ハザードマップで確認できることは?使い方について解説

防災 2020.10.30

国土交通省のポータルサイトでは、「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の2種類のハザードマップが提供されています。日本は自然災害が多い国であり、西日本を中心に発生した平成30年7月豪雨の土砂災害や、令和元年台風第19号(東日本台風)による被害が記憶に新しいところです。

ハザードマップを活用すれば、お住まいの地域の災害リスクや、いざという時の避難ルートが事前に把握することができ、有効な防災・減災対策になります。本記事では、ハザードマップで確認できる情報や使い方についてわかりやすく解説します。

ハザードマップとは?自然災害のリスクを視覚的に表現した地図

ハザードマップとは、洪水・津波・土砂災害などの自然災害の被害履歴に基づき、想定される災害リスクをわかりやすく表現した地図です。ハザードマップは国土交通省のポータルサイトで提供されており、地図や航空写真と災害リスクを重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」と、お住いの市町村のハザードマップを閲覧できる「わがまちハザードマップ」の2種類があります。

なぜハザードマップが必要なのでしょうか。日本は自然災害の発生件数が多い国です。たとえば、国土交通省の「河川データブック 2019」によると、平成29年(2017)の台風21号による洪水被害は44県に及び、被害額は約1,499億円に達しています。[注1]また、土石流・地すべり・がけ崩れなどの土砂災害の件数も多く、平成30年(2018)には広島県を中心に合計3,459件の被害が発生しています。[注2]

少子高齢化が進み、被災時に配慮が必要なお年寄りの方の人口が増えていることも考えると、平時より防災意識を養うことが欠かせません。ハザードマップを活用して、自分が住んでいる地域の自然災害リスクを理解し、適切な避難ルートの確認や、避難行動に必要な携帯品の備え等を行う必要があります。

ハザードマップで確認できる4つの情報

ハザードマップでわかる情報
ハザードマップでわかる情報

国土交通省が作成した「重ねるハザードマップ」では、洪水・土砂災害・津波の災害リスクや、道路防災情報を確認できます。順に見ていきましょう。

洪水についてのハザードマップ

洪水のハザードマップでは、お住まいの区域ごとに浸水リスクを色分けして表示しています。「洪水(計画規模)」の地図では、その河川の一般的な降雨データに基づく洪水リスクを、「洪水(想定最大規模)」の地図では、地域全体の最大降雨量も考慮した洪水リスクを確認できます。

土砂災害についてのハザードマップ

土砂災害のハザードマップでは、土石流・急傾斜地の崩壊・地すべり・雪崩の4種類の被害を想定し、災害リスクを黄色から赤色で色分けしています。

津波についてのハザードマップ

津波のハザードマップでは、地震・津波が発生した際に予想される浸水深を色分けしています。たとえば、津波浸水想定が~0.3mなら薄い黄色、5~10mなら赤色で表示されます。

道路防災情報についてのハザードマップ

道路防災情報のハザードマップは、落石・土砂崩れなどの自然災害の際に通行規制が敷かれる可能性のある区間や、大雨・台風が起きた際の道路冠水により通行困難になる可能性がある区間を表示しています。

また、「重ねるハザードマップ」のほかにも、各市区町村が提供する「わがまちハザードマップ」や、民間企業が提供するハザードマップでも情報収集が可能です。

ハザードマップの確認方法を手順付きで解説

それでは、国土交通省の「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の確認方法をそれぞれ見てみましょう。

「重ねるハザードマップ」を閲覧する3つの手順

重ねるハザードマップは国土交通省のホームページで利用できます。アプリ版はありませんが、スマートフォンからも閲覧可能です。

1.地域を選ぶ

まず、地図グラフィック上から直接地域を選ぶか、お住まいの住所をフォームに入力しましょう。たとえば、「茨城県つくば市北郷1」と入力すると、対応した地域が画面に表示されます。地図ではなく航空写真で見たい場合は、左下の地図マークをクリックします。

2.災害種別を選ぶ

次に、災害種別から調べたいものを選びます。洪水(想定最大規模、計画規模)・土砂災害・津波・道路防災情報の4つのカテゴリーから選択できます。

3.自然災害リスクを選ぶ

さらに、各カテゴリーの下部のコラムから、より細かな自然災害リスクを選びます。たとえば、洪水カテゴリーなら、洪水浸水想定区域(想定最大規模)・洪水浸水想定区域(計画規模)・浸水継続時間(想定最大規模)・家屋倒壊等氾濫想定区域(氾濫流)・家屋倒壊等氾濫想定区域(河岸侵食)・ため池決壊による浸水想定区域の6つの災害情報を選択できます。色分けされた部分をクリックすれば、想定される災害の度合い(洪水の場合は浸水深)が表示されます。

わがまちハザードマップは「ハザードマップポータルサイト」を活用

わがまちハザードマップは各市区町村が作成したものですが、ハザードマップポータルサイトにリンクが集約されているため、各市区町村のホームページを探さなくても、ポータルサイト経由で簡単にアクセス可能です。使い方は重ねるハザードマップと同様、表示される地図上で直接選ぶか、お住まいの都道府県名・市区町村を探すことで、各地域のハザードマップの情報を検索できます。自治体によっては、自然災害時のネットワーク断線を想定し、通信負荷の軽いPDFファイルでハザードマップを提供しているケースがあります。

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ハザードマップを活用する3つの方法

ハザードマップの活用法
ハザードマップの活用法

防災・減災を進めるうえで、ハザードマップの活用は欠かせません。しかし、内閣府の「令和2年版 防災白書」によると、令和元年(2019年)の台風第19号の際、「ハザードマップ等を見たことがない」人が21.7%、「見たことはあるが、避難の参考にしていない」人が24.2%に達しており、ほぼ半数にあたる45.9%の人がハザードマップを活用しておらず、ハザードマップの普及啓発と、事前防災に向けた取り組みに課題が残されています。[注3]ここでは、ハザードマップを活用し、防災・減災に役立てる3つの方法を解説します。

災害リスクを知る

ハザードマップを活用することで、お住まいの地域にどのような自然災害リスクがあるかを把握することができます。自宅周辺のエリアだけでなく、通勤・通学に使用するエリアや、買い物やレジャーなど日常生活で頻繁に使用するエリアの災害リスクを確認しておきましょう。とくに流域面積が大きい1級水系が近くにある場合は、洪水浸水想定区域や浸水継続時間などのチェックが必要です。

指定緊急避難場所を知る

災害リスクがわかったら、指定緊急避難場所を確認します。自然災害が起きた時にどうやって指定緊急避難場所に向かうか、避難ルートもチェックしておきましょう。自然災害の種類によって最適な避難ルートは異なります。たとえば、地震や土砂崩れの際には有効な避難ルートでも、洪水や津波が起きた際に洪水浸水想定区域となるケースがあります。災害の種類に合わせ、避難ルートを調べておきましょう。

通行規制の可能性を知る

避難ルートが決まったら、重ねるハザードマップの道路防災情報をチェックします。落石や土砂崩れ、大雪などが発生した場合、通行規制により避難ルートが使えなくなる可能性があります。また、立体交差のアンダーパスや、周囲より標高の低い土地は道路冠水が発生しやすいため、大雨・台風時には注意が必要です。

ハザードマップを活用して自然災害への備えを

自然災害の事前防災を目指し、情報面で支援するのが、国土交通省の提供するハザードマップです。洪水・土砂災害・津波などの災害リスクや、大雪・土砂崩れなどが発生した際の道路防災情報をポータルサイト上で簡単にチェックできます。

ハザードマップを活用し、お住まいの地域の災害リスクや、指定緊急避難場所へ向かう避難ルートを確認しておきましょう。防災・減災を実現するためには、平時からの備えと防災意識が欠かせません。

ALSOKでは、もしもの時に備え、非常用飲料水、非常食などをまとめた「緊急キット」をはじめ、災害対策グッズを販売しています。

ハザードマップの確認に加えて、これらの災害対策グッズも用意しておきましょう。

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