ペアガラスに防犯効果はない?CPマーク付き窓ガラスで泥棒対策を
空き巣などの侵入窃盗においては、窓ガラスを割って侵入する「ガラス破り」による被害が多く見られます。一般家庭に普及している複層ガラス(ペアガラス)は、泥棒によって簡単に割られてしまうため、防犯対策には適さないことが知られています。では、どのようにすれば泥棒から我が家を守れるのでしょうか。
本コラムでは、ペアガラスの防犯性能に加えて、どのような窓ガラスを選べば防犯性を高められるかについて説明します。
目次
泥棒の侵入経路と手段
有効な防犯対策を講じるには、泥棒がどのような経路で侵入するか、侵入窃盗がどのような手段で行われるかなどの点を知っておくことが大切です。警察庁の令和5年の統計データから、まずは住まいのどこから侵入されるケースが多いのかを確認しましょう。
侵入窃盗で使われる侵入口を見てみると、一戸建住宅は窓からの侵入が多く、共同住宅(3階建以下・4階建以上)は、表出入口からの侵入が多いことがわかります。しかし、共同住宅も窓からの侵入が2番目に多いことから、侵入窃盗の被害を防ぐには窓の防犯対策が不可欠です。
侵入手段
次に、侵入窃盗の手段を確認すると、「無締り」がもっとも多くの割合を占めています。鍵のかけ忘れはもちろん、ゴミ出しなど「少しの時間なら大丈夫」と油断して施錠しなかったことから侵入されたという事例も少なくないので注意が必要です。
また、一戸建住宅と共同住宅(3階建以下)では、無締りに次いで「ガラス破り」が多くなっています。さらに、共同住宅(4階建以上)でもガラス破りによる侵入は10.2%という割合で発生しており、「高層階だから安全だろう」といった油断は禁物です。
ガラス破りの手口
上記の通り、一戸建住宅・共同住宅を問わず、住宅ではガラス破りによる侵入窃盗が多く発生しています。ここでは、ガラス破りの主な手口を確認します。
三角割り
三角割りとは窓ガラスとサッシの間のゴム部分にドライバーを差し込んで窓を割る方法です。防犯対策のない普通の窓ガラスなら10秒程度で割られてしまいます。バールやトンカチで破壊するより大きな音が立たないので、日本における侵入盗の手口としては、代表的な方法です。
打ち破り
打ち破りとは窓ガラスに物を投げつけたり、バールなどを打ち付けたりすることで窓ガラスを破壊する方法です。特徴としてはガラス面を不規則に打ちつけたような跡がいくつか残ります。この手口は短時間で壊せますが大きな音が発生するので、周囲の騒音が激しい線路付近や工業地域などでよく用いられます。
焼き破り
焼き破りとはライターやバーナーの熱を窓ガラスにあて、もろくなった部分に穴をあける方法です。冷却スプレーで冷やした後にバーナーを噴射する場合もあります。防犯対策のない普通の窓ガラスなら10秒ほどで破壊できます。破壊音が静かでトーチバーナーなど一般的な道具を用いて実行できることから、最近増えてきている方法です。
ペアガラスの防犯効果は十分ではない?
窓ガラスは、使用されているガラスの種類によって防犯効果が変わってきます。中には「複層ガラス(ペアガラス)」や「網入りガラス」なので安心、と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これらのガラスは防犯性が必ずしも高いとは言えないことに注意しましょう。
複層ガラス(ペアガラス)
複層ガラスは、複数枚の板ガラスの間に中間材・中空層があるタイプのガラスです。2層になっている場合はペアガラスとも言います。断熱性が高いうえ価格も比較的安いことから、一般家庭に広く普及しています。単なる複層ガラスの場合、高い防犯性を期待することはできません。
また、3枚のガラスからできているトリプルガラスもあります。トリプルガラスは3層になっていることから、ペアガラスと比べると強度が高く、割れにくくなっています。しかし、使用されているのは通常のガラスであるため、基本的に防犯性能はありません。ペアガラスやトリプルガラスに防犯性能をプラスしたい場合は、使用するガラスを防犯ガラスなどに変更する必要があります。
網入りガラス
火災時の安全のために内部に網が入っているガラスを網入りガラスと言います。窓ガラスが割れたときに破片が飛び散りにくいという特徴がありますが、防犯性はほとんど期待できません。
強化ガラス
強化ガラスは特殊な熱処理をすることで強度を高めたガラスです。一般的なガラスは鋭い刃物のように割れますが、強化ガラスは割れたときに粉々のフレーク状になる性質があり、破片で手を切ってしまうようなリスクを低減できます。強化ガラスは面への圧力には強いものの、一点にかかる力には弱く、尖ったもので叩くと簡単に壊れてしまうため、防犯性はあまり期待できません。
合わせガラス
合わせガラスは、2枚のガラスの間に特殊フィルムを挟み込んだ構造のガラスです。ハンマーなどを使って割ろうとした場合には、特殊フィルムが貫通を妨げるため、一般的にペアガラスや強化ガラスなどと比較して防犯性が高いとされます。CPマークが付いているものを選べばより安心です。
合わせ複層ガラス
合わせ複層ガラスは、合わせガラスを使用した複層ガラスです。2層構造による断熱性を持ちながら、合わせガラス同様に高い防犯性を備えています。
窓の防犯性能の強化にはCPマーク付きの防犯建物部品がおすすめ
平成16年に開催された「防犯性能の高い建物物品の開発・普及に関する官民合同会議」において、CPマークが定められました。
CPマークは、「防犯建物部品」と呼ばれる、特に防犯性能が高いと認められた建物部品に使用できます。具体的には、泥棒などの使用が想定されるさまざまな侵入攻撃に対して、実際の試験で5分間以上耐えることができた製品が対象です。
5分間を基準としている理由は、侵入者の約7割は侵入に5分かかると犯行をあきらめることが警察庁の調査で判明しているためです。
ドアや錠、防犯ガラス、サッシ、網戸、シャッター、面格子などの製品の中には、CPマークが表示されたものもあります。
自宅の防犯機能を強化したいと考える場合には、これらの建物部品を選ぶにあたり、CPマークの有無を一つの判断材料にするとよいでしょう。
出典:警察庁 住まいる防犯110番「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」
出典:警察庁 住まいる防犯110番「侵入者プロファイリング~心理と行動③」
窓の防犯を強化するその他の方法
一般的な住宅に使用されているペアガラスには、十分な防犯効果は期待できません。窓の防犯を強化するには、窓ガラスを防犯性能の高いものへ交換するのがおすすめです。しかし、窓ガラスの交換にはコストがかかるため、すぐに交換できない方もいるでしょう。窓ガラスの交換以外にも、窓の防犯を強化する方法があります。
防犯フィルムを貼る
費用や賃貸住宅に住んでいるなどの理由で窓ガラスの交換が難しい場合は、防犯フィルムを貼るのがおすすめです。防犯フィルムを貼った窓ガラスは、強い衝撃を受けても割れにくく、割れてもガラスの飛散を避けることができます。また、無理に割ろうとすると大きな音が鳴るため、泥棒が侵入をあきらめるケースもあります。
防犯フィルムは、窓全体に貼るものの他に、鍵周辺だけに貼るタイプもあります。鍵周辺だけの場合、フィルムを避けて割られる可能性があるため、窓全体に貼るタイプがおすすめです。
補助錠を設置する
一般的な窓に使用されているクレセント錠は、あくまで窓を固定するための金具であり、防犯効果はほとんどありません。そのため、窓の防犯を強化するには、補助錠を追加で設置することをおすすめします。補助錠を取り付けることで、クレセント錠を開けただけは窓が開かないため、侵入に時間がかかり犯人があきらめる可能性があります。
窓用の防犯ブザーを設置する
窓用の防犯ブザーを設置するのもおすすめです。窓用防犯ブザーは、振動や窓が開いたことを感知して警報が鳴ります。大きな音が鳴るため、侵入者を驚かせたり、近所の人に異常を知らせたりすることが可能です。
ホームセキュリティに加入する
窓を含む住まい全体の防犯対策には、ホームセキュリティの導入がおすすめです。ホームセキュリティを導入していれば、不審者の侵入をすばやく感知し、通報を受けたガードマンが駆けつけ対処します。
ALSOKのホームセキュリティは、「セルフセキュリティ」「オンラインセキュリティ」の2つから選択できます。セルフセキュリティでは、お手頃価格でホームセキュリティを実現でき、もしものときにはガードマンの依頼駆けつけが利用可能です。
オンラインセキュリティでは、異常発生時には自動でガードマンが駆けつけます。加えて、スマートフォンを持っているだけで、帰宅時に簡単に警備解除が可能なスマホゲートもご用意。また、防犯カメラとアプリ連携ができ、外出中でもリアルタイムで映像を確認することができます。
さらに、在宅中も警備をセットできるので、就寝中や一人での在宅時にも安心です。ALSOKのホームセキュリティなら相談は無料、専門のアドバイザーがあなたのニーズにぴったりのプランをご提案いたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。
その他に、窓の防犯にお役立ていただけるALSOKロックや防犯フィルムなど、防犯・防災グッズも扱っています。ぜひ、チェックしてみてください。
まとめ
今回は、ペアガラスの防犯性能やガラス破りの手口、防犯面から見た窓ガラスの選び方などをお伝えしました。
ガラス破りは、侵入窃盗で多く見られる手口ですが、一般住宅の窓に使用されるペアガラスでは十分な防犯対策にはなり得ません。窓の防犯性能の強化を考えているなら、CPマークが付いた防犯ガラスへの交換や補助錠の設置、ホームセキュリティの導入など、複数の対策を組み合わせるのがおすすめです。