防犯カメラで近隣トラブルを回避しよう

防犯 2020.09.14

日本法規情報の2019年の調査によると、過去に近隣トラブルに遭ったことがある人の割合は全体の28%です。[注1]つまり、およそ3人に1人の方が、近隣トラブルに悩まされた経験を持っています。隣人とのトラブルは抜本的な解決が難しく、自治会や不動産管理会社に訴え出ても、当事者同士の水掛け論に終わってしまうケースもしばしばあります。そこで役に立つのが、住宅への監視カメラの設置です。本記事では、近隣トラブルの4大原因や、なぜ監視カメラが近隣トラブルの解決に有効なのかについて、わかりやすく解説します。

[注1] 日本法規情報株式会社:「相談サポート通信 相談者実態調査」
近隣トラブルの実態
近隣トラブルの実態

近隣トラブルの4つの原因

警察庁の調べによると、2017年における緊急性のないトラブルの相談は過去最多の208万2,239件。そのうち、「上階の住人の歩く音がうるさい」などを始めとした家庭・職場・近隣関係の相談は、2008年と比べて約1.7倍増の24万956件(11.6%)でした。[注2]

[注2] 日経新聞社:緊急性ない「相談」扱い、17年208万件 警察庁

なぜご近所との揉め事やトラブルが発生するのでしょうか。ここでは、近隣トラブルの原因となる4つの問題を解説します。

3人に1人が騒音トラブルを経験

日本法規情報の近隣トラブルについてのアンケート調査で、全体の30%の人が挙げていたのが、「騒音」についての近隣トラブルです。2016年の調査と比べても10ポイント上昇しており、騒音トラブルの発生件数は増加傾向にあります。[注1]

とくに騒音トラブルの原因となりやすいのが、子供やペットのたてる音です。東京都環境局の調べによると、日常生活音のなかでも、「子どものかけ足」には約50~66デシベル、「犬の鳴き声」には約90~100デシベルほどの音の大きさがあります。

一般的な目覚まし時計の音の大きさが約64~75デシベルですから、こうした音は時と場合によって、隣近所の住宅やマンションの上下階に伝わってしまう可能性があります。[注3]

騒音トラブルは立証するのが難しく、抜本的な解決が難しいのが特徴です。地方自治体に申し出た結果、騒音の程度を調べる測定器を貸し出してくれたケースありますが、生活騒音はいつ発生するかわからず、測定すること自体が困難です。マンション管理組合に隣室・上階の住人の騒音トラブルを届け出た結果、騒音主に知られ、逆に嫌がらせ行為が始まってしまった事例も存在します。近隣トラブルのなかでも、とくに相談者の頭を悩ませるのが騒音問題です。

ペットの糞やにおいに関するトラブル

ペットが原因となる近隣トラブルも少なくありません。とくに戸建て住宅に多いのが、隣家のペットが敷地内に侵入し、糞をするというトラブルです。口頭や手紙での注意や、自治会への申し立て、保健所による指導といった手段に訴えても、「ペットのことだから」となかなか改善に結びつかないケースが少なくありません。

ペットの糞が悪臭の原因となることもありますが、悪臭の度合いの客観的証拠を揃えるのが難しく、解決に至るまで長期化しやすいトラブルです。

また、隣家のペットが人を噛み、怪我をさせてしまったというトラブル事例も存在します。とくに子どもが被害に遭った場合、思わぬ大怪我に発展することもあります。騒音トラブルと並び、深刻な近隣トラブルの1つがペット問題です。

無断駐車・違法駐車に関するトラブル

自家用車に関する近隣トラブルも数多く発生しています。とくに多いのが、自宅の敷地内や、自分が借りている駐車場への無断駐車・違法駐車です。私有地の無断駐車・違法駐車は、実は道路交通法上は駐車違反にあたらないため、民事不介入の原則をとる警察に相談しても、基本的に対応してもらえません。

そのため、無断駐車・違法駐車した車両に対し、粘着テープを使った張り紙や、盗難防止用のタイヤロックを使用するなどの手段に出た結果、逆に車の持ち主に被害届を出されてしまうケースもあり、さらなる近隣トラブルの引き金となっています。

無断駐車・違法駐車の原因として、隣家との境界線が曖昧であるケースもあります。実際、日本法規情報のアンケート調査によると、近隣トラブルの発生件数の17%が、隣家との境界線画定に起因しています。[注1]さらなるトラブルを避けるためにも、隣地との境界線画定は必ず実施しておきましょう。

ゴミの分別や出し方についてのトラブル

未婚者に比べ既婚者のほうが、不満が高い近隣トラブルは、ゴミの分別や出し方についてです。[注4]

[注4] SUUMOジャーナル:近隣トラブル、悩まされていること1位は……?

ゴミ出しルールを破り、前日の夜にゴミ出しを行ったことでトラブルが発生したり、深夜・早朝にゴミ出しを行う音が近所迷惑になったりと、様々なトラブルが発生しています。ゴミ出しについての近所トラブルを防ぐには、その地域やマンションのゴミ出しルールと、地方自治体のゴミ分別ルールの両方を守ることが大切です。

防犯カメラで近隣トラブルを回避できる3つの理由

近隣トラブルの実態
近隣トラブルの実態

近隣トラブルを回避するため、有効なのが防犯カメラの設置です。防犯カメラを設置することで、近隣トラブルの現場を記録し、客観的な証拠を集めることができるだけでなく、設置すること自体が近隣トラブルの抑止力にもなりえます。ここでは、防犯カメラ設置が推奨される3つの理由を解説します。

防犯カメラの設置は近隣トラブルの抑止力になる

防犯カメラをわかりやすい場所に設置することで、近隣トラブルの抑止力になります。防犯カメラには犯罪や不法行為への抑止力が認められています。たとえば、愛知県刈谷市では、2011年から2017年にかけて防犯カメラの台数を約9倍の930台に増やした結果、刑法犯認知件数が5年間で46.4%減少しました。[注5]

[注5] 日経新聞社:防犯カメラの設置増で犯罪件数が半減 刈谷市

防犯カメラが設置されていれば、私有地への無断駐車・違法駐車や、ゴミの不法投棄など、悪意のある行為を行いづらくなります。近隣トラブルを防ぐという意味においても、防犯カメラの設置は効果的です。

自治会や管理会社に申し立てする際の証拠になる

近隣トラブルは当事者間の水掛け論になりがちで、抜本的な解決が難しいという問題を抱えています。住んでいる地域の自治会や、マンションの管理組合・管理会社に訴え出ても、客観的証拠がなければ、問題解決に向けて動いてくれないケースもあります

監視カメラシステムを導入すれば、近隣住民やペットの不法侵入、無断駐車・違法駐車といった近隣トラブルの映像記録を撮影し、客観的証拠として提出することが可能です。

弁護士に相談する場合は「受忍限度」の証明が必要

近隣トラブルの性質や程度によっては、弁護士に相談し、法的手段に訴えることを検討する方もいます。そこで大きな壁になるのが「受忍限度」という基準です。受忍限度とは、他人と共同で社会生活を営むうえで、個々人が我慢(受忍)すべき基準を意味します。

近隣トラブルで生じた損害に対し、損害賠償を請求するためには、受忍限度を超えていることを客観的に証明しなければなりません。たとえば、ゴミの投げ入れなどの不法投棄、土地の境界線の侵害、ペットによる被害などの違法性を証明したい場合、問題行為を撮影し、客観的な証拠を持っていることが有利に働きます。

法的手段に訴える場合だけでなく、警察に相談する場合も客観的記録の有無が大きく影響しますので、近隣トラブルが不安な方は監視カメラを自宅に設置しましょう。

防犯カメラの設置により近隣トラブルを回避しよう

自宅への防犯カメラ設置は、あくまでも防犯対策が目的であるならば、法的に何ら問題はありません。防犯カメラを設置することで、悪質な騒音や、ペットの糞、違法駐車・無断駐車などの現場を記録し、客観的証拠を入手できます。また、防犯カメラを設置すること自体が、近隣トラブルの抑止力ともなります。ただし、隣家の建物や敷地内が映り込むようにカメラを設置すると、プライバシーの侵害に当たる可能性があるため、設置場所は工夫しましょう。

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