大地震に備えた防犯対策について
南海トラフ巨大地震や首都直下型地震など、近い将来大地震が日本列島を襲う可能性が高まっています。大地震による被害を最小化し、防災減災に努めるには、どのような対策が必要なのでしょうか。本記事では、大地震の被害を抑えるための正しい行動や初期対応のほか、震災後の犯罪被害を未然に防ぐ「防犯対策」について解説します。
大地震がきたらまずは安全な場所に避難を
もし大地震がやってきたら、まずは安全な場所に避難することが大切です。「電気のブレーカーを落とす」「キッチンや計量メーターのガスの元栓を閉める」といった防災対策は、揺れが収まってからでもかまいません。大地震の揺れが大きいと、パニックになってしまう方もいるかもしれませんが、慌てず落ち着いて身の安全を確保しましょう。
【自宅・外出先】大地震発生時の避難場所の選び方
大地震発生時の避難場所は、自宅にいるのか、屋外にいるのかによって違います。自宅にいる場合は、まずは大地震の揺れによる落下物を避けるため、テーブルの下など身を隠せる場所に避難しましょう。大地震発生時、店舗やオフィスに滞在している場合や、バス・電車などの公共交通機関を利用している場合は、原則として係員や館内放送の指示に従い、指定の避難場所へ移動しましょう。
緊急地震速報システムにより、大地震発生をある程度予知できるケースも増えてきましたが、揺れがやってくるまでの猶予時間は数秒程度しかありません。すみやかに安全な場所に避難し、身の安全を確保することが大切です。
避難行動をとる際の4つの注意点
避難方法や避難ルートを誤れば、二次災害につながる恐れがあります。避難行動をとる場合は、次の4つのポイントに注意しましょう。
- 周囲に誰もいない場合は、1人で避難行動をとれそうかしっかりと状況判断を行う
- 屋内にいる場合は、足元のガラス片や家具の転倒に注意し、なるべく裸足では歩かない
- 指定避難場所へ移動する際は、身軽に動きをとれるよう、不要な物品を持たずに最低限の手荷物だけを持つ
- 避難行動中は、建物の倒壊による「落下事故」、電線の断線による「漏電事故」、避難者の密集による「群集事故」の3つに注意
大地震の揺れが収まっても、油断してはいけません。指定避難場所に到着するなど、身の安全が保証されるまで、周囲の状況に気を配りながら避難行動をつづけましょう。
二次災害の被害を抑えるための3つの行動
大地震の被害だけでなく、大地震がきっかけとなって生まれる二次災害への対策も必要です。たとえば、大地震にともなう津波・地割れ・液状化現象や、火の不始末による火災、断水・停電などのライフライン遮断などが二次災害の一例です。ここでは、二次災害の被害を最小化するための3つの行動を紹介します。
火災に備えて「ガスの元栓」「電気のブレーカー」に注意
大地震後の火災へ備える基本行動が、「ガスの元栓を閉める」「キッチンや計量メーターのガスの元栓を閉める」の2つです。国土交通省の調べによると、阪神淡路大震災の死亡原因の約1割が、火災による「焼死」でした。
神戸大学の調査でも、火災原因が判明した84件のうち、電気関係によるものは38.1%、ガス関係は17.9%、電気・ガス器具双方が原因となったケースは約10.7%だとわかっています。[注1]まずは自分の身の安全を確保することが最優先ですが、大地震の揺れが収まり、避難行動がとれそうな状況になったら、出火を防ぐために必ず「ガスの元栓」「電気のブレーカー」をチェックしましょう。
津波に備えてすみやかに高台へ避難しよう
先の東日本大震災でも、津波による二次災害で多くの死者が発生しており、死者・行方不明者の合計は2万5,949人といわれています。[注2]東日本大震災の被災者870名に対し、政府が行ったアンケートによると、大地震の揺れが収まった直後に避難した「直後避難」の割合は57%、揺れが収まってからすぐに避難せず、なんらかの行動を終えてから避難した「用事後避難」の割合は31%、津波が迫ってきてから避難行動をとった「切迫避難」の割合は11%で、高台など避難の必要がない場所にいたため、「避難していない」の割合が1%でした。
避難者の避難行動の経過を見ると、早期に避難行動をとった人ほど、津波に巻き込まれていないことがわかります。直後避難を行った人の合計93%が津波の被害に遭わなかったのに対し、切迫避難を行った人の28%が津波に巻き込まれ、流されています。[注3] 大地震の揺れが収まったら、すみやかに高台等の安全な場所へ避難することが大切です。
性犯罪や空き巣などの犯罪対策も必要
防災対策だけでなく、性犯罪や空き巣などに備えた防犯対策も必要です。東日本大震災の被災3県を対象とした警察庁の調べによると、震災後の1年間で、空き巣を始めとした侵入等は前年比39件増の5,729件発生しています。[注4]
また、長期に渡って避難所生活を送る場合、とくに女性は性犯罪を始めとした防犯対策が必要です。同調査によると、震災後も例年と変わらない件数の風俗犯が発生しています。避難生活という非日常と接することで、心理的な不安・不快な感情・ストレスが性犯罪を加速させます。[注4]万が一の事態に備えて、従来の防災グッズに加え、防犯対策グッズも用意しておきましょう。
二次災害に必要な3つの防犯対策グッズ
二次災害の被害を抑えるには、防災ヘルメットや家具の転倒防止器具などの防災グッズだけでなく、防犯対策グッズの準備が必要です。ここでは、震災後の犯罪被害に備えるための3つの防犯グッズを紹介します。
防犯ブザー:万が一の際の抑止力になる
避難所ではお互いのプライバシーを確保するのが難しく、大勢の人が体育館等の施設で寝泊まりするため、性犯罪や暴行・傷害事件などが発生するリスクが高まります。
万が一の事態に備えるため、防犯ブザーを携帯しておきましょう。音で相手を威嚇できるだけでなく、手に持って見せるだけでも犯罪行為の抑止力になります。防犯ブザーを携帯する際は、いつでもとりだして使用できるよう、手に取りやすい場所にセットしておきましょう。
ホイッスル:電池がなくても使用可能
防犯ブザーと同様、ホイッスルも犯罪行為の抑止力になります。防犯ブザーと違い、ホイッスルは電池がなくても使用でき、災害時に強いという特徴があります。また、ホイッスル内部に氏名・住所・血液型を記載したIDカードを格納できるため、大地震により怪我を負ってしまった場合でも、救護者との迅速な情報共有が可能です。
補助錠・防犯鍵:空き巣に入られるリスクを減らす
避難中の空き巣対策に役立つ防犯グッズが、補助錠・防犯鍵です。都市防犯研究センターの調査によると、空き巣の約17%が2分以内に侵入をあきらめ、約51%が2分から5分以内に退散します。[注5]補助錠・防犯鍵を設置し、侵入までの時間をかけさせることで、空き巣があきらめる可能性が高まります。住まいの防犯対策の基本は「ワンドアツーロック」です。窓や玄関ドアに補助錠を取り付け、避難中に空き巣に入られないようにしましょう。
[注5]警察庁:住まいる防犯110番
二次被害を防ぐ防犯グッズについて知り、防犯・防災対策の見直しを
大地震による二次被害を軽減するためには、「電気のブレーカーを落とす」「ガスの元栓を閉める」といった防災対策だけでなく、避難中の侵入盗や、避難所生活中の性犯罪などを防ぐための「防犯対策」が欠かせません。
ALSOKの開発したアルミホイッスルは、軽量で持ち歩きやすく、氏名・住所・血液型を記載したIDカードが付属しているため、緊急時の情報共有にも役立ちます。大地震に備えた防災対策や防犯対策が十分かどうか、今一度見直しを行いましょう。
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