地震の際に身を守る家具の転倒防止策
地震大国日本。大地震がいつどこで起こるかわからないため、日頃からしっかりと備えておくべきです。
地震対策として非常食などを備蓄しているご家庭は多いと思いますが、家具の転倒防止策は講じていますか?
阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などでは、倒れてきた家具の下敷きになって亡くなったり、大けがをしたりした方がたくさんいらっしゃいました。
しっかりと家具の転倒防止策を講じていれば、それだけ生存率は上がります。
この記事で、地震発生時の家具転倒のリスクと、家具転倒を防止するための対策方法をご紹介していきますので、できることから対策を進めていきましょう。
地震発生時に家具が転倒することによって起こるリスク
地震発生時に家具が転倒すると、けがをしたり、最悪の場合、死に至ったりすることも。幸い身体に影響がなくても、その後の避難生活に影響を及ぼす場合もあります。
けがや死につながる
実際、地震の際にタンスなどの大型家具が倒れてきて、床と家具の間に挟まり、圧死や窒息死をする方はたくさんいらっしゃいます。
また死には至らなかったとしても、小型の家電が飛んできてぶつかったり、ガラスなどの飛散物を踏んだりしてけがをする可能性もあります。
通路が塞がれて逃げ遅れる
扉の前においた大型家具などが倒れてしまうと、扉を開けることができなくなり、部屋の中に閉じ込められてしまいます。
また食器やテレビなどが倒れて床にガラスの破片が散乱してしまうと、足の踏み場が無くなり、思うように部屋の中を移動できなくなります。
このような状態になってしまうと、地震発生時に火災が発生した場合などに逃げ遅れてしまう可能性が高くなり、大変危険です。
在宅避難生活がしづらくなる
家具が転倒していたり、床にガラスなどが散らばっていたりすると、在宅避難中の生活スペースが狭くなってしまいます。
ライフラインが復旧してある程度落ち着くまでは掃除もままなりませんから、しばらくはそのまま生活しなければならないでしょう。
また冷蔵庫が転倒してしまっては、中に入っている貴重な食料や飲み物が取り出せません。電気が通っていなくても数日間は食料を保存できるため、冷蔵庫の転倒はなんとしても避けたいところです。
地震発生時に家具を転倒させないための対策
ここからは、地震発生時に家具を転倒させないための対策をいくつかご紹介します。大地震が発生したら、大きな家具は倒れるものと思ってしっかり対策をしましょう。
中には、賃貸住宅では難しい対策方法もあると思います。また家具がたくさんあって一気に全てに対策をするのは難しいという場合もあるでしょう。
そういった場合は、倒れた場合のリスクが高い家具から、できる方法を選んで対策していってください。
家具転倒防止グッズを設置する
家具転倒防止グッズがたくさん売られているので、活用しましょう。家具の大きさや重さによって、適切なアイテムを使い分けるのがポイント。
大地震発生時には、1つでは耐えきれない可能性もあるため、特に大型家具の場合は、複数のタイプのグッズを組み合わせて使うのがおすすめです。
ストッパータイプ
ストッパータイプは、家具の前側の下に差し込み、傾斜をつけて壁にもたれかかる状態にすることで、家具が転倒するのを防ぎます。
家具を軽く傾けて差し込むだけなので、簡単に設置できます。高さのある家具の場合は、つっぱりタイプと組み合わせた方が安心です。
また、新聞紙をたたんで家具に敷き、傾斜をつける方法もあります。
マット・シートタイプ
マット・シートタイプは、家具の下に挟み込んで、家具が前後左右に移動するのを防ぎます。
重量のある家具の場合は、なるべく広い範囲に、より厚みのあるものを入れるようにしましょう。これも高さのある家具の場合は、つっぱりタイプと組み合わせた方が安心です。
マット・シートタイプは、素材の特性上、経年劣化で性能が落ちてしまいます。なるべく耐久年数が長いものを選ぶと共に、設置日時を控えておいて、耐久年数よりも少し早めに取り替えるようにしましょう。
つっぱりタイプ
つっぱりタイプは、天井と家具の間をポールで突っ張って支え、家具の転倒を防ぎます。
設置する際は、家具の奥側に、左右対象になるようにポールを配置しましょう。
購入する際は、なるべく設置面の広いものを。さらに、公的機関で耐圧試験を行なっていたり、耐圧性能の数値が明記されていたりなど、必ず「耐圧性能」が保証されているものを選びましょう。
また空の段ボールと新聞紙、滑り止めのマットでも代用できます。
家具の上に、滑り止めマットを敷き、その上に段ボール、さらに新聞紙を乗せて天井との隙間がほとんど(2~3cmは許容範囲)無くなるように設置します。
ベルトタイプ
ベルトタイプは、壁や天井と家具の間にベルトをピンと張って、家具の転倒を防ぎます。
テレビやモニターの固定で採用されることが多い方法で、壁ではなく、テレビ台と固定するタイプもあり、壁に穴を開けずに設置することも可能です。
地震発生時、テレビは重要な情報源の1つになります。テレビの転倒は意外と多いため、小さいサイズのものでもしっかり固定しておくようにしましょう。
L字金具タイプ
最も転倒防止効果が高いのが、L字金具タイプです。
L字金具タイプは、家具と壁をビスで固定して、家具が転倒するのを防ぎます。
設置する際、L字金具を上向に取り付ける方が簡単ですが、下向きに取り付ける方が効果が高いため、手間でなければ下向きに取り付けるのがおすすめです。
またL字金具タイプを部屋と部屋の間仕切り壁に取り付ける場合は少し注意が必要です。
間仕切り壁は石膏ボードでできていることも多く、石膏ボードのみで横板のない部分に取り付けてもビスが固定されないため全く意味がありません。石膏ボードの壁に取り付ける際は、必ず横板のある部分に取り付け、横板がない場合は、別の転倒防止策を採用しましょう。
L字金具タイプは、家具や壁に穴を空けることになるため、特に賃貸住宅では難しいと思います。
L字金具タイプの代わりに、つっぱりタイプ×マット・シートタイプ、または、つっぱりタイプ×ストッパータイプの合わせ技でも同等の効果が得られるため、こちらの方法を採用されるのが良いでしょう。
重いものは下に収納する
大原則として、重いものは下に、軽いものは上に収納しましょう。重いものを下に収納することで、家具の重心が下がって倒れにくくなるのはもちろん、重いものが高いところから落ちてくるというリスクを避けることもできます。
倒れてきても被害が少ないレイアウトにする
これは転倒防止策ではないですが、万が一倒れてしまっても、被害が少ない家具のレイアウトにしましょう。
まずベッドやドアの前に倒れ込む配置は絶対にNGです。また比較的過ごす時間の長いソファやデスク周辺などにも、できるだけ背の高い家具などを配置しない方がよいでしょう。
止むを得ず寝室や子供部屋などに背の高い家具を配置する場合は、ベッドとの間に家具の高さ以上の距離をあけましょう。
これから家を建てるなどの場合は、置き家具よりも転倒のリスクが低くなる据え付け(作り付け)家具にするのがおすすめです。
家具の引き出しや扉にも対策を
仮に家具が転倒しなくても、扉が開いたり、引き出しが飛び出したりすると、中のものが壊れる、床に物が散乱するといった事態が起こります。
そのため扉や引き出しにはストッパーを設置したり、扉にガラス面がある場合は、飛散防止フィルムを貼ったりするなど、被害を最小限に抑えられるよう対策をしましょう。
家具転倒だけでなく、災害には備えを
家具転倒の対策をしっかりしていても、大地震の場合には、倒れてしまうこともあります。床がどんな状態であっても部屋の中を移動できるように、ベッドのすぐ近くにスリッパを用意しておくというのも、大事な備えの1つです。
家具転倒対策だけでなく、日頃から災害への備えをしておくようにしましょう。
冒頭で非常食の備蓄の話をしましたが、しっかり準備できているつもりで、実は十分ではないという家庭も多くあると思います。
まずは正しい防災の知識を得るところから始めるのがおすすめです。
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