空き巣が嫌がる家の特徴とは?空き巣が侵入をあきらめる防犯対策
空き巣とは、家が留守になったときを狙って侵入し金品などを盗む行為です。「空き巣」をはじめとする侵入窃盗の被害は、昔から多く発生しています。このような侵入窃盗は、被害に遭った場合でも十分な証拠がないなどの理由から、犯人逮捕などの解決が難しいこともある厄介な犯罪の1つです。
本コラムでは、住宅における侵入窃盗の被害の状況を見ていくとともに、ご自宅を空き巣などの不審者に狙われない家にするための防犯対策について説明してまいります。
目次
侵入窃盗が多く発生している場所は「一戸建住宅」
上のグラフは、警察庁「令和4年の犯罪」資料より、侵入窃盗の認知件数を場所別に割合で示したものです。警察庁「令和4年の犯罪」によれば、令和4年に認知された侵入窃盗のうち、発生場所が一戸建住宅、共同住宅(3階建以下)、共同住宅(4階建以上)であるものは、それぞれ全体の33.0%、7.8%、4.3%でした。また、発生場所が住戸であるものは、全体の45.1%です。
住戸で発生した侵入窃盗は、商店で発生した侵入窃盗の約6.9倍となっており、侵入窃盗のうちかなり多くの件数が住戸で発生しているということが分かると思います。住戸の中でも、特に一戸建住宅が狙われやすいと言うことができますが、アパートやマンションなどの共同住宅が狙われることもありますので、油断はできません。
空き巣の侵入手段と侵入口
空き巣の侵入手段は無締りが39.3%と最も多く、侵入に時間がかからない家が優先的に狙われていることが分かります。次いで、ガラス破りが34.0%となっていることから、ガラスに防犯フィルムを貼ったり、ガラスを防犯性能の高い合わせガラスに入れ替えたりすることを検討することが望まれます。
また、空き巣の侵入口については、窓が51.8%であり、表出入口が28.4%となっています。このことから、窓と表出入口を中心に防犯対策を講じる必要があると言うことができるでしょう。
侵入者が侵入をあきらめるまでの時間
空き巣は「すぐに侵入でき、見つかりにくく、即座に逃げられる家」に好んで侵入します。侵入犯罪を行おうとしている犯人は、基本的に「侵入に5分以上の時間を要すると予測できる家」をターゲットにはしないといわれています。
侵入に5分かかると約7割の犯人があきらめ、10分以上かけても侵入できない場合は犯人のほとんどがあきらめると言われています。(引用元:URL【https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_e_3.html】警察庁 住まいる防犯110番)
空き巣の被害に遭いにくい家を作りたいと思ったときには、「侵入者が家に侵入するまでの時間を少しでも長くする工夫」を考えると良いでしょう。
空き巣が嫌がる家の特徴
空き巣が侵入を諦める時間や理由なども踏まえ、空き巣が嫌う家・空き巣に敬遠される家とはどのような家なのかをご紹介します。
補助錠が設けられている
警察庁のWebページである「住まいる110番」では、ピッキングなどのドア錠破りに対抗する対策として、補助錠の取り付けが挙げられています。
侵入口である玄関ドアなどに錠が1つだけであれば短時間で解錠して侵入できるようなケースでも、「補助錠」と呼ばれる錠がもう1つ付けられ、2つの錠で施錠されている状態であれば、解錠するためには相応の時間がかかることになります。空き巣はできるだけ短時間で侵入して犯行に及び、逃走したいと考えています。侵入口に補助錠が取り付けられ、ワンドア・ツーロックの状態になっているのを見れば、侵入には相応の時間がかかると想定されるため、侵入を試みようとしていた者が侵入をあきらめる(または、ターゲットを変える)可能性が高くなります。
地域の住人がよく通りかかる場所にある
地域において住民間のコミュニケーションが活発で、地域にお住まいの人々、いわゆる「ご近所さん」がよく通りかかるような地域は、空き巣などの侵入犯罪の被害に遭いにくいと言えます。近所の人に顔を見られたり声を掛けられたりすることは、犯行後にその人たちが目撃者として証言を行う可能性が出てくるため、犯行の痕跡を残したくない空き巣にとって好ましいことではないからです。このため、近所の人などに声を掛けられただけでも、空き巣などを行おうとしている者はその場から立ち去るケースが多くなります。しかし、駅の近くや繁華街など不特定多数の人がよく通る場所の家は、空き巣のターゲットとなる可能性が高まります。この理由は、家の周囲に人がいても通行人から見て関係者か不審者か判断することが難しいため、また、人込みに紛れて侵入や逃走を図りやすくなるためです。
家の周囲に死角がない
空き巣は、死角がない家を嫌う傾向があります。家の周囲に死角がないと、侵入のための作業をしている姿を通行人に見られる可能性が高まるためです。死角がないような家は、侵入犯罪のターゲットから外される可能性が高くなります。逆に、玄関や窓、勝手口など侵入口となり得る場所の周りに塀や樹木、垣根などがあって通行人から見えない死角ができているような家は、侵入犯罪のターゲットとして狙われやすくなります。
セキュリティシステムが設置されている
警備会社によるセキュリティシステムを備えている家は、空き巣にも「防犯意識の高い家」と認識されます。オンラインセキュリティサービスを利用している場合には、セキュリティシステムが侵入を感知すると警備会社に緊急通報されてしまうため、侵入窃盗を行おうとしている者にとっては、あえて侵入対象として選びたいとは思わないはずです。
また、防犯カメラやセンサーライトが設置されている場合でも、防犯意識の高い家であると認識されやすく、空き巣などの侵入窃盗の被害に遭いにくくなります。
犬を飼っている
犬を飼っている家は空き巣などの侵入窃盗に遭いにくいと言えます。犬が侵入者を威嚇して激しく吠えるような状況になれば、近所の人などが何事かと思って見に来る可能性が高くなりますし、犬が侵入者に嚙みつく可能性もあり、侵入者にとっては、吠える犬は大きな障害となるからです。不審者に吠えるかどうかは、犬種や犬の性格、受けたトレーニングの内容によっても変わってくる点に留意が必要です。
空き巣対策(防犯対策)のポイント
「自宅の現状を考えると、空き巣に狙われやすいかも」と気づいたら、早速「空き巣が嫌がる住まいづくり」を考え、実行に移してみましょう。
玄関ドアや窓に補助錠を設ける
二重ロックの玄関や補助錠が付いた窓は侵入までに時間がかかるため、空き巣は選り好んで侵入しようとは思いません。「ワンドア・ツーロック」という言葉がありますが、これは「出入口1つに鍵は2つ」という意味です。もちろん常時戸締りを心がけることが前提ですが、補助錠を見ただけで犯行を思いとどまる空き巣も少なくありません。
防犯カメラやセンサーライトを設置する
玄関や窓の前に防犯カメラが設置されている家では、空き巣が下見に訪れた時点で侵入を諦めるケースが多くなります。防犯カメラの防犯効果は、事件発生時の映像を記録し追跡に役立てられることだけではありません。カメラがあるというだけで、犯罪者に犯行を諦めさせる「抑止効果」が期待できます。抑止効果だけを狙ってダミーカメラを設置する家もありますが、犯人にダミーであることを見破られる可能性もあります。犯罪被害に遭うリスクを低減させるためには、現場の映像をしっかり記録できるカメラを選ぶことが重要です。
人が通りかかると自動で点灯するセンサーライトを設置することも、空き巣などの侵入犯罪対策として有効です。センサーライトの設置により、在宅時には不審者が来たことに気づきやすくなります。また、侵入者は、自分の姿や面相、服装、背格好が見られることを嫌がることから、多くの場合、センサーライトの設置されている家はターゲットから外されることでしょう。また、突然ライトが付いて、侵入しようとした者が驚いて逃走してしまうケースもあるでしょう。
空き巣などの犯罪を行おうとする者が下見の段階でセンサーライトを見つけた場合には、「この家は防犯意識が高い」と考え、ターゲットから外す可能性があります。
防犯用の砂利を敷く
家の軒先や庭に防犯用の砂利を敷いておく方法も有効です。防犯用の砂利は、砂利を踏むだけで高く大きな音が出るため、家の住人や周囲の人に不審者の侵入を知らせることができます。玄関や庭の他、死角となりやすい人目に付かない場所に防犯砂利を敷いておくことで、一定の防犯効果を期待することができます。
オートロックの導入
玄関をオートロックにすることで、鍵のかけ忘れなどによる空き巣の侵入を防ぐことができます。また、マンションなどの集合住宅で共同玄関にオートロックが導入されていれば、鍵が二重になるため空き巣が侵入しづらくなり、犯行をあきらめさせる要因となるでしょう。
しかし、玄関にオートロックが導入されている場合であっても、空き巣などの侵入犯罪に遭う可能性があることから、他の防犯対策の必要性についても検討されることをおすすめします。
さらに強力な対策としてホームセキュリティの検討を
空き巣が侵入しようとしない家には、どのような特徴があるかをご紹介してきました。それらを踏まえた「空き巣が嫌がる家づくり」に努めるとともに、より積極的な防犯対策で空き巣の撃退を実現しましょう。
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