親にやさしい家のリフォームのポイント
ご高齢の親と一緒に暮らしている方も多いと思います。
最近もの忘れが激しいとか、足腰が痛いなどと口にしているのを聞いてしまうと将来に一抹の不安もよぎります。住んでいる家も建ててから40〜50年が経過しており、そろそろ大々的なリフォームが必要になってきているという方も多いのではないでしょうか。
リフォームするなら高齢者の住みやすい住まいにしたいものですよね。そこでここでは高齢者に適したリフォームを行うポイントについて考えてみることにしましょう。
介護となった時のことを視野にいれて計画
高齢の親の住まいをリフォームするのであれば、将来を見越して介護などにも耐えうる形にリフォームするようにしましょう。具体的には段差をなくす、手すりをつける、車椅子が移動できるように通路に余裕を持たせるなどバリアフリーにすることが基本ですが、その他にも寝室やお風呂、物干しなど、よく使う設備が2階にある場合はなるべく1階に移すなどしておいた方が、後々生活が楽になります。
お金に糸目をつけず家全体の建て替えや骨組みからの大々的なリノベーションができればベストですが、現実には予算との兼ね合いで限られた箇所のリフォームになることが多いと思います。その際には将来介護保険などでリフォームできるところは残し、それ以外の箇所からリフォームをしておくとコストの削減になります。
介護保険で支給を受けられるリフォーム工事とは?
介護保険による住宅改修費の支給条件は「対象者が要介護または要支援に認定されていること」「福祉施設に入所しておらず、入院もしていないこと」「改修する住所と被保険者証の住所同一で、本人が実際に住んでいること」の3つです。
申請できるリフォーム費用は介護認定のレベルを問わず上限が20万円で、そのうちの1割が自己負担となりますので、支給額としては18万円が限度となります。
また、リフォーム内容にも制限があり、具体的には次のリフォーム工事が支給対象となっています。
1.手すりの取り付け
廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路等での転倒防止または移動、移乗動作を補助するものが対象となります。2.段差の解消
居室、廊下、トイレ、浴室、玄関等の段差や玄関から道路までの通路等の段差を解消するための工事で、具体的には敷居を低くする、スロープを設置する、浴室の床のかさ上げをするなどが対象となります。3.滑り防止および移動の円滑化のための床または通路面の材料の変更
居室については畳から板材やビニール系床材への変更、浴室においては滑りにくい床材への変更、通路面においては滑りにくい舗装材への変更などが対象となります。4.引き戸等への扉の取り替え
開き戸を引き戸や折戸、アコーディオンカーテン等に取り替える扉全体の取り替えのほか、扉の撤去やドアノブの変更、戸車の設置なども対象となります。5.洋式便器等への便器の取り替え
和式便器を洋式便器に取り替える工事が対象となります。暖房便座や洗浄機能を付加するための工事は対象となりませんので注意が必要です。6.上記5つの改修に付帯して必要となる工事
手すりの取り付けや床材を変更のための下地補強などが対象となります。
介護保険からリフォーム費用の支給を受けるまでのステップ
介護保険からリフォーム資金の支給を受けるにはまず被保険者が「要支援もしくは要介護」状態であることの認定を受けなければなりません。ここでは参考までに要介護認定を受け、住宅改修費(リフォーム費用)の支給を受けるまでの流れを簡単に説明しておきます。
要介護認定の申請は居住地の市区町村に申請書の提出が必要ですが、本人及び家族による申請がむずかしい場合には地域包括支援センターに代行申請をお願いすることができます。書類作成のサポートなどもしてくれるため、まずは相談に行ってみることをおすすめします。
また、住宅改修費の支給申請はプロセスが煩雑のようにみえますが、多くのプロセスは担当のケアマネージャーが手伝ってくれますので実際にはそれほどたいへんではありません。
要介護認定申請
居住地の市区町村の窓口へ申請書を提出
- 介護保険要介護認定申請書
- 介護保険被保険者証
- 主治医の意見書
- 印鑑
- 訪問審査の日程調整
- 1次判定
ケアマネージャー訪問による聞き取り調査 - 2次判定
介護認定審査会による要介護認定区分の判定 - 認定結果の通知
認定結果、介護保険被保険者証が郵送される
住宅改修費の支給申請
- リフォームを担当ケアマネージャーに相談
- ケアマネージャー同席のもとリフォーム業者と打ち合わせ
- 業者による見積書、工事図面の作成
事前申請書類の提出
- 市区町村様式の申請書
- 工事見積書(内訳のわかるもの)
- 工事予定箇所が確認できる図面
- 工事予定箇所の写真
- 住宅所有者の承諾書
- 委任状(受領委任払の場合)
- 支払金口座振替依頼書(償還払の場合)
- 審査結果受領後着工
工事完了後、支給申請
- 事前申請確認書
- 領収書
- 工事内訳書
- 工事箇所ごとの改修前、改修後の写真
リフォーム時にはホームセキュリティの導入も視野に
高齢者だけが住んでいる住宅は何かと無用心になりがちですし、具合が悪くなって倒れたり、認知症が原因で火災を起こしたりといつ何が起こってもおかしくありません。ホームセキュリティを導入すればこうした心配もかなり軽減させることができます。不審者の侵入の際はもちろん、火災が発生した場合でもシステムが発報してガードマンが駆けつけます。急に具合が悪くなったときなどでもボタンひとつでガードマンを呼ぶことができます。
また、あわせてオプションのサービスを追加すれば、離れて暮らしていても遠隔地から実家の様子を確認することができるWebカメラを設置することもできます。
高齢の親の住む家のリフォームを検討の際には、あわせてホームセキュリティの導入をぜひご検討ください。
出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修」
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