地震・台風・大雨などの災害から身を守るための備えとは?
自然災害のなかでも、発生の予測が難しいのが地震です。大きな地震の発生前には小規模な地震が頻発するといわれていますが、それでもいつ頃にどの地域でという予測はむずかしいのが実情です。また毎年、夏から秋にかけて猛威をふるう台風も脅威でしょう。台風は気象庁の進路予想などから、いつくらいにどの地域が影響を受けるということが予測できます。ただ、予測ができれば被害が小さくなるというわけでもありません。
地震や台風などの自然災害は大きな脅威であり、身構えるだけで対処ができるようなことではありません。自然災害が発生したときには何より生命を守ることが大切であるとともに、生活を支える企業の経済活動を守るための対策を考える必要があります。そこで、地震や台風、大雨などの災害が発生する前に準備しておくべきことについて考えてみましょう。
地震から身を守るためには
大規模地震が発生することを想定した防災対応として、東京消防庁が提唱する地震に対する「10の備え」があります。その備えとは次の通りです。
家具類の転倒・落下・移動防止対策
けがの防止や避難に支障のないように家具を配置すること、家具やテレビ、パソコンなどを固定して、転倒・落下・移動防止措置をしておくことが大切です。
けがの防止対策
食器棚や窓ガラスなどには割れて飛散しないよう飛散防止措置をしておくこと、停電に備えて懐中電灯をすぐに使える場所に置いておくこと、地震時の散乱物でケガをしないようにスリッパやスニーカーなどを身近に準備しておくことが大切です。
家屋や塀の強度を確認
家屋の耐震診断を受け、必要な補強をしておくこと、ブロックやコンクリートなどが倒れないよう補強しておくことが大切です。
消火の備え
火災が起きた場合に備えて消火器の準備や風呂の水を張っておきましょう。ただし、子どもがあやまって溺れたりしないように注意が必要です。
火災発生の早期発見と防止対策
火災の早期発見のために、住宅用火災警報器を設置しておくこと、普段使わない電気器具の差込みプラグをコンセントから抜いておくこと、電気やガスによる火災を防止するため感震ブレーカー、感震コンセントなどの防災機器を設置しておくことが大切です。
非常用品の備え
非常用品は、置く場所を決めて準備しておくこと、重量物を引き上げるジャッキやカーラジオなど、身の周りにあるものの活用を考えておくことが大切です。
家族での話し合い
地震が発生した時の出火防止や初期消火などの役割分担を決めておくこと、家族が帰宅困難になったり離れ離れになったりした場合の安否確認の方法や集合場所を決めておくこと、家族で避難場所や避難経路を確認しておくこと、近隣との助け合い体制を話し合っておくことが大切です。
地域の危険性を確認
自治体の防災マップで、居住地域の危険度を確認しておくこと、自宅や学校、職場周辺を実際に歩いて、災害時の危険箇所や役立つ施設を把握して防災マップを作っておくことが大切です。
防災についての知識
インターネットや新聞、テレビなどで防災に関する情報を読んで知識を身につけておくこと、消防署などが実施する講演会や座談会に参加して過去に起こった地震の教訓を学んでおくことが大切です。
防災時の行動力
日頃から防災訓練に参加して、身体防護、出火防止、初期消火、救出、応急救護、通報連絡、避難要領など防災時の対応を身につけておくことが大切です。
水害から身を守るためには
台風や雨による水害から身を守るためには、まず知ることが重要といわれています。では何を知るべきなのでしょうか。内閣府の提唱する水害・土砂災害に関する手引きからみていきましょう。
雨を知る
気候変動により豪雨災害のリスクが高まっているなかでは、台風や一部地域で長く降雨が続く線状降水帯の発生によってもたらされる雨の被害について知っておきましょう。
とくに激しい雨や集中豪雨では、川の増水や氾濫、床下・床上浸水、道路の冠水などの被害が想定されます。また大量の雨で地盤がゆるみ土石流やがけ崩れの恐れがあることも知っておくことが大切です。
危険を知る
水害や土砂災害から身を守るには、ハザードマップで地域の災害リスクを知っておきましょう。とくにがけ崩れや地すべり、土石流は発生してからでは避難が間にあいません。変な音がしたり振動を感じるなど様子がおかしいと感じた場合には、ただちに避難行動をとることが大切です。
情報を知る
大雨などに関する情報は気象庁を通じてテレビやインターネットなどさまざまな形で発信されていますので必ず確認しましょう。特別警報・警報・注意報警報級の災害は、ひとたび発生すると命に危険が及ぶおそれがあります。これらの情報が発令された場合には、いつ、どこで危険度が高まる予想となっているかを確認して命を守るための行動を取ることが大切です。
避難の方法を知る
避難勧告等が発令されたら速やかに避難行動をとりましょう。ただ突発的に発生した災害では、避難勧告等の発令が間に合わないこともあるので、危険を感じたら自分で判断して避難行動をとることが大切です。
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立退き避難を行う場合は、ここへの早めの避難を基本とする
「指定緊急避難連絡場所」(市町村が指定)
- 災害の危険から命を守るために緊急的に避難をする場所
- 土砂災害、洪水等のハザード別に異なることに注意
※指定緊急避難場所に限らず、ハザードによる人的被害のおそれがない場所(例:親族や親戚、友人宅等)であれば、避難者自らの判断でその場所に避難することも可
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大雨等により指定緊急避難場所等の
浸水のおそれのない場所までの移動ができない状況では…「近隣の安全な場所」
- 自らの判断で「近隣の安全な建物」(民間のマンション等)に
緊急的に退避することもあり得る - そのため平時から適切な退避場所を確認しておくことが必要
- 自らの判断で「近隣の安全な建物」(民間のマンション等)に
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外出すら危険な状況では…
「屋内安全確保」
- 自宅内の上層階で山からできるだけ離れた部屋等に移動
避難時の備えを知る
災害はいつ発生するかわからないため、非常用の食料の備蓄や持ち物の準備、保険などによる被害への備えをしっかり整えておきましょう。とくに、ないと困るものは普段から少し多めに買って備蓄しておき避難時には貴重品やポケットラジオ、居場所を知らせる笛などとあわせて持ち出せるようにしておきましょう。非常時の連絡先や集合場所を家族・親族で確認しておくことも必要でしょう。
また災害によって住宅が被害を受けた場合、修理や建て替えにかかる費用は大きな負担です。国の支援金や義援金だけでは、住宅や生活の再建には十分といえないでしょう。
そこで備えておきたいのが保険や共済への加入です。保険や共済に加入していれば、風水害・土砂災害の程度に応じて保険金や共済金が支払われますが、契約の仕方によっては、住宅を再建するための費用が全額支払われないこともありますので、自宅の災害リスクをしっかり確認して必要な補償を確保することが大切です。
また、家財などが水没したり浸水したりして買い替えが必要になることも想定して建物の補償と家財の補償に加入することをおすすめします。車を所有している場合には水災を補償する車両保険も加入しておけば安心でしょう。
※1 損害保険料算出機構資料(2015年度末における全保険会社の建物(住宅)を対象とした火災保険保有契約を集計)及び日本共済協会資料(2015年度末における」JA共済連、JF共水連、全労済、全国生協連の建物(住宅)を対象とした共済保有契約を集計。住宅のみのデータ抽出が困難なものを除く)をもとに、内閣府試算
※2 「半壊」世帯には、災害救助法に基づき、584万円(平成30年4月1日時点)を限度として市町村が応急修理を行います。災害復興住宅融資制度による低金利融資は、「一部損壊」でも受けられます。
出典:内閣府「水害・土砂災害から家族と地域を守るには」
災害から会社を守るためには
災害が発生した場合、生活や経済活動を支える企業ではどのような対応が必要になるでしょうか。企業においてもっとも重要なのは、初動対応と事業継続対応です。内閣府の企業防災ページでは、企業の初動対応および事業継続対応を次のように示しています。
初動段階で実施すべき事項の例
● 対策本部(本社及び各拠点)
実施事項 | |
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項目 | 詳細 |
参集及び対策本部の立ち上げ・指揮命令系統の確立 |
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建物、設備、従業員等経営資源の被害状況の確認 |
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顧客従業員の安全確保及び物資支給 |
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二次災害の防止 |
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自社の状況についての情報発信 |
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事業継続計画(BCP)の発動 | 初動が落ち着いた後、然るべき権限者は、あらかじめ定められた基準に基づき、事業継続計画(BCP)発動の要否を判断し、発動となった場合、事業継続体制へ移行(「事業継続対応において実施すべき事項の例」を参照) |
対応の記録 | 実施した対応や、発生した問題点の記録※3 |
● 各従業員
実施事項 | |
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項目 | 詳細 |
自身及び周囲の安全確保 |
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自身の安否についての報告 |
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※1 安否確認は、事業継続のために稼働できる要員を把握する意味においても重要である。
※2 顧客、取引先、関連先、行政、広報先となるマスコミなどの連絡先一覧を作成し、確実に更新しておく。
※3 発生事象(インシデント)が落ち着いた後で、振り返りや反省を可能とするため、事象発生後の対応を記録することが重要である。あらかじめ記録する項目を明示したフォーマットを用意しておくことを推奨する。
事業継続対応において実施すべき事項の例
● 対策本部・事業継続組織(本社及び重要業務の拠点)
実施事項 | |
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項目 | 詳細 |
自社の事業継続に対して、求められている事項の確認、調整 |
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現拠点、代替拠点での事業継続の能力・可能性の確認 |
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実施する戦略や対策の決定 |
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業務の継続・再開 |
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自社の状況についての情報発信 |
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平常時の体制への復帰 | 臨時あるいは当面の業務実施の方法・体制を平常時の方法・体制に復帰※4 |
対応の記録 | 実施した対応や、発生した問題点を記録 |
※4 復帰の方法については、被災後に詳細を検討すればよい業務も多いが、少なくとも、情報システムに関しては、平常時から復帰の手順を準備し、訓練しておくことが重要である。
災害の緊急時に役立つ災害用伝言サービスと掲示板サービス
地震などの大規模な災害が発生したときには、連絡を取り合う電話が殺到して電話がつながりにくくなります。東日本大震災発生の直後も、携帯会社によっては平常時の50~60倍以上の通話が一時的に集中するなど長時間電話がつながらない状態が発生しています。このようなときに役立つのが伝言サービスや掲示板サービスです。それぞれのサービスの概要は次の通りです。
災害用伝言ダイヤル(171)
災害用伝言ダイヤルは、加入電話、ISDN、公衆電話等から自宅の電話番号宛てに安否情報などの伝言を音声で録音し、全国から伝言を確認できます。利用方法は次の通りです。
災害用伝言板(web171)
災害用伝言板は、携帯電話、PHSから、伝言を文字で登録し、携帯電話・PHS番号をもとにして全国から伝言を確認できます。利用方法を確認しておきましょう。
今回紹介した以上の内容については、東京消防庁、内閣府、総務省の各HPで詳細の確認ができます。災害の発生に備えて、家族間や企業内での情報共有や対策に役立ててください。
またALSOKでは、地震や水害などから生活や企業活動を守るための災害対策サポートをおこなっています。災害対策を個人や企業で策定するには多くの時間や知識が必要になります。そんな時にも頼りにしていただけるサービスです。
ALSOKの災害対策サポート
災害には日常からの防災への備えが重要になりますが、ALSOKの防犯・防災グッズ通販ショップでは、自身でできる防災対策として数多くの防災グッズを取り揃えておりますのでぜひご活用ください。
また、企業においては災害などの緊急事態に遭遇した場合、損害を最小限に留めて事業の継続、早期復旧するためのBCP(事業継続計画)を策定する必要があります。大規模災害時の滞留生活に備えた備蓄品の準備も整えておきたいものです。
ALSOKでは、BCPの計画やマニュアルの策定、防災訓練からグッズの提供までトータルにサポートをしています。まずはお気軽にご相談ください。