パンデミック対策チェックリスト 家族のために備えよう
パンデミックが起きたときに自分や家族の身を守るためには、日頃から準備を整え、適切な対処を行うことが重要です。しかし、具体的に何をすれば被害を防げるのかわからないという人もいるでしょう。いざというときのために、パンデミックに備えるためのチェックリストをご紹介。新型コロナウイルスを予防するための新しい生活様式の実践例もお伝えします。
パンデミックとは
パンデミックとは、感染症が流行している状態を指す言葉です。感染症の流行を指す言葉には、流行の対象や規模により、いくつかの言葉があります。まず、病院内での感染など、比較的小規模な集団の中で起こった場合は、アウトブレークという言葉で表現するのが一般的です。
市町村など、特定の地域あるいは集団において感染症が多発した場合はエピデミックといいます。パンデミックはさらに規模が大きく、同一の感染症が短期間に世界中で流行している状態です。アウトブレークは集団、エピデミックが市町村、パンデミックが国・世界レベルの規模と考えるとわかりやすいでしょう。ただし、どこまで行けばパンデミックなのかといった具体的な定義はありません。
代表的なパンデミックの例として、ペストやスペインかぜなどが挙げられます。ペストは西暦540年頃、エジプトで発生した感染症です。そこから2年程でコンスタンチノーブルという現在のイスタンブールがある地域にまで感染が拡大し、1日あたりの死者は5000人から1万人にも及んだといわれています。14世紀にはヨーロッパでペストが流行し、「黒死病」と呼ばれて恐れられ、ヨーロッパだけで2500万人もの死者が出ました。
また、スペインかぜは1918年に流行した感染症です。死亡者は全世界で4000万人以上と推定されており、収束までに約2年もの期間を要しました。
インフルエンザ・パンデミック チェックリスト
記憶に新しいのは、2007年の新型インフルエンザの流行です。この際、NSC(National Safety Council)Japanがパンデミック対策としてチェックリストを作成しました。これは新型インフルエンザ・パンデミックに対するチェックリストですが、インフルエンザに関わらず、パンデミックが起きた際に冷静かつ適切な対処を行うために有効です。災害時の備えにも共通する内容なので、ぜひ目を通しておきましょう。
パンデミック・インフルエンザ対策
出典:NSC Japan
まずはパンデミックに備え、十分な計画を立てておくことが重要です。
店頭に品物がなくなったり、買い物に行けなくなったりした場合を想定し、水や食料などの備蓄を2週間分は用意しておきましょう。具体的には肉や魚、果物などの缶詰や缶入りのジュース、飲料水のペットボトルなどです。クラッカーやドライフルーツなどの腐敗しにくい食料も確保しておくとよいでしょう。さらに、栄養面を考慮して、シリアルやグラノーラ、フルーツバー、ピーナッツバターやナッツ類があると安心です。必要に応じてベビーフードやペットフードも用意します。
医薬品を常用している家族がいれば、処方薬を確認し、必要な量を備蓄しておかなければなりません。医師からの処方薬のほかに、市販の鎮痛剤や解熱剤、風邪薬、胃腸薬、下痢止め、ビタミン剤、マスクなども常備しておきます。電解質水や石鹸、ハンドウォッシュ、ゴミ袋、ティッシュ、トイレットペーパーなど必要最低限の衛生用品も忘れずに常備します。懐中電灯や携帯ラジオ、バッテリー、缶切りなどもあると便利です。
万が一、家族が病気にかかったときに備えて、ケアの方法や必要なものについて家庭内で話し合っておきましょう。子どもたちには石鹸やハンドウォッシュでこまめに手を洗い、咳やくしゃみをする際には口元を覆う習慣をつけるよう教えます。体調が悪いときには職場や学校に行ってはいけません。既に病気にかかっている人が家族など身近にいる場合は、できる限りの家庭内隔離を心がけましょう。
いざというときに相談できる医療機関や団体など、パンデミック時の情報や対策が得られる居住地域における専門機関の連絡先も確認しておきましょう。
新型コロナウイルス対策に備えるには
現在は、日々の新型コロナウイルスの感染対策が必要とされています。手洗いや手の消毒、マスクなどは習慣化している人も多いと思いますが、万が一の自宅の備えは十分ではないご家庭もあるのではないでしょうか。パンデミック対策も防犯対策も、日頃の備えが重要です。新型コロナウイルスはインフルエンザとは違いますが、パンデミックに対する計画を立てることや、家庭での長期待機のために手元に備蓄するものなど、共通することも多いので、ぜひ参考にしてみてください。間近に危機が迫ってからでは、必要なものが手に入らなかったり、手遅れになったりする可能性があります。できるだけ余裕を持った備えを心がけましょう。
また、厚生労働省から、次のような新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例が公表されています。食事中は大皿を避ける、家に帰ったら手だけでなく顔も洗うなど、新型コロナウイルスに特化した項目があげられていますので、ぜひチェックしてみてください。新型コロナウイルスについては日々、さまざまな情報が流れていますが、こうしたチェックリストを参考にすることで日常生活を改めて見直すことができるでしょう。