大雪になると立ち往生による渋滞がなぜ起こるのか?原因と対策を解説
大雪が降ると、車の立ち往生や停電などが発生し、私たちの生活に大きな支障が生じることがあります。とくに雪に慣れていない地域で大雪が降ると、雪が積もった道路での運転ができないドライバーが増え、立ち往生が発生する可能性が高くなります。
もし立ち往生に遭遇した場合、私たちはどのような行動を取るべきなのでしょうか。この記事では、大雪によって発生する立ち往生の原因や注意点について解説します。
目次
大雪時の立ち往生で渋滞が起こる原因は?
国土交通省の調査によると、毎年約500台以上の車両が立ち往生していることがわかっています。大雪が降るとなぜ立ち往生が起きてしまうのでしょうか。
まずは、大雪時に立ち往生が発生する原因について見ていきましょう。
出典:国土交通省|冬期道路交通確保に向けたこれまでの主な取り組みについて
吹雪で見通しが悪くなるため
立ち往生が発生する大きな要因として、視界不良が挙げられます。
大雪が降ると、雪のせいで視界が悪くなってしまいます。とくに風が強く吹雪になっているときは、数センチ先の道路状況もわからないくらい視界が雪で埋め尽くされることもあるでしょう。たとえ雪が止んだとしても、強風で雪が舞い上がって視界が悪くなる「ホワイトアウト」が発生してしまうリスクもあります。
ホワイトアウトが発生した場合、無理に車を動かすと大きな事故につながってしまうおそれがあります。安全のために車を停止することで、自然に渋滞が発生し、周囲に雪が降り積もって身動きが取れなくなることで、立ち往生に発展してしまいます。
冬用タイヤやチェーンの未装着でスタックを起こすため
都心部や温暖な地域など雪に慣れていない地域では、冬用タイヤやチェーンの未装着が原因でスタック(タイヤがはまり、車が動かなくなること)を起こし、立ち往生に発展してしまうケースが多く見られます。
国土交通省が行った平成27年度の調査によると、立ち往生をしていた車のうち75%が冬用タイヤを装着していたにもかかわらず、立ち往生していました。このデータからも、大雪時には冬用タイヤの装着だけでは安全運転が難しいことがわかります。
さらに冬用タイヤを装着していた車両のうち、89%もの車両がチェーンを装着していなかったことも明らかになりました。もちろん、大雪の際はすべての車両でチェーンの装着が重要です。とくに、中型以上の車両を運転する場合は、必ずチェーンを装着する必要があることを覚えておきましょう。
出典:国土交通省|冬期道路交通確保に向けたこれまでの主な取り組みについて
前の車に続いて停止してしまう人が多いため
立ち往生が発生する原因には、人間の心理状況も関係しています。先行車が何らかの理由で停止した場合、後続車は「自分も停止すべきだ」と判断し、同様に停止してしまう傾向があります。
大雪の際、一度車を停止してしまうと車の周りの積雪量が増加し、再発進が困難になることがあります。その結果、停止する車が次第に増えていき、立ち往生が発生してしまうのです。
大型車が多いと立ち往生しやすい傾向も
大雪時には、大型車が立ち往生しやすい傾向があります。とくに、次の特徴を持つ車は、立ち往生しやすいといわれています。
一軸駆動車
二軸駆動車に比べて、駆動軸が空転しやすいため立ち往生しやすい
連結車
トレーラー付近の積雪により、走行抵抗が増大することで立ち往生しやすい
空荷状態
駆動軸に十分な荷重がかからず、発信性能が低下することで立ち往生しやすい
年式の古い車両
トラクションコントロール等の機能が搭載されていないことから立ち往生しやすい
上記のような車は、雪が降る日に走行する場合には特に注意が必要です。
大雪で車が立ち往生した場合に気を付けること
雪道での運転は、たとえ十分な注意を払っていても、車の立ち往生リスクを完全に排除することはできません。重要なのは、万が一立ち往生した場合に適切な行動を取ることです。適切な行動を取ることで自身の安全を守ることができます。
ここからは、大雪で車が立ち往生したときの対処法について解説します。
一酸化炭素中毒対策をする
大雪で車が立ち往生してしまった場合、脱出が可能になるまで社内で待機したりエンジンをかけたまま救助を待ったりすることがあります。そのときに注意してほしいのが、排気ガスによる「一酸化炭素中毒」です。
車の周囲に雪が積もると、マフラーから排出された排気ガスがエアコンなどの換気システムを介して車内に侵入し、一酸化炭素濃度が上昇する可能性があります。車内の一酸化炭素の濃度が一定レベルを超えると、頭痛やめまい、吐き気・嘔吐、意識障害といった症状を引き起こす「一酸化炭素中毒」に陥ります。最悪の場合、死に至ることもあります。
実際に車のマフラーが雪で塞がれ、一酸化炭素中毒になり命を落としたという痛ましい事故も発生しています。
一酸化炭素は無色無臭のため、症状が現れるまで気づきにくい傾向にあります。そのため、一酸化炭素が車内に充満する前に対策することが大切です。
一酸化炭素中毒対策をするためには、次の対策を徹底しましょう。
マフラー周りの除雪を定期的に行う
マフラー周辺に雪が堆積すると、排気ガスの排出が阻まれ、一酸化炭素が車内に侵入しやすくなります。そのため、マフラー周辺の雪を定期的に除雪することが重要です。
窓を開けて換気を行う
マフラー周りの除雪に加え、窓を開けて車内の換気を行うことも大切です。ただし、窓を開けただけでは十分な換気ができない場合もあるため、こまめに除雪を行い、換気状態を良好に保ちましょう。
車体全体が雪に埋まった場合はエンジンを切る
車体全体が雪に埋もれてしまうと、マフラーからの排気ガスが車内に容易に侵入してしまいます。そのため、このような状況下ではエンジンを切るようにしましょう。
しっかりと防寒対策をする
車内での待機中や避難途中は、低体温症による死亡リスクがあるため、立ち往生に巻き込まれた際は防寒対策を行いましょう。
令和3年2月に長野県で行われたJAFの実験では、車内温度25℃の状態でエンジンを停止した場合に次のことが確認されました。
- 3時間後:車内温度は「1.8℃」まで低下
- 5時間後:車内温度は「-3.9℃」まで低下
- 8時間後:車内温度は「-7℃」まで低下
車内の温度が下がり体温が低下すると、命が危険にさらされる可能性があります。また、立ち往生中は一酸化炭素中毒を防ぐために車のエンジンを切る必要がある場合もあります。
さらに、除雪作業でも体温が低下してしまうことが考えられます。立ち往生してしまった際には寒さ対策ができるよう、毛布や使い捨てカイロ、寝袋など防寒グッズを車に積んでおくことが重要です。
さらに防寒対策を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
ドアが開くことを定期的に確認する
吹雪などの悪天候下では、救助を待っている間に車の周りに雪が積もり、車のドアが開かなくなる可能性もあります。せっかく救助部隊が来ても、ドアが開かなくては外に出ることができません。そのため、立ち往生中に車内で避難する場合、車のドアが開くことを定期的に確認することも大切です。
一定時間ごとにドアの周辺を除雪し、いつでも外に出られるようにしておきましょう。
救助部隊に連絡する
しばらく待っても状況が改善する見込みがない場合は、ためらわず救助部隊に連絡をしましょう。
道路緊急ダイヤルもしくはJAF(日本自動車連盟)のロードサービス救援コールに連絡し、事故が発生しているようであれば警察や消防にも連絡しておくと安心です。
救助部隊 | 連絡先 |
---|---|
道路緊急ダイヤル | #9910 |
JAF(日本自動車連盟)ロードサービス救援コール | 0570-00-8139 もしくは#8139 |
救助までに時間がかかるときは、上記の点に注意して、車内や近くの施設で安全に待ちましょう。
大雪で車が立ち往生したときのために準備しておきたいもの
雪道を走行する場合、大雪によって立ち往生してしまうことも想定されるため、車内備蓄を用意しておくことが重要です。ここでは、立ち往生してしまったときに役立つアイテムをご紹介します。
スコップ
マフラーやタイヤ周りの雪を除雪するために、スコップがあると便利です。小型のものでも準備しておくと安心でしょう。
非常食や飲み物
周辺に施設等がない場合は、車内で救助を待つことになります。そのような状況に備えて、カロリーの高いようかんやチョコレートなどの非常食を用意しておくと安心です。また、飲み物も忘れずに用意しておきましょう。
上着やカイロなどの防寒具
エンジンを切ると、車内の温度が低下し、体温を奪われ低体温症になるおそれがあります。また外に出て除雪作業をすることもあるため、防寒具が必須です。車内には、上着やカイロ、手袋などの防寒具を準備しておきましょう。
携帯トイレ
車が立ち往生してしまった場合、近くにトイレがない状況で長時間過ごすこともあり得ます。そのような状況に備えて、携帯トイレを用意しておくと安心です。
車の立ち往生以外に大雪時に気を付けること
大雪の際には、車の立ち往生以外にも次の点に注意する必要があります。
ライフラインの停止に備える
大雪によって、電柱やガス管、水道管などの設備が破損し、電気、ガス、水道といったライフラインが停止する可能性があります。万が一に備え、次のものをあらかじめ用意しておきましょう。
- 防寒用具:毛布、使い捨てカイロ など
- 燃料:灯油、カセットコンロ、ガスボンベ など
- 飲食料:水、缶詰、乾パン、インスタント食品 など
そのほか、常備薬やスマートフォン・携帯電話の充電器、予備の電池なども用意しておくと、情報収集や連絡手段を確保することができます。
また、大雪によって道路が通行止めになったり、鉄道が運休になったりしてしまう可能性もあります。孤立してしまった場合でも安全に過ごせるように、非常食や常備薬などは余裕を持って用意しておきましょう。
移動時は足元だけではなく頭上にも気を付ける
大雪の場合でも、やむを得ない理由で外出が必要になる場合があるでしょう。外に出るときは転倒に注意してゆっくり歩くことはもちろん、頭上からの落雪にも注意してください。落雪の直撃による死亡事故も発生しています。できる限り、屋根の下は避け、雪に埋もれた電線などにも注意しましょう。
無理な雪下ろしはせず、安全なところへ避難する
雪が屋根に積もると、建物が重さに耐えられず崩壊してしまう危険性があります。だからといって、慣れていない人が無理に雪下ろしを行うことは非常に危険です。
やむを得ず雪下ろしを行う場合は、必ず屋根や柱などに命綱を固定してから行いましょう。危険を感じたらすぐに作業を中止し、安全な場所へ避難してください。
大雪に備えてALSOKの防災グッズを
大雪が降ってしまうと、さまざまな理由で立ち往生が発生してしまいます。すぐに救助してもらえない状況に陥ったときは、この記事で紹介した注意点を意識して車や周辺施設で安全に救助を待ちましょう。
大雪時に気を付けたいのは、決して立ち往生だけではありません。ライフラインの停止や避難が必要な状況に陥ることもあります。日頃から防災グッズを用意しておき、大雪が降っても慌てないように備えておくことが大切です。
ALSOKの「緊急キット」は、非常用飲料水や非常食などの災害時の必需品が8種類セットになっており、避難する際や車が立ち往生してしまった際に役立ちます。
コンパクトで頑丈な箱に梱包されているので、保管スペースをとらず、車への常備も向いています。ぜひ、ご活用ください。
大雪対策として非常用飲料水や非常食の準備を
ALSOKの「緊急セット」また、大雪で避難をした場合や立ち往生してしまった場合、長いあいだ自宅に帰れなくなることが想定されます。長時間自宅に帰れない時に心配なのは空き巣などの犯罪ではないでしょうか。
犯罪防止のため、日頃から住宅の防犯対策を行うことをおすすめします。
具体的には、ホームセキュリティや防犯カメラを設置するなどの対策が有効です。
火災の発生・不審者の侵入など、もしものときに24時間365日ガードマンがご自宅に駆けつけます。住宅のセキュリティ対策の強化をお考えの際は、ALSOKにおまかせください。
まとめ
大雪が降ると、さまざまな理由で立ち往生が発生してしまいます。すぐに救助してもらえない状況に陥ったと場合は、この記事で紹介した注意点を意識して車や周辺施設で安全に救助を待ちましょう。
大雪時に気を付けたいのは、決して立ち往生だけではありません。ライフラインの停止や避難が必要な状況に陥ることもあります。日頃から防災グッズを用意しておき、大雪が降っても慌てないように備えておくことが大切です。