鍵ものがたり
2017年3月1日時点の情報です
金庫の扉についている百万変換ダイヤル錠を抜き取ると、こんな形。ダイヤルの目盛りが0~99まで刻まれています。奥の箱に番号を決める円盤が4枚入っていて、そのうち上3枚の番号が自由に変更できます。
日本製は最後の番号がすべて「8」
一般的な家庭用の金庫を買うとき、ダイヤル錠の開錠番号をひとつ決めます。その番号はずっと変えられません。それを変更できるのが、「自由変換ダイヤル錠」です。錠の構造は、一般的なダイヤル錠と同じです。
たとえば中の4枚のうち、3枚の円盤(右下写真参照)の番号を好きな番号に変えられる錠が「百万変換ダイヤル錠」です。右に4回まわして90番→左に3回まわして70番→右に2回まわして50番→左に1回まわして8番というふうに、左右交互にまわして、番号を合わせます。
最後の番号は8番と決まっています。これは日本製の自由変換ダイヤル錠の特徴。日本では昔から、8は「末広がりの八」といって、縁起のいい数字なのです。商売繁盛を願って8にしたのでしょう。
銀行の金庫には1億通りの変換ダイヤル錠が2つ?
自由変換ダイヤル錠は防犯性にすぐれ、おもに会社の中型以上の金庫に使われています。金庫の管理者がよその部署へ移ったときに、新しい開錠番号に変えられるので安心なのです。
銀行の金庫も、もちろん自由変換ダイヤル錠です。ただし、番号を変えられる円盤の数は3枚ではなく4枚。番号の組み合わせは、1億通りになります。さらに金庫の管理者が1人だと不正行為をされる危険があるので2人にして、2つの錠の番号をそれぞれが管理します。これでは金庫破りは難しいですね。
金庫と鍵の博物館館長 杉山泰史[すぎやま・やすし]
東京都墨田区千歳3-4-1
☎03-3633-9151