッシュレス決済には、電子マネーやクレジットカード、QRコードなどがあるため、さまざまな種類に対応できる機器を導入するのがポイントです。また、セルフレジなどと連携させることで簡単な操作で支払いを完了させることができます。

機械警備の導入

無人販売所の防犯対策を強化するなら、機械警備システムの導入が有効です。機械警備とは、店舗などの警備対象施設に設置したセンサーが建物内への侵入や火災などの異常を検知すると、監視センターに警報が届き、監視センターで受信した警報を確認し必要に応じてガードマンが現場に急行、一次対応する警備システムのことです。

導入の効果

機械警備の導入によって無人販売所でも監視体制を強化できます。店舗で異常が発生した場合に、ガードマンが現場に急行・店舗内外を確認し、状況に応じて各関係機関と連携します。被害の拡大と二次被害を防ぎ、短い期間で営業を再開することにつながります。

導入のポイント

機械警備を導入する際は、機能面だけでなく保守メンテナンス、店舗の所在地が対応できるエリアかどうかを考慮して最適なサービスを選ぶことがポイントです。もし店舗が本社や事務所から離れた場所にある場合や複数店舗ある場合には、遠隔で警備の開始・解除ができる機能や、センサーに内蔵したカメラの画像を確認できる機能があると良いでしょう。

無人販売所の防犯対策はALSOK

ALSOKのセキュリティサービスで無人販売所の防犯対策を効率的に強化することができます。

最先端の機械警備・オンラインセキュリティ「ALSOK-G7」

最先端の機械警備を活用したALSOKのオンラインセキュリティ「ALSOK-G7」では、店舗に設置したカメラのリアルタイム画像をパソコンやスマートフォン、タブレットから確認することができます。万が一異常が発生した場合は、ガードマンが現場へ駆けつけて適切に対処、状況に応じて各関係機関と連携いたします。店舗の防犯対策を強化し、万引きや盗難が起きた際は被害を最小限に抑えることが可能です。

ALSOKの防犯カメラ・監視カメラサービス

ALSOKの防犯カメラ・監視カメラサービスでは、店舗のニーズに合わせたプランをご提案し、カメラの設置から運用までサポートいたします。昼夜を問わず高画質な映像を記録でき、どのような環境でも犯行の決定的瞬間を逃しません。工事費込みのパッケージプランや、録画した映像をALSOKのデータセンターに保管するオプションサービスもご用意しています。

その他にも、ALSOKでは現金の窃盗被害対策としても役立つ「マルチQR決済ソリューション」をご提供しています。自動精算機やPOSレジと連動させることで、Wi-Fi不要で全てのキャッシュレス決済に対応可能です。無人店舗を営業する際に防犯面でご不安がある場合にはぜひALSOKにご相談ください。