自宅への侵入を事前に防ぐには?犯行の手口と防止策を解説
侵入窃盗の認知件数は、2003年以降から減少傾向にあり、2022年は36,588件と20年連続で減少しています。
2022年の侵入窃盗の認知件数のうち住宅対象侵入窃盗は、15,692件であり、一日あたり約43件発生しています。また、2022年の侵入窃盗の発生場所別認知件数では、一戸建て住宅が33.0%となっており、2位の一般事務所11.1%を大幅に上回る結果となっています[注1]。
[注1]警察庁 住まいる防犯110番「データで見る侵入犯罪の脅威」
自身やご家族、大切な財産を守るために、自宅への侵入を未然に防ぐ対策を行いましょう。
今回は自宅への侵入手口や、狙われやすい住宅の特徴、侵入を未然に防ぐ有効な防止策などについて解説します。
目次
犯行の手口と侵入口について
住宅への侵入を防ぐためには、まず侵入の手口を知ることが重要です。一戸建て住宅の場合、侵入口の大半は「窓」で、全体の53.5%を占めています[注1]。
次いで玄関などの「表出入り口(21.3%)」、「その他の出入り口(15.4%)」と続きますが、特に窓からの侵入に注意が必要であることが伺えます。
一方の侵入手口は、窓・ドアごとに複数に分かれています。ここでは主な侵入手口を7つご紹介します。
ガラス破り
一戸建て住宅の侵入手口のうち、無施錠からの侵入(51.2%)に次いで多いのがガラス破り(30.7%)です。
ガラス破りの手段は3つありますが、最も多いのは「こじ開け」と呼ばれる方法で、ドライバーを使って引き違い窓の鍵部分に拳大の穴をあけ、そこから手を入れてクレセント錠を直接開錠します。
他にも、投石やハンマーを使ってガラス窓を破る「打ち破り」、ライターやガスバーナーでガラスを焼いたうえで水をかけて窓にヒビを入れる「焼き破り」など、複数の手口があります。
焼き破りは最近増えている手口ですが、ガラス破りに使った火によって住宅火災を引き起こすおそれがあるため、二次被害も懸念されています。
ドア錠破り
ドアのすき間にバールを差し込み、テコの原理を利用して鍵部分を力任せにこじ開ける方法です。
玄関など表出入り口からの侵入というと、ピッキングやサムターン回しをイメージしがちですが、開錠までに手間と時間がかかってしまうため、すばやく住居内に侵入できるドア錠破りを選ぶ侵入犯は少なくありません。
実際、ドア錠破りは侵入手口において、無施錠からの侵入、ガラス破り、合かぎに次いで多い2.2%を占めています。(その他・不明除く)
ピッキング
金属製の特殊な工具を鍵穴に差し込んでドアを解錠する手口のことです。ガラス破りやドア錠破りに比べると見た目に変化がないため、侵入に気付かないケースもあります。
サムターン回し
鍵の横に穴を開け、特殊な道具を差し込んでドアの内側にあるサムターン(つまみ)を回し、開錠する方法です。
ドアと壁のすき間から道具をこじ入れて開錠するケースもあります。
カム送り
鍵穴まわりの金属の外枠を浮かせ、すき間から工具を差し込んでカンヌキを動かす手口です。
別名「バイパス開錠」ともいい、ピッキング同様、見た目に変化が現れにくいことから、侵入に気付かないおそれがあります。
戸外し
ドアそのものを取り外して中に侵入する手口です。
開き戸に多い侵入手口ですが、最近は防犯性の高い開き戸が流通しているため、戸外しによる犯行は全体の0.6%程度に留まっています。
合鍵
合鍵を使った侵入は意外と多く、全体の3.1%に上っています。
元の鍵が手に入らないと合鍵を作れないため、友人や知人、かつての交際相手など、身近なところに犯人がいる場合があります。
狙われやすい住宅の特徴
侵入犯は手当たり次第に犯行を行うわけではなく、多くの場合、事前に下見をして侵入しやすい住宅を探し出します。
では、具体的にどんな家が侵入犯に狙われやすいのか、侵入リスクの高い家の特徴を5つまとめました。
クレセント錠の位置が開けやすいところにある
クレセント錠は構造がシンプルなので、ガラス破りの手口を使えば簡単に侵入できてしまいます。
特に一階部分にクレセント錠の窓がある家は、侵入犯にとって格好のターゲットになります。
人目につきにくい
侵入犯は家に侵入するときはもちろん、逃げる時も人目につかないよう行動します。
隣家との間に距離のある家や、庭木など死角になるものが多く、一度敷地内に入ると目立ちにくい家は要注意です。
よく留守になる家
住居内で住人と鉢合わせしないよう、侵入犯は留守のところを狙って侵入します。
留守かどうか確認する方法はさまざまで、堂々とインターホンを押して確認したり、電話をかけたり、カーテンの閉まり具合を見たりして住人が在宅しているかどうか調べます。
なかには、夜間に下見をし、電気が消灯している家を探し出して犯行に及ぶケースもあります。
周辺環境が悪い家
落書きなどが見られず、きれいに清掃されゴミが落ちていないような町は、地域住民の防犯意識も高いと考えられるため、侵入犯にとっては地域住民の監視の目が行き届いた「犯罪をやりにくい地域」ということになります。
一方、ゴミ出し日以外にゴミが出ていたり、建物に落書きされていたり、道路が汚れていたりする地域は、防犯意識が低くや地域コミュニティの結びつきも弱いエリアとみなされ、ターゲットに選ばれやすくなります。
ガレージが空っぽの家
ガレージや駐車場があるのに車が駐車されていない家は、住人が不在であると推測されてしまうため、ターゲットに選ばれやすいと言えます。
侵入を未然に防ぐための対策
大切な家族や財産を守るために、ぜひ実践したい侵入防止策を5つご紹介します。
小さな窓でもしっかり施錠する
一戸建てにおける侵入のうち、最も大きな割合を占めているのは無施錠からの侵入で、全体の51.2%以上に及んでいます[注2]。
[注2]警察庁 住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」
玄関や大きな窓はもちろんですが、人が入りそうもない小さな窓や、二階の窓などが侵入口になることもありますので、窓の大きさや階数にかかわらず、すべての窓や出入り口を施錠する習慣をつけましょう。
防犯フィルムを貼る
ガラス破り対策には、合わせガラスや合わせ複層ガラスへの交換が有効ですが、丸ごと入れ替えるとなるとかなりのコストがかかってしまいます。
そんなときは、手軽にガラスの強度を高められる防犯フィルムの使用がおすすめです。
半透明のフィルムを貼れば、外からの覗き見対策にもなり、より防犯性を高められます。
補助錠をつける
簡単に開錠されてしまうクレセント錠の窓には、補助錠を追加してガラス破り対策を行いましょう。
外から見えにくいところに設置すれば、補助錠を外される心配もなく、侵入を諦めさせることができます。
防犯性の高い鍵に取り替える
ピッキングやサムターン回し、カム送りなどへの対策には、最新式の防犯鍵への取り替えが有効です。
具体的には、ディンプルキーや電子錠など、より防犯性の高い鍵に変更すれば、ドア破りによる侵入を防止できます。
こうした錠は合鍵の作成も困難ですので、合鍵による侵入の抑制にも役立ちます。
ホームセキュリティを利用する
ぜひ導入を検討したいのがホームセキュリティです。
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防犯対策をしっかり行い、侵入犯罪を未然に防ごう
ガラス破りやドア破り、施錠開けなど、さまざまな手口を用いた侵入犯罪は、2022年において1日40件を超えるペースで発生しています。
市販の防犯グッズによる対策でも一定の犯罪防止効果は期待できますが、プロによるホームセキュリティを導入し、より強固な防犯対策を行うことをおすすめします。
ALSOKでは、ホームセキュリティのほか、自宅への侵入を防ぐのに効果的な防犯カメラを用意しています。抑止力としても期待できるため、自宅の防犯対策としてぜひ検討してみてください。