高齢者の一人暮らしに必要な防犯対策や見守りの必要性を解説
65歳以上の高齢者の方がさまざまな事情で一人暮らしをしていることは、令和の現代では珍しくありません。しかし、高齢者の方が一人暮らしをするには、健康管理や防犯対策をいかに円滑に行うかなど、課題が多くあります。
この記事では、高齢者の一人暮らし世帯の増加にともなう見守りの必要性や、適切な防犯対策を行うことの大切さについてご紹介します。
目次
高齢者の一人暮らしの現状
昭和後期頃から進んだ核家族化の影響もあり、高齢者(65歳以上)の一人暮らし世帯が現代になって急増しています。
わが国の65歳以上の人が暮らす世帯割合は、内閣府が発表した「令和6年版高齢社会白書」によると全世帯のうち50.6%を占めるまで増加しました。
そのうち「単身世帯(単独世帯)」、いわゆる「一人暮らしの高齢者」の数の推移について、平成24年から令和4年の11年間で表したのが以下のグラフです。
これを見ると、平成24年時点の約486万8千世帯から、令和4年になると約873万世帯へと増加していることがわかります。11年間で約1.8倍も増えたことになりますが、さらに古い昭和60年(1985年)のデータでは65歳以上の高齢者一人暮らし世帯数は約113万1千世帯でした。つまり35年あまりの間で、高齢者の一人暮らしは約7.7倍にまで増加したことになります。
同資料の将来の予測を見てみると、高齢者の一人暮らしは令和7年には815万5千世帯、令和32年には1,083万9千世帯へと、今後も増加していくことが見込まれています。
実際に、身内の方が65歳以上で一人暮らしをされているというケースも少なくないでしょう。また、ご近所に住まわれている高齢者の一人暮らしの方をご存じの方も多いかもしれません。次の項目では、現代において高齢者の一人暮らしが増えている主な理由を解説します。
ご高齢の両親・祖父母を見守る
ALSOKのみまもりサポートはこちら高齢者の一人暮らしが増える理由
高齢者の一人暮らしが増えている背景には、主に以下のような理由があると考えられます。
同居できる家族がいない
親族の他界や、子どもや孫が遠方で暮らしているなどの理由で、同居可能な家族がいないケースが増えています。昭和後期頃を機に、日本の家族構成の主流が大家族型から核家族型に移り変わり、社会構造が変化したことが徐々に影響を及ぼしたとも考えられるでしょう。
高齢者自身が一人暮らしを望んでいる
高齢者自身の価値観が変わったことも一人暮らしの増加理由として挙げられます。「親族に頼りたくない」「煩わしさがなく気楽」「今の生活に満足している」などの理由で、敢えて一人暮らしを選択している高齢者も少なくありません。
高齢者の一人暮らしで起きやすい事故やトラブル
高齢者の方も元気に一人暮らしを続けられるのであれば、それに越したことはありません。しかし、加齢にともない体力や判断力が低下したり、単身世帯であることが周知されたりすると、思わぬ事故や犯罪に巻き込まれる可能性もあります。
ここでは高齢者の一人暮らしで起こりやすい事故やトラブルについて紹介します。
認知症などの病気の発見が遅れるリスク
一人暮らしによって社会的な交流が減ると、認知症などの病気の発見が遅れる可能性があります。気づかないうちに症状が進行しており、気づいたときには対処できなくなっていたというケースも珍しくありません。認知症によって判断能力が低下すると、ご自身の生活に対する意欲が失われてしまったり、周囲とのトラブルに見舞われたりするリスクが高まります。
認知症に関する基礎知識はこちらの記事でも解説しています。
特殊詐欺などの犯罪に巻き込まれるリスク
認知症などの影響で正常な判断が難しくなると、高齢者を狙った特殊詐欺などの被害に遭う可能性も高まります。たとえば、オレオレ詐欺や還付金詐欺、キャッシュカード詐欺盗といった詐欺に遭いやすくなります。特殊詐欺の被害は年々増えていて、被害額も大きくなっています。
手口 | 手口の詳細 |
---|---|
オレオレ詐欺 | 親族や警察官、弁護士を装い、 親族が起こした事件や事故に関する 示談金等を名目に金銭をだまし取る手口 |
還付金詐欺 | 自治体や税務署、年金事務所の職員などを名乗り、 還付金があると嘘をつき、被害者にATMを操作させて お金をだまし取る手口 |
キャッシュカード詐欺盗 | 警察官などを装い、口座が悪用されているなどの 口実でキャッシュカードを盗み取る手口 |
高齢者の特殊詐欺被害については、こちらの記事でも説明しています。
特殊詐欺だけではなく、近年は一人暮らしの高齢者を狙った強盗事件も発生しています。強盗犯は事前に下見を行い、高齢者が一人暮らしをしている家や侵入しやすい家を探し、犯行に及んでいます。強盗は凶悪化しており、殺人事件に発展しているケースもあるため注意が必要です。
孤独死のリスク
高齢者の方が一人暮らしをしている場合、一人でいるときに亡くなってしまう可能性もゼロではありません。実際に一人暮らしの高齢者の孤独死と見られる事例は全国で発生しています。
身内の方が近くにいない場合、地域の人に協力してもらうなど積極的に見守りを行ってもらえる環境が理想的です。しかし、そうはいかないケースも多く、孤独死を防ぐための対策をさまざまな形で検討することが必要になります。
孤独死の実情については、こちらの記事でもご紹介しています。
家庭内事故や健康トラブルのリスク
思わぬ転倒や落下など、高齢者の方は家庭内で事故に見舞われることも多くあります。同居のご家族がいてすぐに対処できれば良いですが、一人暮らしの場合そうはいきません。重傷に至らない捻挫や骨折でも、高齢者はケガが原因で活動する機会が減り、その結果筋力が低下し、寝たきりの状態になるケースもあります。
冬の感染症リスクや寒暖差による健康トラブルも無視できません。多くは軽症で済むとされる感染症でも、高齢者は持病などで重症化のリスクが高まる場合があります。また、入浴時のヒートショックにより健康を損なってしまったり、大きな事故につながったりするケースも少なくありません。
高齢者の家庭内事故については、以下の記事でも解説しています。
高齢者の健康トラブルは、以下の記事で詳しくまとめています。
高齢者の一人暮らし防犯対策
高齢者は思わぬトラブルや犯罪に巻き込まれる可能性があるため、一人暮らしをする際にはリスク対策を講じておくことが大切です。高齢者の一人暮らしに有効なリスク対策は「見守り」といわれています。ここでは、先に述べた高齢者の一人暮らしに潜むさまざまなリスクを踏まえた対策として、防犯を軸にご紹介します。
見守りカメラの設置
高齢者の方のご自宅に定点カメラを設置し、遠方のご家族などが現況をモニターできる状態にします。不審者などの侵入を感知したときにメールで異常を知らせる機能があるカメラだと、より効果的な防犯対策になるでしょう。また暮らしの様子をいつでも確かめられることで、不慮の事故や急な健康トラブルの防止にもつながります。
見守りカメラの設置については、以下の記事でもご紹介しています。
窓を強化する
空き巣や強盗の手口の1つに、窓に穴を開け解錠して侵入するケースがあります。それに対する効果的な対策として、窓に防犯フィルムを貼ったり、防犯ガラスへ交換したりする方法があります。防犯フィルムや防犯ガラスは、窓ガラスに穴を開けにくくし、空き巣や強盗の被害を未然に防ぐことが可能です。また、窓や玄関ドアには補助錠を取り付けて、簡単に侵入させないことも重要になります。
庭や家の周辺の整備
侵入窃盗を行う犯人は、目立ちたくないため、見通しの悪い住宅を選ぶ傾向にあります。そのため、庭や住宅の周辺を整備して見通しを改善するのも、不審者の侵入対策として有効です。高齢の方は、体力の低下により満足に掃除や整理ができない可能性があるため、ご家族が手伝ってあげるなどしてサポートすることをおすすめします。
近隣の住民とコミュニケーションを取る
近隣住民とのコミュニケーションも大切です。コミュニケーションを取り関係を築いておくことで、住人ではない不審者が侵入したときに気づきやすくなります。また、住民が集まり、防犯パトロール隊を結成してパトロールを行うのも防犯に効果的です。「この地域は防犯意識が高い」と思わせることができ、空き巣などが犯行をあきらめるきっかけになります。
見守りサービスの利用
ご家族や身内の方がなかなか訪問できないなどの事情を抱えているなら、警備会社や介護サービス会社が提供している見守りサービスを利用する方法もあります。空き巣や不審者が侵入した場合の駆けつけ対応や健康相談を依頼できるサービスもあり、高齢者の一人暮らしで生じるリスクに備えることが可能です。
高齢者の一人暮らしを支えるALSOKの見守りサービス
ALSOKでは、高齢者の方が一人暮らしでも安心して生活できるように見守るためのサービスも提供しています。警備会社ならではの安心感ある見守りを実現しています。
ALSOKの「HOME ALSOK みまもりサポート」では、緊急時に緊急ボタンを押せばすぐにガードマンが駆けつけます。また、体調について不安がある際は、相談ボタンを押すことで健康相談も24時間可能です。シンプルなデザインのため、高齢者の方でも簡単に操作できます。
離れて暮らすご高齢の両親や祖父母の様子が気になるという方は、ぜひみまもりサポートの導入を検討してみてください。
また、ALSOKの屋外対応無線式カメラ「HOME ALSOK Connect Eye」は、高齢者のご自宅に設置したカメラの映像をいつでもご家族が遠方から確認可能です。不審者の侵入をカメラが感知したときは通知で異常を知らせ、必要に応じてガードマンの出動も依頼できます。カメラにはマイクとスピーカーが備わっているため、ご家族が遠くから必要なときに声掛けすることも可能です。
高齢者の一人暮らしに限界を感じた場合の住まいの選択肢
高齢になると、今までできていたことができなくなることもあります。また、病気などによって一人暮らしが難しくなるケースもあるでしょう。両親や祖父母の一人暮らしに限界を感じているなら、状況に合わせて新しい住まいを選択するのも良いでしょう。
同居する手段もありますが、慣れない土地でストレスが溜まってしまったり関係がこじれたりするケースもあります。その場合は、外部のサービスに頼ることをおすすめします。たとえば、以下のようなサービスを利用できます。
【認知症の症状がある、要支援・要介護の認定を受けている方】
サービス名 | サービス内容 |
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グループホーム (認知症対応型共同生活介護) |
認知症の方を対象とした 専門的なケアを提供するサービス |
介護付き有料老人ホーム | 24時間常駐している介護スタッフにより、 介護サービスを受けられる高齢者向けの居住施設 |
住宅型有料老人ホーム | 生活支援等のサービスが備わった 高齢者向けの居住施設 |
【現状生活に支障はないが今後に不安を感じている方】
サービス名 | サービス内容 |
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サービス付き高齢者向け住宅 | 安否確認や生活相談などの高齢者にふさわしい 設備や見守りサービスが備わった居住施設 |
シニア向け分譲マンション | 高齢者が暮らしやすいようなバリアフリーや 生活サービスなどを取り入れている分譲マンション |
ALSOKでは、有料老人ホームやグループホームといった介護サービスを提供しています。高齢者が安心して暮らせる方法をお探しの場合は、お気軽にご相談ください。
おわりに
現代では、一人で楽しく暮らしている高齢者の方も多く、ご家族のなかには「あまり邪魔をしたくない」と思う方も多いでしょう。しかし、突然のケガや急病、犯罪に見舞われるリスクなどを想定すると心配になります。
高齢者の方が一人暮らしを続けながら、さまざまな危険から身を守るには周囲の人の協力が欠かせません。加えて、遠くからでも様子を確かめられる見守りサービスを取り入れる方法もあります。高齢者ご本人はもちろん、身内の方も安心して現在の生活を楽しめるよう、最適な対策をぜひご検討ください。