番犬に防犯効果はある?空き巣対策におすすめの犬種
家の防犯を考えたときに、番犬がいるから自宅は安全と考える方もいらっしゃるでしょう。番犬とは、防犯目的で飼育されている犬のことです。番犬と聞くと、警戒心が強く空き巣などの見知らぬ不審者が近づいて来たら吠えて撃退する、というイメージを持つかもしれません。もちろん、その通りに番犬の勤めを果たす犬もいますが、空き巣が犬をてなずける術を知っていた場合にはどうでしょうか。
本コラムでは、番犬の防犯効果や番犬に向いている犬種について解説します。
目次
番犬には一定の防犯効果がある
警察庁によると、空き巣が犯行をあきらめる要素として「住人が犬を飼っていた」という理由が挙げられています。この結果を見ると、番犬には、一定の防犯効果が期待できることがわかります。
しかし、番犬として役に立つのは見知らぬ人が来ると吠えて威圧するタイプの犬です。人に懐きやすく温和な性格の犬は、おとなしくて一緒に生活をしていても安心ですが、不審者にも懐いてしまうかもしれません。実際に、東京都内の住宅で大型犬2匹を含む3匹の犬がいるにもかかわらず、貴金属類約1,500万円相当が盗まれるという空き巣被害が発生した事例があります。当時留守番をしていた犬は、人懐っこい性格で空き巣が侵入しても番犬としての役目は果たせなかったそうです。
ただ、知らない人に吠えて威圧するタイプの犬は、気質が強いために飼い主や家族にも吠えたりかみついたりする可能性があります。警戒心が強いことから、人間に懐きにくい傾向にあります。そういった犬を飼い主がコントロールし、不審者だけを見分けて吠える番犬にするためには、一定の訓練が必要です。
犬の訓練にかかる費用の目安
では、犬の訓練にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
下記は犬の訓練にかかる費用の目安を記載した表です。月額で最低でも約22,000円からと訓練にはそれなりの費用がかかることがわかります。
出張訓練(送迎ありの場合) | |||
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犬種 | 週1回 | 週2回 | 週3回 |
小・中・大型犬 | 約22,000円/1カ月 | 約38,500円/1カ月 | 約55,000円/1カ月 |
超大型犬 | 約27,500円/1カ月 | 約44,000円/1カ月 | 約60,500円/1カ月 |
番犬に向いている犬種
番犬というと大型犬を思い浮かべるかもしれませんが、大事なのは犬の持っている習性です。具体的には使役犬や牧羊犬、猟犬に分類される犬種や、忠誠心・理解力・警戒心と防衛に対する勇敢さなどの習性を持ち合わせ、自信に満ちている犬が番犬に向いています。一方で、愛玩目的の犬種や、明るく友好的で攻撃性のない性格、活発な性格の犬は番犬には向かないといえるでしょう。
警察犬に採用されている犬種は、頭がよく分別がつくため番犬向きの習性を持った犬といえます。警察犬に採用されていて、番犬にも向いている代表的な犬種は次の通りです。
ジャーマン・シェパード
ジャーマン・シェパードは、筋肉質でたくましい体格が特徴的な犬種です。家族などの信頼した人間に対する忠誠心が高いため、訓練もしやすく、侵入者に対する警戒心も強いことから番犬に向いています。また全体的に落ち着いていて、注意深い性格をしています。警察犬だけでなく災害救助犬としても活躍している犬種です。
ドーベルマン
ドーベルマンは、短毛で無駄のない筋肉を持つ、引き締まった体格の大型犬です。警戒心が強く、警察犬や軍用犬としても活躍しています。知能が高く、飼い主に対しての忠誠心が高いことから、信頼関係が結ぶことで番犬として頼もしい存在になるでしょう。
エアデール・テリア
エアデール・テリアは、19世紀後半に作出され、カワウソ猟に用いられてきた比較的新しい犬種です。忍耐強く温順で、聡明な判断力を持ちます。低い吠え声が特徴で病気などに対する抵抗力の強い犬種とされています。学習意欲も高いことから、番犬としてトレーニングすることも可能です。
コリー
コリーは、牧羊犬としての歴史を持った犬です。温和で賢いことから家庭でも飼いやすい犬種として広く知られています。また、家族には愛情深く、従順な性格をしていますが、牧羊犬の名残で防衛本能が強く出る子もいるため、訓練によって番犬として活躍することもできます。
ボクサー
ボクサーは、強そうな風貌に対して性格は穏やかで友好的な犬種です。家族には献身的で忠誠心も高く、子どもとも仲良くなることができますが、知らない人には強い警戒心を抱く一面も持ち合わせています。そのため、訓練によって番犬としての活躍も期待できます。
ゴールデン・レトリバー
ゴールデン・レトリバーは、たくましい体と美しい毛並みが特徴の大型犬です。賢く、学習能力も高いことから、警察犬だけでなく麻薬捜査犬や盲導犬など、さまざまな場面で活躍しています。しかし、基本的に性格は温和で人懐っこいため、番犬として飼うにはトレーニングが必要です。
これらが日本警察犬協会に警察犬として認められた犬種ですが、柴犬やトイプードルなどの小・中型犬が嘱託警察犬(※)になったという事例もあります。ただ、いずれの犬を選んだとしても、番犬としての役割を担うためには、相応の訓練が必要になることを覚えておきましょう。
また、訓練された犬でも、犬に慣れている不審者に餌付けをされれば、警戒心が薄れてしまう可能性があるため注意が必要です。過去にドーベルマンが盗まれたという事件がありましたが、防犯カメラ映像にはエサを与えられ、喜んで不審者についていってしまっているドーベルマンの姿が鮮明に記録されていました。
※嘱託警察犬…民間の方が飼育・訓練している犬の中から警察の審査に合格した警察犬のこと
番犬が吠えていても泥棒被害はある
番犬には一定の防犯効果があるものの、犬を飼うだけで泥棒被害をゼロにすることはできません。住宅を狙った泥棒には空き巣や忍込み、居空きなどの形があり、犬を飼っていても被害に遭う可能性はあります。空き巣は、住人が留守の間に家に侵入して盗みを働く行為です。また、忍込みは住人の就寝中に、居空きは住人が在宅中に隙を見計らって侵入して窃盗を行う犯罪を指します。ここからは、これらの犯罪が全国でどの程度発生しているのかを見ていきましょう。
住宅を対象とした侵入窃盗の手口別認知件数の割合を見ていくと、空き巣がもっとも多いことがわかります。次に、忍込み、居空きの順に多くなっています。たとえ番犬を飼っていても、普段から通りがかりの人に吠えており、それを住人が気にしていない場合は、隙がある家と認識され、被害に遭うおそれがあるため注意が必要です。安心して暮らせる住環境を整えるには、番犬だけでなく家全体で防犯対策を講じることが重要です。
番犬以外の防犯対策も必要
どんなに聡明でトレーニングを受けた犬であってもすべての侵入者を完璧に防ぐことはできません。番犬以外にも、下記のような防犯対策も検討しましょう。
窓の防犯性能を高める
泥棒は窓ガラスを割って入ってくることがあるため、住まいの防犯対策では窓の防犯性能を高めることが重要です。具体的には、窓ガラスを防犯ガラスに交換する、窓ガラスに防犯フィルムを貼るなどの方法があります。防犯フィルムは貼るだけで簡単に窓ガラスの強度をアップできる便利なアイテムです。また、万一窓ガラスを割られた場合に備えて、窓に補助錠を取り付けるのも有効です。防犯ガラスへの交換や防犯フィルムとあわせて検討しましょう。
敷地内に入りにくくする
一戸建て住宅の場合は、特に敷地内に入りにくくすることも大切です。主な侵入口となる玄関や窓に簡単に到達できてしまうと、泥棒の心理的なハードルを下げてしまいます。防犯カメラを設置して防犯対策をしていることをアピールしたり、敷地内に足音が目立つ防犯砂利を敷いたりするのがおすすめです。また、敷地の周囲に侵入の足場となるものを置かないことも重要です。
ご近所で助け合う
泥棒は、近所付き合いがあり連帯感のある住宅街は避ける傾向にあるといわれています。近所の方とは、日頃からあいさつを交わすなどして近所付き合いを大切にしましょう。近所の方と日頃から良い関係を築いておくことで、不審者が近所をうろついているときに気付いてもらいやすくなります。
ホームセキュリティを導入する
住まい全体の防犯性能を強化するには、ホームセキュリティの導入がおすすめです。空き巣が犯行をあきらめる要素にセキュリティシステムも含まれており、ホームセキュリティには犯罪を未然に防ぐ効果があるといえます。
また、万一侵入されてしまった場合にも、ホームセキュリティを導入していれば安心です。不審者の侵入をセンサーが感知すると、自動で警備会社に知らせ、専門のトレーニングを受けたガードマンが駆けつけます。これがホームセキュリティとその他の防犯対策のもっとも違うところです。契約者がご不在のときには、周囲を点検して異常があれば警察を呼ぶなど適切な措置を行います。
さらに、忍込みや居空きなどの犯罪は、住人が侵入者と鉢合わせしてしまう可能性もあります。そのような場合には訓練を受けたガードマンの存在はとても心強いものです。
ALSOKのホームセキュリティは、「セルフセキュリティ」「オンラインセキュリティ」の2つからお選びいただけます。セルフセキュリティでは、お手頃価格でホームセキュリティを実現でき、もしものときにはガードマンの依頼駆けつけが利用可能です。
オンラインセキュリティでは、異常発生時には自動でガードマンが駆けつけます。さらにスマートフォンを持っているだけで、帰宅時に簡単に警備解除が可能なスマホゲートもご用意。また、防犯カメラとアプリ連携ができ、外出中でもリアルタイムで映像を確認することができます。
さらに、在宅中も警備をセットできるので、就寝中や一人での在宅時にも安心です。
まとめ
今回は、番犬の防犯効果と、番犬におすすめの犬種について解説しました。
家族以外の方に警戒心を持てる犬は、番犬に向いている傾向にあります。ただし、不審者へ攻撃をしたり吠えたりするようにしつけるには、一定の訓練が必要です。
また、犬がいても空き巣などの侵入窃盗の被害に遭う可能性もあるため、住宅全体の防犯対策も忘れずに行いましょう。