防災と減災の違いは?減災のための7つの対策ポイント
防災と減災は、どちらも災害への備えを意味する言葉ですが、それぞれ違った意味合いがあります。防災は災害を未然に防いだり、災害による被害を防ぐための備えです。一方減災は、災害の被害を最小限に抑えるための備えを意味します。
減災で重要なのは、「公助」「自助」「共助」の円滑な連携です。とくに自分自身や家族の身を守るため、また地域の人々と助け合うために、日頃から災害に備える事前対策を行っておくことが重要です。
防災と減災の違い
まずは、防災と減災の違いについて、それぞれ詳しく解説いたします。
防災とは災害被害を防ぐための備え
防災は、地震や水害といった自然災害を未然に防ぐ、または災害による被害を防ぐための備えを意味します。災害による被害をできるだけ「ゼロ」に近づけるため、あらかじめ想定した被害に対するさまざまな取り組みを行ないます。また、災害対策基本法第2条2項によると、防災には「被災からの復旧まで」を定義するとされています。[注1]
減災とは災害被害を最小限に抑えるための備え
減災とは、1995年に発生した阪神淡路大震災の経験から生まれた取り組みです。「災害、または災害による被害は生じるもの」という考えを前提とし、その被害を最小限に抑えるために備える事前対策です。
阪神淡路大震災や東日本大震災の経験から、被害想定を超越した大災害が発生した場合、防災による備えが機能しなくなる、または十分でないという問題に直面し、被害を完全に防ぐことは不可能であることが明白になりました。また、自然災害を完全に予測することは、現代の科学技術では困難を極めます。
阪神淡路大震災や東日本大震災以降は、これまでの防災意識や取り組みの問題点を補うため、より合理的で現実的な減災が重要視されるようになったのです。
減災のための7つの対策ポイント
災害被害をできるだけ軽減するためには、
- ・行政や消防・警察・自衛隊など、国が行う「公助」
- ・個人や家族一人ひとりが自分の身を守る「自助」
- ・町内会や事業所など、地域や身近な人々で助け合う「共助」
以上の3つがそれぞれ機能し、円滑に連携することが大切です。また、内閣府は、個人や地域でできる「減災のてびき」として、つぎの7つの備えを挙げています。
1自助と共助
減災において、とくに重要なのが自助と共助です。まずは自分自身の身を守ること、そして、自分自身や家族が無事であることが前提のうえで、身の回りの人を助けることができます。自助があってこそ共助が成り立つ、ということを忘れてはいけません。
災害が起きてからでは手遅れです。一人ひとりが努力をする、事前の災害への備えをすることで、自然災害による被害を最小限に抑えることが可能です。 たとえば、
- ・自分になにができるのか、なにをしておくべきか
- ・家族でできることはなにか
- ・地域の人々と協力してできることはなにか
ということを日頃から意識することで、災害による不測の事態に備えておくとよいでしょう。
2地域の避難場所や危険区域の確認
各自治体や公民館で配布されている「防災マップ」は、住んでいる地域の避難場所や災害が発生したときの様子など、災害時に必要な情報が掲載されています。家族で確認しておきましょう。自治体ホームページでも閲覧が可能です。
また、内閣府の「防災情報のページ」から、地震の際の地面のゆれやすさを表した「ゆれやすさマップ」もあわせて確認しておきましょう。自宅だけでなく、勤務先や子供の学校などもチェックしておくことをおすすめします。
3地震に強い家にするための対策
地震が起きたときの被害の大きさは、自宅がどのくらいの揺れに耐えることができるのかによって変わります。まずは自宅が新耐震基準以降に建てられたものかどうかを確認しましょう。昭和56年6月以前の家ならば、古い耐震基準のもとに建てられています。必ず耐震診断を受け、強度が不十分なところがあれば改修や補強をしましょう。
昭和56年6月から施行された新耐震基準に基づいて建てられた家であっても、地震に耐えられる家というわけではありません。地震による揺れが大きければ被害を受けることもあるでしょう。築年数によって建物は徐々に劣化していきますので、点検や整備は定期的に行ないましょう。建物の仕組みやどのような家が地震に強いのかなど、基礎知識を身に着けておくことも大切です。
被災して自宅を補修したり、再建したりしなければならなくなったときのために、地震保険や共済保険に加入するなど、経済的な備えについても家族で十分話し合う必要があります。
4家具の固定や配置変更で「安全空間」を作る
地震による被害のなかでも、家具類の転倒や落下による負傷者は多く、新潟県中越沖地震で40.7%、宮城県北部地震で49.4%という割合でした。[注2]
自分や家族の身を守るためにも、家の中に安全な空間を作らなければなりません。家具は倒れる向きを考えて配置し、転倒防止のためにしっかりと家具を固定しておきましょう。とくに寝室や子供部屋、お年寄りのいる部屋は、十分な安全を確保しておきましょう。家具はできるだけ低いものを選び、上に重いものを置かないといった配慮が必要です。
5備蓄品や常備品を日頃から準備しておく
いつ災害が起きても慌てないよう、備蓄品や常備品を事前に備えておきましょう。事前に準備しておきたいものとしては、次のようなものが挙げられます。
外出先でも常に携帯しておくべきもの
- ・身分証明書となるもの…運転免許証・保険証・マイナンバーカード
- ・閉じ込められたときに生命線となるもの…ペットボトルの水・チョコレートや飴・ハンカチ(口を覆える布)・笛
- ・状況把握に必要なもの…ポケットラジオ・スマートフォン・モバイルバッテリー・筆記用具
- ・けがや病気で受診の際に必要になるもの…病院診察券・お薬手帳・保険証
※特に持病のある方は必携
家や職場に常備しておくべきもの
- ・避難に役立つもの…歩きやすい靴・LEDライト・レインコート・手袋(できれば革製)など
- ・日常生活に必要なもの…水や食料、ティッシュペーパー類などの備蓄品・常備薬・口座番号などを控えたメモ(万が一通帳やキャッシュカードを紛失した時に役立ちます)やノート・入れ歯や補聴器などの補助器具など
6家族間での防災会議
災害が発生したときの家族の安否確認方法、非常時の集合場所、子供の引き取りに関すること、それぞれの学校や職場の避難場所など、家族がバラバラの場所で被災したときのために、日頃からしっかり確認しておくことが大切です。また、連絡すべき親戚や知人やその連絡方法も共有しておきましょう。
7地域とのつながりを大切にする
減災に重要な「共助」には、日頃の近所付き合いが大切です。日頃から声をかけあい、いざというときに助け合える関係を築いておきましょう。また、地域の防災対策を知るには、町内会や自治会で行われる防災訓練や炊き出し、救護訓練などに参加しておくことをおすすめします。
減災には一人ひとりの日頃の意識・取り組みが重要
自然災害による被害を最小限に抑えるためには、私たち一人ひとりが減災に対する意識を高め、事前対策を行っておくことが重要です。個人や家族、地域間でできることは計画的に取り組み、万が一のときに備えておきましょう。
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