ワンクリック詐欺対策の基本~いざというときに慌てないために
ワンクリック詐欺の一般的な認知度は高まっていますが、その被害は後を絶ちません。なぜだと思いますか?ワンクリック詐欺の手口が多様化しているため、気をつけているつもりでも、だまされてしまう可能性があるのです。ワンクリック詐欺に遭ったときに慌てて対応を間違えないよう、基本知識と対策方法を身につけておきましょう。
ワンクリック詐欺とは
典型的なワンクリック詐欺とは、メール本文やWebサイトのURLなどをクリックしただけで、「ご入会ありがとうございました。」等の文言で契約が結ばれたように装い、一方的に料金が架空請求されてしまう詐欺のことです。一度のクリックで一方的に支払いを求められる特徴から、ワンクリック詐欺と呼ばれるようになりました。近年、スマートフォンの普及に伴い、URLのクリックだけでなく、アプリのダウンロードや動画を再生しただけでも請求画面が現れたというケースが報告されています。
ワンクリック詐欺が特に多いのはアダルトサイトや出会い系サイトです。加えて近年では、芸能情報や裏情報、ゲーム情報サイト、コピーブランドサイト、占いサイトなど、さまざまなジャンルのサイトに広まっています。
消費者庁の統計によると、デジタルコンテンツに関する相談件数は、18万件を超えた2015年をピークに2017年が約16万件、2018年が約11万件と減少傾向にあります。しかし、11万件の相談件数はまだまだ安心できない件数だといえるでしょう。
出典:消費者庁「令和元年版消費者白書」
請求されても支払う義務はない
ワンクリック詐欺に遭った場合、請求されても支払う必要はありません。不安に思うかもしれませんが、法的に支払い義務はないため、安心してください。
電子消費者契約法において、契約の意志がなかった場合や操作ミスがあった場合は契約を無効にできることが定められています。きちんとしたサイトであれば、実際に購入や申し込みをする前に、その内容を明確に表示し、契約の意志を確認してから支払いに進むようになっているはずです。つまり、ワンクリックで表示された請求画面は、契約意志を確認していないため、無効ということです。請求画面が出たからといって契約したことにはなりませんので、無視するのが一番です。
電話をかける行為は絶対にNG
ワンクリック詐欺の対応としては、そのまま無視するのが一番です。特にしてはいけないのは、電話やメールなどで連絡をすることです。ワンクリック詐欺の請求画面に、以下のような文章と電話番号などが載っている場合があります。
- 支払えない場合はご連絡ください
- お電話いただければ請求額の減額が可能です
特に知識のない子どもや高齢者がいきなり高額の請求を言い渡されて怖くなり、わらにもすがる思いで電話してしまうケースがあるようです。しかし、落ち着いて行動すれば怖いことはありません。請求画面が表示された時点では、詐欺業者は被害者の情報を何も持っていません。こちらから電話をしてしまうと、詐欺業者に電話番号が知られ、詐欺業者に促されるまま個人情報が渡ってしまい、詐欺業者からの詐欺攻撃がますますエスカレートします。詐欺に遭わないためには、絶対に慌てて電話をかけないようにしましょう。
個人情報が知られていても絶対に連絡しない
ワンクリック詐欺は、アプリのダウンロードにも範囲が広まっているとお伝えしました。その中には、アプリをインストールするとスマートフォンから電話番号やメールアドレスなどの個人情報が抜き取られるケースがあります。
請求画面に自分の電話番号などの個人情報が表示されると、個人が特定されていると不安に感じて、さらに焦ってしまうかもしれません。その場合も、自分から電話をかけたり問い合わせのメールをしたりといった行動を取らないようにしましょう。詐欺業者から電話による督促があっても無視してください。何度も連絡が来るようであれば、警察や国民生活センターなどに相談しましょう。
複数クリックしてしまったら
ワンクリックではだまさせないことを見越して、複数回クリックさせる詐欺もあります。複数回クリックさせることで、正式な契約をしてしまったのではないかと思わせるのが狙いです。英語でよくわからないままに何度かクリックしてしまった、というケースもあるようです。しかし、たとえ複数回クリックしていたとしても、金額や内容に同意していなければ支払い義務がないため、ワンクリック詐欺と同様に無視して大丈夫です。
また、URLをクリックした先で個人情報の入力を求められるケースもあります。個人情報を盗むフィッシング詐欺の危険もあるため、発信元が信頼できないメールのURLは安易にクリックしないようにしましょう。
悪質な場合は公的機関に相談しよう
ワンクリック詐欺は基本的には無視していれば問題ありません。ワンクリック詐欺なのかどうかわからなかったり、連絡してしまって対応に困ったりした場合は、国民生活センターに相談しましょう。また、すでにお金を支払ってしまった場合は、警察のサイバー犯罪窓口や弁護士に相談しましょう。
最後に、ワンクリック詐欺について覚えておきたいポイントをまとめておきますので参考に被害に遭わないように対策していきましょう。
<ワンクリック詐欺の被害者にならないためのチェックポイント>
- メールの発信元やアプリの提供元が信頼できない場合は、安易にクリックやダウンロードしない
- 怪しげなサイトにはアクセスしない
- ワンクリックでいきなり請求画面が出ても無視する
- 自分から電話やメールで問い合わせない
- 支払いを催促する電話がかかってきても無視する
- 不安な場合は同様の詐欺報告や実例がないかインターネットで検索してみる
- 悪質な場合は国民生活センターや警察のサイバー犯罪窓口などに相談する
- セキュリティソフトを入れるなど、日頃からパソコンやスマートフォンの基本的な防犯対策をしておく
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