新社会人の一人暮らし 生活費用の相場と工夫のポイント

一人暮らし 2024.04.30更新(2020.02.17公開)
新社会人の一人暮らし 生活費用の相場と工夫のポイント

就職が決まり、新社会人としての生活を始めるときに迷うのが一人暮らしです。
親の下で暮らしていれば家賃もかかりませんし、生活費の負担も少なくて済みます。就職当初の少ない収入でも貯金ができるゆとりもできるでしょう。
しかしながら一人暮らしとなれば、家賃や光熱費、食費など、実家にいればなかったはずの支出、生活費の負担は増えます。収入に見合ったお金の使い方を工夫する必要もでてきます。
ここでは新社会人が一人暮らしを始める際に留意すべきお金の使い方のポイントについてみていくことにしましょう。

目次

一人暮らしのメリットとデメリット

一人暮らしは、親の束縛から離れて一人で生活ができる点では気持ちが楽だといえます。親の目線が気にならないので、気ままに生活をすることができるからです。
しかし、就職したとはいえ新社会人では自分の収入だけで生活をしていくのは簡単ではありません。家賃、電話代、電気、水道、ガスなどの水道光熱費、それに毎日の食費がかかります。会社の同僚と外食に行くこともあるでしょう。交際費も必要です。万一に備えての貯金もしておかなければなりません。
一人暮らしでたいへんなのはお金のことばかりではありません。掃除や洗濯など生活にかかわることを自分でしなければいけません。病院、郵便局、銀行、役所など、生活に必要な手続きとそれを行う場所を覚えておく必要もあります。
基本的には、生活にかかわることはすべて自分でしなければいけないのが一人暮らしです。

一方、一人暮らしには一人前の社会人として必要な習慣や知識を身に付けられるというメリットもあります。
メリットとして考えられることとしては次のようなものがあります。

お金の管理ができるようになる

自分の収入の範囲でお金を上手に使う練習ができます。家賃や光熱費、電話代や食費、交際費などの支出を考えたお金のやりくりが一人暮らしでは欠かせません。限られた範囲でやりくりをするという金銭感覚を身をもって学ぶことができます。

節約術が身に付く

毎月の生活費のやりくりをしているうちに、できるだけ支出を抑える工夫をするようになります。将来結婚をして自分の世帯を持つといったときにも、一人暮らし経験者とそうでない人の差が出やすいのはこうした部分です。家計簿アプリなどで、収支の項目をつくりこまめにチェックしている人も多いようです。

曜日や時間に関して敏感になる

これは人にもよりますが、社会の一員として生活していくための最低限のルールを守ろうとしていると自然に身についていく感覚です。たとえば、ゴミ出しは種類によって曜日が決まっていますので、その日に出さなければなりませんし、会社には遅刻しないようにどんなに前日の夜が遅かったとしても早めに起きて準備をしなければいけません。自然と一日のスケジュールに合わせて動く習慣を身に付けることができるようになります。

このように実家暮らしでは、なかなか得られない体験や生活力が身につく一方で、一人暮らしには実家ではあまり意識することのなかったところに注意することも必要になります。たとえば戸締りや防犯です。
とくに女性の一人暮らしでは、住居周辺の環境や人通り、最寄駅から住居までの安全な道順が確保できるかなど、防犯上の観点からも安心できる居住環境を選ぶことが大切です。
エントランスにオートロックや防犯カメラ、玄関に二重ロックやモニター付きインターホンなど、できるだけ防犯設備が充実したマンションなどを選ぶようにしましょう。

一人暮らしの生活費の相場は?

では次に、生活費についてみてみることにしましょう。
総務省の家計調査で、2023年の34歳以下の勤労単身者世帯のひと月あたりの平均消費支出額をみてみると、男性で約17万円、女性は約16万円となっています。
また厚生労働省の調査から2022年の新規学卒者の賃金をみてみると、大卒の男子女子ともに約23万円となっています。

勤労単身者世帯(~34歳)の月間消費支出(2023年平均)
男性 女性
食料 43,183円 31,984円
住居 35,348円 35,197円
光熱・水道 9,139円 11,069円
家具・家事 4,917円 3,040円
被服及び履物 5,830円 5,547円
保健医療 4,108円 5,563円
交通・通信 21,571円 21,604円
教育 7円 11円
教養娯楽 26,785円 18,213円
その他消費支出
(含む交際費)
19,156円 31,243円
消費支出合計 170,044円 163,471円

出典:総務省統計局 家計調査 家計収支編(2023年)

新規学卒者の性、学歴別賃金(令和4年)
男性 女性
大学院 271,900円 256,900円
大学 229,700円 227,200円
高専・短大 207,000円 216,600円
高校 183,400円 177,600円

出典:厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況

就職先が実家から遠く、一人暮らしをする必要があるときに考えておきたいのは、月々の収支を黒字にしておくということです。そのためには、収入にみあった家賃の物件を探すことが大切です。総務省の調査では住居費が男性では3万円台、女性もまた3万円台になっていますが、これは全国の平均であり、なかには自宅だったり、社宅を利用したり、家賃補助など受けている人も含まれています。自宅通いができず、こうした制度がない会社に勤め、かつ東京など首都圏に住むという方は、場所にもよりますが最低でも月に6〜8万円くらいが家賃としてかかると考えておいた方がいいでしょう。

一人暮らしの生活費管理のポイント

新社会人で一人暮らしを始めるという人に有効と思われるポイントを以下にまとめてみましたので参考にしてください。

収入の1/6は分けて先に貯金する

入院やリストラにあったときのための緊急時資金を準備しておくためにも、まずは収入の1/6を目安に預貯金にあて、残りを生活費にするようしておきましょう。「余ったら貯金」では、収入が少ないうちはいつまでたっても貯金ができません。手取り額の1/6を貯めていくと3年で年収の約半分が貯まる計算になります。

家賃は原則収入の1/4から1/3以下に抑える

家賃は収入の1/4以下に抑えるのが理想ですが、先の初任給から手取りを考えると大卒でも4万円代となってしまいます。とくに都心部などでは現実的な金額ではありませんので、そのときは家賃の上限を収入の1/3と考えて物件を選びましょう。収入が少なくどうしても家賃が収入の1/3を超えてしまうようなら、収入があがるまで友人とルームシェアするなどの方法もあります。
ちなみに家賃と食費は月に1万円単位で節約ができる数少ない項目でもあります。住まい選びはこうしたこともよく考えたうえで行うようにしましょう。

食費は自炊で3万円以下に抑えられる

会社の飲み会などの日を除いて毎日自炊をするようにすれば、月の食費を3万円以下に抑えることも不可能ではありません。スーパーの特売にあわせて1週間分のメニューをあらかじめ考え、効率的にまとめ買いするようにすれば、さらに節約することができます。賢く日々の出費を抑えて、自分が楽しいと思えることにお金を回せる環境を作りましょう。

格安スマホに乗り換えれば月額2,000〜3,000円にまで抑えられる

毎月のスマホ代は大体1万2,000円前後、大量にデータ通信を行う人では1万5,000円前後になります。これを格安スマホに乗り換えれば、2,000〜3,000円に抑えることができます。ただし、自分からかける通話が多いという人は料金があがることもあるので注意が必要です。また、地域によっては通信がつながらない、安定しないといったこともあるようですので、乗り換える人は事前によく調べるようにしましょう。

お金の引き出しは手数料のかからない時間に限定する

せっかく毎日の生活で節約を心かげているのですから、取られる必要のない手数料を払うことは極力避けるようにしましょう。コツは日々の予定と財布に入っている金額を日頃から詳細に把握しておくことです。そうすれば手数料の発生しない時間帯にお金を用意しておくことができます。急な飲み会の誘いはお財布と相談して、足りないようなら断るくらいの気構えも必要です。

使いたいお金のために抑えるお金を決める

節約は習慣として身につくまでは精神的に抑圧がかかり辛いかもしれません。それを持続させるためにも、使いたいお金のために抑えるお金を決めてしまいましょう。趣味のために電話代を抑える、飲み代のために食費を抑えるといった具合です。自分が楽しむための努力をしているのだと思えば気持ちも少しは楽になります。

以上、面倒なことばかりと思えるかもしれませんが、少ない収入で一人暮らしを続けていくためには大切なことばかりです。自分なりの節約術を覚えて、生活を工夫していきましょう。

親としての判断は

親としては、子どもが社会人になって遠方に通うとなった場合には、一人暮らしを後押しする判断も必要になるでしょう。子どもの成長を見守りつつ、将来に期待を寄せることも親の務めかもしれません。ただ、社会人といってもまだ1年生です。防犯対策などにはなかなか気が回らないのが実状でしょう。とくに女性の一人暮らしの場合は、防犯対策などを一緒に考えてあげることも大切です。
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