高齢者が住宅内で起こしやすい事故は転倒・転落

高齢者 2021.02.12

厚生労働省が毎年実施している「人口動態調査」によると、65歳以上79歳以下の高齢者の不慮の事故による死亡者数は、悪性新生物(がん)や心疾患、脳血管疾患、肺炎と共にTOP5にランクインしています。[注1]

一命を取り留めたとしても、体に障害などが残ってしまう可能性がありますので、高齢者に多い事故の内容や特徴を理解し、事故に遭わないための対策を講じましょう。

今回は、高齢者が住宅内で起こしやすい事故の種類や、発生場所、万一の時の対処法についてご説明します。

実は交通事故のよりも多い高齢者の不慮の事故

高齢者の不慮の事故
高齢者の不慮の事故

一言に事故といってもさまざまなケースがありますが、ここでは、とくに高齢者の命にかかわりやすい住宅内での不慮の事故を3つご紹介します。

転倒・転落

高齢者の方は、加齢にともない、足腰の筋肉が徐々に衰えてきます。

足腰の筋肉が衰えると、足が十分に持ち上がらなくなり、廊下と部屋の段差や、まくれあがったカーペットの端などでつまずき、転倒しやすくなります。

また、高齢者は筋力だけでなく、反射的にバランスを取る平衡感覚も低下してくるため、階段を降りる時にふらついて転落する事故も後を絶ちません。厚生労働省の「人口動態調査」によると、平成30年における高齢者の不慮の事故による死因別死亡者数は、「転倒・転落」が8,803件で最多を占めており、同年の交通事故による死亡者数(2,646件)を3倍以上、上回っています。[注2]

誤嚥などによる窒息

転倒・転落事故に次いで多いのが、誤嚥などによる窒息事故です。

高齢者は若い頃に比べて歯の機能が低下しており、ものをかみ砕く力が弱くなっています。さらに、加齢にともなう唾液の減少や、嚥下力の低下なども重なり、食べ物をスムーズに飲み込むことが困難になってきます。

その最たる例が餅による窒息事故で、東京消防庁の報告によると、平成28年に餅を喉に詰まらせたことによって救急搬送された高齢者の数は88件にも上っています。[注3]

餅だけでなく、おかゆやご飯、肉など、その他食品でも誤嚥による事故を起こす可能性はありますので、高齢者が食事をする際は、小さくカットする・先にお茶や汁物で喉を潤しておくなど、事前の予防策が必須となります。

不慮の溺死及び溺水

溺死・溺水というと、海やプールなどの屋外施設での事故を連想しますが、高齢者の場合、自宅のお風呂で溺れる事故が多発しています。

東京消防庁が発表している救急搬送人数のデータによると、令和元年中におぼれる事故で救急搬送された高齢者は520人に上っており、約86%は住宅などの居住場所で事故を起こしています。[注4]

救急搬送された人のうち、命の危険がない軽症・中等症で済んだケースは全体の1割程度と少なく、約45%は死亡、約38%は重篤な症状に陥っています。

毎日使う階段や浴室も!住宅内で多い事故発生場所

住宅内で多い事故発生場所
住宅内で多い事故発生場所

住宅は屋外に比べて安心・安全な場所というイメージがありますが、実際は身近なところにこそ事故のリスクがひそんでいます。

住宅内でも、とくに高齢者が事故を起こしやすい場所を3つご紹介します。

1居室・寝室

東京消防庁のデータによると、自宅での転倒事故のうち、最も発生率が高い場所は「居室・寝室」で、全体のおよそ75%を占めています。[注5]

居室は一日で最も長い時間を過ごす場所ですので、転倒事故を起こす確率も必然的に高くなるようです。

また、リビングにはカーペットや電源コード、新聞やチラシなど、つまずいたり滑ったりしやすいものが、床に置かれているのも事故リスクを高める要因となっています。なるべく床に物を置かない、動線上に電源コードを引かないなど、転倒対策をしっかり施しておきましょう。

一方の寝室は、暗くなってから利用する場所ですので、足元が見えずに転倒してしまうケースが多く見られます。特に、夜中にトイレに立つ時は、暗い中を移動しようとして転倒することがありますので、足元に照明をつけるなど、視界を補う工夫を採り入れましょう。

2階段

自宅内で発生した転落事故のうち、最も多いのは階段からの転落事故です。[注5]

平衡感覚が衰えてきた高齢者にとって、狭い足場を一歩一歩上り下りしなければならない階段は非常に危険性が高く、踏み外しによる転落事故が後を絶ちません。特に昔の住居は段差が急だったり、階段の幅が極端に狭かったりするものが多く、転落事故のリスクをさらに高めています。

高齢者がいるお宅では、足場の先端に滑り止めをつける、壁に手すりを取り付けるなど、転落防止のための措置を講じることをおすすめします。

3浴室

浴室はもともと足元が滑りやすく、転倒事故が起こりやすい場所ですが、高齢者の場合、さらにヒートショックを引き起こした上に、溺水する危険性があります。

ヒートショックとは、急激な温度差による血圧変動が引き起こす健康障害のことで、めまいやふらつき、意識障害、心・血管疾患などの症状を引き起こす要因となります。特に冬場は同じ自宅内でも場所によって温度差が大きく、暖かい居室から冷えた脱衣所に向かい、裸になって熱い湯に浸かると、ヒートショックが起こりやすくなります。

実際、自宅の浴槽でおぼれた高齢者が救急搬送される事例の7割以上は、12月~2月の冬期間に集中していますので、ヒートショックのは気を付ける必要があります。[注4]浴室は一人きりになることが多く、同居家族の目も行き届きにくいので、特に注意すべき場所です。

一人暮らしで事故に遭ってしまった場合の対処法

核家族化が進んでいる現代、一人暮らしをしている高齢者の割合は年々増加しています。

厚生労働省が実施している「国民生活基礎調査」によると、令和元年における65歳以上の単独世帯の推計値は736万9千世帯で、65歳以上の高齢者がいる世帯の約3割を占めています。[注6]

同居家族がいれば、自宅内で事故が発生してもすぐに助けてもらえますが、一人暮らしの人が事故で動けなくなってしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

ここでは、一人暮らしの高齢者が事故に遭った場合の対処法や、未然に防ぐための対策をご紹介します。

室内でも携帯電話を持ち歩く

転倒や転落事故によって身動きが取れなくなってしまうと、室内にある固定電話まで移動できなくなるおそれがあります。

万一の場合にすぐ助けを呼べるよう、自宅の中でも携帯電話を持ち歩き、その場から動かなくてもすぐ外部と連絡を取れるようにしておきましょう。

介護サービスを利用する

自治体などが提供している支援制度の中には、一人暮らしの高齢者宅を訪れ、生活のサポートをしてくれる介護サービスがあります。定期的に訪問してくれる人がいれば、事故の発見も早くなり、適切な処置を受けられます。

自分には難しい仕事や作業を依頼すれば、自宅内で遭う事故リスクそのものも低減できます。

ホームセキュリティサービスを利用する

ホームセキュリティサービスの中には、高齢者が住むお宅を24時間365日体制で見守るサービスを行っているところもあります。

ALSOKでは、高齢者やシニア世帯の安全安心を守るサービスとして、「HOME ALSOKみまもりサポート」や、「HOME ALSOKアルボeye」などを提供しています。

みまもりサポートでは、ボタンひとつでガードマンが駆けつけてくれるので、体調が悪いときや、ケガをした時はすぐに助けを求めることができます。

また、安否確認を行う機能(オプション)も搭載されており、異状を感知するとガードマンが駆け付けます。

一方のアルボeyeは、ご家族等が、高齢者の方の様子をスマホやパソコンで確認出来る見守りカメラです。必要に応じてガードマンの出動(オプション)も依頼できます。

お客様のニーズに合わせてお好みのサービスを導入できますので、一人暮らしでの事故が不安な方は、ぜひご検討ください。

シニア世代は住宅内での不慮の事故に注意!

身体機能が低下している高齢者は、住み慣れた自宅の中でも転倒や転落、誤嚥、溺水といった不慮の事故に見舞われやすい傾向にあります。

場合によっては、命にかかわる重大な事故につながることもありますので、日頃から事故防止のための工夫を施しておくことが大切です。

また、異変をいち早く感知してくれる見守りサービスを導入するなど、もしもの時に備えられるサービスの利用も検討してみましょう。

高齢者

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