宅配ボックスが狙われる?盗難手口と盗難防止対策について

防犯 2023.12.27更新
宅配ボックスが狙われる?盗難手口と盗難防止対策について

近年、不在時でも配達員が玄関先などのボックスに収納し配達を完了できる「宅配ボックス」が注目されていますが、安全性の面ではどうなのでしょうか?
宅配ボックスを狙った盗難手口と、盗難防止対策について解説します。

目次

宅配ボックスとは

宅配ボックスとは

宅配ボックスは、住人が留守の場合も配達員が荷物を届けられるよう、玄関先などに設置するロッカー状の設備です。個人で設置する場合もあれば、集合住宅などでは全世帯に備え付けられていることもあります。
宅配ボックスが人気を集める背景には、近年のネット通販の普及にともなう宅配便の利用の増加があります。以下は、平成24年(2012年)から令和4年(2022年)までの11年間の宅配便取扱個数の推移をグラフ化したものです。

宅配便等取扱個数の推移(百万個)

出典:国土交通省「令和4年度宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」

11年間で取扱個数は約1.4倍に増加しており、特に平成28年(2016年)以降の伸びが顕著となっています。これにともなう不在時の再配達件数も増えており、配達員の過重労働が社会問題になったのも2010年代半ば頃にあたります。また2020年(令和2年)以降は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、おうち時間が増加し、ネットショッピングの利用が増えたことで、宅配の需要が一気に高まりました。

再配達を減らすための有効策として講じられたのが、自宅に設置する宅配ボックスや、駅など公共の場で荷物を受け取れる宅配ロッカーの利用でした。

宅配ボックスにはさまざまな種類がありますが、以下の2つのタイプが一般的に普及しています。

ダイヤル式

ダイヤルによって、施錠と解錠番号の設定がその都度行えるタイプの宅配ボックスです。配達員がボックスに荷物を収納する際に番号を設定して施錠し、それを記載した配達通知をポストに投函します。帰宅した住人がそれを確認し、記載された番号をダイヤル操作することで解錠して荷物を取り出す仕組みです。

電子式

施錠と解錠の手順はダイヤル式とほぼ変わりませんが、番号の設定と入力がダイヤルではなくテンキー(数字を押すボタン式)で操作するタイプの宅配ボックスです。中にはシステムで管理され配達時刻の記録ができる機能を備えており、ボックスへ荷物が配達されると住人へ配達済みのメールを送信してくれるものもあります。またテンキー入力ではなく、磁気カードによる認証によって解錠を行うタイプもあります。

宅配ボックスの中には、配達時に必要な印鑑を備え付けておけるものがあります。その場合、配達員自身が伝票に捺印することになります。また電子式宅配ボックスの一部には、自動で捺印をする機能を備えたものもあります。

宅配ボックスの盗難手口

宅配ボックスの盗難手口

留守中にも配達を依頼できるため、その便利さで人気が高まっている宅配ボックスですが、不在時に配達されるという特徴から荷物が盗難に遭うリスクもあります。宅配ボックス内の荷物を盗む手口には、以下のようなものがあります。

ポストから不在票を盗んでボックスを開ける

宅配ボックスに荷物を入れたら、業者は不在票に宅配ボックス番号や解除番号を記載し、配達先世帯の郵便受けに投函します。この不在票を盗み、宅配ボックスを開けて荷物を盗む手口があります。
犯人は郵便受けの外から、新聞紙を丸めて粘着テープを巻き付けた棒を使って番号が書かれた不在票を抜き取り、ボックスを解錠し荷物を盗もうとします。

宅配ボックスごと持ち去る

個人で設置する外付けタイプの簡易的な宅配ボックスの中には、軽量で容易に持ち運べるものもあります。軽量で容易に持ち運べるタイプは、ボックスごと持ち去られてしまう可能性もあるため、地面や壁にしっかり固定するなどの盗難対策が必要です。

マンション用の宅配ボックスのリスク

マンション用の宅配ボックスのリスク

前述したとおり宅配ボックスを備え付けているマンションも増えていますが、マンションの特徴によって宅配ボックスが窃盗犯に狙われやすくなる場合があります。以下のようなマンションは、宅配ボックスの窃盗犯のターゲットになりやすいと言われることが多いため、ボックス利用時には特に注意が必要です。

単身向けのワンルームマンション

単身者向けのワンルームマンションの住人は、基本的に1人で住んでいることが多く、さらに住人の大半が平日の日中は仕事や学校で留守にすることが多いです。そのため、マンション内に人が少なくなる時間帯に窃盗犯のターゲットとなりやすいと言えます。また、住人の留守が多ければ宅配ボックスの稼働率が上がり、日々荷物が数多くボックスに配達されている点も狙われやすくなる要因です。

50戸以下程度の中・小規模マンション

居住世帯数が少なめのマンションは、住人そのものが少ないため共有スペースや建物周辺の人通りも少なくなりがちです。そのため人目につきにくい場所や状況が作られやすく、窃盗犯のターゲットにもなりやすいと言えます。

築10年以下など建物が新しいマンション

築浅のマンションは住人が顔を合わせる機会がまだ少なく、住人同士も顔や名前を一致させて覚えきれていない可能性があります。そのため、どんな人物が建物に入って来ても不審に思われにくい状況が作られやすく、窃盗犯も立ち入りやすいと判断します。

一戸建て用の宅配ボックスのリスク

一戸建て用の宅配ボックスのリスク

宅配ボックスにはマンションなどの集合住宅用だけでなく、一戸建て向けのものもあります。これまでマンションのリスクについてご紹介してきましたが、一戸建て用宅配ボックスが持つさまざまなリスクについても、ご紹介します。

一戸建て住宅は空き巣に狙われやすい

一戸建て住宅は、空き巣による侵入窃盗被害が多い建物です。玄関外に宅配ボックスが置かれていれば、侵入せずに盗みをはたらいて逃走できるため、空き巣犯のターゲットになりやすいのです。

宅配ボックスを自作するのはさらに危険

空き巣犯に宅配ボックスがひとたび狙われれば、さまざまな手口によって盗まれてしまいます。盗難対策が考慮された市販の宅配ボックスも盗まれるケースがあるだけに、盗難リスクへの対応が適切にできていない自作した宅配ボックスなどはさらに危険です。

もし盗難被害にあったら?盗まれたときの対処法

宅配ボックスに届いたはずの荷物がないことに気がついたら、どのように対処すれば良いのでしょうか。

配送業者へ連絡する

配達業者側のミスにより、荷物の配送が完了していない可能性もあります。そのため、はじめに配送業者へ連絡をし、確実に荷物が配送されているかどうか確認しましょう。また、配送したときの状況も確認しておきます。

警察に通報する

配送業者に確認し盗難の可能性が高いとわかった場合は、すぐに警察に被害届けを提出します。時間が経ってしまうと、犯人を特定することや荷物の発見が難しくなる可能性もあるため、盗難が確認できた時点ですぐに通報するようにしましょう。

盗難にあった場合の補償について

盗難にあった場合の補償について

万一宅配ボックスの荷物が盗難に遭った場合、その補償はどのようになっているのでしょうか。宅配ボックスの利用に関して必ず把握しておきたいこととして「基本的に配送業者による補償は設けられていない」という点があります。ボックスに届けた時点で配達完了とみなされ、その後に関する責任は負わないという考え方です。ボックスに届けられた後の荷物の取り扱いは、受け取る側の自己責任ということになるのです。

ただし、大手通販サイトでは配達ボックスによる損害に関して一部補償がある場合もあります。通販会社から配達ボックス経由で荷物を届けてもらう場合、補償についても詳細を確認すると良いでしょう。
また、利用している宅配ボックスによっては、メーカーが設けている上限額ありの補償サービスが付帯している場合があります。

宅配ボックスの盗難防止対策

宅配ボックスの盗難防止対策

宅配ボックスには盗難のリスクがありますが、それらを未然に防ぐ対策も進化しています。戸建て住宅やマンションに向けての盗難防止対策についてここからご紹介します。

埋め込み型宅配ボックスの利用

一戸建てに宅配ボックスを設置する場合は、埋め込み型がおすすめです。壁に埋め込むので、宅配ボックスごと持ち去ることができません。設置には工事が必要になりますが、盗難防止対策として最適です。

IoT宅配ボックスの利用

スマホアプリによって、あらゆる配達状況をご自身の手元で管理できるIoT宅配ボックスが普及しつつあります。解錠番号や配達時刻などもすべてアプリへ通知されますから、他の人に知られる心配がありません。ボックス内にカメラが備えられ、配達時の画像を撮影・通知してくれる機能を持つものもあります。

セキュリティ性の高い施錠形式を採用する

宅配ボックスの鍵は、解錠しにくいものを選ぶようにしましょう。一戸建て用の宅配ボックスは、南京錠で施錠するものがありますが、南京錠は壊されやすいため注意が必要です。
ダイヤル式の宅配ボックスは、荷物が届くたびにダイヤル番号を設定でき、受取人は不在票に記載された番号を入力するだけで受け取ることができます。しかし、前述のとおり不在票が盗まれ荷物が盗難される被害もあり、安全性には欠けます。
セキュリティ性の高い施錠形式を選ぶなら、IoT宅配ボックスのようにスマホで解錠するタイプの宅配ボックスや、ICカードで解錠する宅配ボックスがおすすめです。

自宅以外で受け取れるサービスを利用する

荷物は、自宅以外でも受け取ることが可能です。例えば、コンビニでの対人受け取りや宅配業者が設置している専用のロッカーといった方法があります。コンビニでの受け取りを指定すると、帰宅時や手の空いたときなどに近くのコンビニで荷物を受け取ることが可能です。
宅配業者が設置している専用ロッカーは、電子式のロッカーで比較的安心して利用できるサービスです。駅周辺や宅配営業所など、多くの場所に設置されています。

宅配業者の専用ロッカーで荷物を受け取る場合、事前に送られてきた専用のバーコードと認証番号を入力するだけで可能です。受け取りに必要な情報は、メールで送られてくるため、盗難被害に遭う確率が低くなります。また、荷物の受け取りの確認や盗難防止のため、防犯カメラも設置されていて安心です。
コンビニや宅配業者の専用ロッカーは、いつでも自分の好きなタイミングで受け取れるのもメリットの1つでしょう。

防犯カメラの設置

オーソドックスな防犯対策ですが、宅配ボックスにも効果を発揮するのが防犯カメラです。宅配ボックスを見たときに目に入る箇所に防犯カメラを設置したり、その上でボックス本体に「防犯カメラ監視中」などのステッカーを貼り付けたりすると空き巣への牽制になり、防犯効果を発揮します。

防犯サービスの利用

さらに、不審者対策としてホームセキュリティを取り入れるとよりトータル的な防犯対策となるでしょう。宅配ボックスの利用と併せてホームセキュリティを導入することで、空き巣や忍び込みなどの不審者対策もより強化することができます。

ALSOKのサービスで本格的な防犯対策を

ALSOKのサービスで本格的な防犯対策を

ALSOKでは、不審者によるさまざまな犯罪を防止する防犯サービスを提供しています。「宅配ボックスを利用したいが盗難が心配」「宅配ボックスの利用を機に本格的にわが家の防犯対策に取り組みたい」など、さまざまなご家庭のセキュリティに関するご要望にお応えします。宅配ボックスについても取り扱っておりますので、まずは資料請求またはお近くの営業所までお尋ねください。

まとめ

宅配ボックスは便利ですが、盗難の可能性や運送会社の補償がないなどのリスクもあります。留守時にも荷物を確実に届けてもらい、また確実に受け取れるよう、宅配ボックスの快適な利用には一定の防犯対策を講じることが必要になります。

セキュリティ性の高い宅配ボックスを利用する方法もありますが、ご自宅全体の防犯対策をより強化する対策がおすすめです。この機会に防犯カメラやホームセキュリティなどを取り入れ、宅配ボックスだけにとどまらないお家全体の防犯に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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