ストーカー被害の実態とストーカー対策方法
年間2万件近く報告されているストーカー被害。一人暮らしは自由気ままで楽しいものですが、特に女性の場合は一人暮らしであることが知られると、不審者につきまとわれたり、窃盗以外の目的で住居に侵入されることもありうるので、注意が必要といえます。
ここではストーカー被害の実態と、実際に被害に遭った場合の対応策、ストーカー被害を未然に防止するための対策などについてみてみましょう。
目次
ストーカー被害の実態
国内ではストーカー被害による犯罪が後を絶ちません。実際にはどのくらいの被害件数が発生しているのでしょうか。
ストーカー事案の相談件数
まずは、警察庁発表のストーカー事案の相談件数をみてみましょう。ストーカー事案の相談等件数は平成26年から年々減少傾向でしたが、令和5年(2023年)には再び増加に転じ、19,843件もの相談が警察に寄せられました。
ストーカー被害の場合、警察よりも友人や家族に相談をする人も多いと想定されることから、実際にストーカーの被害に遭っている人数は、さらに多いものと推測されます。
警察庁発表の統計データによれば、ストーカーの動機について、好意の感情が66.8%、好意が満たされず怨恨の感情が14.9%となっています。
ストーカー規制法により、警察はストーカー行為者に警告を与えることができ、また、悪質な場合にはストーカー行為者を逮捕することができます。
ストーカー被害に遭ってしまった場合の相談先とポイント
警察や専用窓口に相談
ストーカー被害に遭ってしまった場合は、警察やその他組織の専用窓口に相談しましょう。
警察に相談したいことがある場合は、警察相談専用電話「#9110」を利用することができます。
女性のさまざまな問題に対して、相談・保護・自立支援など専門的支援を行う婦人相談所や、男女共同参画センター(都道府県等によって名称が異なります)、女性の人権ホットラインなど多くの相談窓口があります。相手から逃げたい・避難したい場合や自分の情報を守りたい方などへの支援制度もあるため、まずはお近くの警察や相談窓口に相談するようにしましょう。
その他にも、弁護士への相談(民事面での法的対応)や探偵への相談(ストーカーが誰なのか特定してもらう)をすることも有効です。ストーカー被害に遭ってしまった場合や何か不審な点があった場合は必ず周囲に相談しましょう。
ストーカー規制法に基づく禁止命令等は増加傾向に
ストーカー規制法とは、正式名称を「ストーカー行為等の規制等に関する法律」といい、平成12年11月に成立しました。
ストーカー規制法によって規制対象となる行為は、「つきまとい等又は位置情報無承諾取得等」と「ストーカー行為」です。ストーカー規制法で規定されている「つきまとい等又は位置情報無承諾取得等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その特定の者又はその家族に対して行う以下のア~コの行為です。
- つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき等
- 監視していると告げる行為
- 面会や交際の要求
- 乱暴な言動
- 無言電話、拒否後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNSメッセージ・文書等
- 汚物等の送付
- 名誉を傷つける
- 性的しゅう恥心の侵害
- GPS機器等を用いて位置情報を取得する行為
- GPS機器等を取り付ける行為等
ストーカー規制法では、同一の者に対し「つきまとい等又は位置情報無承諾取得等」を繰り返して行うことをストーカー行為と規定し、罰則を設けています(※注1)。
※注1:「つきまとい等又は位置情報無承諾取得等」のアからエ及びオ(電子メールの送受信に係る部分に限る)までの行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限る。
ストーカー規制法は何度も法改正が行われ、それに基づく禁止命令等は平成28年のストーカー規制法の改正法が施行された平成29年以降に急増し、その後も増加傾向にあります。令和5年は1,963件と法施行後最多となっています。
禁止命令等の効力は1年ですが、継続する必要があると認められると延長されます。禁止命令等にはこの延長の処分も含まれています。
相談する際に必要な情報を進めておく
ストーカーに狙われていると感じたら、ただちに警察に相談するのがおすすめです。その際に具体的な被害状況が把握できるものがあると、警察も動きやすくなります。
そこで重要となるのが「被害状況の記録」や「物的証拠」です。被害内容、日付、時間、感じたことなど、些細なことを含めて記録に残すようにするとともに、留守番電話の録音、防犯カメラの映像、送付されてきた郵便物などの物的証拠を残すようにしましょう。
ストーカー被害を未然に防ぐため・被害を拡大されないための対策
明確に意思を示す
自分が不快だと思う行為をされたら、無理に受け入れず嫌なものは嫌とはっきりと意思を示すことが大切です。しかし、明確に意思を示すことが難しい場合は、一人で抱え込まずに信頼できる周囲の人にできるだけ早く相談しましょう。
ゴミを出すときは、個人情報となるものはすべて裁断
もし、“何時に帰宅する”“どこで何を買った”などの行動パターンをストーカーに読まれていると感じたら、個人情報が洩れていると思った方が賢明です。ストーカーは相手のことをできるだけ知りたいと思うもので、さまざまな手を尽くして情報を入手しようとします。
個人情報を守るためには、まずはゴミの出し方に注意を払う必要があります。郵便物や宅配便の伝票、購入物のレシート、携帯電話や光熱費などの領収書、宛名の書かれた封筒などは、シュレッダーにかけることをおすすめします(ハサミで切っただけでは簡単に復元されてしまうおそれがあります)。宛名などの個人情報を隠すことができる、手間のかからないグッズ(個人情報保護スタンプなど)も市販されているので、利用を検討してみるとよいでしょう。
ゴミ集積場からターゲットが出したゴミ袋をまるごと持ち帰って、持ち帰った後でゆっくりゴミ袋の中を漁るという荒っぽい手口もあります。個人情報はシュレッダーなどで判読できない状態にして捨てることを基本とし、なるべく施錠管理されているゴミ置き場を利用するようにしましょう。また、ゴミが回収される日の前夜からゴミ回収場所にゴミを出すことは避けましょう。
盗聴や盗撮に気をつける
ポストから郵便物を盗むケースも想定されます。エントランス・玄関などの郵便受けには必ず鍵をかけるようにしておきましょう。
さらに、個人情報の洩れる要因として考えられるのが盗聴や盗撮です。盗聴器や盗撮器は一般の人々でも容易に手に入れることが可能で、素人でも扱うことができます。
盗聴や盗撮の心配があるという方には、ALSOKの「盗聴器・盗撮器探索サービス」がおすすめです。
SNS上の個人情報管理を徹底する
SNSの投稿やブログの更新をする際にも、閲覧者に意図せず個人情報が伝わってしまう可能性があるため注意が必要です。投稿する写真にはGPS機能の位置情報が含まれていないか、普段立ち寄る場所や個人を特定できるものが写り込んでいないかなど確認しましょう。
SNSのプライバシー設定や共有設定について見直し、写真などのデータを共有・公開する対象を信頼できる人に限定しておくことは、有効なリスク対策の一つです。
防犯ブザーを持ち歩く
通学・通勤などでどうしてもひとりになってしまう場合には、防犯ブザーを持ち歩くようにするとよいでしょう。
避難する
「絶対にストーカーと接触をしないこと」がストーカー対策の基本です。ストーカーとの話し合いには危険が伴うため、絶対に避けるようにしましょう。実際にストーカー被害を受けているような場合には、友人や家族など周囲の人に付き添ってもらって帰宅するなど、協力をしてもらうようにし、さらに切迫した危険を感じる場合には、友人や家族の家に一時避難する他、警察や婦人相談所による一時保護、民間シェルターの利用も検討しましょう。
防犯カメラを設置する
自宅に防犯カメラを設置することで、自宅周辺での待ち伏せやつきまとい行為などを記録することができます。警察などに相談する際には、被害状況の記録・物的証拠として提出することで、その後警察も動きやすくなります。
特に屋外に設置できる小型カメラなどがあると、自宅周辺をうろつくストーカーをカメラに映し、証拠として残すことも可能です。自身が家にいないときも様子を確認できるため、ストーカーと接触しないよう行動するのに役立ちます。
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