マンションの消防設備点検は義務?違反した場合の罰則についても解説

防災2024.08.28更新(2020.08.07公開)
マンションの消防設備点検は義務?違反した場合の罰則についても解説

マンションの運営管理において欠かせないのが、防火管理に伴う消防設備点検です。特に多くの入居者が暮らすマンションは、警報設備や消火設備、避難設備といった消防設備が適切に設置・管理されていることが重要です。これらの設備が火災発生時に確実に作動するためには、定期的な点検が必要不可欠です。

本コラムでは、マンションの消防設備点検の種類や頻度、義務である点検や結果報告を怠った場合の罰則などについて解説します。

目次

マンションの消防設備点検は義務?

防火対象物であるマンションでは、消防設備点検が義務づけられています。ここでは、マンションの消防設備点検の概要について解説します。

消防設備点検とは

ビルやマンションなど防火対象物とされる建物には、火災を知らせる警報設備や、消火活動に必要な消火設備といった消防設備が設置されています。
多くの人々が暮らすマンションで万が一火災が発生した場合、消防設備が正常に作動しなければ消火活動や避難がスムーズに行えず、大惨事につながりかねません。
そのため、消防法では、防火対象物の管理者であるマンションの所有者、管理者、占有者に対して「定期的に消防設備点検を実施し、その結果を消防長または消防署長に報告する」ことが義務付けられています。

消防設備点検と報告は誰が行う?

消防設備点検を行うことができるのは消防設備士、もしくは消防設備点検資格者の資格保有者です。
一般的にはマンションの管理組合が民間業者に委託し、消防設備士または消防設備点検資格者が点検を行います。マンションの管理組合は、分譲マンションを購入した人(区分所有者)で構成され、マンションを維持・管理する組織です。具体的にはマンションの共有部分である廊下やエレベーターで不具合が生じたときの修理を行ったり、マンション内でのペット飼育やごみの出し方などマンション内のルールを決めたりします。
マンションなどの集合住宅の場合、3年に一度消防署等へ点検の結果を報告する必要があります。消防署等への報告は、マンション所有者、管理者、占有者、もしくは消防設備点検を行った委託業者が行います。

延べ面積1,000平方メートル未満のマンションの場合、管理組合の防火管理者が、消防設備点検の資格を取得した上で、自身で点検を行うことも可能です。ただし、消防設備点検は専門知識や技術が必要であり、適切な点検が行われないと、火災発生時に設備が正常に作動せず、重大な被害につながる可能性があります。そのため、延べ面積1,000平方メートル未満のマンションであっても、消防設備について専門の知識を持った有資格者に点検を依頼することを推奨します。また、点検結果報告も委託する点検業者に依頼することで、報告漏れや報告ミスなどのリスクを回避できます。

消防設備点検を委託する場合の流れ

まずは、委託業者に点検の依頼を行います。依頼の際に、点検時期、コスト面での要望、現在の消防設備の状況について伝えましょう。これらの情報を伝えることで、話がスムーズに進み、より適切な見積もりを作成してもらうことができます。次に依頼内容に基づいて、点検内容を確認し、見積もりを作成してもらいます。内容に問題がなければ、正式に発注し、点検に入ります。
点検が終わった後は、消防署への報告を行います。この報告は多くの場合、委託業者が代行してくれます。所有者や管理者が行うことも可能です。報告は定められた様式を使用する必要があり、消防庁のホームページに掲示されています。報告者は定められた書類に記載し、3年ごとに建物を管轄している消防署へ提出します。
消防設備点検をした後も、設備メンテナンスやアフターフォローといったサービスが受けられるケースもあります。有資格者の点検が義務付けられていない建物でも消防設備点検を委託することで、専門知識を持つ有資格者による点検で建物の安全性を高め、点検・報告の手間も省くことができ、スムーズに対応することができます。そのため、消防設備点検は専門知識や経験を持つ委託業者に依頼することをおすすめします。

ALSOKでは、消防設備点検の実施から報告までをまとめて委託可能です。消防設備点検でお困りの際はお気軽にご相談ください。

消防設備点検が義務付けられるマンションとは

消防設備士や消防設備点検資格者が点検すべき建物は、大きく以下の4つに分類されます。

延べ面積1,000平方メートル以上の特定防火対象物

「特定防火対象物」とは、不特定多数の人が利用する用途の建物のことを指し、デパート、映画館、旅館、ホテル、病院、飲食店などが該当します。そのうち延べ面積1,000平方メートル以上の建物が消防設備点検の対象です。

延べ面積1,000平方メートル以上の非特定防火対象物で、消防長または消防署長が指定するもの

「非特定防火対象物」とは、特定の人が利用する用途の建物のことを指し、共同住宅や学校、事務所、工場など特定の人が利用する建物が該当します。このうち、消防長または消防署長が指定する建物が消防設備点検の対象となります。また、一般的なマンションも延べ面積1,000平方メートル以上であれば、非特定防火対象物に該当します。
ただし、先ほど述べたように、延べ面積1,000平方メートル未満(有資格者による点検が義務付けられていない)であっても専門知識を持った有資格者に点検を依頼することをおすすめします。

特定一階段等防火対象物

「特定一階段等防火対象物」とは、避難経路となる屋内階段が1つしかない特定防火対象物を指します。このように、多数の人が出入りしている建物や、火災発生時に甚大な被害が生じるおそれがある建物には厳重な設備管理が必要であるとされ、防火対象物の制度が設けられています。

全域放出方式の二酸化炭素消火設備が設置されている防火対象物

令和2年12月から令和3年4月にかけて、二酸化炭素消火設備による事故が相次いで発生しました。事故の再発防止を目的として、二酸化炭素消火設備に関わる技術上の基準等が見直され、令和4年に法令が改正されました。
この法令改正に伴い、不活性ガス消火設備のうち二酸化酸素を用いる全域放出方式の設備を設置している場合、次の措置が必要となります。

  • 閉止弁の設置
  • 新たな標識の設置
  • 建物管理者が維持管理しなければならない項目の追加
  • 消防設備の点検の実施

二酸化炭素消火設備が設置されている防火対象物に関しては、建物の延べ面積に関わらず、消防設備士や消防点検資格者といった有資格者による点検が義務付けられました。

出典:東京消防庁「二酸化炭素消火設備を設置しているみなさまへ」

消防設備点検の種類と頻度

消防設備点検には、大きく分けて「機器点検」と「総合点検」の2種類があります。どちらも消防法により点検の頻度が定められており、実施が必要です。

機器点検

機器点検では、消防設備がそれぞれ適正に設置されているか、損傷がないかなどを点検するとともに、簡易的な動作確認を行います。消防設備とは、火災発生時に人命の安全を守るために設置される設備の総称です。具体的には、非常ベル・自動火災報知設備などの「警報設備」、消火器・消火栓・スプリンクラーなどの「消火設備」、避難器具・誘導灯などの「避難設備」、消防用水・連結送水管・非常コンセント設備などの「消火活動上必要な設備」が含まれます。

点検頻度としては最低6カ月に1回の実施が必要です。機器の点検項目は数多くあるため、専門知識を持つ有資格者に点検を任せるのがおすすめです。

警報設備

警報設備は、自動火災報知設備やガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報器など、火災を知らせる機器の総称です。火災報知器等の警報設備は、早期に発見し、関係者に知らせる重要な役割を担っており、適切な作動確認が不可欠です。
なお、住宅用火災報知器は法令上の点検対象ではありませんが、万が一に備えて定期的に点検を行うことをおすすめします。各入居者への点検周知も忘れずに行いましょう。

消火設備

消火設備とは、火災発生時に、消火剤や水を使って火災を消火するための設備の総称です。具体的には、消火器やスプリンクラーなどが含まれます。機器点検では、消防設備が適切に設置されているか、破損・損傷がないかを確認します。特に、消火器には使用期限があるため、期限切れの消火器は破裂などの危険が伴います。そのため機器点検では、消火器の使用期限も必ず確認します。

避難設備

避難設備とは、火災発生時に安全に避難するための設備の総称です。具体的には、避難はしご、避難器具、誘導灯、非常口などが含まれます。機器点検では、避難設備が常に使用できる状態であることを確認します。

消火活動上必要な設備

消火活動上必要な設備とは、消防隊が消火活動を行う際に必要な設備の総称です。具体的には、連結送水管や排煙設備、非常用コンセントなどが含まれます。機器点検では、これらの設備が常に使用できる状態であることを確認します。

出典:総務省消防庁「火災予防等」

総合点検

総合点検では、全部もしくは一部の消防設備を作動させ総合的に防火機能を確認します。実際に火災警報器を鳴らしたり避難はしごを作動させたりするため、事前にマンション入居者への周知と協力のお願いをする必要があります。総合点検の頻度は1年に1回、機器点検と併せて行われます。いずれにしても、火災発生時に消防設備が確実に作動するように、定期的な点検を行うことが重要です。

マンションの消防設備点検の義務に違反した場合の罰則

消防設備のイメージ

消防設備点検とその報告の義務を怠った場合、消防法に基づき、当該建造物の管理者に罰則が科せられます。
管理者とは、建造物の管理を委託していない場合は所有者、委託している場合は受託者(もしくは委託管理者)、管理義務を負って占有している場合は占有者を指します。

建造物の管理者
所有者 建造物の管理を誰にも委託していない場合
受託者(もしくは委託管理者) 建造物の管理を委託している場合
占有者 管理義務付きで占有している場合

消防設備の設置命令違反

消防設備の設置命令に違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。また、維持管理義務違反として、消防設備の維持管理のために必要な措置を怠った者は、30万円以下の罰金または拘留となります。

点検報告義務違反

点検結果の報告を行わない、または虚偽の報告をした者も点検報告義務違反として30万円以下の罰金または拘留となります。維持管理義務違反および点検報告義務違反については、両罰規定によって違反者本人だけでなく違反者に対して監督責任のある法人(違反者が所属する会社など)に対しても同様の罰金刑が科せられます。点検そのものを実施していない場合や点検期間のルールが守られていない場合も、点検報告義務違反に該当します。

マンションの消防設備点検は防火管理のプロALSOKにお任せ!

消防設備点検・報告制度は消防法で定められた義務です。マンション管理においては、法令遵守はもちろん、入居者の安全管理という観点からも義務を果たすことが大切です。
警備のプロALSOKは、防火管理のプロでもあります。防火対象物点検資格者など防災業務のスペシャリストをそろえ、消防設備の設置から点検・報告までトータルにサポートします。実績と経験豊富なALSOKを、防火管理の委託先として選択してみてはいかがでしょうか。

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