住む予定がない実家をどうする?空き家管理のリスクと対処法!
実家の相続は、誰もが遅かれ早かれ直面する問題です。親と過ごした懐かしい思い出が詰まった実家は、できることなら残しておきたいものです。しかし、感傷的な思いに流され、然るべき手続きを取らずに実家を空き家のまま残しておくと、さまざまなトラブルの原因になります。空き家になってしまう実家を相続することで発生する問題と、対処法について解説します。
実家の相続問題はどうするべき?
実家の相続問題に向き合う際、まず覚えておきたいのが、相続はすべて相続するか、すべて放棄するかの二者択一であるということです。借金などの負の遺産は相続放棄したいが、預金は相続したい、といった良いところ取りはできません。したがって、相続する場合は後々に後悔することのないように、良く考えて決めるべきです。相続放棄をする場合には、被相続人が亡くなって3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申し立てをする必要があります。相続しない意思を表明するだけでは、相続放棄したとは認められません。また、3カ月の期限を過ぎてしまったり、遺産の一部に手を付けてしまったりすると、相続放棄ができなくなってしまうので注意が必要です。
すべての相続人により相続放棄された遺産は、相続財産管理人によって精算されたうえで、最終的に国の管理下に置かれます。相続放棄をしたとしても、民法第940条により、国庫所有の手続きが済むまでは相続人が管理責任を負うことになります。空き家になる実家の相続人になる場合は、トラブルが起きないよう注意を払わなければなりません。
相続手続きを放置することにより生じるリスクとは?
実家の相続に際しては、所定の期限内に手続きを取らずにいると、相続放棄することができなくなるばかりでなく、管理責任を問われることになります。当然ながら固定資産税もかかります。実家を空き家のままで放置しておくと、さまざまなトラブルが発生するリスクがあります。空き家の増加は今や社会問題です。平成30年の総務省統計局土地統計調査によると、居住世帯のない住宅に占める空き家の割合は、13.6%と過去最高です。この数値は賃貸住宅の空き部屋なども含んでいますが、このうちの41.1%は賃貸住宅でも、売却予定の物件でも、別荘でもない、いわゆる純粋な空き家となっています。
このため、国は「空き家等対策特別措置法」により、倒壊の危険や衛生上の問題等がある空き家を「特定空き家」に指定し、適切な管理の遂行を促しています。特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇措置が外されたり、行政代執行法により強制執行されたりします。本来は家屋が建っていれば適用される固定資産税の優遇措置ですが、適用外になると税額は最大で6倍になります。また、強制執行で解体した費用の請求先は空き家の所有者です。さらに、特定空き家の所有者が措置命令違反や、立ち入り調査等を拒否した場合は罰金が科せられる場合もあります。
このように、空き家となる実家を相続してしまうとさまざまなリスクを背負うことになります。相続放棄をしただけではリスクを回避したことになりません。相続登記が完了するまでは、実家は法定相続人が法定相続割合で共有している状態となるので、リスク回避のためにも登記の内容は必ず確認するようにしましょう。
空き家となる実家を相続した場合にするべきことは?
空き家を相続するリスクを認識していても、空き家となる実家を相続せざるを得ない場合もあります。相続することになったら、最低限の管理は欠かせません。家は人が住まなくなると、換気や通水がされなくなるため、室内外にカビが発生するなど、傷みやすくなります。また、実家を空き家のまま管理せずに放置していると不法投棄や放火をされる危険性もあります。場所によっては知らぬ間に犯罪組織に利用される可能性すらあるのです。実家を空き家のまま放置しておくと、近隣住民に迷惑をかけることにもなりかねないため、月に一度は様子を見に行き、換気や庭の草取り、落ち葉処理などをする必要があります。
実家が遠隔地などでなかなか訪れることができない場合は、ALSOKのるすたくサービスの利用もおすすめです。空き家や別荘など長期不在の家を1カ月に一度巡回して、異常がないかどうかを確認し、メールで報告してくれるサービスです。万一不審者の侵入があった場合は、ガードマンが現地に急行するオプションサービスもあるので、空き家となる実家をどうするかでお悩みの際は、検討してみてはいかがでしょうか。
空き家相続のリスクを理解し、リスク回避の方法を探ろう!
実家が空き家になってしまうと、さまざまなトラブルの原因になります。相続人になった場合のリスクや手続きについては、法律に詳しい人でもない限り、なかなか把握しきれないものです。まずはどのようなリスクがあるかを知って、トラブルになる前に回避するようにしたいものです。空き家となってしまう実家を相続した場合も、一人で問題を抱え込まずに、安心できるサービスを利用するのもリスク回避方法の一つです。