在宅介護の大変さとは?ホームヘルパー(訪問介護員)活用について解説
大切な家族の一員が、身体の衰えにともない、ひとりだけでは生活がままならなくなることもあるでしょう。介護施設に入所を勧めるのもひとつの手段ですが、思いれのある自宅を離れるのに抵抗があるかもしれません。しかし、自力で在宅介護を行うにも限界があります。
そこで選択肢として検討していただきたいのが、ホームヘルパーの依頼です。自宅まで直接足を運んでもらい、身の回りの介護をお願いできます。この記事では、ホームヘルパーの活用について解説します。
ホームヘルパーに頼らないで介護しようとすると大変
介護施設に入所したりすると、それなりに費用が発生します。自宅で家族が介護を行えば、費用に関する問題はありません。ですが、自力で在宅介護を行うことは相当の覚悟が必要です。
実際に自力で家族の方を在宅介護をされている方の負担は決して軽いものではありません。
必要とされる介護の度合いにもよりますが、場合によっては自分のことがまったくできなくなるほど手一杯になるケースもあります。とくに、認知症を患っている家族を介護する場合は、ちょっとした言動でもストレスの原因となりかねません。
多くの介護が必要となれば、自分が寝る時間すら削らなければならないこともあるでしょう。加えて、要介護者の身体を動かしてあげる必要があるため、肉体的な負担も積み重なります。仕事を日中に行っている場合、両立が難しい場合もあるでしょう。
厚生労働省が実施した「在宅介護実態調査」によると、就労している介護者は、将来的な不安要素として「認知症状への対応」「日中・夜間の排泄」などを挙げる方が多いようです。[注1]
ホームヘルパーの重要性
在宅介護を続けていると、時として介護者の精神をひどく追い詰めてしまうこともあるでしょう。要介護者につきっきりとなり自分の時間がなくなることで、介護が生きる世界のすべてとなってしまいがちです。個人での介護には、どうしても限界があります。限界を迎える前に、ホームヘルパーの依頼を検討してみてはいかがでしょうか。
要介護認定を受けた高齢者などの自宅を訪問し、介護・支援を行うのがホームヘルパーです。ホームヘルパーになるには、介護職人初任者研修過程を終了しなければなりません。
ホームヘルパーは、訪問介護のサービスで、介護施設と異なり、自宅に介護者が訪れてくれます。そのため、ホームヘルパーと要介護者によるマンツーマンでのやり取りが生まれます。相互に濃い関係性を作っていけるのは、ホームヘルパーならではのメリットです。
ホームヘルパーは介護施設と比べ、介護をお願いできる時間は限定されますが、その分費用も安めです。
ホームヘルパーに依頼できる2つのサービス
ホームヘルパーに介護を依頼することで、身体介護と生活援助の2つのサービスが受けられます。
ここでは、それぞれについて詳しく解説します。
1「身体介護」自宅で暮らしていくために必要なこと
身体介護として、以下5つのような介助をお願いできます。
- 更衣介助:衣服を着替える際に必要となる介助
- 食事介助:食事の際における介助、見守りなど
- 入浴介助:全身あるいは部分的な入浴の介助、困難な場合は拭いてもらう
- 排泄介助:おむつの交換あるいはトイレの手助け
- 歩行介助:自力での歩行が可能となるようにサポート
そのほか、以下のような項目もサービスに含まれます。
- 体温測定
- 血圧測定
- 動脈血酸素飽和度測定を目的としたパルスオキシメータの装着(入院・治療の必要がないもの)
- 軽微な切り傷・擦り傷・やけどなどの処置(専門的な判断・技術が不要なもの)
また、医師(歯科医師)の処方および指導があり、本人・家族の依頼がある場合、条件付きで以下の行為が可能です。
- 皮膚への軟膏塗布
- 皮膚への湿布貼付
- 点眼薬の点眼
- 一包化された内服薬の内服
- 坐薬の挿入または鼻腔粘膜への薬剤噴霧の介助
以下については、要介護者の症状によって、一定の範囲までであれば行える項目です。
- 爪切り
- 口腔ケア
- 耳掃除
- ストマ装置の排泄物を捨てる
- 自己導尿補助のためのカテーテル準備、体位の保持
- 浣腸
ただし、いずれも介護の内容によっては医療行為とみなされ、ホームヘルパーのサービスから外れてしまう場合があります。ホームヘルパーはあくまでも介護者であるため、介護の内容が医療行為に含まれるかどうか、ケアマネージャーなどの専門家に確認する必要があるでしょう。
2「生活援助」さまざまな家事の支援
身体介護以外にも、生活していくうえで必要となる以下のような支援をお願いできます。
- 買い物
- 調理
- 掃除
- 洗濯 など
こちらもサービスの範囲には注意が必要です。たとえば、利用者の家族のための家事や来客対応、草むしりやペットの世話、大掃除やお正月の準備などはサービスに該当しません。
訪問介護サービス利用の流れ
ホームヘルパーによる介護サービスを受けるための流れを、順を追って説明します。
1住んでいる市区町村の窓口で要介護認定を申請する
要介護認定の申請には、介護保険被保険者証(第2号被保険者の場合は医療保険証)が必要です。
2認定調査と主治医意見書の作成
市区町村の調査員による認定調査が行われます。
また、調査員を通して主治医意見書を作成します。主治医意見書とは、要介護認定を行う際の判断材料となりるものです。主治医意見書は主治医に作成してもらうか、主治医がいない場合は市町村指定の医師による診断を受けてもらう必要があります。作成にあたっては、申請者の自己負担はありません。
3審査判定と認定
全国一律の方法による一次判定の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会が要介護度を判定します。
市区町村の要介護認定後、結果が通知されます。通知のタイミングは、申請から原則30日以内です。
4介護サービス計画書を作成する
ケアマネージャーのいる居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)に、介護サービス計画書(ケアプラン)作成を依頼します。
介護サービス計画書(ケアプラン)作成をお考えの方はこちら
ALSOKの施設・事業所検索なお、要支援1・2の場合に作成する介護予防サービス計画書については、地域包括支援センターに相談します。
5介護サービス利用を開始する
介護サービス計画に基づき、身体介護、生活援助のサービスが利用できます。
ホームヘルパーに力を借りることは非常に重要
訪問介護では、自宅で暮らすため身体介護と生活援助のサービスが受けられます。サポート範囲に制限はあるものの、上手に活用すれば要介護者と家族の大きな助けとなります。
訪問介護は、できるだけ自立して暮らし、家族の不安や負担を軽減するための手段のひとつです。在宅介護についてご家族と相談する際は、ぜひホームヘルパーの利用を検討してみてください。
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