城の防犯(防御)とは
防犯という言葉は、文字通り犯罪が起こらないように防ぐという意味をもっています。テクノロジーの発展した現代では、防犯カメラやセンサーライトなどの防犯設備が整備され、家庭やオフィスを守る対策も向上しています。では、こうした機器がなかった昔はどんな方法で防犯を行っていたのでしょうか。難攻不落とも称され、敵の侵入に強い防御力をもった城に焦点をあてて、その方法を考察してみます。
城は侵入を防ぐ構造になっている
城は、一国の城主が居住する場所であり、その国の象徴的な存在といえます。そのために、敵からの侵攻に対してさまざまな防御対策が考えられていました。そして城は、時代の変遷とともに山城から平山城、そして平城へと形態を変えていきます。
山城は、敵を察知できる見晴らしのよい山を選び、その地形を活かしてつくられた要塞であり軍事色の強いものといえます。敵の攻撃を防御しやすい反面、山の上では地形の問題で曲輪(くるわ=城の内外を土塁、石垣、堀などで区画した区域)の設計も難しく、物資の運搬や水の確保も厳しかったため、やがて小高い山を活用した平山城へと移行します。
平山城は、小山に城を構えることで敵陣との地形的な高低差をつくり優位性を確保しました。また、鉄砲の伝来による戦術の進化に対して城の防御力を高める方法を考えました。城の周りに水を張った堀をつくることで敵の侵入を阻むとともに距離をつくり、石垣や土塁を築くことで防御壁を構築しました。また、城主の居住する本丸や二の丸などの建造物を区画する曲輪を戦略的に配置して防御力を強化しています。平山城はやがて平地を利用した平城へと移行しますが、城の防御構造はほぼ同様といえるでしょう。城の防御策は、堀や土塁、石垣、そして曲輪の配置が主力となりますが、さらに細部においてもさまざまな仕掛けが設計されています。
姫路城の防御方法
ここで、国宝でもあり日本最初の世界遺産に登録された姫路城を一例にみていきましょう。平山城である姫路城は不完全ながら渦郭式の曲輪方式(本丸を中心として二の丸、三の丸を渦巻き型に配置する方式)をとり、天守は連立式構造となっています。現存する構造物も多く、巧みな防御の仕掛けをみることができる貴重な城といえるでしょう。姫路城には主に次のような防御策があります。
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・曲輪
堀を三重にめぐらせて、本丸を渦状に囲んで防護する渦郭式の配置をとっています。
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・天守
連立式の天守は、防備が極めて厳重で天守への入口が渡櫓で連結された建物に囲まれています。そのため内側に中庭のような空間ができる特徴があり、この空間に敵兵を誘い入れることで四方から攻撃することができるようになっています。
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・内堀/石垣/大手門
現在もみることができる内堀は幅が12~34mあり水深も2m以上あります。強固な石垣が組まれており、現在はひとつしかない大手門は元々は三重の門になっていました。侵入が容易ではないことが分かります。
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・通路/門/建屋
天守に向かう内曲輪の通路は、迷路のように曲がりくねり、道幅も広い場所や狭い場所があります。天守がみえているにもかかわらず、まっすぐに向かうことができない設計にもなっています。通路の途中に立つ「にの門」は、天井や間口が狭く門を通る敵陣を天井から槍で攻撃できるようにつくられています。敵がひとりずつしか通れないように仕組まれた「ほの門」などもあります。内曲輪には数多くの建屋や門があり、入り組んだ構造をつくっています。敵を欺き待ち伏せて狙い撃ちにするという戦略的な仕掛けが考えられています。
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・狭間/石落とし
城壁には、窓の内側と外側に角度を付けることで敵からは撃たれにくく敵を狙いやすい構造をもつ狭間という窓をつくり、射撃の体制を整えていました。真下にいる敵に対して投石や熱湯をかけて攻撃する石落としが門や壁の中に仕掛けられていました。
防犯対策の強化には専門家の知恵が役立つ
敵が侵入を断念するような対策を講じているお城の防御策は、現在における防犯対策にも大きなヒントとなりそうです。しかし、現在の建築物でお城と同じような防御のからくりを取り入れようとすると、膨大な敷地とコストが必要となってしまいます。
その点ホームセキュリティは膨大な敷地もコストも必要とせず、手軽に不審者が侵入を断念するような対策を講じるための有力な手段のひとつです。
一国一城の主であるなら、城を守るのも務めのひとつ。これを機会にぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか
参考文献:戦国ヒストリー「お城の基礎知識まとめ。縄張・曲輪・天守・石垣・土塁・堀etc…」
Wikipedia「姫路城」「曲輪」「天守」
城ワールド「荘厳堅牢、武家文化を象徴する日本の城」
日本の城「城の見方ガイド(3)天守にも色々な縄張がある」
TABIAN「無理ッ!!こんな城どうやって攻めるの?美しくっても城は城!要塞としてもすごかった!敵から守るいくつもの仕掛け!」
シロサンポ「姫路城【国宝5城】の歴史と観光ガイド」
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