空き家管理を考える!
日本では少子高齢化がますます進み、2050年には総人口が現在より3300万人減少し9515万人になると見込まれています。同時に65歳以上の高齢者人口は3764万人と全体の約40%に達すると予想されています。そして総人口の減少と高齢者人口の増加に伴う弊害として挙げられるのが空き家の増加と管理の問題です。平成30年段階での空き家数は全国で850万戸に迫る勢いをみせており、現在ではさらに増加していると考えられます。もはや大きな社会現象となった空き家問題。
売却を検討しているがなかなか売れない、遠方にある、費用がかかる‥ などの事情から手入れが行き届かない空き家の対応について今一度考えてみることにしましょう。
空き家法の制定
国土交通省では平成27年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空き家法)を施行しています。この法律が施行された背景には、適切に管理されていない空き家等が、防犯や防災・衛生・景観などの面で、地域住民の生活に深刻な影響を及ぼしていることがあげられます。地域住民の生命・身体・財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、かつ空き家等の活用を促進する、というのがこの法律の目的です。しかし、空き家の所有者にとっては気を付けるべき点があるのです。
固定資産税が6倍に⁉️
固定資産税の対象となる住宅用地には、税金が最大で1/6まで軽減される「小規模住宅用地」の特例があります。多くの空き家所有者が建物を解体しないのは、この特例を受けるためであるのも事実です。しかし、建物の管理状態が悪く、地域住民の生活に影響を与えているとして「特定空家等」に認定されると、この特例が受けられなくなります。
さらに、状況を改善するための指導・助言、勧告、命令を受けてもなお、状況が改善されないときには行政代執行が行われることになります。その場合にかかる費用はすべて所有者に請求され、大きな負担となってしまいます。
国土交通省のガイドラインを見ると、よほどでなければ「特定空地等」に認定されることはなさそうですが、一度認定されてしまうと、何か策を講じるまで所有者の管理責任が問われる制度です。相続などで空き家を所有されているという方は注意が必要です。
空き家を持ってしまったら?
空き家を持ってしまったら、まず「特定空地等」にならないようにしっかりと管理を行うことが大切です。遠隔地であるとか、費用がかかるなどの理由で十分な管理ができない場合は、売却することも考えなくてはなりません。ただ、条件が悪い物件ではなかなか買い手がつかない場合もあります。
そんな時には、地方自治体が主体となって運営している「空き家バンク」に登録するのもひとつの手です。
「空き家バンク」は、空き家を売りたい人や貸したい人から空き家登録を受け、市町村役場のホームページなどに空き家情報を公開し、買いたい人や借りたい人とマッチングさせるサービスです。管理の行き届かない空き家を減らしたいという市町村のニーズと合致しているため、自治体によっては、傷みの激しい物件などの買主や借主に対して助成金を支給するところもあります。
また、空き家売買専門のサービスを行っている会社もあります。
不動産会社に買い取りを断られた物件や、遠くにあって管理・売却が困難な物件の場合も全国対応してくれます。また、残留物が大量に散らかった状態の物件でも、そのまま買い取ってくれることもあるので空き家所有者にとってはうれしいメリットです。
費用が出せるのであれば、建物を解体して更地にするのも選択肢のひとつです。固定資産税は1月1日時点での所有者課せられますので、それまでに対応できれば問題はありません。ちなみに、空き家を売却した譲渡所得については、一定の条件をクリアすれば3000万円を特別控除するという税制上の特例もあります。
空き家管理を代行してくれるサービスも
小さい頃から育った思い出の詰まった家だと、簡単には手放したくないという方も多いのではないでしょうか。遠いので管理できないが手放したくない、という場合には空き家管理を代行してくれるサービスを利用しましょう。
ホームセキュリティのALSOKが提供している「るすたくサービス」では、所有者に代わって以下のような管理を提供しています。
- ・月に1度の見まわり点検:
- 喚起や通水をおこなうことで、カビの発生や構造材の腐食による建物の劣化を防ぎます。また、重点的にチェックしたい10箇所を指定することができ、変化があった場合にはお知らせします。ゴミの不法投棄や侵入者の痕跡、窓ガラスの破損などもチェックしますので安心です。
- ・郵便受けの回収・整頓:
- 郵便受けにチラシなどが大量に貯まっていると空き家であることがわかってしまい不審者が侵入し、内部が荒らされる可能性が高まります。「るすたくサービス」では定期的に郵便受けをきれいに整理します。
- ・不審者の侵入があった場合もガードマンが急行:
- オプションのるすたくセキュリティに加入しておけば、不審者の侵入などを検知した場合にガードマンが現場に急行し、適切に対処します。
相続などで空き家を所有することになったが、事情により管理ができないという方は一度検討されてみてはいかがでしょうか。
出典:国土交通省「空き家対策の推進に関する特別措置法関連情報」
総務省「我が国における総人口の長期的推移」
総務省「平成30年住宅・土地統計調査住宅数概数集計 結果の要約」