ドアスコープの危険性とは?ドアスコープを利用した犯罪と防犯対策
家の中から外の様子を確認することができるドアスコープは防犯上有用な設備ではありますが、その利便性を逆手に取り悪用した犯罪も発生しており、注意が必要です。
この記事では、ドアスコープの機能とそれを悪用した犯罪についてご説明し、ドアスコープ付き玄関ドアを備えた家で特に気を付けたい防犯対策についてご紹介します。
目次
ドアスコープとは?
ドアスコープとは、玄関ドアの上部(人の目の高さに合わせた位置)に設置されている、円形の小さなレンズで、訪問者の姿を室内から確認できる設備です。住人はドアを開けずに外の様子を確認できるため、不審者や見知らぬ人物が訪問しても直接対面することなく、安全に状況を把握することができます。防犯上の観点から設置されており、特に一人暮らしの方や防犯意識の高い家庭で重要な役割を果たします。
従来は多くの玄関ドアに備え付けられていましたが、近年はモニター付きインターホンが普及したことで、装備していない玄関ドアも一部で見られるようになってきました。しかし、アパートやマンションなどの玄関ドアには、当たり前のように付いていることがまだ多い状況です。訪問販売員や訪問営業など、面識のない人が訪ねてきたとき実際に活用したことがあるという方も多いでしょう。
侵入強盗は4割近くが住宅で発生している
近年、ニュースで強盗事件による被害をよく目にします。実際に、警察庁のデータを見てみると住宅への侵入強盗は、一戸建て住宅がもっとも多く、次いで3階建以下の共同住宅、4階建以上の住宅の順で多いことが分かっています。全体の4割近くは、住宅で侵入強盗が発生している状況です。
ドアスコープは、ドアを開ける前に外にいる来客の姿を確認できる、防犯上便利な設備です。しかし、このドアスコープには思わぬ落とし穴があり、皮肉にも防犯に役立つはずの設備が犯罪に悪用される危険性を備えていることが分かっています。
ドアスコープの危険性
ドアスコープは、どのように悪用されてしまうのでしょうか。ここでは、ドアスコープの危険性について解説します。
外から簡単に外せる
ドアスコープは、ドア本体にさほど頑丈に取り付けられていないケースもあり、そのような場合は外からペンチなどの工具で簡単に外せてしまいます。ドアスコープを外せば、ドアは単なる穴が空いただけの状態になります。ドアスコープを何者かに外されたまま、住人が気づかずにいると室内を不法にのぞかれる犯罪被害に遭うこともあります。
特殊なレンズで室内が見られ、盗撮被害の原因になる
ドアスコープは、そのままの状態では外から室内を見ることはできません。しかし、「リバースドアスコープ」「ドアビューアー」などの名称で出回っている特殊なレンズを使うと、ドアスコープ経由で外から内部を見ることができてしまいます。
これらの特殊レンズとスマートフォン等を組み合わせることで、室内を盗撮されるなどの犯罪被害の原因にもなり得ます。
空き巣や不法侵入被害の原因にもなる
ドアスコープは簡単に外せることがあると先に述べましたが、外したドアスコープの穴から道具を通してドアの内側から解錠し、侵入する犯人もいます。すぐに外せてしまうドアスコープは、空き巣や不法侵入などの原因となることもあるでしょう。
ドアスコープを使用された被害事例
ドアスコープの機能や性質を悪用して、実際に起こった犯罪もあります。ここではドアスコープの悪用によって発生した犯罪の事例について、いくつかご紹介します。
【事例①】ドアスコープ取り外しに気づかず長期間室内をのぞかれ続けた事例
ドアスコープを知らないうちに外され、何日も玄関の外から室内をのぞかれたケースがありました。犯人は外側からドアスコープの取り付け金具を外すことで内部を見られる状態にしていましたが、小さな設備のため住人の方はまったく気づかなかったとのことです。
結局犯人が見つかるまで、住人はのぞかれていたことにも気づきませんでした。近所の人が、頻繁にその家の玄関前を訪問する不審な人物を見つけて住人に伝えたことが、解決のきっかけとなりました。
【事例②】単眼鏡を利用しドアスコープからのぞかれた事例
長野県茅野市内のアパートでドアスコープ越しに女性をのぞき見する事件が発生しました。
犯人はドアスコープに単眼鏡を逆に当て、通常は外から見えないはずの室内を不正にのぞいていました。単眼鏡は片目で見る望遠鏡で、本来はバードウォッチングやスポーツ観戦で使用されている望遠鏡ですが、本来の使い方とは異なる使い方で使用されました。単眼鏡を逆にしてドアスコープをのぞくと家の中が見えるという仕組みがあり、これを悪用されました。
被害者が玄関の外で物音を聞き、警察に通報したことから犯行が発覚し、犯人の男は書類送検されています。
このように、防犯上の観点から設備されているドアスコープが逆に利用される可能性もあります。
ドアスコープを悪用されないための対策
ドアスコープは正しく活用すれば、防犯上便利な設備です。しかし、それと同時に弱点も備えているため、悪用のリスクを回避する対策を知っておくことが有用です。
ここでは、ドアスコープが持つリスクを減らすためにできる対策についてご紹介します。
専用のカバーを取り付ける
ドアスコープの危険性は広く知られているため、外からのぞき見されることを防ぐためのカバーが市販されています。取り付けることで外から室内を見られないようにするほか、光が漏れて在宅を知られることも防げます。内側から取り付けられるカバーは開閉可能になっており、ドアスコープを通常使用できる状態を保ちながらのぞかれることだけを防げます。
防犯性の高いドアスコープに交換する
外から簡単に外せないタイプの防犯を意識したドアスコープに交換する方法も1つの手です。ペンチなどで回しても空転し、すぐには外れない構造になっているものです。ただし賃貸住宅でドアスコープを交換したい場合は、原状回復が可能なように元のスコープを保管しておき、退去時に元に戻せるようにしておきましょう。
モニター付きインターホンを設置して代用する
モニター付きインターホンを設置することで、インターホンの画面から訪問者を確認できるため、ドアスコープを利用する必要がなくなります。そのため、モニター付きインターホンを設置して、ドアスコープを塞いでしまうのも1つの手段です。ただし、外側から塞いでしまうと取り外されてしまう可能性があるため、内側からカバーを付けるか、室内側からテープを貼るなどして塞ぎましょう。
賃貸住宅の場合は、モニター付きインターホンの設置が難しいこともあり、その場合は工事が不要な屋外カメラを取り付けることも検討できます。
ドアスコープ部分にカメラを取り付ける
ドアスコープ部分に取り付け可能なカメラもあり、それらに交換する方法もおすすめです。ドアまで行ってドアスコープを見ることなく、外の様子をモニターやスマホなどで確認できるため不審者と対面するリスクを低減できます。また、カメラを取り付ければ外から直接ドアスコープ経由で室内をのぞかれる心配もありません。
カメラ取り付けの際も、賃貸住宅のドアに付ける場合は原状回復が可能な製品を選定しましょう。
その他玄関周りでできる防犯対策
ここからは、玄関周りでできる防犯対策について解説します。
サムターンカバー
ドアスコープを外した穴から特殊な工具を差し込み、ドアの内側のツマミ(サムターン)を回して部屋へ侵入する「サムターン回し」という手口があります。サムターン回しを防ぐには、サムターンカバーを取り付けるか、防犯用のサムターンへの交換が有効です。ただし、賃貸住宅ではサムターンの交換が難しいため、サムターンカバーの取り付けがおすすめです。
また、ドアに郵便受けがついている場合は、差し入れ口から手や特殊工具を差し込まれないよう、内側にカバーをつけておきましょう。
センサー付きライト
夜、玄関周りが暗い住宅は不審者に狙われやすくなるため、人が通るとセンサーが感知して点灯するセンサー付きライトを玄関付近に設置することがおすすめです。ライトで周囲を明るく照らされることに犯人は嫌がり、玄関に近づきにくくなります。
また、侵入者を検知する防犯センサーや人感センサーなども合わせて活用するとより防犯性が高められます。
防犯カメラ
防犯カメラも、玄関周りの防犯対策として有効です。防犯カメラは、犯人の犯行を記録しておくことができ、万が一の際に証拠として役立ちます。そのため、犯人も防犯カメラのある住宅は避ける傾向があります。玄関のドア付近に防犯カメラを設置することで、不審者の侵入を防ぐことが可能です。
これらの対策のほかに、ホームセキュリティを導入するのも、玄関の防犯対策に有効です。
玄関周りの防犯に役立つALSOKサービス
玄関からの侵入や犯行を防ぐためには、玄関周りの防犯対策を強化し、犯人に「侵入や犯行をするには面倒な家」と認識させることが重要となります。
そこでおすすめなのが警備会社の防犯サービスの活用です。ALSOKでは、屋内外に設置できる小型防犯カメラや家庭にあったプランを選択できるホームセキュリティを提供しています。状況や用途に応じて最適なものをご活用いただけます。
屋外対応無線式カメラ
ALSOKの屋外対応無線式カメラ「HOME ALSOK Connect Eye」は、面倒な設定や配線工事は、一切不要でお手軽に防犯カメラを取り付けることが可能です。
アプリを通じてスマートフォンからリアルタイムの映像を確認できるほか、センサーが動きを検知するとお手持ちのスマートフォンにプッシュ通知が届きます。もしものときは、ガードマンの駆けつけを依頼することも可能です(有償オプション)。
玄関周りだけでなく、住宅や駐車場、周辺の見守りとしても導入できます。
ホームセキュリティ
万一侵入されてしまったとき、被害を最小限に抑えるための対策としてホームセキュリティサービスの導入もおすすめです。
ALSOKのホームセキュリティは「セルフセキュリティ」「オンラインセキュリティ」の2つがあり、ご希望に合ったサービスをお選びいただけます。セルフセキュリティでは、お手頃価格でホームセキュリティを実現でき、もしものときにはガードマンの依頼駆けつけが利用可能です。オンラインセキュリティでは不審者の侵入や火災などの異常発生時に、自動でガードマンが駆けつけます。在宅中も警備をセットできるので、就寝中や一人での在宅時にも安心です。さらに、スマートフォンを持っているだけで外出時はワンタッチで警備を開始、帰宅時には自動で警備を解除することができます。窓の閉め忘れやスマートフォンの持ち忘れを知らせる機能も搭載しており、スマホ忘れにも安心です。
また、防犯カメラとアプリ連携ができ、外出中でもリアルタイムで映像を確認することができます。お家にぴったりの防犯対策を選び、万が一に備えましょう。
防犯対策を見直してドアスコープを有効に活用しよう
ドアスコープは、ドアを開ける前に訪問者を確認できることから、防犯として有効ではありますが、犯罪に悪用されるリスクも存在します。そのため、ドアスコープにはカバーを装着し、外側からのぞき見を防ぐ対策をしておくと安心です。また、ドアスコープを外されたり、玄関から侵入されたりする危険を防ぐために、防犯カメラの設置やホームセキュリティサービスの導入を検討するなど、住宅のセキュリティをより強固にする防犯対策の実施をおすすめします。