要人警護とは?ボディーガードとの違いや警備依頼の流れ・注意点を解説

要人警護
2024.12.26

近年、社会的に重要な人物を警護する要人警護の重要性が高まっています。特に、2022年7月に発生した安倍晋三元首相の銃撃事件は、日本だけではなく世界中に衝撃を与えました。警察庁は事件後に、多角化するリスクへの対応や情報技術の活用などを踏まえて警護要則を新たに制定するなど、要人警護の在り方を見直す大きなきっかけにもなりました。

この記事では、要人警護について、ボディーガードとの違いや身辺警備を依頼する際の流れ・注意点などと併せて解説します。役員の秘書業務や、従業員の安全管理業務に従事している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

要人警護とは?

要人警護とは、社会的に重要な地位にある人物(要人)を、事故・襲撃・災害などから守り、身の安全を確保する警察活動のことです。具体的な業務内容は、警護計画の作成、不審物・不審者の発見と危害防止の措置、緊急時の警護などで、万が一の際には自らの身を挺して要人を守ることもあります。要人警護を行うのは警護員と呼ばれる選抜された警察官で、警視庁警護課の警護員はセキュリティポリス(SP)と呼ばれます。

ボディーガードとの違い

要人を危険から守る仕事にはボディーガードもありますが、要人警護とは警護対象者や所持可能な武器が異なります。

要人警護 ボディーガード
対象者 警察法で定められる対象者 警察法の範囲に限らず、政治家・著名人・経営者・一般人など
警護担当者 警察官(国家公務員) 警備員(民間の警備会社)
所持可能な武器 殺傷力のある武器(拳銃・警棒など) 護身用の警戒棒のみ

要人警護の対象者とSP

SP

ここでは、要人警護の具体的な対象者とSPについて解説します。

要人警護の対象者

要人警護は警察活動であり、その内容については警察法によって定められています。警察法の警備要則によると、要人警護の対象者は以下のように定義されています。

この規則において「警護対象者」とは、内閣総理大臣、国賓その他その身辺に危害が及ぶことが国の公安に係ることとなるおそれがある者として警察庁長官(以下「長官」という。)が定める者をいう。

引用:e-GOV法令検索「警備要則 第二条」

要人警護の対象には皇族、内閣総理大臣、衆参両院議長や閣僚、首相経験者などが含まれます。社会に大きな影響を及ぼす人物が主な警護対象だといえるでしょう。

SP(セキュリティポリスとは)

SP(セキュリティポリス)とは、警視庁警護課の警護員(警察官)のみを指す言葉です。警護任務についている警察官全般をSPと呼ぶ場合もありますが、本来の定義としては正しくありません。

SPは要人警護を行う警察官のなかでも、基本的に要人と行動をともにする役目のため、体力や武術だけではなく、礼節なども求められます。

民間の身辺警備を依頼したい場合は?

要人警護は警察官による特殊な警護任務のため、一般的な身辺警備を依頼する場合は民間の警備会社に依頼することになります。警備会社による身辺警備とは、警備業法における4号業務のことで、不審者による襲撃や事故、災害などから警備対象者を守り、身の安全を確保する業務です。

民間の身辺警備の対象者

民間の身辺警備(4号業務)の警備対象者としては、次のような人物が挙げられます。

  • 民間企業の役員
  • 医師、弁護士
  • 芸能人
  • スポーツ選手
  • ストーカーやDV被害者 など

近年では上記に限らず、危険やトラブルに巻き込まれる可能性のある一般市民に至るまで、警備対象は拡大しています。

警備を依頼する流れ

警備会社に警備を依頼する際の流れについて、5つのステップに分けて解説します。

STEP1.依頼したい警備の種類や内容を決める

警備業法では、警備業務を以下のように1号~4号業務に分けています。

  1. 1号業務:施設警備業務・巡回警備業務・保安警備業務・機械警備業務(オフィスビルを始め、大型商業施設、工場、港湾施設、学校、医療機関、公共施設などの多様多種な施設において、その施設に応じた最適な警備を行う。)
  2. 2号業務:交通誘導・雑踏警備業務(人や車が往来する道路や、人が多く集まる興行行事などの安全確保を行う。)
  3. 3号業務:運搬警備業務(多額の現金や高額な貴重品、また核燃料物質など危険物を運搬する際の安全確保を行う。)
  4. 4号業務:身辺警備業務(人の身辺の安全を守るために行う警備業務。)

参考:e-GOV法令検索「警備 業法 第二条」

内容によってどの業務を依頼するか決めましょう。自社の依頼したい内容がどの業務に該当するか分からない場合は、警備会社に相談してみてください。

STEP2.警備を依頼するための必要な情報をまとめる

警備したい場所や希望する警備員の人数、脅威となる情報など、依頼にあたって必要となる具体的な情報をまとめます。しかし、必要な警備員の人数や詳しい警備の内容が分からない場合もあります。警備業務の詳細はSTEP3のヒアリングで決まるため、大まかな内容で「24時間体制での警備を希望します」「特に不審者に注意してください」などと要望をまとめておきましょう。

STEP3.警備会社に見積もりを依頼してヒアリングを受ける

依頼内容や要望をある程度まとめたら、警備会社に見積もりを依頼します。問い合わせを行うと、その後担当者から電話や対面などで依頼内容のヒアリングがあることが一般的です。疑問点や不安な点があれば気軽に質問しましょう。

STEP4.見積もり内容を確認する

警備会社から見積もりが提示されたら、業務内容や金額の内訳などを確認します。希望する業務内容になっているか、予算内に収まっているか、内訳は明記されているかなどを確認し、不明点があれば契約締結前に解決しましょう。

STEP5.警備計画の打ち合わせ後に警備業務を実施

契約を締結したら、警備計画について打ち合わせを行います。警備計画には、警備を行う日時・対応範囲・当日使用する機器・人員の配置・当日の連絡方法などが明記されています。決定した警備計画に沿って警備業務が実施されます。

警備を依頼する際の注意点

身辺警備

警備会社に警備を依頼する際の注意点について解説します。

損害賠償保険への加入の有無を確認する

警備業務では、事故が発生する可能性も少なくありません。万が一警備業務中に事故が発生した場合に備えて、警備会社が損害賠償保険に加入しているか確認しましょう。警備業法で損害賠償保険への加入を義務付けているわけではないため、加入していない警備会社も存在します。

依頼する時期に注意する

夏季や年末年始、株主総会などのイベントが多い時期は警備会社にとって繁忙期になるので注意が必要です。特に多くの警備員が必要となる規模の大きい業務は早めに相談するのがおすすめです。また、依頼する時期によっては断られる可能性もあるため、複数社で検討するとよいでしょう。

緊急時の対応を確認する

警備業務中に火災・自然災害・急病人対応等の緊急事態が発生した場合の対応方法が明確になっているか確認しておきましょう。具体的には、負傷者や急病人の対処方法、違法行為を行う不審者がいた場合の対応フロー、緊急車両の導線確保などが挙げられます。

有資格者の配置が必要か確認する

管内の警察の「配置基準」により、特定の業務(交通誘導や雑踏警備業務)を行う際は、検定合格警備員(有資格者)の配置が必須です。

参考:警視庁「検定合格警備員の配置基準」

身辺警備であっても、依頼内容によっては交通誘導や雑踏警備業務が必要になる場合もあるため、警備会社に確認しましょう。

ALSOKの施設警備・常駐警備・身辺警備サービス

ALSOKでは、お客様の状況やご要望に合わせて、さまざまな警備サービスから最適なプランをご提案いたします。

ALSOKの「常駐警備・施設警備」では、来訪されたお客様の取り次ぎから館内のご案内、電話対応、火災・盗難・設備不良等による事故防止、不審者の侵入防止などを行います。

身辺警備(ボディーガード)では、国内外問わず多くの著名人、企業の役員などのボディーガードで培った経験とノウハウを活かし、レベルの高い身辺警備をご提供いたします。近年はプライバシーの侵害を防止するための警備など、新しい形の身辺警備にも対応しています。ALSOKでは、予測できない事態が発生したとしても、落ち着いて適切な判断が下せるよう、あらゆる事態を想定した訓練を行っています。

ALSOKの「ネットdeガードマン」は、依頼したい警備の内容、ご依頼場所、日時などの条件を入力するだけでWeb上で簡単にお見積りができ、お急ぎの方にも安心してご利用いただけます。身辺警備(ボディーガード)をご検討の方は、ぜひALSOKのネットdeガードマンをご活用ください。

まとめ

要人警護とは、社会的に重要な地位にある人物(要人)を、事故・襲撃・災害などから守り、身の安全を確保する警察活動のことです。要人警護は警察官による警護業務のため、一般的な身辺警備を検討している場合は民間の警備会社に依頼することになります。

警備会社に依頼する際には、要望や予算等の依頼内容をまとめてから警備会社に問い合わせましょう。併せて、損害賠償保険への加入の有無、緊急時の対応、有資格者の配置についても確認しておくと安心です。施設警備・常駐警備・身辺警備サービスを検討している場合は、ぜひALSOKにお問い合わせください。